星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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柊雪は相談する1

 

-------------柊雪視点-------------

 

「あははははっ! とんでもない事態になっているじゃない!」

 

「市子、笑い事じゃないのよ。 こっちは真剣に悩んでいるんだから!」

 

「柊、凄すぎるよ! 僕にそんなチャンスが回って来たら、スターウォーズを超えるSF超大作を撮っちゃうよ!」

 

「山田が潤沢な予算でSFを作ると、スターウォーズじゃなくて宇宙からのメッセージになりそう・・・。 あれも1980年に10億円をかけて制作されたんだよね・・・。」

 

「だめよ! あんな映画にアキラ君や阿良也君はともかく、千世子ちゃんや景ちゃんを出演させられないわ!」

 

「お前ら二人、なにげに酷いな! いつか、僕のSF超大作を作って見返してやる!」

 

「それ以前に、もうちょっとウルトラ仮面セイバーのシナリオをなんとかしなさいよ。 この前のあの光る坂に登るシーンはなんとかならなかったの? シリアスなシーンなのに、爆笑しちゃったわよ。」

 

「でも、あの話、景ちゃんの所のルイには好評だったわよ。 私もシリアスなシーンなのに、シュールすぎて笑っちゃったけど、光の階段じゃなくて坂じゃない。 しかもスリップ気味に走っていたし。 一緒に観ていたアキラ君がお茶フイてたわよ。」

 

「主人公の演技がすごく上手いから余計にシュールだったわ。」

 

「予算と尺が足りなかったんだから仕方が無いじゃん。 シナリオの時点では良かったんだけど、実際に撮影して発注したCGが出来た時には、次の回の放映が迫っていて、どうにもできなくて・・・。 僕だってもっと作り込みたいよ。 ウルトラ仮面Blackシリーズみたいに予算と期間さえあれば・・・。」

 

「毎週放送するTVシリーズじゃ無理ね。」

 

映画の企画に悩んだ私は、いま喫茶店にいる。 映画の案が浮かばない私は、阿佐ヶ谷芸術高校時代に一緒にチームを組んでいた市子と山田君に相談する事にした。 市子は相変わらず売れっ子の女優。 山田君はウルトラ仮面で有名な映画制作会社に入って演出とシナリオライターの道を歩んでいる。

 

「それで、どうすればいいのよ!」

 

「好きな映画を作ればいいと思うよ。」

 

「そうよね。 シンプルイズベスト。 まさしく山田君のその回答以外に無いわよね。」

 

「好き勝手に作って駄作になった場合の責任が・・・。」

 

「たぶん、そんな責任なんて無いから心配しなくてもいいわよ。」

 

「制作も役者も予算も好きに決められて、しかも赤字で良いなんて条件で映画を作らせてくれる所なんて、この世に存在しないよ。 マジでファンタジーみたいな待遇だよ。 たぶん、柊は宝くじで1等を当てる以上の幸運を引き当てているよ。 本当に羨ましい。」

 

「私もそう思うわ。 夢が叶う機会なんだから、それを存分に活用すればいいじゃない。」

 

「夢が叶う規模がでかすぎるの! 本当にフリーハンドになったら何を作ったら良いのか分からないのよ!」

 

「なんでも良いという意味では、当初の私が主演の映画をそのまま撮っても良いけれども、そんなの勿体なさ過ぎるものね。 それにあの映画自体は本当に雪が撮りたかった映画でも無いんでしょ?」

 

「撮りたかった映画である事は本当。 ただし、私が映画監督してステップアップして行くための練習作であって、一番の傑作になる映画かと言うと微妙。 というか、処女作が一番の傑作とかも悲しすぎるから止めたい。」

 

「なら、一番撮りたい傑作を作るしかないんじゃないの?」

 

「それは、まだまだ先の話になると思っていたから、何にも考えていなかったから困っているんじゃない。 私の撮りたい映画って何なのよ!」

 

「知らないわ。」

 

「知らん。 自分が分らないのに僕が知る訳も無いじゃん。」

 

「そうよね。 私もそう思うわ。 だからどうしたら良いのか分からないの。」

 

「あなた、高校生の時も同じ悩みを抱えていたわよね。」

 

「ほんとほんと。 結局わからなくて、黒山先生に真っ白の原稿用紙をそのまま渡しちゃったし。」

 

「私もこの歳になって、同じ悩みを抱えるとは思わなかったわ。」

 

「なら、適当にお金がかかる映画を作ればいいのよ。 例えば市子ちゃんが主役のいちこ100%とか」

 

「あんた、もうラブコメとか言う歳じゃないでしょ? あなたもう20歳でしょ? ラブコメというよりも不倫映画よ。 あっ、でも思いついたわ。こんなのはどうかしら?」

 

 

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いちこ100%

 

星アキラと百城千世子は中学生からお付き合いしており、一緒に大学に行こうと約束するようなラブラブカップルだった。

 

しかし、星アキラに一目惚れした朝野市子は、言葉巧みに練習という名目で彼と関係を持ち、百城千世子から略奪を始める。

 

さらにこの状況で彼が好きな事を心の中に留めていた百城千世子の幼馴染である、夜凪景が行動を開始し、文化祭で寝ているアキラにキスをしてそのままズルズルと関係が進む。

 

星アキラの浮気に混乱する百城千世子は彼とケンカになってしまう。 そしてそれを見て、星アキラの事を諫める明神ラーヤが星アキラを夜のホテルに連れ込む。

 

こうして、沢山の女性陣?が入り乱れた、ドロドロの愛憎劇が繰り広げられて、最後はキレた千世子によって、星アキラが首チョンパされて、めでたし、めでたし!

 

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「こんな感じのラブコメでどう? 最後はちゃんと悪のクソガキが滅びてスッキリよ。」

 

「どこがラブコメなのよ! 絶対に嫌よ! こんな役をやったら、もう不倫役以外の役が私に来なくなるじゃないの! しかも、あの四人を全員敵に回して悪役を演じ切るとか、私には無理!」

 

「ほぼSchoolDaysじゃないか! 面白いけど、常識的に考えて、スターズサイドがOKを出すとも思えないし、そもそも、こんなドロドロの愛憎劇が柊の作りたい映画なの?」

 

「全く作りたくないわ。 たぶん、本当に作ったら、気持ち悪くなって失踪すると思うわ。」

 

「役者じゃなくて、監督が失踪しないでよ・・・。 意味不明だわ。」

 

「この映画を本当に作ったら、柊への世間のバッシングが凄くなると思うよ。 それ以前にあの四人も流石に嫌って言うんじゃないのかな。」

 

「当たり前じゃない。 こんな映画を撮る気は無いわ。 ただ、最後にあのクソガキが首チョンパされるのは痛快なのよね。」

 

「雪、あなたアリサさんや千世子ちゃんやアキラ君と一緒に居て、自分でも気が付かないうちに、思考がサイコパスになって来ていない?」

 

「えっ・・・? まさか、スターズのサイコパスウイルスが私の脳にも・・・。 何て恐ろしいのかしら。 ホラー映画?」

 

「「いや、ホラーじゃないから!!」」

 

二人は仲良くハモッった。

 

「でも今ので思いついたわ。」

 

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サイコハザード

 

巨大芸能事務所スターズは東京の地下深くに秘密研究所を作っており、その中でサイコパスウイルスを培養していたが、漏洩事故が起こる。

 

そこに調査しに行く、エージェント朝野市子。

 

そうしてサイコパスになった、星アリサや、百城千世子、星アキラ達が朝野市子に襲い掛かる! 悲惨な目にあう朝野市子。

 

最後は面倒臭いので、市子ごと核ミサイルで処理。

 

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「こんな感じでどうかしら?」

 

「私に何か恨みでもあるの? ものすごく雑なシナリオね。 本当に適当。 とりあえず核ミサイルを撃っておけばOKな風潮はなんとかならないの?」

 

「バイオハザードのパロディー感がすごいよ。 B級映画を作りたいの?」

 

「全く。 B級映画にも特に憧れないのよね。」

 

「やっぱり、SFだよSF! でっかい宇宙をベースに壮大な物語が最高だよ!」

 

「SFねぇ・・・。SFに知見が無い私がスターウォーズを真似ても、碌な事にならないわよ。」

 

「2001年宇宙の旅みたいな哲学的な奴はどう?」

 

「名作かもしれないけれども、あの映画を観た半分ぐらいの観客は完全に眠くなるわよ。 あれをオマージュするとこんな感じ?」

 

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2001年珍獣の旅

 

何百万年前の大昔、謎の石板「モノリス」に触れた猿人はヒトへと劇的な進化を遂げ、2001年にはプレイステーション2やゲームボーイアドバンスを開発するに至る。

 

猿人の亜種である、珍獣はファイナルファンタジーXや、鬼武者、みんなのGOLF3などで遊んでいると、ゲーム機が意思を持って反乱を起こすが、CPUパワーが足りなくて電源が消えてしまう。

 

電源が消えたTVを見て呆然とした珍獣は、近くにあった置物の石板を枕にして寝ようとするが、それが「モノリス」だった。 

 

モノリスで寝た珍獣は人間の知識を超越した領域へと到達するが、しょせんは珍獣。 寝て起きたら、人間の知識を超越した領域へ到達した事を忘れたのであった。

 

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「なんか、10分もあれば終わりそうな映画ね。」

 

「スタンリー・キューブリック監督に謝れ!」

 

「私にSFなんて無理よ。」

 

「そもそもSFかどうかも怪しいわね。 それに2001年がリアルすぎるわ。 完全にがっかり映画じゃないの。」

 

「だから~っ! こんな映画を考えている場合じゃ無いのよ!」

 

「迷走しているわね。」

 

「というか、聞く相手が違うんじゃないの?」

 

「そう思う。 やっぱり僕達じゃなくてアキラ君に聞くべきだよ。」

 

「確かにアキラ君に聞くべきだとは思うわ。 でも、何も準備して行かないと、いきなり会っても何か言いくるめられるだけで終わっちゃう気がするのよ。」

 

「それはある。 でも、準備して行くための映画の構想ができてないじゃん。」

 

「そうね。 逆に真っ白な状態で行って、構想が浮かばないって言えばいいのよ。 高校生の時みたいに。」

 

「僕もそれが最適解だと思う。 結局、高校の時もそれが正解だった。 たぶん今回もそれが正解だよ。」

 

「せっかくプロになったのに、作りたい映画がわかりませんなんて・・・。」

 

「なにかちょっとした切っ掛けだけよ。 ちょっとした切っ掛けがあれば、あなたは大化けするわ。 そうじゃないと、あのアキラ君達があなたをここまで気に掛ける訳が無いもの。」

 

「・・・市子、そんな事を言って、この状況を楽しんでいるでしょう?」

 

「もちろんよ。 こんなに面白い状況は他に無いわ。 雪の今後に興味津々よ。」

 

「これだから役者ってやつは・・・。」

 

こうして、私は白紙のシナリオを持ってアキラ君に相談することにしたのだった。

 

 

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