星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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星アキラは急展開に驚く

 

---------- 三坂七生視点 ----------

 

今朝、劇団天球はざわついていた。

なんと巌さんの口から、外部の役者がさらに招聘されると聞かされたからだ。

 

ただでさえ今回の銀河鉄道の夜は主役が夜凪景、助演に星キアラと百城千世子という外部メンバーを入れており、異例であるのに関わらずだ。

 

この3人であれば、劇団天球の役者にも馴染みが深いし、技術的な問題も無い。 巌さんが新しい事にチャレンジしようとしている姿勢をみんな評価していたのだが、この読み合わせ段階でさらに新メンバー追加となれば話は別だ。

 

「今回の舞台、どうなっているんだ?」「俺達大丈夫なのかな?」

 

この巌さんらしくない采配に劇団天球の皆は戸惑っていた。

さらに戸惑いが大きい理由は、巌さんがその新しいメンバーの名前を公表しない事だった。 全く意味が分からない。 どうなっているんだろう?

 

まさか、劇団員の度肝を抜いた星キアラの威力が予想以上だったのに焦って、対抗して明神ラーヤを投入しようとしているんじゃないでしょうね?

 

そうなったら、銀河鉄道の夜は、本当にカオスの(宇宙)を走る闇鍋鉄道になってしまう。そんな想像をしたら私も不安になってきた。

 

 

---------- 星アキラ視点 ----------

 

「なんか今日はざわついていますね?」

 

稽古場に入った景ちゃんが劇団天球のざわつく雰囲気を気にして(キアラ)に声をかけてきた。

 

「どうしたのかしらね? 景ちゃんが間に合わなそうで焦っているような感じでも無いですしね。」

 

「今日から読み合わせなんだけど、どうしてもこんなにざわついているのかしら? 一流の舞台俳優が揃った劇団天球とは思えないわね。」

 

千世子ちゃんもこのざわつきに違和感を持っていた。

 

僕は近くの七生姉さんを捕まえて事情を聴いてみた。

 

「七生姉さん、どうしてこんなに皆様はざわついておりますの?」

 

「今しがた、巌さんからさらに外部メンバーを招聘したって発表があってみんなざわついているのよ。」

 

「外部メンバー? 誰ですの!?」

 

「外部メンバーなんて全く発表がありませんでしたよね? 誰なのかしら?」

 

「もしかして、私が感情の表現が上手く行かないから主役交代させられちゃうんじゃ・・・。」

 

景ちゃんは真っ青になってガタガタと震えた。 ある意味非常に感情豊かで、100点満点だ。 明らかに演技がレベルアップしたのがわかる。

 

「いや、それは無いから安心していいですわ。事前の連絡が無くそんなことしちゃうと超大スキャンダルで、劇団天球の存続が危うくなってしまいますわ。芝居以外のくだらない事で劇団天球が振り回されるような事態を巌さんが自ら作り出すとは思えませんわ。」

 

「そうだといいんですけど・・・。」

 

「でも、そうなるとますます分かりませんわね。 すでにチケットも完売で、世間の期待もどんどん上がって来ていますわ。 この状況で劇団天球に外部から俳優を招聘するメリットも良く分かりませんし、招聘と言う事は巌のおじい様が招いたという事ですよね? 現状でも話題性が十分なのに、仮にものすごい俳優でも今から入れる理由が無いですわ。 この状態で入れても問題が無い俳優・・・。はっ、まさかラーヤじゃないでしょうね!?」

 

「・・・それは私も想像して背筋が寒くなったわ。」

 

「ラーヤはまずいですわ。 ラーヤなら逃げなきゃ。 VTuberでの共演ならともかく、リアル舞台での共演は問題がありすぎますわ。」

 

「キアラちゃん、ネタがネタじゃ無くなりそうね。 今日の夜あたりは稽古が終わったら二人でホテル街に消えていくのかしら?」

 

「千世子ちゃんやめて!」

 

「私の事呼んだ?( ˙꒳˙ᐢ )」

 

「げぇっ! 関羽!!」

 

ミニスカートにブラウス、髪を金髪にして最近はさらに垢ぬけたラーヤがやってきた。最近のラーヤは垢ぬけっぷりが天元突破して、マジでどこぞのアイドルグループでセンターを務めているのって感じだ。私が和風の美人だとしたら、ラーヤは黙っていれば西洋美人のじゃじゃ馬お姫様。 

 

現在、一部女子に熱狂的な支持を持つ明神ラーヤが出没した。なお、星キアラとのカップリングは推して知るべしである。正直、この事で女子にキャーキャー言われても全く嬉しくない。

 

ラーヤとの熱愛疑惑が報道されるぐらいなら、星アキラと星キアラの熱愛報道の方がよっぽどマシである。 もっとも僕達兄妹は一緒に居る所を激写された事が無いのだけれども・・・。逆に激写できたら、ムーとかに雑誌デビューできるかもしれない。

 

「まさか、本当にラーヤが出演するの!?」

 

「もちろんよ。この時期に巌さんに招聘される天才女優なんてラーヤぐらいよ。(`・ω・´)シャキーン」

 

「ええ~っ、本当に巌のおじい様に出演をお願いされたの?」

 

「巌のじいじはシャイだから面と向かってラーヤにお願いされなかったけど、ラーヤは空気を読める女の子なんだから呼ばれなくてもちゃんと来るわよ。( -`ω-)✧ドヤッ」

 

「呼ばれていないのに来ちゃダメでしょ!! それに天才女優って・・・。女優? 外部から招聘された人は女優さんなの?」

 

「誰かは分からなかったけど、巌さんの話を立ち聞きした所では女優って言っていたわよ。それなら私しか居ないわよね。私なら景ちゃんからもカムパネルラの役を奪えるわ!!( ✧д✧)キラーン」

 

「そんなのダメですっ!」

 

「あなたがカムパネルラをやったらジョバンニはどうなるのよ!?」

 

「ジョバンニは景ちゃんがやればいいわよ。┐(´д`)┌ヤレヤレ」

 

「それじゃ全く意味がありませんわ!!」

 

「ラーヤ、難しい事は良くわからないけど、今日の夜は一緒にご飯を食べに行きましょうね~(∩´∀`)∩わーい」

 

「ダメですわ。 こいつ馬鹿すぎて話が全く進みませんわ。 とりあえず招聘された女優がラーヤじゃない事だけはわかりましたわ。」

 

「そうね。このエセアイドルじゃない事だけはわかって良かったわ。こいつ舞台に上げたら、素人アイドルに役をやらせる以上の惨劇が待っているもの。 でもそうなると益々誰が呼ばれたのか分からなくなるわね。」

 

「とりあえず、巌のおじい様から発表があるまで待つ感じかしらね。」

 

「どうした、騒がしいな。」

 

そんな感じで騒いでいると、稽古場のドアから巌のじっちゃんが入ってきた。後ろに40代ぐらいのすらりとして美しい女性を連れている。

 

形の整ったブランド物のフェミニンなトップスに体の線が出ていながらも品の良いロングスカートとヒールの付いたローファー。明らかに高そうな服装だけど服に着せられているという感じは全くしない。

 

その女性を見た瞬間、僕達や全ての劇団員達は息を呑む。

 

僕はつばの飲み込みながら巌のじっちゃんの言葉を待った。

 

「みんな揃っているな。ちょうどいい。今から紹介する。今回の舞台に招聘した星アリサだ。」

 

「星アリサです。皆様、よろしくお願いします。 裕次郎さんの舞台に出演するのは16年ぶりになります。 私と裕次郎さんの関係は皆様もご存じだとは思いますが、今回は、私が一旦女優を引退する原因になった裕次郎さんの舞台に再度出演させていただき、その過去を清算したいと考えております。 舞台を離れてブランクがあり、皆様にもご迷惑をお掛けする事も多々あるとは存じますが、皆様のご指導をよろしくお願いいたします。」

 

そう言って、アリサママは僕達に深々とお辞儀をした。

 

「「「「「「「「「えええええええええええええーーーーーーーーっ!!!」」」」」」」」」」

 

ここに来てまさかのアリサママの出演に、その場にいた僕達や劇団員達は全員、ビックリする以外のリアクションを取れなかった。

 

 

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