星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
前回の話で、幼馴染を景ちゃん、候補生を千世子ちゃんと書いたのですが、後の話を書いていて、配役がしっくりと来なかったので、幼馴染を千世子ちゃん、アキラ君と同じ候補生を景ちゃんとして配役を修正しました。
すでの前回配役部分を修正していますが、前回から読んでいただいた方はご容赦ください。
制作発表に前後してウルトラ仮面Blackの撮影が始まった。
なんでネッコフリックスでウルトラ仮面の特撮を作るかって? それはライバルのアマズンが仮面ライダーアマズンズを新ドラマとしてやる事になって、特撮として対抗するために、ウルトラ仮面のドラマを作る事にしたらしい。
ちなみに、スーパー戦隊はアメリカでパワーレンジャーとして昔から放送されているので、元々検討されていなかったよ。
僕はMDG(Monster Defense Guardians)の候補生で、ひょんな事からウルトラ仮面に変身する力を手に入れて、ウルトラ仮面として活躍する感じだね。
初回、2話目ぐらいまではいつものウルトラ仮面って感じで、怪獣が出て現場に行ってウルトラ仮面に変身して大団円って感じだね。
2話目以降は結構すごい展開になるけれども、基本的に導入部分はテレビでやっているウルトラ仮面だった。 ・・・導入部分はね。
景ちゃんは僕より年下の入りたての候補生で、いちごちゃんが先輩隊員。そして白石さんが部下思いの隊長役で、アリサママが合理的な判断を優先する局長。
隊員がピンチになると、アリサママが冷徹な判断を下そうとすると、白石さんがなんとか部下を救おうとして奮闘する感じだね。
そして、ウルトラ仮面が登場して大団円。 基本はこのパターンなんだけど、これは大人向けのウルトラ仮面Blackなんだよね・・・。
なにがBlackなのかは今は秘密。
そんなウルトラ仮面な僕を支える幼馴染として千世子ちゃんと阿良也が居る。
初回で怪獣から千世子ちゃんと阿良也を助ける関係上、千世子ちゃんと阿良也には僕がウルトラ仮面である事がバレていて、親友として僕をサポートしてくれるよ。
でも阿良也は意味深な事をしたり、怪獣をけしかけたり、裏で宇宙人と繋がっている描写があったりして、本当に僕の親友なのかは怪しい所なんだ。
今日はそんな阿良也との撮影。なんやかんやあって、第四話のエンディングで、怪獣を倒した後にビルの屋上から夕焼けの街を見ながらの会話だね。
「ほら見てごらん、君が守った街だよ。 君ががんばったお蔭でまだこの街が存続しているんだ。」
「ああ。 僕が守ったんだ。 絶対にみんなを守り切って見せる。」
本来はここで終わるはずだった。 でも阿良也がここでアドリブを入れてきた。
「でも、いつまでもこの街を君が守れるわけじゃないよ。 そもそもこの街の人間は君を邪魔するだけの存在じゃないか。」
阿良也はそう言うと、僕を金網に押し付けてきて、まるでキスをする前ぐらいまで顔を近づけながら言ってきた。
「それでも、僕はヒーローなんだ。 みんなを見捨てられる訳が無いだろう!!」
こいつ、壁ドンの体勢を取って来やがった。 しかもカメラの位置まで正確に計算していいアングルで撮影させている。
「君は、ずっとこの街を守り続けられるとでも思っているの? この後も何度も怪獣は来るだろう。 いつも今回みたいに上手く防衛できるとでも思っているの? MDGも協力してくれないのに? 」
「そんな事を言っても、街の人達を守れるのは僕だけなんだ! 僕しか居ないんだよ!! 」
「でもそれって、ただの延命処置だよね? 結局アキラがここで頑張っても、最終的にこの街が破壊される事には変わりないんじゃないの?」
こいつ・・・、この展開はまだ先のはずなのに、アドリブでここにぶっこんで来やがった。
「じゃあ、阿良也はどうしろって言うんだ!!」
「こんな奴らを見捨てて俺と逃げないか? アキラの力なら余裕だろう? 千世子を連れて行ってもいい。」
さらに阿良也は見惚れるような、妖艶な笑みを浮かべて僕に密着してきた。
間違いない。 阿良也は僕を演技で喰おうとしてる。
主役を奪おうとか、僕を喰って名を上げるとかそういうのであれば、いくらでもやりようはある。
でもこいつ、心底、役を演じるのを、楽しんでいやがる。
自分が暴走して、ドラマを破綻させないようにするギリギリの綱渡りと演技を本気で楽しんでいやがる。
阿良也はハイになって、狂気に満ちた表情で僕に迫ってきた。こんなの台本にまるで無い行動だ。
これが、ウルトラ仮面ではない、何かの映画であれば、話題作りにちょうど良いだろうけど、流石に男同士がベタベタするのは普通のテレビドラマで流すのはまずい。
アドリブなので、突然平手打ちをすると阿良也が口の中を切ったり、舌を噛んだりする可能性があるので、僕はスローでポふっと、阿良也を平手打ちした。
阿良也は意図を察したのか、派手にすっ転んで、僕を見上げる形に殺気をみなぎらせて、僕を睨みつけた。
このシーンは少し早回しにして、効果音を後付けすればちょうど良くなるはずだ。
「見くびるなよ。 それでも僕は街のみんなを守って見せる。 なぜなら僕は正義のヒーローウルトラ仮面だからだ!!」
僕はアドリブでセリフを綺麗に決めて、夕日をバックに逆光でのカメラの位置、画角、レフ版の位置を考慮して、完璧な構図で宣言して見せた。
決まった。 完璧に決まったけど、内心では心臓がバクバクだった。
あの天才俳優、明神阿良也が周りを気にせずに僕を本気で喰いに来ている。 それは物語が佳境に入るこれからの撮影で、才能で生きる阿良也に対して、僕が技術だけで喰われずに生き残れるのだろうか?
綺麗な夕日をバックにしつつも、僕の心の中では暗雲が立ち込めていた。