星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
今回のウルトラ仮面は28作目で、昭和から続く歴史ある特撮ヒーローのシリーズである。
日本人の男であれば、スーパー戦隊シリーズ、仮面ライダー、ウルトラ仮面のどれかに憧れない事は無いと言い切れる、日本人の中の真のヒーロー像として根付く特撮シリーズだね。
今回のウルトラ仮面イリュージョンは、今まで一貫してプロデューサーをし続けていた名物プロデューサーに変えて、新しいプロデューサーを抜擢して、制作陣も一新したフレッシュな新シリーズとして制作される予定だよ。
200人居た候補者は面接の一次選考で50人まで絞られて、そこから演技を見る二次選考を経て、最終選考は僕を含めた3人に絞られた。
僕は持てる技術と情熱を駆使して、最終選考でウルトラ仮面の演技を全力で行った。 会心の出来だった。
結果は後日郵送される事になり、ワクワクして待っていると、郵便が届いて、緊張しながら封を開ける。
オーディションの結果は見事に『落選』。
えーーーっ。 あれだけの会心の演技だったのに!
「ところがどっこい‥‥‥‥夢じゃありません‥‥‥‥! 現実です‥‥‥! これが現実‥!」
頭の中で一条の声が再生されつつ、落選してがっくりしていた。_| ̄|○ まぁ落ちたものは仕方が無い。 次の機会を目指しますか。
ネットでウルトラ仮面イリュージョンの製作発表会を見ていると、主役に抜擢されたのが、想像していたもう一人の人ではなくて、一番ダメそうな人だった。
なんでこの人が上がって来れたんだろう?って思っていたんだけど、確かアクションはもう一人の人よりも良くて光るものがあった。 そう言った面で制作陣なりの考えがあるのだろう。
制作発表会の記者からの質疑応答の時に記者から「あの星アキラを退けての堂々の主役抜擢ですが、自分が主役に選ばれた時の気分はどうでしたか?」という質問が飛んで、僕がオーディションに参加した事がバレてしまった。
普通はオーディションで落選した人の事を話題に出すのはご法度なんだけど、僕を退けて主役になったというのは、それだけ大きなマーケティングの価値を持っているんだろう。 案の定、これは大きな話題になり、星アキラを退けて主役を演じる俳優には、大きな注目が集まった。
僕は完全にダシにされてしまった。 まさに序盤のヤラレキャラ。
でも、この質問を受けた時にプロデューサーは大きく動揺した表情をしていた。 もしかしたら、このプロデューサーはこういったマーケティングは考えていなかったのかもしれない。
とは言っても、僕が落ちた事でウルトラ仮面のオーディションが完全に実力主義で決まる事が世の中に認知されて、これはこれで良かったのかもしれない。
そして、今日、新シリーズである、ウルトラ仮面イリュージョンの第一話の放送日だ。
「ルイ君、僕はウルトラ仮面になれなかったよ・・・。」
「えー! アキラ兄ちゃんでもダメなの?」
「ごめんね。ルイ君」
「ルイ。 アキラお兄ちゃんはがんばったんだから、いい子いい子してあげるのよ。」
しっかりもののレイちゃんがそういうと、ルイ君は僕にいい子いい子してくれた。 すごく癒された。
「アキラちゃんのメッキが剥がれて、見事に落選したウルトラ仮面が始まるのね!」
最近の千世子ちゃんはわりと毒舌がすごい。 でも憎めないレベルをちゃんと弁えてくるから恐ろしい。 VTuterの視聴者からは『毒舌サイコパス天使』の異名をもらっている。 ちなみにサイコパス部分はボス天使、アリサママエルからの直伝らしい。
なんて悪い天使なんだ! アリサママエル! (風評被害)
「そんな事ありません。 アキラさんの実力を見抜けない制作陣が悪いんですっ」
景ちゃんはちゃんと僕を優しく擁護してくれる。 普段は悪魔っ子のキャラクターでVTuberをしているけれども、視聴者からは『慈愛の悪魔』の異名をもらっている。
ちなみに、とてもやさしく慈愛に満ち溢れているんだけど、よくドジをやらかして、チヨコエル以上に事態を悪化させる事が多々あるので、そういう時には「流石は悪魔」「ただのポンコツ悪魔なんだよなぁ」ってみんなに喜ばれている。
ロールプレイは彼女の得意とする所なので、見事にキャラクターを演じて千世子ちゃんに匹敵する人気だ。
「あーあ。 あんなに練習していったウルトラ仮面のオーディションに落ちちゃうとか、クソださアキラちゃんの悔しがる所が見られるなんて、今日はゴハンが美味しそうね♪」
阿良也がラーヤの声で僕を煽って来る。
僕達はいつものメンバーと一緒に新しく放送される、ウルトラ仮面イリュージョンの第一話を視聴した。
「オンドゥルルラギッタンディスカー!」
「アンダドゥーレハ、アカマジャナカッタンデェ…ウェ!」
「ナズェミデルンディス!」
「パンツハワタサン!」
「ウゾダドンドコドーン!!」
「何を証拠にズンドコドーン!!」
第一話を見終わった時には、全員無言だった。 宇宙猫のような表情をしていたかもしれない。