星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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星アキラアンチ王選手権1

 

「えっ星アキラアンチ王選手権、オフコラボ大会!?」

 

「そうなの。それで是非、星アキラアンチ王最多王者のダリ姉にも参加してもらいたくて。」

 

秋色ダリアで配信を始めてはや4年。完全に趣味全開の配信だけど、古参ってこともあってYoutubeのチャンネル登録者数は20万人に達していた。

ちなみに、完全に趣味なので収益化とかはしていない。

 

放送の内容は相変わらず、クラシックをバックにした雑談配信がメイン。クラシック好きなリスナーが集まってわりと落ち着いた放送って感じ。 クラシック好きって事もあって年齢層は高めで、女性の比率も結構ある。

 

今ビスコードで通話している子は、大手のVTuber事務所である、よじライブinc所属の流月芽兎(るつきめと)さん。 映画をこよなく愛する変人でよじライブincさんが出来た時にはじめてデビューした子で、チャンネル登録者数も100万人を超えていた。

 

きっかけはデビューしたての彼女の方から私に出演のオファーをしてきた事で、当時はVTuberがほとんど居なくて珍しい事もあったし、その時の対談でも話が弾んで、たまに彼女の企画に呼ばれる存在になっていた。

 

音楽の話がメインで仲間内だけで雑談をする個人勢の秋色ダリアと、今や大手となったよじライブincさんの人気VTuber。コラボしてみると、お互いに映画の話などで盛り上がって、意外と相性は悪くなかった。

 

そんな彼女のキラーコンテンツが「星アキラアンチ王選手権」。 B級映画をこよなく愛する彼女はメインストリームで面白くて評価される星アキラが嫌いと公言しており、星アキラアンチを名乗っていたのだけど、同じ事務所の星アキラファンの子とそれでバトルとなって、嫉妬乙と論破されてキレた彼女が開催したのが「第一回 星アキラアンチ王選手権」。

 

ちなみに、彼女は星アキラはアンチだけど、星キアラは大ファンだったりする。

 

さすがにネタが通じるVTuber界でも炎上しかねないこの企画に出てくれるVTuberは居なくて、そこで参加をお願いされたのが私。

まぁ、私は炎上したとしてもいずれ飽きられるし、放送内容が変わる事も無いので、あまり気にせずに参加した。

 

第一回の参加者は私と芽兎ちゃんだけ。 問題は運営がテロップで出す感じで私と芽兎ちゃんが回答するというこじんまりした放送になった。

 

内容は星アキラにまつわる話だったんで、まぁ、私が芽兎ちゃんに圧勝した。

 

ちなみに、星アキラの扱いというのは、俳優として成功して、VTuberの開祖という事でVTuber界では、珍獣師匠の名前でわりとVTuber界でも大先輩的な扱いをされていた。そんな先輩でもあり人気俳優でもある星アキラを勝手にいじるという、二重の意味でやばい企画。

 

でも蓋を開けてみると、放送内で星アキラがコメントしたり(自演)、その後の星アキラの放送でこの話題を出して面白かったって感想言うなど、本人から認知された事で一気に盛り上がりを見せて、彼女のチャンネル登録も大幅に増えた。

 

それ以降は参加してくれるVTuberも増えて大人気企画へと発展した。

 

そんなわけで、初代王者で何回か王者を取ったことがある、なぜか星アキラ通の秋色ダリアは、必ずこの企画に呼ばれるようになっていた。

 

「でも、私はオフラインコラボは断っていますし、根暗な音楽オタクである私がオフコラボでお邪魔するなんて迷惑ですよ。」

 

流石にオフラボはまずいので僕は当たり障りが無く断る事にした。

 

「ちょっと待って、聞いて驚きなさい! 今回はあのチヨコエルとケイティが参加してくれるのよ! 二人から快諾をもらっているんだからダリ姉も来てよ!お願い!」

 

「げっ、あの二人の前で星アキラのアンチネタとか炎上必至じゃないの! しかも堂々とオフコラボ! 私は嫌よ! 私は部屋に戻らせてもらうわ!」

 

「部屋で会話しているくせに死亡フラグを立てるなんて、流石はダリ姉。」

 

そういって僕は通信を切った。いや~流石にオフコラボはちょっと・・・。しかも千世子ちゃんと景ちゃんと一緒とかムリムリカタツムリ。

 

そうして断った翌日、スターズの事務所で僕に会った千世子ちゃんが、開口一番にこんな事を言ってきた。

 

「ねぇ? 星アキラアンチ王選手権にアキラちゃんも出るんでしょ? よじライブincさんの事務所に行くのに私と景ちゃんも送ってほしいのだけど。」

 

「なっ、何のことかな? 星アキラアンチ王選手権に僕自身が出ちゃったら意味が無いじゃん!!」

 

「いや、アキラちゃんじゃなくて、ダリ姉さんなんだけど。」

 

「ダリ姉!? 何の事!? 彼女は個人勢で正体は判らないはずだけど!?」

 

「まだバレていないって思っていたの? 結構な人にアキラ君だってバレているけど。」

 

「げっ。 完璧に演じていたはずなのにどうして!?」

 

「ものすごく完璧だったけど、逆に完璧に演じすぎていて、私たちの年代で、このクラスの演技ができる人がそう多くなかったからすぐにわかったわ。よく観察すると、結構アキラ君のアバターをうごかす時の無意識のくせとか、話のタイミングとかの個性は良く出ていたわよ。 私も第一回星アキラアンチ王選手権を見て、まさかって思ったけど何回か配信を見て確信したもの。」

 

「ちなみに、リスナーの地獄天使は私の事よ。」

 

「うわぁ・・・・。リスナーがトップ女優で僕のファンとかどこのラノベだよ! しかもそういえば同じ高校だよ! たまに行く高校で全然顔を合わせないけど。 恋と青春に胸躍る展開の素敵なラノベになるはずなのに、僕の部屋で夜凪ママが掃除中に僕の隠しているエロ本を見つけたようないたたまれなさを感じるのはどうしてなんだよ!」

 

「さらに、私の妹のママっ子悪魔ちゃんは景ちゃんよ。」

 

「あの熱心で純情な子が景ちゃん!? よく放送だけではなくて、トイッターとかでもリプをくれるのに!? 景ちゃんと全然性格が違うじゃん!? 僕と相互フォローして、すごく一般高校生っぽいトイッターの内容だから全く疑っていなかったけど、景ちゃんが裏垢で演技していると全くわからないよ!! 別の個性をインストールしてRP(ロールプレイ)するのはやめてくれないかな。」

 

「ついでに言うと、私たちのお母さんの渚沙ママは夜凪ママよ。当然、景ちゃんは夜凪ママから教えてもらったみたいね。」

 

「完全な古参のリスナーじゃないか!! 絵ママは絵麻ママだってわかっていたけど、渚沙ママが夜凪ママとかわかんないよ! 渚沙ママもRP上手すぎだよ!」

 

「夜凪ママはアキラちゃんの影響でクラシックが好きで、その縁でYoutubeを見ていたらダリ姉を見つけたみたいね。最初はアキラ君だって気が付かなかったみたいだけど、演奏とか聞くうちに気が付いたみたいね。 景ちゃんの観察眼や女優の才能は夜凪ママから引き継がれたものだから、夜凪ママの目っていうのはかなりすごいわよね。」

 

「あの観察眼もあって、パーフェクトママの夜凪ママが、なぜあんなダメ旦那に騙されてしまったのか・・・。」

 

「若気の至りよ。どんないい女でも血迷う時がたまにあるのよ。でも景ちゃんと夜凪ママはもうダメ男に騙されそうも無いし、いいんじゃないの?」

 

「うがぁ・・・・。結局僕はみんなをだましているつもりで、みんなに騙されていたのか!? こんな所でリアルに叙述トリックを喰らうとは思わなかったよ。」

 

「気が付いているのはごく一部で、大半のリスナーは気が付いていないから問題無しよ。」

 

「でも、知る人ぞ知る、隠し飲み屋的な今の雰囲気を壊したくないんだ。 秋色ダリアが星アキラだってバレると今の放送もできなくなるし・・・。」

 

「その辺は大丈夫よ。よじライブincさんの方にちゃんと参加者の個人情報を外部に出さないように契約書をちゃんと交わしているし、別にオフラインコラボって言ったってVTuber配信で顔出しなんてしないんだから、視聴者にはバレないわ。」

 

「いや、秋色ダリアが星アキラだってわかったら、みんな言いふらしたくなるんじゃないの?」

 

「そうじゃないの?だから何なの?別にバレても続ければいいじゃない。」

 

「ダメだよ。それでも今まで聞いてくれた視聴者を裏切れないよ。」

 

「そうね。アキラちゃんもお金のためにやっている訳でも無いのだろうし、まぁこう言われる事は判っていたわ。それじゃ運営の方に話を付けておくからプランBで行きましょう。」

 

「プランB?」

 

「そう。あの芽兎ちゃん達を驚かせちゃいましょう。今度の星アキラアンチ王選手権は盛り上がる事間違いなしよ!」

 

「・・・いったい何をやる気なんだ。千世子ちゃん・・・。」

 

 

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