星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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吉岡新太はクランクインする

 

------------- 吉岡新太視点 -------------

 

自主製作映画「隣の席の君」

 

世界的に有名な女優である君は、普段は学校に通い、普通の学生と変わらない生活を送っていた。

 

テレビで見る君とは違った、普段の君はみんなと仲良く交流しているけれども、ふとした瞬間に堂々とした女優の気配を感じる

 

そんな君の普通の一日を僕の目線で描いた全8シーン、15分の短編映画の撮影が今始まる・・・のだけど・・・。

 

「何、この大量の機材・・・。」

 

「事情を説明したら、アキラさんが貸してくれましたっ。」

 

一緒に撮影を手伝ってくれる映像研究部の部員や、同級生達もドン引き気味だ。

 

「カメラが3台も・・・。」

 

「まともに撮っても、編集時に思った画と微妙に違って、後悔するだろうから、保険で別アングルで複数のカメラで撮らせる事で、カメラをスイッチしてそれなりの感じに場面を仕上げる事ができるから、保険のカメラは大切だってアキラさんが言っていました。」

 

「この棒みたいな機械は何?」

 

「これは、電動ジンバルでここにカメラを設置して、こうやって使うんですっ。 これだと体が動いてもカメラのアングルを自動で保ってくれて、手振れとかしても大丈夫です。」

 

「確かに・・・。この機器すごい。 動いても全然カメラがぶれない。」

 

「景ちゃん、これ何?」

 

一緒に撮影をする朝陽ひなさんが夜凪さんに質問する。

 

「それはレフ板ですね。こうやってお日様を反射して顔に当てると逆光でも顔がくっきり映るんですっ。」

 

「なっ、なるほどっ。 さすがは景ちゃん、機材も本格的でえぐい。」

 

「でも、よくこんな大量の機材を学校に持ってこれたね。 重かったでしょ?」

 

「ああ、大丈夫です。 朝にアキラさんが機材ごと学校に送ってくれましたから。」

 

「え゛っ、アキラさんってまさか、星アキラ!?」

 

「そうですけど?」

 

「マジで!? 星アキラが学校に来たの!? どちゃくそきゃぱい。」

 

朝陽さんやクラスメート達も驚く。 そりゃ、星アキラをアッシー(死語)にして学校に来るとか驚くよ。

 

「それなら、サインもらいたかった。」

 

「アキラさん、暇だったら撮影中に見学に来るとか言っていましたら、見に来たらサインもらえるかもしれませんよ。」

 

「ええっ、マジで星アキラが目の前に来ちゃったらどうしよう!?」

 

「ひな、めっちゃ、ひよるやん!」

 

「そりゃひよるやろ! あの星アキラやで!」

 

「ひな、関西弁になっていて、ガチでウケるw」

 

「ねえ? 星アキラって、普段からあんな感じなの?」

 

「あんな感じってどう言う感じですか?」

 

「人を食ったというか、クソガキというか、珍獣と言うか・・・。」

 

「わりとギャグっぽい仕草はしますけれども、ちゃんとする所はちゃんとしていますよ。 信用第一の商売ですし、撮影現場で不真面目にやる所は見た事が無いですね。撮影現場とかでは、みんなの見本になる感じです。 普段は、珍獣というか、ペットですね。 猫じゃらしとかで遊びたい感じです。 最近は寝る時に星アキラ モフモフパジャマで寝ているらしくて、子供達(双子)に大人気らしいですよ。」

 

「ちょえ、景ちゃんの星アキラ像を聞いても、さっぱりわからんのだが・・・。」

 

「ええと・・・。 ああ見えて、わりと普通の人ですよ。」

 

「絶対に普通じゃない! 景ちゃんの普通の人の定義はガチで間違えとるよ!」

 

そんな感じで夜凪さんとクラスメート達は会話をしていた。

 

「それじゃ、そろそろ夜凪さんと朝陽さんとの登校シーンを撮るよ。」

 

「はいっ。」

 

「りょ。」

 

「それじゃ、二人は話しながら校門に入って来る感じで、僕が後ろを向きながら二人を撮るから、花井君は三脚で二人の全身を撮って、青木君は望遠レンズで校門から入って来る二人の顔を中心に撮ってね。」

 

「わかったよ。」

 

「りょーかい。」

 

カメラが趣味の同級生の青木君と、同じ映研の花井遼馬君が返事をくれる。 

 

野球部で肩を壊した後に、映研の存続のために籍だけおいてくれて、いつも部室でゴロゴロしていた花井君は、今回の映画に協力をお願いしたら、素直に協力してくれた。 いまいち彼の行動パターンは分からないけれど、部の存続への協力と言い、今回の映画といい、彼にはとても感謝している。

 

夜凪さんと朝陽さんの会話をしながら校門に入って来る。

 

エキストラとして、同級生の子達も協力してくれて、いつもの登校の風景って感じになっている。

 

校門から入ってきた夜凪さんは、普段学校で観る表情と変わらない雰囲気なのに、カメラのファインダーから見える夜凪さんの顔は、いつもテレビや映画で観るまぎれもない女優の顔だった。

 

生で観るクラスメートの夜凪さんと、カメラのファインダー越しに見る彼女は全然違った。 同じクラスで授業を受けている夜凪さんと、今このカメラのファインダー越しに映る、輝かしい女優が同一人物だとはとても思えない。

 

ファインダーの中に映る夜凪景という女優に、僕は魅入られていた。

 

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