星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
星アキラアンチ王選手権オフコラボ大会が開催される日、僕は愛車のレクサスに千世子ちゃんと景ちゃんを乗せてよじライブincさんの事務所を目指していた。助手席には千世子ちゃん、後部座席には景ちゃんが乗っている。
「今日、ダリ姉さんと一緒にコラボできるなんて嬉しいですっ」
「私も嬉しいわ景ちゃん。」
「ダリ姉さんの声すごく澄んでいて綺麗です。今日の放送はすごく楽しみっ。」
「放送が終わったら、みんなでどっかに食事にでも行きましょうか?」
「嬉しいですっ」
そんな会話をしていると、よじライブincさんの事務所に到着した。
事務所でスタッフさん達に通してもらって、今日の出演者に挨拶することになった。
挨拶の部屋に入ろうとすると、中からもめる声が聞こえて来た。
「だから、こんな企画じゃ視聴者が満足しないって言っているでしょ!」
「何を言っているんや! こんな企画だからいいんやないか。もっと視聴者に媚びる必要があるやろ!」
「そんなんじゃ、ダメよ。くだらないわ。そんなのに私のリスナーを巻き込まないで!! 私達は、仕事だけの付き合いなんだから、ちゃんとビジネスを考えてやってよ。」
これはやっているみたいだ。 3人が口論する中で僕たちは特に動揺をする事もなく部屋に入る。
僕たちはそのまま、全く空気を読まないで挨拶をする。
「こんにちは。本日はチヨコエルで出演させていただく、百城千世子です。よろしくお願いします。」
「こんにちは。ケイティで出演させていただく夜凪景です。今日の配信はすごく楽しみです。」
「こんにちは。初めまして。お会いするのは初めてですよね。秋色ダリアです。よろしくお願いします。」
3人は僕たちを見ると、あんぐりと顎が落ちるぐらいにびっくりして停止した。
「ダリ姉さん!? 星キアラちゃんですよね!?」
「いいえ、秋色ダリアです。声もダリアでしょ?」
「いや、明らかに星キアラちゃんじゃないの!?」
「そんなことありませんわ。 わたくしは秋色ダリアですの。」
「ダリ姉さんはそんなお嬢様言葉をしゃべらないわよ!」
「えーーーっ。そんな事言われましても、今日は秋色ダリアとして出演しますので、もちろんネタバレはゆるしませんわ。」
「えっと、本当に秋色ダリアの中の人は星キアラって事ですか?」
「好きに想像するといいですわ。放送の最後にネタバレ動画がありますから、誰が本当の秋色ダリアなのか良く推理してみるといいですわ。ほーほっほっほっほ。」
僕は星キアラの声で3人に言う。
「ところで、そちらのドッキリの撮影はもういいんですか?」
「そんなの衝撃で意識が完全にぶっとんどっとわ。」
「完全に停止していたわ。」
手前の席にいる子が、流月芽兎(るつきめと)さんで、中ほどに座って関西弁をしゃべっているのが鈴掛いずみ(すずかけいずみ)さん、一番奥に座っているのが先輩格の西谷希(にしやのぞみ)さん。3人で花の3人組というユニットを組んでいる。挨拶時に口論をしていて、放送では仲が良さそうに見えて、裏では実は仲が悪いというドッキリをするつもりが、秋色ダリアが星キアラだって言う逆ドッキリに完全にやられたみたいだね。
「私らのドッキリは全然意味が無かったみたいやな。」
「最初から言っていたでしょ? プロの女優相手に演技でドッキリは絶対にばれるって。」
「確かにバレバレでしたわよ。」
「ちらちらと目線が私たちを確認していましたし・・・・。なによりも本気で喧嘩をしていないのがわかったので・・・。」
「ケイティちゃんの微妙なフォローが塩をすりこまれたみたいに身に染みるわ・・・。」
「本物のチヨコエルも美しさが神がかっているわ。ほんまに同じ人間なんやろか?」
「ケイティも一緒よ。それにあの星キアラ嬢まで来てくれるとは思わなかったわ。3人揃うと、本当に美しさが神がかっているわ。 映画とかテレビで見るよりも綺麗とか反則でしょ。」
「おおおおおおおっ。世界が揺れているぞっ! この3人が私の場末の企画に来てくれるなんて、本当に明日は世界が滅びるんじゃないかしら。キアラちゃん!ご存じだと思いますが、私、キアラちゃんの大ファンなんです!」
「よくもまぁ、アキラお兄様のアンチ王選手権を主催しておいて、そんな言葉が出ますことね。」
「アキラ君は、売れっ子大スターのくせに三文芝居をせずに下手なB級映画よりも面白いっていう、私の天敵ですけれども、キアラちゃんは美しくて、スタイルもよくて、面白くて、国民的大スターなので無問題です。星アキラにもキアラちゃんの爪の垢を煎じて飲ませてあげてください。」
「自分で自分の爪の垢を煎じて飲むことになりかねませんわ。謎の論理展開はやっぱり芽兎ちゃんなのね。頭の構造がさっぱりわかりませんわ。」
「何回かオンラインでコラボやビスコードで会話していますけど、顔を合わせるのは初めてですね。芽兎ちゃん、私達もちゃんと挨拶をしないと。」
お姉さん役の希さんが場を仕切ってちゃんとした挨拶をするように促す。
「世界が私を呼んでいる! 私も世界を呼んでいる! 世界の管財人 流月芽兎です。よろしくお願いいたします。ビシッ(*`・ω・)ゞ」
「普通の高校2年生、鈴掛いずみです。今回は偉大な先輩たちとのコラボ、楽しみにしてまっせ!」
「表向きは高校3年生、裏では悪を滅ぼす正義の破壊者、西谷希です。よろしく!」
普通に自己紹介をした、いずみちゃん以外の二人はジョジョ立ちして、ビシッとポーズを決めて自己紹介をする。いずみちゃんは普通のポーズで普通の挨拶だ。
「相変わらず、素敵な中二病患者よね。」
「この三人を見ていると、この世界では、芽兎ちゃんと希ちゃんが常識人で、実は一番普通に見えるいずみちゃんが実は一番やべぇやつなんじゃないかと思えてきますわ。」
「そんな世界、すごく嫌なんやけど・・・。この二人が常識人に見えるとか本当に世界が終わるで。そういえば、せっかくだから私はみんなのサインが欲しいんやけど。」
ちなみに、芽兎ちゃんを嫉妬乙と論破して逆上させた相手が、このいずみちゃんだ。常識人のように見せておいて、キレた時の破壊力は実はこの3人の中でも随一だ。
「わたくしも3人のサインを欲しいですわ。それじゃ、各色紙にそれぞれ6人分のサインを寄せ書きしていくのはどうでしょうか?」
「それ嬉しいっ、やろうやろう! あと、ついでに星アキラのサインも入れて7人分のサインにしましょう!」
「星アキラアンチの芽兎ちゃんがそんな事言って良いのですの?」
「それはそれ、これはこれよ。 ハブるのは可哀そうだから、入れてあげます。 本当によろしくお願いします。 お願いですから! 何でもしますから!」
そう言って、芽兎ちゃんは必死に頭を下げる。
「ん? 今何でもするって言ったよね?」
すかさず希ちゃんが合いの手を入れる。
「上から目線なのか、腰が低いのか判断に困りますわね。そして相変わらずのクソ雑魚っぷりで安心しましたわ。」
7人分のサインが入った色紙が合計6枚出来上がり、それぞれ記念で持ち帰る事が出来た。
その後、放送の打ち合わせをして、星アキラアンチ王選手権オフラインコラボ会がついに始まる事となった。