星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
ゴーグルのVTuberシステムが出来てから、僕はVTuterの絵師として今後も流行りそうな絵師さんにVTuter用の絵を3セット発注した。
前世でママだった絵師さんが居れば良かったんだけど、残念ながらその絵師さんは今世では見つからなかったので、アニメータ経験のある絵師さんの中で条件を出してエージェントに頼んでピックアップした後に、僕の方で選んでイラストを発注した。
アニメータ経験の有無については、VTuberとして絵を動かすときにアニメータとしての経験から動く絵を修正するのが得意だからだ。
この時点で超売れっ子の絵師さんにお願いしても良かったんだけど、なにぶん新しい技術なので拘束時間が多くなるのと、今後の衣装バリエーションなどを含めて長い付き合いになるので、そう言った面を考慮して、才能はあるけれどもそんなに売れていない絵師さんを選んだ。
すでに有名で、この仕事が無くても食べていける絵師さんと、この仕事によってブレイクした絵師さんとでは、僕が依頼したアバターに対する愛着や対応も全然違う物になるだろうからね。
この絵師さんの絵を見たのは、エージェントにリストアップしてもらった絵師さんリストの中で補欠として参考用に入れられていた人だった。
僕はこの人の絵を見た瞬間にイナズマが落ちるような衝撃を受けた。
沢山のVTuberや、ファンアートを描いてくれた神絵師さんの絵を前世で沢山見て来た僕ならわかる。この絵は売れる。
VTuberが流行していない2014年時点の絵としては色調が流行と違うかもしれないけれども、存在感があって嫌味が無くて色彩と線が綺麗。 造形も男女ともに好感を持たれる造形だった。
VTuber流行後の2020年ぐらいの絵としては、間違いなく売れっ子となっているような絵であり、僕は背筋が震えた。
普通は、絵師さんの方が流行を研究して自分の絵に反映させていくんだけど、すでに自分の感性で未来に流行するような絵を描いている事に恐ろしさを感じた。
・・・その結果、現時点では売れていないみたいだけどね。 逆を言えば、この絵師さんはすごくお得という事だと思う。
この絵師さんは勤めていたアニメーション制作会社が経営危機で解雇された後に、フリーランスのアニメータとしてアニメ制作や絵の仕事を請け負っていたんだけど、仕事に行き詰っていて僕の依頼が無ければ、絵師を辞めて田舎に帰ろうかと考えていたらしい。
間違いなく才能はあるし、今はそこまでウケる絵じゃないけれども、この先、間違いなく売れる絵なので、今回の仕事でかなり多めの報酬を払って引き止めた。
そんな訳で、絵師さんと面会して仕事を依頼して、絵を何度も調整して、4ヵ月。ついに納得の行く今世の僕のアバターが出来上がった。
アバター、そのうちガワとも呼ばれるようになる僕の分身を作るための、ノウハウも環境も整っていない中では、絵師さんの力によって調整してもらう部分も多くあり、そういったアニメーション作成経験のあるこの絵師さんの力がすごく役に立った。
多分、これらのガワも今後沢山の衣装バリエーションが出来ていく事になるんだろう。
僕はガワが出来上がったら、自宅にハイエンドパソコンとマルチモニタ、Webカメラなどを用意してVTuberの配信環境を整えた。
おそらく今後出るであろう3D VTuberとは比較にならないほどシンプルな配信環境だ。
僕は自室に来たハイエンドパソコンを見て感慨に浸った。
僕はたまに、思い出した前世はただの夢だったんじゃないかと思う事もあった。でもVTuberの環境を整えて、アバターを操作すると、やっぱり前世も現実だったって言う確かな実感が湧いてきた。
僕はパソコンを立ち上げてアバターを表示させて、モニター上に映るアバターとして表示される自分と僕自身が見つめ合った。
「今世もよろしく! 僕の半身。」