この素晴らしい世界にもんむすを!   作:邪魅魑

8 / 71
EP8 カズマは確認した

 俺がスキルを覚えて帰ってくると、なんだか俺たちが食事をとっていた場所が騒がしくなっていた。

 

「ええ、ええ、そうですね、あなたの気持ち、とてもよく分かります。ならば、すぐに行動に移すべきでしょう。その思いは、必ずあなたの思い人にも届くでしょう」

 

「そうですね、貴方は、少し自分を見つめ直してみるのが良いでしょう。あなたの手には、ここに剣ダコができていますが、貴方の使う武器であれば、本来剣ダコはここら辺にできるのが一般的です。ここにできるのであれば……そうですね。刺突武器……レイピアなどに一度武器を変えてみてはいかがでしょう」

 

「ふむ……そうなのですね。おじい様が。ふむ、そのようなおじい様で、家の間取りがこれなら……ここと、ここを探してみてはいかがでしょう?あるとすれば、そこに隠し扉があると思いますよ」

 

 ……何故だかイリアスが恋愛相談と戦闘相談と探偵みたいなことをしていた。

 

「何やってるんだ?イリアス」

 

「ああ、カズマですか……すみません皆さん、今日はここまでにいたしましょう」

 

 そう言って、男たちと別れを告げた後、少し涙ぐみながらイリアスは俺を見た。

 

「いえ……実は、先ほどたまもと話していたのですがその時に彼女の相談を受けまして……なんだかそれで目立ってしまって、私も私も、と相談者が……」

 

「断ればよかったんじゃないか?」

 

 俺の言葉に、イリアスは照れ臭そうに続けた。

 

「いえ、私も昔から人々に神託を下して人々を導いた女神。数人くらいなら全く問題ない……などと考えてしまいまして。そしたら後から後から」

 

「あぁ、あるよな、そう言う事。ちなみに、さっきのは出鱈目なのか?やけにいろいろと言ってたが」

 

「……女神を疑うとは不届きな。小さくなったとはいえ、知恵と知識は以前と変わりません。何百万、何千万の人間を見て、覚え、精査してきた私にかかれば、一目見て、話せば大体の事は分かるのです。流石に全て思い通りとはいきませんけどね」

 

 そう言って、腹いせか小さな雷を俺に浴びせかけ、ふと気づいたように俺に顔を向けて来た。

 

「そういえば、先ほどアリスフィーズに技を教わると言っていましたが、覚えて来たのですか?」

 

「アリスフィーズ?」

 

 振り向くと、クリスが驚いたようにイリアスを見ていた。

 

「な、何を言うのだ!余は旅のグルメ。クリスであるぞ!」

 

「……まあ、いいでしょう。で、どうだったのです?」

 

「あ、ああ、もちろん覚えて来たぞ」

 

「それは気になるのう」

 

 気づけば背後にいたたまもに覆いかぶされ、いきなりのことに俺はたまもを放り投げた。たまもはそのままくるくると二回転し見事な四点着地を決める。

 

「え、なにそれすっご」

 

 驚く俺に、たまもは何事もなかったかのようにこちらへと近づきつつ、いつの間にか手に持った扇子を口元にあて、不思議そうにクリスを見つめた。

 

「しかし、クリスと言うたな。先ごろイリアスに声を掛けられるまで自失していたようじゃが、カズマ、お主あの娘に何をしたのじゃ?」

 

「……クリスはパンツを剝かれたうえに有り金を全部巻き上げられて落ち込んでいたの」

 

「って、何を言ってくれてるんだ!いや、間違っちゃいないがちょっと待て!?」

 

「……っ!?あちらはよく見ればエルベディ……いえ、本物ならアリスフィーズの名前を偽るなどしないはず……なら、この世界は……」

 

 なんだか、やっぱりイリアスが騒がしいが、ひとまずはこちらを鎮静化させないと!違うのだ、パンツを手に入れて、ただで返すのはこちらとしても利がないから、交換条件として、パンツの値段を自分で付けさせただけなのだ。それで、俺の財布とクリスの財布を差し出してきたのでそれを交換しただけで、俺は別におかしなことはしていないのだ。

 

 エルの言葉にマジかこいつ、みたいな顔をしているたまもと、考え込んでいるイリアスをしり目に、クリスが何か吹っ切れたのか、両頬を叩いて顔を上げた。

 

「うむ!過ぎてしまったことは仕方ない!いきなり公共の場で下着を脱がされ、その対価として金銭を要求されたがな!あまあま団子を食べるためにも一仕事するとしよう!」

 

「ちょっと待て!ほんとに、他の冒険者たちの目もすごく冷めた者になってるから本当にまって!」

 

「ふん、調子にのったドアホにはちょうど良い仕置きよ。ではな、さて、どんな依頼があるものか。あぁ、エルは自分のしたいことをするとよい」

 

 そう言って、さっさと依頼掲示板に行ってしまった。

 

「……あれ?エル、エルべぇ?さんは行かなくてもいいのか?」

 

 いまだに不動の姿勢を保つエルに、俺は疑問を持って投げかける。

 

「……私は前衛職。あまり人気はない。クリスは盗賊の技能で罠感知や敵感知が使えるし、本人も相応に戦えるから、引く手数多よ」

 

 なるほど、確かに、剣士だった時期もあるようだし、盗賊のスキルも有用だ。この世界では、職業によってパーティでの人気というのもあるんだろ。

 

 しばらくすると、パーティが決まったようで、連れ立ってギルドから出ていくクリスの姿があった。

 

「あれ?もう夜も近いが、今から冒険に行くのか?」

 

「ダンジョン攻略なんかだと、朝一に入るのが良いからのう。基本的には前日からダンジョン前で野宿をするのじゃよ。ダンジョン前だと、その手の冒険者のために、ちょっとした店が出ておることも多い。じゃから、前日である今から出発するんじゃな。……ところで、新しいスキルは見せてくれぬのか?」

 

 そんなたまもの言葉を聞いて、俺はにやりと笑った。

 

「そんなに見たいなら見せてやるさ!行くぞ!スティール!」

 

 そう言うと、俺の手は再び光り輝き、純白の布切れへと姿を変えた。

 だが、あまり見慣れない形だ。ハンカチにしては大きすぎるし、どこにこんなものを持っていたのだろうか。さらしや腹巻を身に着ける歳でもないだろうし。

 

「……ふむ、うちの下穿きを盗るとは、よもやレベルが上がって変態にでもジョブチェンジしたのかの?悪いことは言わぬ。うちが笑っている間に返してくりゃれ?」

 

「えっ、おかしいな、盗むものはランダムで変わるってことだったのに」

 

 慌ててたまもに褌を返し、いよいよもって冷たい目線を向けてくる他の冒険者たちの方を盗み見ていると、突然、エルががたりと近くにあった椅子を揺らした。

 その目はなぜか煌々と怪しい光を称えている。

 

「やはり……私の目は間違いではなかった。こんな幼子の下着を公衆の面前で剝ぎ取るなんて、この男は鬼畜!……しかし、相互理解をしなければ完全解決には至らない。

 男、私をパーティに入れなさい」

 

「いらない」

 

「っつ!?」

 

 正直面倒事しかなさそうなのと、流石にガチ○ズとイリアス、たまもを一緒にするのに危機感を感じたため断ったのだが、すごい形相で俺を見つめてくるエルに若干心が折れかけていた。

 

 しかし、そこで改めて話したことで興味を持ったのか、イリアスとたまもが話に加わってきた。

 

「エルべ……ぇと言いましたね、そこのスライム。あなたが昨日カズマに仲間になりたいと面接に来たクルセイダーなのですね……はぁ」

 

「ふむ、この者クルセイダーなのじゃな。それにスライムの中でもかなり上位のスライムと見た。断る理由はないように思えるが……」

 

 この二人に合わせると、なんだかよくないことが起こりそうだったので会わせたくなかったのだが。昨日も断ったのだが、こうなるのは予想外だった。

 

 仕方ない、あれをするか。そう考え、俺はエルと、ついでにタマモに向かって声をかける。

 

「なあ、エルべぇ聞いてくれ、俺たちは、割とガチで魔王討伐をしようと思っている」

 

 本当は、魔王どころかカエルに苦戦している時点でやる気はごっそりと削られているのだが、まぁ、それは置いておいて。驚いているたまもにも顔を向け言葉を続ける。

 

「たまもも聞いてくれ。俺たちは魔王を倒さなきゃならない。俺たちの戦いは、間違いなく過酷なものになるだろう。特にエル。お前は前衛。盾役だ。何度も攻撃を受けることになるし、もしも捕まったりなんかしたら」

 

「同じく捕まっている子どもたちを救える。望むところ」

 

「えっ!?」

 

 こいつ、ガチすぎるだろ。旗色が悪そうなので、今度はたまもに話を振ってみる。

 

「たまももだ!相手は魔王!俺たちはこの世界で最強の相手に喧嘩を売ろうとしているんだよ?だから、無理してこのパーティに残る必要は……」

 

 言葉の途中で、たまもが地をけり、クルリと一回転してからポーズを決めた。

 

「うちはたまも!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操りし者。月をも砕くうちの爆裂魔法は、魔王にも痛打を与えることじゃろう!最強を名乗る僭主にキツイ一発を決めてやるのじゃ!」

 

 ……こいつもだめだ。ノリノリだった。

 

 と、落ち込んでいる俺の袖を、誰かが引っ張っていた。

 

「カズマ。私は、重大なことに気付いてしまったかもしれません。私は女神イリアスの分体の分体。そして、現在本体であるイリアスとかなり異なった思索を得たと自身で確信しています。もし、この状態で自由の身になった場合、反逆の意志ありとして、本体に消されたりしないでしょうか?なんだかすごく心配に……」

 

 なんか全く関係ないことで消極的になっていた。いや、それ俺に言われても。しかも、それって本当に魔王倒す実力得てから心配することじゃ……。

 

 と、そんなことを考えていると、町中にアナウンスが響いた。

 

『緊急クエスト!緊急クエスト!街中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!街中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!』

 

 




お待たせしました。
 最近は(まだ思いついてないけど)ならではの新規展開からこのすば世界から乖離させていってもいいなと思っている今日この頃です。
 
 とりあえず3番様をオリジンイリアス様から派遣できないか検討中。

変更点
・女神さまが注目を集めている理由を変更(今作の女神さまは宴会芸スキルを習得していません)
・女神さまがある一定の確度でアリスとアリス教の関与を看破(クエ世界知識から)
・アークウィザードの身体能力を大幅に上昇(たまもの特性から)
・クルセイダーのカズマに対する感情がSを見つけたMから変態を見つけた変態に変更(内部ではずっとこの状態だった)
・女神がしり込みする理由の変更(イリアス様が何だか怖くなっちゃったんですけど!とか言うのは考えにくかったので)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。