星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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朝野市子は映画を観る3

 

会場に、雪や千世子ちゃん達が入って来る。

 

「嘘っ。」

 

なんか、和葉が千世子ちゃんとキアラ嬢を見て驚いていた。

 

「本日は、私達の映画『ユーモレスク』の初上映会にこんなに沢山の方が来てくださってありがとうございます。」

 

雪が映画の前の挨拶を始める。

 

「多くの方は、この映画の内容をご存じだと思いますが、今回の映画は未公開のカット満載ですのでちょっと驚くかもしれません。」

 

「そうですわね。 ちょっと未公開のカットばかりすぎてみんなビビるかもしれませんわね。」

 

キアラ嬢が話を合わせてきた。

 

「未公開のカットと言うか、あれは別の・・・。うぐうぐっ。」

 

ニッコリとしながら、千世子ちゃんが景ちゃんの口を押える。

 

「未公開のカットと言うか、よくこんな事を考えたわねという感じね。」

 

「俺も出来上がりにはビビったから、みんなもビビって欲しいね。」

 

「そうですねっ。 たぶん観た人はみんなびっくりすると思います。 私もこの映画に出演できて本当に良かったですっ。」

 

「わたくしも雪お姉さまの処女作として、千世子ちゃんと二人で主演としてこの映画に出演できた事に感謝しますわ。」

 

「私も、この四人と一緒に柊雪の初監督作品に出演出来た事を誇りに思うわ。 たぶん、これから映画を観る人達はドキュメンタリーで見えなかった柊雪の一面を見てびっくりすると思うわね。」

 

それから、主演者四人のトークが続き、その後に阿佐ヶ谷芸術大学の理事長の挨拶、そしてその後にF4と雪が『ユーモレスク』垂れ幕を持って、観客席と報道陣に撮影タイムをして、そして舞台の袖に引っ込んで行った。

 

・・・無難すぎる。 無難すぎて逆に怖い。

 

『イカ娘 ☆ The MOVIE! 』の時の「イカ娘超絶バトル流しそうめん大会」ほどじゃないけれども、あのメンバーが揃っていれば、舞台の上で何らかの話題作りをして来ると思っていたんだけど、そんな事も無く超無難に終わらせた。

 

これは、そんなパフォーマンスで話題作りをしなくても、映画だけで全然問題無くヤバいのが来るのかもしれない。 そして、この映画はどんな映画か全くわかっていなかった。

 

うーん。これは絶対に狙っているよね。 この辺のミスリードはあの珍獣が一番得意だものね。

 

「はぁ~。嫌な予感がする。」

 

私は、背もたれに頭を押し付けながら天井を眺めた。 周りでは学生達が手動で暗幕を下ろしていた。 映画を前の期待に劇場の中がざわめいている。

 

そんな映画を前に隣の席で口元を手で押さえて、なんかショックを受けている女の子が一人。 もちろん和葉だ。

 

「どうしたの? 和葉?」

 

「百城千世子と星キアラってあんなに美人だったんですか!? あんな人、モデルでも見た事が無い。」

 

「ああ、本物を見たのがこれが初めてだっけ? そういえば、一般人でお忍びで外に出る時は別にしても、ガチのお仕事状態の二人を生で見た事が無いんだっけ?」

 

「あんなに、この世の者とは思えないほど綺麗な人を初めて見ました。 モデルの先輩でもあんな人居ません。 存在自体が輝いているっていうか、それに、星キアラが男とか嘘ですよね!? 百城千世子の横に立って遜色がない、あんなに綺麗な美人が男の訳無いですよね!?」

 

はぁ? コイツ、何で今更、百城千世子ショックと星キアラショックを同時に受けているんだ? 小中学生じゃないんだぞ?

 

ちなみに、説明すると、百城千世子ショックっていうのは、お仕事状態の百城千世子が綺麗すぎて生で見てショックを受ける事だ。 女優を生で見ると、思っていたよりも普通。とか言うパターンが多いのだけど、百城千世子は逆に、お仕事状態の彼女を生で見ると、その美しさに気圧される。 その体験以降は百城千世子の映画やドラマにドはまりするという、小中学生ぐらいの特有の症状だ。

 

そして、星キアラショックは言わずもがな、こんな美人の中身が珍獣で男だと知って、この世の全てが信じられなくなって、一周回って星アキラと星キアラのファンになるというヤバイやつである。 星アキラと星キアラの全肯定BOTとか、厄介以外の感想は無い。 ショックを受けすぎて思考能力が無くなるのは止めて欲しい。 正気になれ! あの中身は珍獣なんだぞ!!

 

「あれ? 和葉ってもしかして、百城千世子と星キアラは編集で顔を合成していて、実物はそこまで美人じゃないとか言う、2.5ch発祥のネタ陰謀論を信じていないわよね?」

 

「えっ? モデルの先輩が前にそう言っていたので、そう信じていたんですが、何なんですか!? あの人達!? TVで見るより綺麗じゃないですか!?」

 

「そりゃ、そうでしょ。 千世子ちゃんとか、写真写りは抜群に良いけど、実物の方が綺麗だし。 っていうか、芸能情報やワイドショーでも見ていれば、すぐに嘘だってわかるのに、和葉はそれも見ないからね。」

 

「えっ、私、先輩に騙されていたんですか!?」

 

「それって、モデルの仕事を始めたばっかりの時でしょ? 騙されていたというよりも、からかわれていたのね。 その先輩も和葉が本気でずっと信じるとは思っていなかったでしょうし。 ましてや、和葉がモデルから芸能界に行くぐらいだし、そんなジョークを真に受けるとは思っていないでしょうね。」

 

「私、てっきり、あのドキュメンタリーもコンピュータで編集して美人を作っているだけだと思って、冷ややかな目で見ていたのに。」

 

「和葉がアキラ君を馬鹿に出来た理由が分かったわ。 本人を知っていたらあの場面で絶対に馬鹿になんてできないのに、和葉、アキラ君を馬鹿にした瞬間に周りの人がドン引きした理由が分かったでしょ? ちょっと勉強不足だったわね。 まぁでも、そもそも和葉が仕事を始めた経緯から考えると、それも仕方が無いかもしれないけどね。」

 

「星キアラ、ドキュメンタリーで見るよりも綺麗だった・・・。 あれが男? 容姿も仕草も雰囲気も全て女性にしか見えない。 あれが演技? 演技って極めると男性が女性になれるの!? あり得ないでしょ? ・・・ブツブツ。」

 

和葉は何かブツブツ呟いている。 和葉、即落ち2コマで落ちないでくれる? もっとがんばって! こんなに簡単に落ちちゃうと解釈違いって言葉まで出て来ちゃうじゃない!

 

あれ? 映画本編はこれからよね? 映画本編が想像通りだとすると、今の時点でこれだと、この後の映画を観てしまうと和葉に少し薬が効き過ぎない?

 

ただでさえ、今この瞬間に、百城千世子ショックと星キアラショックを同時に受けて精神がヤバイのに、さらにF4が本気になった映画を観させられたら、和葉の精神は・・・。

 

「いちごちゃん、プリティーな女の子だから、良く分かんにゃい! キュン♡」

 

私は、ひどく久しぶりに子役時代の「お願い!魔法のいちごちゃん」の演技をして現実逃避をする事にした。

 

「朝野、お前、いい加減に歳を考えろよ。」

 

横で私のセリフを聞いていた山田がツッコミを入れてきた。

 

とりあえず、和葉、強く生きろ。 お前なら大丈夫だ。(全く根拠のない自信)

 





やめて!ラーの翼神竜の特殊能力で、ギルギル・ザ・ライトニングを焼き払われたら、闇のゲームでモンスターと繋がってる和葉の精神まで燃え尽きちゃうっ!

お願い、死なないで和葉っ!

あんたが今ここで倒れたら、市子さんや妹さんとの約束はどうなっちゃうの?

ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、珍獣に勝てるんだから!


次回「和葉死す」デュエルスタンバイ!

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