星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
「なるほど。それで私の所に来たのね。」
「そうなの。私のアバターを絵麻に作ってほしくて・・・。」
「ちょっと待ってね。確認してみるから。」
絵麻はそう言うと、Lineを打った後に誰かに電話をかけたみたいだ。
私達は山形の上山高校でアニメーション同好会をやっていた親友同士で、メンバーは5人居たんだけど、みんな上京してそれぞれの道を歩んでいる。
絵麻はその中で一番の出世頭だった。絵麻があの星アキラのアバターを作ったって聞いた時には本当に驚いた。
そこから、千世子ちゃんや景ちゃん、阿良也君と言った今を時めくスター俳優たちのアバターを次々と作成して名を上げると、今は何作品かのライトノベルの挿絵やいろいろな催し物のイラストなども担当している。
東京駅で列車会社や旅行会社とコラボした、絵麻の描いたアキラ君達のキャラクターの巨大なイラストを見た時には、本当にびっくりした。
絵麻も記念撮影したらしいけれども、通路に延々と絵麻のイラストが張られていて、絵麻の絵が評価されてうれしいのと同時に、絵麻が遠くに行ったみたいで、少し寂しかった。
私が引っ越した後の絵麻の家に来るのは初めてだった。引っ越した後の絵麻の家にはちゃんとした応接室が出来ていて、すごくスッキリとした部屋に、絵麻の担当したキャラクターのグッズなどがセンス良く飾られていた。
「うん。そうなの。高校の時に一緒にアニメ同好会をしていて、一緒に上京してきた親友なの。うん。うん。わかったわ。」
「アキラ君に許可が取れたから、一応お仕事は受けられると思うわ。」
「えっ、今の電話の相手は星アキラなの!? それにアバターの仕事ってアキラ君の許可が必要なの? っていうか、アキラ君とそんなに気軽に話せるんだ!」
「契約上の許可とかそう言うのじゃないんだけど、やっぱりアキラ君の妹ができる可能性もあるんだから、ちゃんと伝えとかないといけないと思って。 アキラ君とは良くプライベートとかでも良くお話しているわよ。 お話がすごく面白いの。」
「話が面白いのは間違いないと思うけれども、絵麻すごすぎ。 アキラ君にはアバターの依頼を受ける度に確認しているの?」
「そんな事ないわ。 私はそもそもアキラ君達以外のアバター作成の仕事を受けていないから。」
「えっ、そうなの!?」
「アバターの作成の依頼が儲かるからって、責任の持てない人に作ってその人が問題行動とか起こしたりしたら、間接的にもアキラ君に迷惑がかかるわ。 だから今の所は新規の人のアバター作成の仕事を受けていなかったの。 でもずかちゃんのアバターなら私も作りたいって思ったから、仕事を受けてもいいと思ったの。」
「絵麻ありがとう!!」
「それで見積もりなんだけど、このぐらいね。」
「げっ、高すぎない!? 私の所に来ている他の絵師さんの見積もりの2倍~3倍ぐらいするんだけど・・・。」
「ごめんなさい。 これについては負ける訳には行かないわ。 アキラ君達のアバターや新衣装はこれぐらいもらっているし、親友のずかちゃんだからって、負けちゃったら、私の恩人であるアキラ君達に対して、すごく失礼だもの。」
「うっ、この値段だとダメかもしれない・・・。」
「その辺は事務所の人と良く話し合ってみて欲しいわ。」
「解ったわ・・・。」
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私はこの値段だと絶対に無理だと思いつつ、マネージャさんに絵麻の見積もりを提出した。
「これ、本当にあの安原先生の見積もりなの!? 本当に安原先生がアバター作成を受けてくれるの!?」
「どの安原かは、判らないのですが、アキラ君や千世子ちゃんなどのアバターを担当している安原絵麻ならその見積書の人です。」
「安原先生は今担当している人以外には、絶対にアバター制作を受けないのにどうやったの? うちも一応、一度依頼して断られているんだけど・・・。」
「絵麻は私の高校の時に一緒に同好会をやっていて、その時の縁がずっと続いていて・・・。 やっぱり値段が高すぎますよね・・・。」
「そう言う事なのね。 後で上の人にも確認するけれども、ほぼ間違いなくOKよ。 安原先生で行きましょう。」
「えっ? でも値段が高すぎるんじゃないですか? 他の人の2~3倍以上しますよ。」
「そんなの、広告費や人気のための投資と考えれば全然高く無いわ。 安原先生の作ったアバターでデビューするVTuberってだけで注目度は間違いなく段違いよ。しずかさんのVTuber活動のスタートは成功したって言っていいわ。」
「そんな大げさな・・・。」
何も文句も言われずに、この値段でもお願いしたいって話を聞いて、絵麻の凄さを改めて実感した。
そしてVTuberになるのに、2ヶ月ほど準備をして、絵麻にお願いしたアバターも届いて、ついに私のVTuber初配信が始まった。そして絵麻のアバターの凄さと言うのをすぐに実感するのであった。