星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
夜凪家も新しい生活に馴染んできたある日、僕はついに配信することにした。
配信の形式はYoutube Liveでの生放送。
2012年の現状では生放送サービスではニフニフ生放送が一大シェアを築いており、2016年にかけてプレミアム会員数もウナギ登りで、まさに日本の動画と生配信業界の覇権はニフニフ動画にあるように見える。
見える。見えるよ。見えるんだよ。・・・そう見えたんだけどなぁ・・・。
正直に言って、この時点(2012年)での生配信プラットフォームとしては、ニフニフ生放送が最高である。
視聴者の付きかたやノリなどを見ても、ニフニフ生放送は素晴らしいと思う。
配信で稼ぐことを考えなければ、2020年代でもニフニフ動画は良いコンテンツであると言える。
しかし、配信者として収益を上げる点を考えると、ニフニフ動画はYoutubeよりもいろいろ問題があるし、今後台頭してくる企業VTuberのほとんどがTuberの名の通りYoutubeを使用している。
本当は2012年の時点でニフニフ生放送の生主となって、環境が整う2016年ごろにYoutubeに移転する手もあるんだけど、そうするとニフニフを裏切った配信者としてのヘイトを集める事にもなるので、素直に最初からYoutube Liveを使う方が良さそうである。今ならYoutuberとしての先行者利益も得られるだろう。
2020年代には芸能人がYoutubeでチャンネルを持つのは一般的だが、この時代からYoutubeで活動すればいろいろ先行者利益がある。
特に社長の息子である僕がYoutuberとして活動することで、若手メインのスターズにも良い影響を与えるだろう。・・・与えるよね? スターズの黒歴史とかにはならないよね?
盛大にフラグを立てつつ、まずはYoutube Liveをできるベースづくりを始めた。
この時代のYoutube Liveを始めるために、Youtubeパートナーになる必要があった。
そのためには一定数のチャンネル登録者数と動画再生時間が必要だった。まずはそれを達成するための動画づくりを始めた。
動画のタイトルはずばり「生放送したいのでチャンネル登録と再生をお願いします。」
星アキラの自己紹介と生放送したい動機、生放送でやりたい内容などを説明した動画を上げて、僕のSNSで動画を紹介して協力をお願いした。
こういうものは、変に目的をはぐらかして動画を作っても、変な憶測や方向性がぶれて、余計な手間がかかってしまう。そのものずばり、正直な動画が一番良かったりする。
僕のSNSもフォロワーがかなり居て、フォロワーたちが僕の情報を拡散してくれた結果、予想以上の動画登録者数と動画再生時間を最初に確保することができた。
それでスターズ経由でYoutubeパートナーの申請とYoutube Liveの申請を日本支社に出したところ、是非お話を聞かせて欲しいとYoutubeのオフィス(正確にはゴーグル日本法人のオフィス)に招かれた。Youtubeの運営とコネができるのは、今後猛威を振るうAIちゃんのBAN対策としても有効なので快諾した。
ばっちりとITエンジニアの正装(ポロシャツ・ジーンズ)をオシャレに決めて、僕のマネージャとオフィスに行ったら、Youtubeの関係者だけではなく、ゴーグルの日本法人の社長とHQ(アメリカ本社の役員)も居て予想以上の大物がそろっていて驚いた。
この時期の日本では、ゴーグルはヤホージャパンと、Youtubeはニフニフ動画とそれぞれシェア争いをしていた。なかなか日本独自の市場を崩せないようであった。
僕はそう言った戦略会議の場に「なんか話題の芸能人がYoutube Liveで生放送したいらしいぞ」という訳で、珍獣枠ゲスト枠兼一般ご意見枠として呼ばれることになったようだ。
2020年代にはVTuberさん達の働きもあって全盛期を迎えているYoutube Liveだけど、この時期は生配信はニフニフ生放送を筆頭にキュアキャス、ツジキャスなど戦国時代で、後発の2011年4月にサービスを始めたばかりのYoutube Liveはまだ、存在感を示せている状況にはなかった。その打開策を考えているようだった。
そんなわけで、お互いに自己紹介して、ライブの動機やライブでやりたい事などいろいろディスカッションした。
ちなみに、最初は日本法人の人が通訳してくれようとしていたけれども、面倒なので僕は英語で話した。HQの人もノリが良く、ガンガンとディスカッションは続いた。
話はYoutubeの戦略の話に移っていき、今はアリーアダプターが強いからマニアックめなサイトが強いけれども、Youtubeはテレビの代替として老若男女を問わず見られるマジョリティ中心の戦略を取るべきや、Youtube自身の広告収益の取り方、Youtubeにチャンネルを開設した場合の芸能事務所と案件企業との広告のやり取りや、配信者への報酬のあり方、Youtube Liveの改善点など多岐に渡って、いろいろ話した。
ミーティングの時間は予定時間をはるかにオーバーして激論を交わして、最後にHQの人から、「君が10歳で無ければ、取締役として是非ゴーグルに来て欲しかった。」というリップサービスをもらってミーティング終了。そのままみんなで夜の街に繰り出した。もちろん健全でオシャレなバーみたいな所でした。まぁ僕は当然ソフトドリンクだったけれども・・・。
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「アキラさんカメラの準備が出来ました。テストしてください。」
そんなこんなで、すべての準備が整い、ついに生放送の開始日がやってきた。配信場所は僕の家で、景ちゃんには、アシスタント兼、カメラ調整兼、天の声などをやってもらうつもりだ。
僕の家にやってきた後の景ちゃんは、目のクマも取れて、やつれていた顔も年相応にふっくらとしたものになり、目元もパッチリした、とんでもない美少女に変身していた。
正直、景ちゃんが千世子ちゃんと同レベルの美少女とは思っていなかったので、僕は今、相当にビビっている。
弱っている女の子に栄養を与えると、こんなにすごい美少女になるのだろうか?(←かなり失礼)
景ちゃんにはスターズの方で子役として契約してもらい、Youtubeが軌道に乗るまでは、僕の給料から景ちゃんの給料を天引きしてもらう契約にした。
景ちゃんはまだ小学生なので、義務教育の終了まで就業できない。しかし子役としてちゃんと労働契約した上で条件を満たせば、軽作業に限って労働で賃金を払うことができる。この辺はスターズが子役契約の経験も大きいので、顧問弁護士さんとかにもちゃんと確認して、景ちゃんと労働契約を交わした。
・・・この辺がなぁなぁで後で問題になると大変だからね。
ちなみに、アリサママに配信したいと言ったら、「いいわよ。好きにしなさい。」と簡単に許可された。
てっきり、「役者を安売りするものじゃありません! 役者ならちゃんと役を演じてお金を稼ぎなさい。」とか言われるかと思ったので、拍子抜けだった。
「役者だって、売れるまではアルバイトしたり、兼業だったり大変なのよ。役者以外で収入を得る方法があるのであれば、あなたも積極的にやるべきだわ。」
「それから、スターズの社長としても動画配信に興味もあるわ。ただし、あなたはスターズの代表としても見られるのだから、みんなの評判を落とさないように、その辺はちゃんとするのよ。」
僕の配信を見た後に、おそらくアリサママは頭痛で頭が痛くなるとは思うが(笑)、僕は素直なふりをして聞いていた。 アリサママはそんな僕を胡散臭そうに見ていた。
さあ、生まれ変わって初めての生配信がんばるぞ!!
どんなリスナーと巡り合えるんだろうか? わくわくする。