星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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百城千世子はVTuberとして活動する

 

自分を清らかな天使として売り続けるのはまずい。 そう思ったのは、すっかり吹っ切れて謎の双子の妹であるキアラを演じる幼馴染を見たのと、そのフリーダムな幼馴染をさらに振り回す、ハイパー自由人なラーヤを見た時だった。

 

完全にネタ枠な二人だけれども、容姿は私や景ちゃんと同一水準だし、四人で写真に写ったらどの子が一番好きかって答える時に、個人の好みレベルでしか差が生まれないの。

 

そうすると中身が重要なんだけれども、清純な天使である私とメソッド演技全振りの景ちゃんに対して、あの二人のキャラクターは強すぎた。 あれで中身が男の子とかは反則だと思うわ。

 

そんな訳で、どんな人も魅了する清らかな天使として売り出して来た私は、とんでもない所で斜め上のライバルを迎える事になったわけなの。

 

正直な話、清らかな天使のキャラクターであの二人に対抗するのはすごく難しかった。 例えば、アキラちゃんのYoutubeチャンネルで私がゲスト出演した回とラーヤがゲスト出演した回では、どっちが面白いかと聞かれれば、間違いなくラーヤだったと思う。

 

別にあそこと勝負に行く必要は無い事はわかっているんだけど、私が背負っている美しい清らかな天使の看板は、逆に私の演技の幅を狭める足枷にもなっているって気が付いたの。

 

例えば私が悪役を演じたとして、イメージと違う演技をすることで、評価をしてくれる人も居るだろうけれども、今の私では、大半の人はイメージと合わないって思って敬遠すると思うの。 それが演技の幅を狭める原因。

 

対して、アキラちゃんはアカデミー賞の授賞式をあえて、女装したコスプレで出演する事で、どんな役でもこなせることを多くの人に見せつけた。 今のアキラちゃんであれば、悪役をはじめとして、いじめっ子だろうが、ヒーローだろうが、コメディーだろうがなんでも役が来ているだろうし、意外性のある役者として、イメージに合わない役でも世間はちゃんと評価してくれるだろう。

 

アキラちゃんは自分の力で演技の幅を広げたんだ。 私は自分の能力を卑下する気も無いし、アキラちゃんに自分が負けているとも思わない。 ただ、このまま天使から脱皮できないと、私はたぶん20歳過ぎたあたりで賞味期限が切れると思う。

 

アリサさんに、賞味期限の話を聞いたら、逡巡しながらもやっぱり同じ回答だったから間違いない。

 

だからと言って、すぐに天使の皮を脱ぎ捨てて脱皮するのも違う。 突然キャラクターが変わった百城千世子を世間では受け入れてくれないだろう。

そもそも、今の天使も別に演じている訳でもなく、素に近いのだから。

 

そんな感じで、アキラちゃんに毒されて自分のマーケティングに悩んでいた私は、ある日アキラちゃんがアバターで自分のキャラを放送しているのを見て、これだって思った。

 

百城千世子の外見や配役は変化できないけれども、アバターの千世子ちゃんであれば、百城千世子と切り離したキャラクターの演技ができる! そして、演じているのが百城千世子だってみんなわかっているから、百城千世子の変化を自然と受け入れることが出来る。

 

百城千世子 ≠ 2D千世子ちゃん だけど実は 百城千世子 ≒ 2D千世子ちゃん。 そんな関係。 2D千世子ちゃんを使う事で、天使として凝り固まっている世間の百城千世子のイメージを変化させることができると思うの。

 

私はすぐにアキラちゃんに私のアバターを頼むと、絵麻ママから想像以上のアバターが出来上がってきた。

 

そしてそのアバターを使って、私は積極的に仕事を入れ始めた。 

 

アバターを使っていて気が付いた事は、想像以上に中身である百城千世子を見てくれるって事。 アバターで素顔を出していないのにって最初は思ったんだけど、素顔を出さないからこそ中身で評価される。 アバターは一定だから、中身が重要になって、その結果、世間の目は百城千世子の中身を見てくれるようになった。

 

アバターで百城千世子のイメージを壊さない程度のぶっちゃけ話をすると、意外にも世間の評判は良くて、百城千世子としても番組宣伝以外には、今まで呼ばれる事の無かったバラエティー番組とかにも呼んでもらえるようになった。

 

それと同時に、アバターと合わせて化粧品やグッズなどの広告の仕事も増えた。

 

アバターを介して、百城千世子は、血の通わない天使だけではなくて、人間的な部分も評価されていったの。 そしてそれは私の配役へも影響していった。

少しずつだけれども、前では絶対に来ないような配役が私にオファーされるようになってきたの。

 

私はそんなアバターをとても可愛がっているわ。 アバターのグッズは実際に自分で買って使ってみて、その感想や欠点などをフィードバックしてたりする。

千世子ちゃんのアバターは第二の私であり、そして私の子供でもあった。

 

そんな感じで活動していると、私もアキラちゃんと同じようにYoutubeの放送をしたくなった。 自分の情報を自分で発信するのにこれほど便利な方法は無い。

でも、私はアキラちゃんほど放送が面白い自信も無かった。 

 

景ちゃんに話すと、景ちゃんもやってみたいと言う事で、二人でYoutubeチャンネルをやってみる事にした。

 

放送内容は、アバターをメインにした物にする予定なんだけど、千世子ちゃんのアバターを使うと私と近すぎて失敗した場合に、ダメージが大きすぎる。

だからと言って、完全に千世子ちゃんから離れるのは、ただの別人になってハンデが大きすぎる。

 

そうやって構想を考えていた時に、アキラちゃんが私達をベースとしたキャラクターのイラストを持ってきてくれた。可愛いけど邪悪そうなキャラクターだった。 これだって思ったわ。

 

私はこのキャラクターベースのアバターをアキラちゃんを介して、すぐに絵麻ママに発注したの。

 

可愛いけど、考えている事が天使なのにブラックな大天使チヨコエルと、可愛いくて善良なポンコツ見習い悪魔のケイティ。 

 

アキラちゃんが前にキアラちゃんとアキラちゃんのアバターが一緒に居る時に、一緒にいても大丈夫なの?っていう視聴者のツッコミに対して、「ここはヴァーチャルの空間だから大丈夫なんだよ!」って苦し紛れに答えていたのを思い出して、私達の活動をヴァーチャル空間で活動するユーチューバーという事にして、現実の百城千世子や夜凪景とは関係が無いというお約束を作ったの。

 

こうして、ヴァーチャルユーチューバーって名付けた私達の活動は、アキラちゃんの放送ともリンクしたりして、ブームを巻き起こしていく事になっていくのだった。

 




最終的に千世子ちゃんと景ちゃんがまさかのVTuberデビューというオチでした。
そしてこの世界のVTuberの名付け親は千世子ちゃんになりました。

VTuber編はちょっと長くなってきたのでここで一時停止して、次回からウルトラ仮面編に入ります。 ウルトラ仮面の後に、またVTuberのお話が再開する予定なので、お楽しみに!
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