星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
「太陽のバカヤロ----!!!」
(窓の外の太陽に向かって叫ぶと言う謎の奇行に走る柊雪。)
「ふふふっ、お困りのようだね。」
「何!?怪しい奴!」
「Yukiがそう言うと、謎の覆面とサングラス、そして濃い紫色の帽子とジャケットを付けた男が入ってきます。」
「フッフッフッ・・。どうやら映画の詳細が詰められなくてお困りのようだね。」
「本当に怪しい!!! 誰がどう見ても100%怪しい! 一体、何者なの!?」
「私の名前はミスターX。正体不明の影のプロゴルファー組織のボスとでも思ってくれたまえ。猿君。」
「いや、私の名前は柊雪ですけれども。 あなた怪しすぎじゃありません?」
「ミスターXという怪しげな人物。彼は一体何者なのか!?」
「私は中学生の猿君に賭けゴルフ勝負を挑んで、闇のゴルフ組織に引き込もうとしているだけで、特に怪しくも無い。このままテレビ出演した事もあるぐらいの有名人だぞ。」
「もうその言葉だけで胡散臭いわ。 明らかに怪しいじゃない。 それでそのミスターXさんがこんな所に何しに来たのよ?」
「映画のシナリオで困った雪君を、私の闇のゴルフ組織で援助しようと言うのだ。」
「お断りします!」
「フッフッフッ。この私の援助を袖にしようとは。しかし、これを見て何とも思わないのかね?」
そう言って、ミスターXはスマフォを柊雪に渡す。そこには、どこかの倉庫に捕らえられていた星アキラが映っている。
「雪ねぇちゃん、ミスターXに捕らえられてしまったんだよ! このままじゃ、僕が闇のプロゴルファーとして育成されちゃうよ! 助けて!!!」(世界的ハリウッド俳優による迫真の演技)
「どうだ、雪君、アキラ君を助けたくはないかね?」
「・・・・・あの珍獣は芸能人ゴルフBIG3にゲストで呼ばれた時に、大暴投してヒンシュクを買った事しか覚えていないんだけど。そもそもゴルフはド素人だと思うわよ。」
「フッフッフッ。 アキラ君は素人なので、最大のハンディキャップが付くのだ。 その状態で闇のプロゴルファーとして育成すれば、ゴルフコンペで優勝間違いなしなのだよ。雪君。」
「案外セコイわね。闇のゴルフ組織。」
「どうする? 雪君。 このままではアキラ君のゴルフの腕が上達してしまうぞ?」
「すごくどうでもいいんだけど、分かったわ。 付いて行けばいいんでしょ?」
「そうだ。聞き分けの良い子は好きだぞ。 それでは行くとしよう。」
「ミスターXのリムジンによって移動するYuki。 彼女は無事に戻って来ることが出来るのでしょうか?」
(ミスターXの用意したリムジンで移動する柊雪。 リムジンがある建物の前に到着する。)
「ここは?」
「ここは武蔵野アニメーションの建物だよ。雪君。そしてこの中に君の問題を解決できる人物達がいる。」
「ミスターXの招きによって、武蔵野アニメーションの建物を案内されるYuki。そこに5人の女性が待っていました。」
「雪ちゃん、お久しぶり。」
「あおいさん! それに絵麻さんにしずかさん、美沙さんにみどりさんまで!! どうして!? みんな劇場版の『走れケイティ』の製作で忙しいのじゃないですか?」
「ミスターXから雪ちゃんが困っているって聞いて、力になろうって思ったの。」
「シナリオに詰まったYukiの助っ人として名乗りを上げたのは、武蔵野アニメーションで『走れケイティ!』を始め、数々のアニメを手掛ける才女たちです。」
(SHIROBAKOメンバーの山形の上山高校でのアニメーション同好会で楽しそうにアニメーションを作っている写真がシーンとして流れる。)
「彼女たち5人は高校で一緒にアニメーションを作った親友同士で、今では5人全員で集まって『走れケイティ!』を手掛けています。」
(走れケイティのアニメーションとそれぞれのメンバーの制作風景が連続して映る。)
「監督はAoi Miyamori、キャラクターデザインのEma Yasuhara、声優のShizuka Sakaki、シナリオのMidori Imai、CGディレクターのMisa Toudou。日本が誇るアニメ―ション制作の経験豊かな彼女たちが今回、Yukiの助っ人として名乗りを上げました。 そして彼女たちはYukiの知り合いでもあります。」
「あのっ・・・。あおいさん、ミスターXを知っているの?」
「えっ? 雪ちゃんは知らないの? ミスターXは闇のゴルフ組織の首領で、日本の裏側で暗躍している謎の人物なのよ?」
「謎の人物と言うわりにはずいぶん、みんなに知られているような気がするんだけど・・・。」
「賭けゴルフで負けた時には、猿君にちゃんと賞金を渡したり、猿君の実家に行って、闇ゴルフ界への就職を猿君のお母さんに熱く語ったりする紳士よ。」
「雪さんはプロゴルファー猿のアニメを観た事が無いんですか? 子供の頃に見ていて一番かっこいい首領でした。 なによりも悪の首領なのに紳士的で、ゴルフが紳士のスポーツだというのが良く分りました。」
美沙さんが言う。
「いや、そんなマイナーなアニメの悪役?なんて知らないわよ!!」
そう言うと、5人はみんな驚いた顔をする。
「えっ? 藤子不二雄A先生の代表作を知らないの?」
「山形だと良く再放送されていましたよ。」
「子供の頃は藤子不二雄F先生の漫画が大好きだったけど、大人になると藤子不二雄A先生のブラックユーモアとか、人間の黒さや生々しいストーリの良さが良く分るようになるわね。プロゴルファー猿も中学生が賭けゴルフで生き抜くっていう、子供向けなのにとても子供には見せられない設定がすごく斬新よね。昭和でも賭けゴルフは犯罪なのに。」
「本当にお二人の先生は全方位のあらゆる漫画を描きこなした偉人でしたね。」
「えっと、つっこみ所がすごいんだけど、このミスターXは何者なの?」
「えっ? ミスターXはミスターXでは?」
「ミスターX以外にあるの?」
「そう言えば、アニメでも本でもミスターXの正体は全く分からなかったわね。 プロテストに合格した後は登場しなくなっただけで、警察に捕まったとか死んだとかそう言う話でも無かったし。」
「この悪役なのか違うのか、明らかに法律的に黒に近いグレーな人物が正体も明かされずに、何事も無く生き続けるって言うもやもやが流石は藤子不二雄A先生ですよね。」
「そっちは分かったんだけど、こっちのミスターXは何なの!?」
「明らかにミスターXですね。」
「その通りだ。それでは諸君! 雪君を頼むよ!」
「もちろんです。お任せください! ミスターX。 あとサインください。」
「フッフッフッ・・・・。 これで良いかね。」
ミスターXは渡された色紙にでかでかとミスターXと書いたサインをしていた。なにげにフレンドリーな男だ。そしてサインは『Mr.X』ではなく、『ミスターX』だった。ミスターがカタカナって、芸名なの?
「それではまた会おう!」
「かっこいい!」
「ミスターX何者なんだろう・・・。」
「素敵。ポッ♡」
「ちょっとツッコミに疲れたわ。というかこれ、こんな展開じゃ、ドキュメンタリーというよりもバラエティーでは?」
「そうですか? 私には進め!電波少年にみえますよ?」
「う―わ。最悪!」
Yukiは無事にシナリオを完成させる事ができるのでしょうか?