星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
この勝手な演劇エッセイもついに100回の節目を迎えた。 その間に様々な俳優や業界の慣習などをコラムとして書いてきたわけだが、今回は100回記念として、読者の皆様が今、一番聞きたいであろう、私の星アキラ評について、話したいと思う。
もちろん、このエッセイを見続けていただいた諸氏は、私が猛烈な星アキラのアンチである事はご存じの事だろう。 だからこそ、このエッセイの第100回目として、同時に銀河鉄道の夜で活躍した話題の人物でもある、星アキラについて取り上げようと思う。
私は巌裕次郎の舞台を観続けて40年、TV業界の仕事をしながらライターとして舞台や映画の批評やなどを書かせてもらって30年あまり。 若いころに巌裕次郎の舞台に衝撃を受けて、星アリサの演技に驚き、そしてその感動を伝えるために文章を書いていたら、いつの間にか大御所の舞台批評家の一人に数えられてしまった感じだ。 その間に家庭を持ち、今は孫まで生まれている。
私達家族もみんな演劇好きに育ち、今でもみんなで舞台に行ったり、わいわいガヤガヤと色々な役者さんの話をしたりする。
そんな私達の家族で論争になる俳優が一人いる。 そう。星アキラという破天荒な問題児だ。
妻や、娘、孫に至るまでみんな星アキラが大好きだった大ファンと言っていい。 対して、私は星アキラをまともな俳優として認めていなかった。 逆になぜ、あの俳優をみんな高く評価するのか全く理解できなかった。
私が星アキラが嫌いな理由は、心の中まで演技に入りきらずに、表面的な部分でしか演技を行わなかったからだ。 星アリサによって衝撃を受けて以来、心の底まで演技する対象になりきれる役者が最高の役者だと考えて来た。
目の前で怒って、ものすごく反省しているように見えても、心の中では全く反省をしていない人間を考えてほしい。殊勝な態度をしていても、心から反省していなければ腹が立つだろう?
心まで演じない役者が観客に対して真の感動なんて与えられる訳が無い。 ・・・という私の力説に対して、家族は概ね同意してもらえるものの、それが星アキラに対して適用されるとわかると、とたんに私は非難の的となった。
「はぁ? 星アキラが感動を与えられない役者? お父さんの目は節穴じゃ無いの?」
「じいじ! アキラ君をけなすなんてサイテー!」
星アキラを批評する私の家族評は最悪であり、星アキラに対して否定的な批評を書いた後には、家族からのバッシングは凄かった。 あと批評内容についても肯定が1に対して、否定が10というぐらいの比率で、正直な話、星アキラの批評を書くのは全く割りに合わない。 プロの批評家であれば正直な話、自分の感性とは違っても、それを曲げて星アキラを肯定するべきであった。
しかし、巌裕次郎の舞台や、星アリサの演技を見続けた私にとって、星アキラの演技は物足りない物だった。 なぜ、彼にここまで否定的な論評をしたかというと、簡単に言えば、不気味の谷である。 つまり、彼は表面的な仕草で大俳優達の演技を真似るイミテーションであり、高度な演技を行う際にその歪さが際立ってしまうのだ。 それが違和感となって星アキラの演技を私は評価することが出来なかった。
星アキラが自殺未遂をする前にこの話をしたのであれば、おそらくこれを読んでいる読者の7割か8割以上は賛同してもらえたと思う。 事実、彼の演技が感動するかと聞かれると、同業者の中でも同意する者は少なかった。
ただし、この意見については、星アキラが星アリサの息子である事を差し引いて考えなければいけない。 この頃の彼の演技が不評だとされた理由のほとんどが、星アリサの子供にも関わらず、その期待の水準に到達していないという理由で不評だった点だ。
正直、単純に子役として見た場合、彼の演技の技術はトップレベルであった。 だが、誰しもが星アリサと比較し、彼に将来の星アリサを超える才能があるのかという目で彼を見た場合、残念ながら多くの人のお眼鏡に叶う才能を彼は見せられてはいなかった。 大半の関係者や批評家がそうだった。 息子にプレッシャーを与えないようにするためか、星アリサ自身もそう言っているのだから。
ただ、この星アキラの子供の頃の批判については、彼自身の行いよりも、彼に対する星アリサの演技指導についての批判が、かなり含まれている事にも留意しなければならない。 この頃の星アリサの演技指導は、自身が狂った経験から、徹底的に自分を客観視する演技指導を行っていた。 表面的で空っぽな役者が生まれるのも無理が無い。 そして、当時の関係者はそれを苦々しく見ていた。
相手は星アリサの息子なのだ。 メソッド演技をさせれば、星アリサ以上に輝く存在になるかもしれない。 血を分けた自分の息子に、自分がやっても才能が無い演技手法を教えてどうするんだ!
という憤りも交えて星アキラの批判に繋がっていた。 面白いことに、実はこれは星アキラへの批判ではなくて、息子に才能の無い演技手法を強要する星アリサへの批判なのだ。
現実問題として、星アキラの演技の技術と言うのは、この頃の年頃で考えると、相当なハイレベルに到達していた。 しかし観客に感動を与えられない理由もわかっていた。 表面的にしかそれを真似ていないからだ。 それが分かっていたから、メソッド演技を指導しない星アリサに現場の人間は憤りを感じていた。 これだけ容姿に恵まれて、演技の技術を持つ彼がメソッド演技をすれば、化けられるのは目に見えていたからだ。
それらが相まって、星アキラの評価は下げられて行った。 正直に言うのであれば、星アリサの子供で無ければここまで評価も下げられなかっただろう。 この頃の星アキラにとって、星アリサの子供というのはマイナスでしか無かった。
同時にこれらの批評は、子役の星アキラから仕事を奪う事が全く無かった点も面白い。 母親から客観的な演技を強要され続けていたこの頃の彼は、尖った所が全く無かった。 これは短所でもあったが、ものすごい長所でもあった。 彼はホームランバッターでは無かったが、常に3割の打率を稼ぎ続ける頼れるバッターだった。
この頃の多くの監督がキャストに不安がある時に、バランサーとして彼を出演者に入れる事を望んだ。 この辺りは現在のハリウッドでの彼の立ち位置と全く変わらない所が非常に面白い。 この頃の彼の立ち位置は、30代~40代ぐらいのベテラン俳優の役割を子役で出来る稀有な人材であり、それが10歳以下で出来るというタレント性が、逆に彼を引き立てていた。 おそらくあのままでも、俳優としてはそれなりに成功していたはずだ。
もっとも、それはかなり地味な役回りだったので、星アリサと比べられて比較される彼の心に大きな影を落とす事となる。 そして、あの週刊誌の捏造記事と彼の成功に嫉妬する世間の視線に耐えられずに、彼は自殺未遂を起こす。 世間では彼がいわゆる親ガチャ成功に見えていたのだろう。 事情を知る関係者から見ると、親ガチャ失敗にしか見えなかったが。
彼の自殺未遂の後に、私もあの悪意の塊の記事を読んだが、正直に言って当時の事情を全く知らない素人の記事であった。 あの頃の星アキラに仕事が来ていたのは、星アリサへの忖度などではなくて、キャストに星アキラが必要だったからみんな仕事を依頼していたのだ。 スターな主人公だけが居ればドラマは完成する訳では無いのだ。 ドラマを回すための役回りをあの年齢でこなせる人間は、そう多く無かった。
ここまで読んで、なぜ私が星アキラのアンチになっているのか、読者の諸氏は分からない事だろう。 アンチになる要素がまるで無いのだから。 事実、この時点では私は星アキラに同情的で、決してアンチでは無い。
この話には続きがある。 私が決定的にアンチになったのは『若草物語』での彼の出演時である。 百城千世子が星アキラと同じだった表面的な演技を止めて、ある程度心情も写した演技をするのに対して、星アキラは、これまでの客観的な演技を何倍も洗練させていた。
映画で観る分には全く気が付かなかったけれども、生の舞台で観たら、彼は心情を全く演ずることなく、でも誰にもそれを悟らせない非常に高度な演技を行っているのが分かってしまった。 それを生で観た私は、彼の演技がたまらなく気持ち悪かった。 繊細で心情的な動きの分、それが増幅されていた。 ロボットに服を着せて舞台の上で完璧な演技をさせると皆さんはどう思うだろうか? それと同じ違和感を私は星アキラの芝居から感じていた。 まさに不気味の谷である。
しかし、99%の観客はそんな違和感を感じておらず、私の意見は異端だった。 ただ、舞台の批評家の多くは私の意見を支持してくれた。 多くの舞台を観てきたほとんどの批評家が1%の方に含まれていた。 つまり星アキラというのは、この時点で批評家と世間の評価のギャップが最も大きい役者となった。
同時に、この論調で批評を書くとその記事が炎上する可能性の高い、最も危険人物で取り扱い注意な人物でもある。 まさに異端。 星アキラは、クソガキ珍獣の名に恥じない特級の爆弾魔というのが、批評家界隈の評判である。
この星アキラの不気味の谷問題の難しい所は、不気味の谷の形は、本当に谷であり、谷を乗り越えた瞬間に、好感度が急速に上昇する点である。 つまり谷を乗り越えている一般の人達には、私の批評は完全に的外れなのだ。 アニメを想像して欲しい。 アニメ本体の映像は声優本人が演じていないから気持ち悪いだろうか? そんな批判をする人間は居ないだろう。 不気味の谷の外にあるコンテンツは全くこんな違和感など無いのだ。
そしてたちが悪い事に、星アキラの演技は歳を追うごとにさらに洗練されて行き、違和感を感じる人間が1%から0.1%になり、そして0.001%へと減って行った。 もはやまだ不気味の谷を感じている私の方が異端である。
しかし、私は自分の感性に嘘をついてまで批評記事を上げる気にはなれなかった。 だから星アキラの演技には自分の感性の通りの批評を書いた。 そして書く度に炎上した。
そんな私の批評記事なのだが、根強いファンがいるみたいで、そのファンの意向で良く対談が組まれている。 そのファンの名前は星アキラ。 この炎上の主犯が私の論評が好きな事もあって、良く雑誌に対談記事が載る事になっている。
星アキラアンチ最右翼の私と星アキラ本人、雑誌社もこの対談の話題性や人気も相まって、人気の記事となるために、読者諸氏もご存じの通り、それなりの頻度で掲載される。
そして、当人に向かって言う私の星アキラの演技に対しての辛口評のウケが非常に良いようだ。 星アキラ本人もニコニコな所が非常にタチが悪い。
正直言って、私が星アキラの批評を書いて、何度炎上してもこの業界から干されていないのは、星アキラのお陰である。
初めてやった対談時に家族が星アキラのファンである事を告げると、次回からは是非ご家族も一緒にという話になり、それ以降は対談の外で家族にサインやグッズ、記念撮影などのサービスがされて、対談時には家族はウキウキ、私は最悪のアンチ相手にローテンションだ。 星アキラは完全に家族を味方に付けていた。 未だに星アキラの批評を書いても、私が家族に無視されないのも、星アキラ本人のお陰である。
そして、私も銀河鉄道の夜を観た。 正式な批評についてはおそらく、この号と同じ号に記事を寄稿しているので、そちらを見ていただきたいが、この私も7年ぶりに生で観た星アキラの演技と演奏に感動して涙を流した。 星アキラは間違いなく、自らの努力と技術で星アリサと肩を並べる大スターとなった。
そう。星アキラはその不屈の努力によって、ついに私の中の不気味の谷すら超えてしまった。 もう星アキラの演技に違和感を持てる人間は世界にそう多く無いだろう。 まるで世界中にゾンビが溢れて終了するバッドエンドの映画のようだ。
星アキラの感染力と影響力に私は身悶えするばかりだ。 だが、私は負けない。 初志貫徹、これからも星アキラの批評を書き続けるので皆さんは安心して欲しい。
----------- この記事をエッセイを読んだ掲示板の反応 -----------
20名無し@ノラ批評家
石田のおっちゃんがついに陥落していてワロタ。
21名無し@ノラ批評家
この人はファッションで星アキラを批評するような批評家じゃなくて、昔からの筋金入りの批評家だからね。 TV業界の仕事も長いし。
22名無し@ノラ批評家
やっぱり、アンチとして批評するのはそれなりの覚悟がいるんだな。
23名無し@ノラ批評家
石田のおっちゃんは自分の感想を曲げずにちゃんと批評していたからな。 星アキラを叩けばカッコイイみたいなそこらへんのYoutuberみたいなのとは全然違うよ。
24名無し@ノラ批評家
お願い、死なないで石田のおっちゃん!あんたが今ここで倒れたら、奥さんや娘さんとの約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、アキラに勝てるんだから!
次回、「石田のおっちゃん死す」。デュエルスタンバイ!
25名無し@ノラ批評家
奥さんと娘さんをアキラ君に人質に取られても自分の批評を曲げない石田のおっちゃんカッコイイ!
26名無し@ノラ批評家
しれっと、奥さんと娘さんがアキラ君に懐柔されていてワロタw
27名無し@ノラ批評家
流石におっちゃんでも、銀河鉄道の夜の舞台はダメだったか。
28名無し@ノラ批評家
あれは無理だろ・・・。
29名無し@ノラ批評家
真面目に批評を書いているだけに嘘はつけないよな。
30名無し@ノラ批評家
貴重な星アキラアンチの砦が陥落ww
31名無し@ノラ批評家
いや、ちゃんと最後に星アキラの批評を書き続けるってあるから、まだ期待できる。
32名無し@ノラ批評家
けっこうこの人の批評を拠り所にアンチの根拠としていた人も多かったから、御大が墜ちたのは厳しいな。
33名無し@ノラ批評家
アキラ君が石田のおっちゃんを好きすぎてワロタw
34名無し@ノラ批評家
まぁ、あの擁護があるから石田のおっちゃんも好きに批評していた訳で、好感一色で、批判は許さんみたいな状況になると揺り戻しが怖いから、こう言った批評を優遇しているアキラ君の保身ムーブはかなり凄いと思う。
35名無し@ノラ批評家
普通はできないよな。 気にくわない記事はどこぞの芸能事務所みたいに圧力をかけて余計大ごとみたいな事も多いし。
36名無し@ノラ批評家
普通の芸能事務所だと圧力をかけて報道を自粛みたいな感じになるけれども、炎上している所にガソリンをかけに行くアキラ君のスタイル大好き。
37名無し@ノラ批評家
千世子ちゃんと他事務所のAとの熱愛ガセ情報があった時に、スターズの前で報道陣に捕まってその話を聞いて、「そうなの!? 千世子ちゃんだけ彼氏できてずるい。僕も可愛い彼女を作ってリア充生活したい!!」とか言ってたら、事務所の中から千世子ちゃんが出て来て、アキラ君を蹴っ飛ばして、マネージャーさんと二人でベルトを持ってズルズルと事務所の中に引っ張って行った後に、事務所の中からアキラ君の断末魔の声が響いて来たのはクソワロタwww
38名無し@ノラ批評家
あれは親友同士なのに、全く擁護していなくて大爆笑だったわ。 最初っから出演ドラマのネタ作りのためのガセ情報だろうってみんな疑っていたけれどもw
39名無し@ノラ批評家
そのガセ情報を記者から聞いて信じちゃうアキラ君がピュアすぎて大草原だったw。 その後のお仕置きで草が森になったwww
40名無し@ノラ批評家
結果的にものすごい速度でガセ情報が沈静化したから、正しい対応だったぞwwたぶんwww
41名無し@ノラ批評家
あの瞬間、最初の恋愛ガセ情報はどうでも良くなって、消え去ったからなww
42名無し@ノラ批評家
でもスターズは批評とか批判には、わりとオープンだよね。 変な圧力とかの話もあまり聞かないし。
43名無し@ノラ批評家
盛者必衰を知るアリサママらしい経営方針だよね。違う事に対してはちゃんと記者会見するけれども。
44名無し@ノラ批評家
アキラ君はマゾだから、わりと自分を正当に批評してくれる人は好きだよね。 たとえアンチであっても。
45名無し@ノラ批評家
でも自分のアンチを正面から黙らせた星アキラ恰好いいな。
46名無し@ノラ批評家
もう星アキラアンチ勢としては、VTuberの流月芽兎ぐらいか。
47名無し@ノラ批評家
あれこそファッションアンチだろwww
48名無し@ノラ批評家
流月芽兎は星アキラがアンチすぎて自分の放送に呼んじゃうぐらいにアンチだぞw
49名無し@ノラ批評家
女装とかYoutube放送とかでいくらでもアンチは湧いてくるからアンチ不足の心配は不要だぞ。
50名無し@ノラ批評家
違うんだよ。トイッターとか、チラシの裏レベルの批評が欲しいんじゃないんだよ。 もっと骨太な批評が欲しいんだ。
51名無し@ノラ批評家
最後にまだまだ頑張るみたいな事を書いてあるから大丈夫なんじゃないの? この号が終わったらしれっとまた星アキラを批判しているよ。
53名無し@ノラ批評家
半ばプロレスみたいになっていてワロタww
54名無し@ノラ批評家
まぁ、ここまで来て、今更星アキラアンチの看板は降ろせないだろうしねw
55名無し@ノラ批評家
それでこそ石田のおっちゃんだwww
これをもって銀河鉄道の夜編は終了となります。
予想以上の長編になってしまいましたが、皆様こちらのお話にお付き合いいただき、ありがとうございました。 また、沢山のすばらしい感想をいただけて嬉しかったです。
次回から、映像研究部編が始まりますのでお楽しみに!