星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
デスアイランドの撮影がクランクインする事になった。
今回の撮影は伊豆の下田で行われるので、僕達もそこまで移動しての撮影開始だね。今はチャーターしたマイクロバスでの移動中だよ。
デスアイランドのストーリーはこんな感じ。
修学旅行中の25人を乗せた飛行機が嵐に遭って海に墜落。無人島の浜辺で目を覚ました12人の生徒達はスマフォを持っており、そこにインストールされたアプリ「デスアイランド」にて奇妙な指令を受けてデスゲームに発展するって言うストーリーだね。
映画の本編は飛行機墜落後に助かったオーディション組12人とスターズ組12人が森林の中に存在する、奇妙な校舎の前で出くわす所から始まるね。
ちなみに僕は友情出演で、最初の飛行機墜落時にみんなのために身を挺して出口を空けてそのまま力尽きるという役なので、出オチで終わりだね。なので、合計24人(1人死亡)から始まる物語だね。
最初の撮影の後はアリサママの代わりに撮影中にぶらぶらして、出演者のケアや監督やスタッフ達とのアドバイス、なんかトラブルが起きた場合の対処なんかの裏方をやる感じだね。
後はデスアイランド放送前スペシャル番組のナビゲーターなんかをやったりするね。
そんな訳で、俳優さん達が準備している間に、僕は手持無沙汰になったので、暇そうなカメラマンや音声さん、そして応援をお願いした雪ねぇちゃんを誘って、僕は浜辺でジャックスパロウのコスプレをしてヴァイオリンを持って、Youtube動画用の「パイレーツオブカリビアンの彼こそが海賊を弾いてみた」を収録していた。
こういうお遊びは、最初の余裕があるうちにやらないと、後になればなるほど撮影が押してみんなの余裕がなくなるからね。
流石はプロの映画スタッフと雪ねぇちゃん。 撮影はテキパキとあっと言う間に終わった。 最近は雪ねぇちゃんもカメラアングルや音声位置のセッティングなどをプロの人にも物おじせずに意見を言うようになった。 急速に腕を上げているから、現時点でも撮影監督としてやっていける力量があるんじゃないのかな?
そんな雪ねぇちゃんは、最近はプロの撮影スタッフに子供のように可愛がられたりしている。 映画監督柊雪の誕生も近いかもしれない。
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最初の撮影は校舎の前でスターズ組とオーディション組の合計24人が鉢合わせて感動の再会をするシーンからだ。
全員が一堂に集うので、24人分の俳優の衣服や髪型、化粧を整えるスタイリストさんなどは大わらわで準備にもう少し時間がかかりそうだ。
僕の撮影を終えると、丁度良い時間になって撮影チームに合流。 監督、カメラマンや撮影スタッフ達との現場のミーティング、映画監督の手塚監督が演出などを俳優などに説明し、撮影監督さんがカメラのセッティングを指示して、複数のカメラや音声さん、照明さんが撮影の舞台を整えていく。
今回の撮影は、24人全員の撮影だけれどもメインは千世子ちゃんと湯島茜さんだ。
ようやく全員の準備が整い、撮影開始。 大人数の撮影は準備に時間がかかるね。
「デスアイランド」のアプリの指令に従っていたオーディション組12人とスターズ組12人が校舎の前で再会。
「良かった。皆生きていたんだね。」
千世子ちゃんは、自然に涙を流しながら感動の再会を演出する。
これで千世子ちゃんはみんなの事を心配する優しい女の子だって、視聴者にはすぐにわかる。
「大丈夫、みんな怪我はしていない?」
「うっ、うんっ。私は大丈夫。皆は?」
湯島さんの声が緊張からか、ちょっとどもる。
「私達も大丈夫! みんなでがんばれば、きっとこの島から脱出できるよ!」
それを感じた千世子ちゃんはぱっと後ろから撮っているメインカメラに振り返り、自分自身に注目させながら湯島さんの演技をフォローする。
咄嗟に振り返って背後の人物と話す演出を加える事で、湯島さんをフォローした形になって、このカットもOKとなった。
カメラの位置や画角、監督の撮影スタイルまでも全て考慮に入れて俯瞰視点で演技する千世子ちゃんならではのフォローだろう。
こう言ったフォローでボーダーすれすれのシーンも彼女の機転によって確実にOKに引き上げられる。だから千世子ちゃんはいろんな映画監督から好まれているし、千世子ちゃんの撮影はスムーズでいつも終わるのが早い。
日本映画やドラマにそんなに多くの予算をかけられない昨今、千世子ちゃんの起用は現場レベルでもとても好まれているし、自分の行動がどうカメラに写るのかを知り尽くして、瞬時に計算して条件反射的にアドリブを入れられる千世子ちゃんの才能はものすごいと思う。だからこそ、百城千世子は世間での人気女優という評価以上に、現場では実力派俳優として認められていた。
でもこれは同時に、NGを出して同じシーンを撮りなおすのを嫌う千世子ちゃんの悪癖と言ってもいい。
僕だったら、このシーンはNGを出して撮りなおさせる。アドリブ演出を入れてまでOKにするメリットがあるシーンとは思えないからだ。 リテイクして2回目を撮れば、湯島さんもちゃんとセリフを言えていただろう。 そうすれば2回目は問題なくシーンを撮り終えていたはずだ。 いくら主役だからって無理にカメラに映る必要は無いし、こういったフォローのせいで千世子ちゃんの印象が必要以上に強くなってしまう。
撮影の歩留まりがいいのはうれしいけれども、全てを千世子ちゃんに任せていれば、いつもの千世子ちゃんクオリティー以上の映画にはならない。 さて、手塚由紀治監督は今回どういう映画を撮るつもりなのかな?
鍵を握るのはやっぱり景ちゃんなのかな。 背景のモブ役としては、やたらと存在感がある景ちゃんを見ながら、僕は考えていた。