星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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夜凪景は映像研究部に行く2

 

翌日、学校に登校した私は、同じ映像研究部の朝陽ひなちゃんに状況を聞いてみた。

 

「ひなちゃん。 映像研究部に行こうと思うんだけど、今どんな感じなの?」

 

「はあ!? 景ちゃん、突然どうしたのよ! まっ、まさか映像研究部にお礼参りして潰すつもりなの!? 確かに幽霊部員の景ちゃんをネタにした事はあったけれども、それはやりすぎてマジ卍よ!?」

 

「いや、そう言う訳では無くて、ちょっとお休みがもらえたから行ってみようかなと・・・。 って言うか、映像研究部の中で私の扱いってどうなっているのよっ!?」

 

「最強の威力を誇る映研の秘密兵器でありながら、永久に秘密のまま名前貸しだけで終わる豪華なハリボテ看板とか、わが映研が誇る最強の女優。ただし誰も見た事が無い学校の七不思議の一つとか・・・。」

 

「普通に学校に登校しているのに、見た事が無いとか酷すぎですっ! しかも学校の七不思議に数えられるような事は何にもしていないですっ! ぷんぷんっ!」

 

「自分でぷんぷんって言うのは何気に可愛いわね。 流石は女優。 こんな下らない会話でも絵になるわね・・・。」

 

「そう言う事じゃ無いんですっ! 行ってみようかなと興味が出たから聞いているのに、この扱いは酷すぎですっ!」

 

「だって、景ちゃんは入部届だけ出して後は音沙汰無しだったじゃない。 そもそも吉岡が映研の先輩がみんな卒業して、なんとか映研を存続させたいって事で名義貸しでみんな在籍したじゃん。 それで、景ちゃんもちょうど良いからって便乗して、放課後は芸能活動か、友達と遊んでいたじゃない。」

 

「たっ確かにっ。でも、ちょっと暇になって何をやったらいいか、わからなくなって・・・。」

 

「夜凪さん!! 映研に来てくれるの!?」

 

こんな会話をひなちゃんとしていると、映像研究部(通称:映研)の部長の吉岡君が私に声を掛けてきた。

 

「えっ、ええ、まぁ・・・。」

 

「すごく嬉しい! 今、僕、文化祭に向けて映画を撮りたいんだ! バイトしてカメラも買ったんだ!! 是非是非、夜凪さんも手伝ってよ! できれば夜凪さんの映画撮らせてよ!!」

 

「吉岡の食いつきが凄くて草w そして初対面の人にも声を掛けられないほどの根暗映画オタクのくせにグイグイ来てどちゃくそじわる。」

 

「えっ、ええええっ。 でっ、でも、勝手に映画に出ていいか、分からないので、ちょっと待ってください。 事務所とかに確認してみますからっ。」

 

「僕の映画に出てくれるんだ! すごく嬉しい! ファンタスティックだよ! あの時に勇気を出して夜凪さんに声を掛けて良かった! 必死に生きるか、必死に死ぬかの選択を、勇気を出してやって良かったよ!」

 

吉岡君は、我を忘れてハイテンションだ。 なんだろう・・。吉岡君に犬耳としっぽがあって、ブンブンと振られている気がする。

 

「あっ、あのっ、まだ出演できるって決まった訳じゃないのでっ。ちょっと待って!」

 

そう言って、私は速攻でアキラさんに電話した。

 

私はスタジオ大黒天に所属しているので、普通は墨字さんに許可を取る形になるんだけど、私のマネージメントはスターズがやっている。 なので、この辺の出演等の判断はスターズがやる事になって、私のスターズのマネージャさんに話すのが良いのだけど、このスターズのマネージャさんは、わりと仕事上の管理業務の面が大きく、このマネージャさんに話しても、結局、アキラさんかアリサさんに指示を仰ぐことになるので、急いでいた私は直接アキラさんに連絡した。 アリサさんは捕まらない事が多いし、プロの目でわりとドライな判断を下しそうだったので、この場合に聞くのは、アキラさんが最適だった。

 

「やっほー! 景ちゃんどうしたの? もしかして、僕が恋しくなっちゃったのかな? モテる男はつらいね。 エッヘン!」

 

「確かに、しっぽがモフモフの珍獣の着ぐるみを着たアキラさんは恋しくなりましたが・・・また上野動物園で展示されませんか? って違う! アキラさん、ご相談したい事が。」

 

「なんだい? あの展示はわりと僕にはトラウマだったんだけど・・・。 でもこの前、星アキラ モフモフパジャマが発売したから、その販促を兼ねて上野動物園でオカピと戯れるのはありかな? ちなみにパンダは可愛い容姿に騙されているけど、中身はマジで熊だから勘弁してください。」

 

「そうじゃなくて、私が学校で入っている映像研究部で作成する自主製作映画に、私が出演を依頼されているのですが、出演しても良いでしょうか?」

 

「ふーん。 景ちゃんは出演したいの?」

 

「はい。出演したいですっ。」

 

「なんで?」

 

「なんでって、それは・・・。私も高校で普通の体験をしたいって言うか、友達と一緒に何かやりたいって言うか・・・。」

 

なんで私が自主製作映画に出演したいのか、上手く説明できなくて自分自身を歯がゆく思っていると、アキラさんが口を開いた。

 

「いいよ。 それが景ちゃんにとって大切だと思えるのであれば、出演するべきだよ。 アリサママと墨字さんには僕の方から言っておくから、一緒にみんなで映画作りをやってみるといいよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

「それじゃ、来週、大洗で僕と一緒にアンコウ踊りを踊る仕事忘れないでね。」

 

「そんな変な仕事は入れていません!!」

 

そう言って、アキラさんは飄々と電話を切ってしまった。

 

「マジ卍。星アキラとこんなに気軽に電話できるとか、すごく沸く。 景ちゃんってマジで尊い。」

 

「アキラさんに聞いたらOKだそうです。」

 

「やったーーーー! 映画を撮れるんだね! 嬉しいよ。 最高だよ! 朝のナパームの香りは格別だよ!!」

 

「なんで地獄の黙示録なんですか!? この人大丈夫なの!?」

 

「吉岡、良かったな! 景ちゃんの映画を撮れるとか超エモい!」

 

「どうしたの?」

 

大騒ぎする吉岡君の様子を見たクラスメイトが、ひなちゃんに聞いてくる。

 

「映研で吉岡が景ちゃんの映画を撮るのよ!」

 

「ま?」

 

「ま」

 

「めっちゃすごいやん! 吉岡根暗とか思ってけど、めっちゃパリピじゃん!」

 

「正直に感想を言いすぎてクセがスゴい。」

 

「もしかして、これを契機に吉岡が将来、大監督になったりして!」

 

「それな!」

 

「吉岡、意外にフッ軽ですこ。」

 

「すげーよ! 吉岡! マジで夜凪さんの映画撮るの!?」

 

「うん。文化祭に合わせて短編映画だけど頑張って撮るよ!」

 

「マジかよ! 応援するよ! 夜凪さんもありがとう!」

 

「えっ、ええ。 がんばるわ。」

 

「みんなで吉岡の映画手伝おうぜ!!」

 

「いいな!それ!」

 

「素敵! 景ちゃんならめっちゃ推せる!」

 

「よーし! 今年の文化祭は飛ぶぞ!!」

 

「「「「「「「「「「「お――――――――!!!」」」」」」」」」」」

 

普段、私を遠巻きに見て話しかけてこないクラスメイトも一緒になって、大盛り上がりとなった。 私は映画を撮る事で盛り上がるクラスメイト達の熱気に当てられて、目が回りそうだった。

 

クラスメイト達は、仲が良い子以外は普段大人しくて、私を遠目に見てくるだけだったから、こんなにみんなで騒ぐなんて信じられなかった。

 

この子達ってみんな個性的すぎない!? って思って、私は、頼まれて映画に出ると回答した場合の、身近な人のリアクションを想像した。

 

星アキラ「えっ! 僕の映画に出演してくれるの!? ヤッター ヤッター ヤッターマン!! これであと10年は戦える。 なお、その後2ヶ月で敗北する模様。(ツッコミ不在の恐怖)」

 

百城千世子「景ちゃん! 私の映画に出演してくれるの? 嬉しいわ。(天使の微笑) 景ちゃんが映研に出席しなかったせいで映研は廃部寸前だけど、最後に綺麗な打ち上げ花火と共に映研も燃え尽きる事ができそうね。(毒舌)」

 

明神阿良也「・・・・・・・・・・・・。 (面倒くさいのでリアクション無し)」

 

星アリサ「景ちゃん、映画に出演してくれるの!? ありがとう。 裏からいろいろ手を回していた甲斐があったわね。 これで断ったら分かるわよね? (ダークな微笑)」

 

うん。吉岡君やひなちゃん、クラスメイト達はみんな普通の常識人ね。 安心したわ。 違和感を覚えた私がおかしかったみたい。

 

私はこの時、自分の常識人のラインがかなりガバガバになっている事に気が付かなかった。

 

 

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