この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

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EP62 新しい街にレッツゴー!

 俺たちは、さっそく町の外……ではなく、ラ・クロワ魔道具店にやってきていた。

 

「カズマ。準備はできておると昨日言っていなかったかや?うちの聞き間違いだったかのう?」

 

 そういうたまもに、俺は首を振って答えた。

 

「ああ、買い物に行くわけじゃないんだ。ちょっとラプラスと話す用事があるのと……それとシロムにお願いがあるんだよ」

 

 そう話しているうちにラ・クロワ魔道具店に到着し、さっそくラプラスが出迎えに出てきた。

 

「ようこそ、カズマ。歓迎す……いや、訂正。余計なの連れてきた」

 

「その余計なのっていうのは、もしかして私のことですか?さすが、お客様すら余計と断ずる心の狭い悪魔ですね」

 

 イリアスがそう嫌味を言うと、ラプラスは頭を振ってイリアスの更に後ろを見た。

 

「個体名称ドブ川の言葉を否定する。私が余計といったのはクロムのこと。あなたが来ると、シロムが機能不全を起こす」

 

 冷笑した体制で固まったイリアスをあざ笑うかのように、無機質な声でラプラスが続ける。

 

「お客様すら余計と断ずる……何?私はあなた等眼中にない。流石女神を自称するドブ川。極限まで自意識が過剰」

 

「な、な、な……」

 

 愕然とするイリアスに、ラプラスが今度こそ勝利の笑みを浮かべる。

 

「……っ!……っ!」

 

 フーフーと獣のような息遣いでラプラスを睨みつけるイリアスに少し気後れしつつ、俺はラプラスに話を持ち掛ける。とはいっても、もうすでに話はついている。以前からラプラスに持ち掛けられていた、商品化された商材の権利の譲渡。今日、その契約について書面を交わすのだ。そう、俺は元居た世界の便利グッズの権利を全て、ラプラスに売ることにしたのだ。理由は様々あるが、一番大きいのは俺たちが冒険者であることと、なんだかんだでお金が無くなっても何とかなりそうな基盤が固まったことだ。屋敷もあり、問題もあるがハマればすさまじい力を発揮する仲間たちもいる。さらに言えば、大所帯になった俺たちの仲間には、研究気質の奴も何人かいるわけで、投資という形で資金提供すれば何らかの利益になるという目算もあった。

 と、いうわけで、事前に取り決めていた契約内容を最終確認し、俺はさっさと契約書にメモをしていく。

 

「……確かに。これは良い取引となった」

 

 そう言って満足げにほほ笑むラプラスと握手を交わし、あたりを見ると、仲間たちが魔道具店を物色していた。

 

「……なんか、お客少なくね?」

 

 ラ・クロワ魔道具店は確かにそこまで繁盛しているという印象はないが、俺の異世界便利アイテムやラプラスの指導のおかげで、少しは客入りが良くなったと聞いていたのだが。そう認識してあたりを確認すると、店の外が騒がしくなっていることに気づく。

 

「何か、やってるのか?」

 

 嫌な予感がして、俺はおもむろに外の様子を確認する。

 

「さて、この鳩が……このように、消えてしまいました!」

 

 そこには、何故か大道芸を披露するイリアスの姿があった。

 

「え?ハトはどこに行ったのか?さて、服の中でしょうか?それともスカートの中?もしかして、帽子の中でしょうか?」

 

 そう言ってイリアスが自分の体をまさぐると、まさぐるごとに鳩が次々とイリアスの体から飛び出してくる。

 

「うおーすげーぞ嬢ちゃん!」

 

「もっと、もっと見せてくれ!」

 

「……個体名称ドブ川、営業妨害だ」

 

 俺の後ろからヌッと現れたラプラスがそう言うと、イリアスが冷笑してラプラスに答えた。

 

「おや、私はカズマとの契約が終わるまで暇つぶしに芸を披露していただけですよ?手慰みの芸にお客を取られるなど、貴方の経営手腕もそれまでということですね」

 

「…………」

 

 言葉を失うラプラスに勝ち誇った笑みを浮かべたイリアスだったが、直後、その手を青白い手が包んだ。

 

「いや、非常に素晴らしい芸をありがとう。見に来てくれた皆も感謝する。長い間外で見ていて喉も乾いただろう?どうだ?うちで少し、飲み物でも買っていかないか?最近ソーダという新商品も開発したんだ。ぜひ試してほしい」

 

 その言葉に、大道芸で集まった人々は興味を惹かれ、次々と、ラ・クロワ魔道具店に入っていく。ついでにソーダのレシピ(というか炭酸という概念を伝えた)のは俺だったりする。

 

「…………」

 

「…………」

 

 シロムに大道芸の客を根こそぎ店に引き込まれたイリアスと、そのイリアスとにらみ合っていたラプラスが揃ってシロムを凝視し、何か言いたそうにしているが、どう反応していいのかわからないのか、中々次の言葉が出てこないようだ。とりあえず、俺の用事を優先させてもらおう。

 

「ってわけで、ちょっとイリアスヴィルまで送ってほしいんだ」

 

 そう。俺の用事というのは、シロムに転移魔法を使ってもらうお願いをすることだった。シロムは先ごろの旅行の際、なんとイリアスヴィルを転移先として登録していたのだ。紅魔の里はイリアスヴィルを超えたさらに先。シロムに頼めば途中までショートカットができるということだ。

 

「ふむ、そうか。そういうことなら構わないが……いや、待ってほしい。カズマ、イリアス、エルベティエ、たまも、サバサ、クロム、それにエミリ……一度に転移をするには、流石に数が多いな。それと、ポ魔城を転移するのも負担が大きい。流石に、全員送るとなると、サービスって規模じゃなくなるな。代金を頂くことになるがいいか?」

 

 そう言うと、気の抜けた声がポ魔城から聞こえてきた。

 

「それなら、私はパス。留守番しとくわ。お母さまの同僚にあっても気まずいだけだし」

 

「それなら、見張り役の妾も残るしかあるまいな」

 

 エミリとサバサが続けてそう言うと、それに同調するようにクロムも声を上げた。

 

「それなら、儂も居残りじゃ。なにしろ、素材が大量に手に入ったから、制作を続けたいのじゃ」

 

「む、なら私も手伝うかな。ラ・クロワの力を妹たちに見せてあげようじゃないか」

 

「…………シロムさま?」

 

 シロムの言にラプラスがジト目で見つめ、それにシロムがばつの悪そうな顔をする場面はあったが、まあ、そんなこんなで俺、イリアス、エルベぇ、たまもの四人が出向くことが決まった。

 

「よし、忘れ物はないな?それでは行くぞ。君たちの旅路に、あふれんばかりの幸福と祝福があらんことを”テレポート”!」

 

「シロム様……」

 

「えぇい、分かっている。仕事を終えてからだろう……」

 

 そんな締まらないシロムとラプラスの声をかすかに聞きながら一瞬意識が途切れ、そして次の瞬間には、あの、イリアスヴィルの目の前に出現したのだった。

 

「さて、それじゃあ行きますか」

 

 到着時に起きた気がする砂埃を払いながらそういうイリアスに、俺はからかうように声をかける。

 

「ん?イリアスヴィルにはよらなくていいのか?一応お前の宗教の総本山なんだろ?」

 

「……いいですよ。そもそも、私たちは少し前に追い出された身ですし。……確かに陰ながらでも信徒の顔を見たい気もしますが、残務はエデンに任せたのです。私が指図するものではありませんよ」

 

 そう言って後ろを向くイリアス……が、姿を消した。

 

「!?」

 

 あたりを見回すとイリアスが全裸の女天使に抱き着かれていた。

 

「イリアス様!ここまで顔を出してくださるとは!」

 

「……っ!ええい、離れなさい、エデン!」

 

「なっ……はい」

 

 落ち込むエデンに、イリアスは手をワタワタさせて慌てていた。

 

「あっ、い、いえ。違うのですエデン。あなたを見捨てたとか、嫌いになったとか、そういうわけではなくてですね」

 

「いえ、いいのです。イリアス様の雰囲気を感じて飛んできたのですが、私などに抱き着かれても、イリアス様はうれしくないですよね」

 

 俺たちがどうするのかをじっと見つめると、イリアスはうーとうなった後、勢いよくエデンに抱き着いた。

 

「い、イリアス様!?」

 

「全く……いきなり抱き着くと、驚くでしょう?だから、貴方はまず許可を取ることを覚えなさい」

 

「あ、あ、あぁ~~~~~~~♡」

 

 とんでもなくとろけた顔でエデンさんはイリアスに抱きしめられるままにされていた。

 

「……はっ!!いえ、そうではありませんでした!イリアス様どうしてこちらに来たのですか?イリアスヴィルに御用なら、私がご案内を!」

 

「いえ……というか、貴方にはこの町の過激派のことを任せたでしょう?そちらに集中しなさい。私たちはこの町ではなく、この先の紅魔の里に用があるのですよ」

 

 気を取り直してそう言ったエデンさんは、ふむと頷いてこの町の周囲のことを伝えてきた。

 

「ふむ……それなら、一つ忠告をいたします。紅魔の里方面に、植物型の魔物娘が住み着いているようです。少々厄介そうな魔物なので、何かあれば容赦なく焼き払う覚悟を決めておいてください」

 

「焼き払う?もちろん、必要とあればそうするつもりですが。なぜわざわざそんなことを?」

 

 イリアスが聞くと、エデンは少し微妙な顔で言葉をつづけた。

 

「その魔物は安楽少女。冒険者に安らぎを与え、離れられなくして、最終的に飢え死んだ冒険者の養分を取り込む魔物なのです」

 

アニオリ部分の話を見たいかどうかのアンケート

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