星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
「ご協力をお願いします。 映像研究部です。 撮影中なので10分ほどこの道を貸してください。」
見ると映像研究部の人ががんばって渡り廊下から人を避けようとしているけれども、上手く行っていないようだ。
道を貸してくれって言ってもどこに移動したら良いのか分からないからねぇ。 単純に退いてくれって言っても、興味津々の野次馬を退かせるのは難しいよね。
そんな事を考えていると、僕達が契約しているボディガード達が到着した。
「アキラさん、お待たせしました。」
「いや、突然の連絡で申し訳無かったです。 かなり急ぎで来ていただいて助かります。」
「いえ、アキラさん達の警護は楽な割にボーナスがすごくて、社内でも垂涎の的なので、是非ガンガン弊社をご活用ください。」
ボディガードさんは僕達のメンバーを事前に伝えていたために、女性一人と男性二人で来てくれていた。 急な依頼だったにも関わらず、いつもお願いしている人達で来てくれた。 女性は千世子ちゃんのボディガードだね。 この後、千世子ちゃんは両親と食事に行くので、彼女のボディガードはすでに予約済みだった。 それに急遽、空いている男性二人を追加で派遣してくれた感じだね。
この人達はSPさんと違って、四六時中、物理的に体を張って危険から防護してくれるわけじゃなくて、例えば道とかで一般の人に声を掛けられてトラブルとかに発展しそうな場合に、間に入ってもらって対応してもらう感じで、余計なトラブルの防止用に、外出する時にお願いしている感じだね。 マネージャさんとかに対応してもらう場面もあるけれども、マネージャさんも忙しいし、それよりも専門の人を雇った方が確実だからね。 状況によるけれどもこういうタイプの外出時にはいつもお願いしている。
料金は月額払い + 今回のようなケースではボディガードの人個人にお金が行くようなボーナスを付けていて、スターズの方から支払っている。そんな訳で、阿良也と千世子ちゃんは気兼ねなく利用している。
景ちゃんも同じく気兼ねなく使用するように言っていたんだけど、倹約家の彼女は中々使用していなかった。 でも友達と街で騒がれた時に懲りたらしく、最近は友達と遊びに行くときなどはちゃんとお願いするようになっていた。
ちなみに、そこそこお高くて信用度の高い所だから、腕っぷしも強くて頼りになるけれども、新宿東口の掲示板にXYZを書き込こむような、最後の砦のボディガードじゃないから、銃を持った謎の武装組織とかに襲われると、僕の命も流石にヤバいと思う。
幸いなことに、僕自身、新宿の街で攻撃ヘリに襲われた経験は無いんだけど、こんなのから守り切る冴羽獠もすごけれども、新宿に攻撃ヘリとか装甲車を持ち込める武装組織も凄いよね。 新宿に来る前に、空港の手荷物検査とか税関で、アサルトライフルとか見つかって、先に空港とかで銃撃戦とかしそうだよね。 そうなったら、依頼人を襲うどころじゃないと思うんだけど・・・。
そんなハードボイルド?な漫画の話は別として、僕はこの事態を想定して持ってきたトラ柄の規制テープをボディガードさんに渡して、野次馬の誘導をお願いする事にした。
撮影で大混乱の渡り廊下に立って、みんなに聞こえる声で話した。
「こんにちは。 撮影を見学される方は、あちらの規制テープの裏側からご見学ください。」
「あっ、アキラさん。」
「えっ、星アキラ!?」
「マジで!?」
「えっ、ウソっ」
「あっ、千世子ちゃんも居る!?」
「もしかして、あれ阿良也君!?」
一瞬にして撮影現場が混乱に包まれる。 その中を僕は、映画や舞台でならした良く通る声で対応する。
「はいはい。 みなさーん。 僕達もあそこから見学しますので邪魔にならないようにあちらに行きましょう!」
後は簡単。 そう言って、僕が見学位置に行くと、野次馬はぞろぞろとレミングスのように僕の後ろを着いて来て、ボディガードさん達が仕切る規制テープ内側の見学スペースに収まった。 後から来た子達も、ここが見学スペースだって分かるとそちらに合流した。
野次馬達も別に撮影の邪魔をしたい訳じゃない。 合法的に見学ができるスペースがあるのであれば、みんな素直にそちらに収まった。
ついでに一人の女の子がこっちに来ていた。
「ひなさん! ひなさん! ひなさんは音声ですよね!? そこから見学されちゃうと困るんですが!?」
景ちゃんが慌てて止める。
「そんな~。 私もアキラ君や千世子ちゃん達と見学したい!!」
「ダメですっ」
「ぴえん。」
「後で紹介してあげますから。」
「ほんと!? 神対応すぎてきゅんです。 景ちゃんとはずっ友だよ!」
「ひな、景ちゃんとずっ友とか言って、アキラ君に迫られたら余裕で景ちゃんを裏切りそう。」
「いや、たぶん、本人を前にするとひなは、ひよると思う。」
「それな!」
「お前ら!、さあ、とっとと撮影するぞ!」
「急にひなのスイッチが入ってウケるw」
「めっちゃ草w」
景ちゃんと友達達はそんな感じでワイワイガヤガヤと楽しそうに撮影してく。
「はい。それじゃシーン3開始します!」
監督らしき子が宣言すると、そんな和気あいあいの雰囲気で、景ちゃんと友達達は撮影を開始した。