星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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夜凪景は映像研究部に行く1

 

------------- 夜凪景視点 -------------

 

 

「えっ?お休みですか?」

 

「そうだ。星アリサから連絡があった。走れケイティの声優以外の仕事は1ヵ月は休みだそうだ。」

 

仕事をやる気だった私は、墨字さんに突然の休暇を告げられて戸惑っていた。

 

「どうしてですか? 今世間から注目を集めているのでしょう? アリサさんなら一杯お仕事を入れてくれると思ったのですが・・・。」

 

「計算はしているが、公立校で出席日数もそんなに余裕が無いだろ? それにお前は今、逆に世間の注目を集めすぎている。 この状況で下手な仕事をしたり、何か騒動を起こす方が印象が悪くなる。 別に、駆け出しの女優やアイドルって訳でも無いんだから、1ヵ月ぐらい休んでも、仕事は安定しているし、1ヵ月休暇をもらったと思ってゆっくり休んだらいいだろう。 阿良也だって1ヵ月間フリーらしいぞ。」

 

「なんか、阿良也さんは次の役作りのために九州に行きましたけど・・・。」

 

「あの役者バカが・・・。」

 

「どちらにせよ、失敗が許されない銀河鉄道の夜の舞台をやり切って自分が思っている以上に精神が消耗しているだろうから、素直に休むこった。」

 

「アキラさんと千世子ちゃんは全然休んでいませんけど・・・。」

 

「どんな役を演じても精神がノーダメの、あの珍獣とメンヘラ女と、お前を一緒にするなよ。 そもそもあの二人は舞台の一部にしか出ていないじゃないか。 それに、仕事って言っても、あいつらは景と違って、ざっくりと仕事を流しているだけじゃねぇか。 とりあえず1ヵ月もあるんだから、高校生らしい生活を送って休むといい。」

 

「そんな事を言っても、私、お仕事以外は一体何をしたら良いのか・・・。」

 

「友達と遊んだりしてもいいだろ。 ほら、休みなんだから出ていけ。」

 

「あら、景ちゃん来てたの? 今日からお休みでしょ?」

 

スタジオ大黒天の事務所に雪さんが入ってきた。

 

「雪さん! 墨字さん酷いんですよっ! 私が休みだからって、邪魔だから事務所を出ていけって言うんですっ!」

 

「まぁまぁ。 墨字さんも景ちゃんの事を考えてのことだから。 お休み中は学校には行くとして、何かやりたい事とか無いの?」

 

「演技の練習をしようかと思ったんですが、それもアリサさんに止められたみたいで・・・。」

 

「・・・完全な演技バカ一直線ね・・・。 景ちゃん、何か趣味とか無かったっけ?」

 

「映画を観る以外には、部屋の掃除とか、洗濯とか、お料理とか・・・。」

 

「完全に主婦ね・・・。 景ちゃんをお嫁さんにもらう男の人は幸せだろうけど、休みの期間に特別にやる事でも無いわね。 友達とどっかに遊びに行くのは?」

 

「前に友達と遊びに行って、見つかって大騒ぎになったので、それ以来、カラオケに行くとか、友達の家にお邪魔する以外には特に・・・。」

 

それを聞いた雪さんは目を細めてじっと私を舐め回すように見た。

 

「おかしい・・・。千世子ちゃんと共に、世代のトップ女優で、花も羨む女子高生のはずなのに、思いっきり枯れているようにしか見えない。 あなたは本当に、花の青春時代を過ごす女子高生なの? 無趣味で結婚生活に疲れた主婦にしか見えないわ。」

 

「酷いですっ! そんな事言ったら、雪さんだって、女子高生の頃はアキラさんの家に入り浸って、ひたすらにカメラとか撮影機材を弄っていただけじゃないですか!」

 

「はぁ-----!? 私は自分の家に帰りにくかったからよ! それに市子や山田君達と映画を作ったり、夢を語り合ったり、いろいろ青春していたわ。」

 

「そっ、そんな事言ったら、私も千世子ちゃんやアキラ君達と一緒に遊びに行ったりするもんっ!」

 

「あの二人+阿良也君なんて全然普通の友達じゃないじゃない! しかも、あいつら揃いも揃って、青春? 何それ? 美味しいの? とかやっているイカレタ連中ばかりじゃない。 あの辺と絡むなら、景ちゃんが公立高校に行く理由なんて全く無いよね?」

 

「う゛っ。 でも千世子ちゃんとかあの中でもわりと常識人だもん!」

 

「千世子ちゃんが常識人枠に入っているのが超絶ヤバいわ。 せめて茜ちゃんぐらいにしたら?」

 

「茜ちゃんは最近、関西の仕事が忙しくて、Linaで話すぐらいで東京に出てきた時に、たまにしか会えないし、そうすると実家に戻ってみんなと食事する方が圧倒的に多いですし・・・。 ご飯を食べていると、話が弾んで、そのついでに遊びに行ったり買い物するのは、アキラさんとか千世子ちゃんか、それにくっついてくる阿良也さんばっかりになっちゃったりしますし・・・。」

 

「本当にあなた達って、スターのはずなのに気軽に出歩きまくっているわよね。 アキラ君達はちゃんと裏でボディガードを付けているけれども・・・。 でも確かに、友達と買い物に行って騒がれた場合、一緒に普通の友達の方が写真とか撮られると面倒ねぇ・・・。」

 

「そうですっ! だから学校の友達と一緒に行くのはカラオケか、家に遊びに行くぐらいしか無いんですっ!」

 

「うーん。 友達と遊ぶのは置いておいて、何か部活でもやっていないの? たぶん幽霊部員だろうけど・・・。」

 

「一応、幽霊部員ですが映像研究部には入っています。 どこか部活に1か所は所属しなければいけない決まりでしたし、私が一番関係がありそうな部活だったので。 ちなみに、演劇部は練習とか部活の出席がきつくてダメでした・・・。」

 

「その映像研究部って何をやっているの?」

 

「一人だけ真面目に映画を撮ろうとしているらしいのですが、あとはそこはかとなく映画が好きな人達の緩い繋がりがある部活です・・・。 ちなみに大半が幽霊部員です。」

 

「なるほど。 不良のたまり場とか、治安が悪いみたいな所は無いの?」

 

「ちゃんとした高校ですし、流石にその辺は問題ないです。」

 

「なら、映像研究部って所に顔を出してみるとかはどう? 新しい出会いとかがあるかもよ?」

 

「わかりました! 頑張ってみます!」

 

「べつに休みなんだから頑張る必要は全く無いんだけど・・・。何か不安にさせるわね。 変な騒動にならないといいけど・・・。」

 

「そんな事にはなりませんよ。」

 

そんな経緯で、私は翌日にすごく久しぶりに映像研究部を訪ねてみる事にした。

 




そんなわけで、今回から景ちゃんの映像研究部での活動が開始されます。
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