星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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星アキラはアカデミー賞授賞式に臨む

 

授賞式の会場に着いた僕達は入り口で少し足止めを受けた。

理由は服装がどうたらという理由では無く、席替えをしている最中なので、少し待って欲しいとのことだった。

 

そんなわけで、入り口で一緒に待っているハリウッドセレブさん達と一緒に、お互いに自撮り撮影などをしまくって時間を潰した。

今年は、撮影賞と監督賞にもノミネートされているので、監督さんや『ナショナルクリミナル4』のスタッフさんなども来ていたので、みんなで挨拶や記念撮影などもした。

 

席替えが終わったら、僕たちは前の方のすごくカメラ映りが良い席に案内された。

 

アカデミー賞の席は現場のカメラマンさんとディレクターさんによって決定されるんだけど、おそらく初参加の僕達に良い席を与えてくれたんだろう。

僕たちはすごく良い席からアカデミー賞の授賞式を満喫できそうだ。

 

隣の席には『アメリカン・ハッスル』で主演男優賞にノミネートされたクリスチャン・ベーレさんが居た。

 

僕が隣の席に座ると目を丸くしたけど、星アキラだって判ってアカデミーが始まる前にいろいろ話した。

 

特に隣にいた奥さんとの出会いが映画若草物語である事から、僕達が若草物語の四姉妹だって知るとすごく歓迎してくれた。

僕の方からは若草物語の舞台の話や『ナショナルクリミナル4』の裏話、ベーレさんの方からは天才詐欺師を演じるために激太りした話や、『マシニスト』で4ヶ月の間、1日ツナ缶1つ・リンゴ1個だけの食事で撮影した後に、バットマンのために今度は食事を増やして86キロまで戻した話などを聞いて楽しかった。

特に僕は、大好きなバットマンの裏話などを聞いてすごく興奮した。

 

阿良也と景ちゃんはベーレさんの役作りについての真剣さや、プロ意識について真剣に話を聞き、奥さんはジョーを演じた千世子ちゃんが大のお気に入りでいろいろ話して、楽しい時間を過ごし、あっと言う間にアカデミー賞の授賞式が始まる事となった。

 

正確にはアカデミー賞の放送開始の90分前からプレショーが始まって、ホスト役の人の話や、各賞のノミネート者などへのインタビューなどが放映されるんだけど、あまり気にせずに一緒にひたすらお話をしていた。

 

そして僕がノミネートされている助演男優賞なんだけど、実は一番最初の発表である。

 

この辺はマイナーな賞ばかりだと、間が持たないので適度に注目する賞を間に挟む事になっており、助演男優賞は例年1番手の発表になる訳だ。

 

助演男優賞にノミネートされているのは僕を含めて5人。 今回は助演男優賞と主演男優賞にそれぞれ日本人がノミネートされている事もあり、日本でも月曜日の朝、午前9時からの発表開始ということで、朝の情報番組などでは、各局が中継を入れているみたいだね。

 

席に座るノミネート者にスポットライトが当てられ、顔をカメラにアップで撮影され、司会者はノミネートされた各人のプロフィールや映画の出演シーンなどを順次紹介されていく。

僕の順番は一番最後だった。緊張の表情を見せる他の4人とは対照的に、僕は最初っから選ばれないのがわかっていたので、ニコニコしながら観光気分でカメラに手を振る。

 

おそらく世界中のお茶の間に映画での役の紹介と、ドレスを着たセイバーのコスプレをした僕が写っているはずだ。

 

ニコニコしながら手を振る僕がアップで会場の画面に映された時、会場はにこやかな笑いに包まれた。

 

「変装の達人は、今日は素敵なドレスで参戦してくれました。」と司会者さんもニッコニコで会場を盛り上げる。

 

そして最後の受賞者の発表時、受賞者を発表する司会者とノミネートされた僕達5人の表情が同時に画面に映し出される。

 

助演男優賞のタキシードを着た男性達の中で、ドレスを着た美少女が混じるシュールな光景。

 

会場の笑いとざわめきが最高潮に達する。

 

これこそが僕が狙っていた光景だった。 やはり僕はこういう面白い画を作って、撮れ高を提供しなければいけない!!(超無駄な使命感)

 

そして受賞者が発表される。

 

「アキラ・ホシ! 『ナショナルクリミナル4』おめでとうございます!!」

 

「え゛っ!? マジで!? いやいやおかしいでしょ! 僕が最年少受賞者になったらダメじゃん!」

 

僕は、僕の名前を読み上げた司会者に真顔でツッコミを入れる。

 

しかし、会場は溢れんばかりの拍手だ。

 

隣のクリスチャン・ベーレさんから舞台に上がるように促された。

 

やべぇ、受賞した時の事なんて何も考えていないよ!

 

僕はものすごい動揺の中、気高くて微妙にポンコツなセイバーの演技をしつつ、舞台に上がる。

 

皮肉なことに、この瞬間の僕を支えたのは10年以上培ってきた、器用貧乏と言われた演技の技術だった。

 

僕はプレゼンターの人から、にこやかにオスカー像のトロフィーを受け取る。

 

そして、僕にスポットライトが当てられて、45秒のスピーチが始まる。

 

「すいません。まさか選ばれるなんて思っていなかったので、スピーチの内容なんてまるで考えていませんでした。」・・・なんて話すわけには行かない。これでは他の4人のノミネート者に余りにも失礼だ。

 

僕はマイクの前に行くと、今の心境と喜びを英語で素直に話すことにした。

 

キアラ声「皆様。ありがとうございます。 今回助演男優賞を受賞した星アキラの双子の妹の星キアラです!!」

 

突然の双子の妹の登場に会場は困惑の空気が流れる。

 

「今回のアカデミー賞の助演男優賞受賞を、アキラお兄様も大変喜んでおります。 それではアキラお兄様の声をお届けしたいと思います。」

 

アキラ声「やったっ!、やったよーーーーー! アカデミー賞の審査員の皆さん! 僕を選んでくれてありがとう!!!」

 

「アリサママ、夜凪ママ、みんな見てる~? 僕はやったよーーーーー! みんな応援してくれてありがとう!! 最高に幸せだよ!」

 

「キヌス、ヒロインさん、監督さん、助監督さん、撮影スタッフさん、映画のファンの皆さん、映画に関わった皆さんの力で僕が助演男優賞を取れたよ。みんなありがとう!」

 

「僕のファンのみんな、リスナーのみんな、スターズのみんな、日本のみんな、アメリカのみんな、全世界のみんな、僕を助けてくれて僕に人生の道しるべを与えてくれたみんな、本当にありがとう! 僕は最高に幸せだよ!!!」

 

僕は、持てる演技技術を使って自分の感情に任せるままに、全身で喜びを表現する。 勝手に涙も流れていた。 会場が笑いと喜びと共感に埋め尽くされているのがわかる。

 

キアラ声「以上がアキラお兄様の喜びの声ですわ。 アキラお兄様を支えてくれた皆様、本当にありがとうございました。私からも皆様にお礼を申し上げさせていただきますわ。」

 

僕はスピーチの締めとして、会場の人たちに深々とお辞儀をする。そしてスピーチ時間はきっかり45秒。

 

会場は総立で、割れんばかりの拍手が鳴り響いていた。

 

この時僕は実感した。僕がアカデミー賞の助演男優賞を受賞したんだって。

 

 

なお、この瞬間を日本からTVで見ていたアリサママは、胃痙攣(けいれん)を起こして救急病院に搬送された事を後で聞いた。もちろん軽症で命に別状はないらしい。

 

アリサママも感激で胃が痙攣したんだね。(違う)

 

 




いつも読んでいただいて、ありがとうございます。

この小説も皆様に支えられて今回で100話目という節目を迎える事ができました。

最初は人生に絶望していたアキラ君も、100話目にしてついにアカデミー賞の助演男優賞の栄冠を手に入れる事となりました。

これからもアキラ君達は活躍していきますのでよろしくお願いいたします。
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