星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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I want to make my movie. その16

 

-------------柊雪視点-------------

 

会場の人ではほとんどの人が泣きながらも、満足した顔をした人が沢山居た。 みんなに感動を届けられてうれしい。

 

映画が終わって、私たちが再び舞台の上に立つ。 映画の評価を見る緊張の一瞬だ。

 

私たちが舞台に出たら、観客は総立ちでスタンディングオベーションで私たちを迎えてくれた。

 

いや、市子が隣の子をさかんにゆすっているけれども、大丈夫だろうか? 隣の子は体調が悪くなっちゃったのかな?

 

しかし、こうやって、観客のスタンディングオベーションを受けると感無量だ。

 

映画公開の前に、アキラ君達は、すごい映画だから全く問題ないって言っていたけれども、実際にこの目でお客さんの反応を見ると、安堵すると同時に、私の映画を受け入れてくれたという実感が湧いてくる。

 

私が観客たちの拍手を浴びて感極まっていると、キアラちゃんがマイクを取って話し始めた。

 

「さあ、皆様、柊監督の『ユーモレスク』はいかがでしたでしょうか。 皆様もびっくりされたかと思います。」

 

「そうね。私達も、私達以外の登場人物が一般の人たちだってことにびっくりしたもの。」

 

「俺も、雪がこんな恐ろしい撮影方法で映画を撮るとは思わなかったよ。」

 

「ありがとう。でも、千世子ちゃん、キアラちゃん、阿良也君、景ちゃんの四人なら、私は絶対にできると思っていたのよ。 だって、みんな本物なんですもの。 だから、本物で撮影すれば、絶対にすごい映画になると思ったの。 私もこんなにすごい映画を作れて、本当に幸せだわ。」

 

「特にイーファのヴァイオリンは本当にすごかったわね。」

 

「ええ。 おそらく同じ演奏をしろと言われても、2回目は無理ですわ。 人生の中でも指を数えるぐらい集中した演奏でしたわね。」

 

「エマの演技もキレキレだったな。 エマが自由気ままに動くから、エマに合わせるのが大変だったよ。」

 

「あら? イーファの方が自由気ままじゃなかったの?」

 

私は阿良也君の意外な感想に驚いて質問をしてみた。

 

「イーファの方もヤバかったけど、あっちはまぁ、道頓堀に捨てられたカーネルおじさんの銅像みたいな、予定調和な部分があるから、33対4ぐらいの勢いでなんとかなった感じがする。」

 

「なんでや、阪神関係ないやろ!」

 

会場からどっと笑いが起きる。

 

阿良也君に質問した事が間違いだった。 ここは、常識人の景ちゃんで・・・。

 

「あれ?景ちゃんは?」

 

「えっ?直前まで一緒に居たと思いますわ。そういえば、居ませんわね。」

 

「そうよ。 また舞台に出る前にちょっと席を外したみたいだったけど、てっきりお花をつみに行ったとばかり・・・。」

 

「景はどこに行ったんだ?」

 

「フッフッフッ・・・。」

 

聞いた事がある笑い声が講堂内に響き渡る。

 

「フッフッフッ。 久しぶりだね。猿君。」

 

「またあなたですか? ミスターX。」

 

ミスターXが反対側の扉から出て来た。

 

「その通りだよ。 猿君。」

 

「だから、私の名前は柊雪ですっ。 いい加減に覚えてください!!」

 

「フッフッフッ。 雪君。 映画が完成して、初公開も好評でご満悦のようではないか。」

 

「ご満悦ですが、何か? ようやく苦労の末に映画が完成したのですから、少しぐらい悦に浸ってもいいじゃないですか。」

 

「フッフッフッ・・・。 確かにその通りだ。 しかし、こんなこじんまりした公開会場で満足できるのかね? この映画はワールドワイドに放映される映画だ。 もっとビッグな会場で堂々と公開イベントをしたいのではないかね?」

 

「いいえ。 私の映画の看板が立っているだけでゲロ吐きそうなのに、そんな大きな会場で公開イベントをしたら、私の心臓が持ちません。」

 

「そんな、雪君のために、私の闇のゴルフ組織で、ワールドワイドなイベントをして盛り上げてやろうと言うのだ。」

 

「流石に止めて! そんな事をされちゃったら死んじゃう! それにここは私の母校で公開できただけで、すごく嬉しいのですからね!」

 

「フッフッフッ。 まだ私のゴルフ組織の恐ろしさが分からないと見える。」

 

「雪お姉様が嫌がっているのですから、無理強いしてはいけませんわ。」

 

「んっ? キアラちゃん、あなたずっとここに居たわよね?」

 

「そうですわ。雪お姉様、何を言っていますの?」

 

「えっ! って事はミスターXはアキラ君じゃないの!?」

 

「確かに、この怪しさはアキラお兄様の可能性がありますわね。 ミスターX! あなたはもしかしてアキラお兄様ではありません事?」

 

「フッフッフッ・・・。 そんな事はどうでも良いではないか。」

 

「はぐらかしましたわ。 雪お姉様! やっぱり、ミスターXの正体はアキラお兄様ですわ!」

 

「そんな訳ないでしょ!!」

 

私は思わず、キアラちゃんにツッコミを入れてしまった。

 

えっ? アキラ君じゃないとしたら、ミスターXの正体は誰?

 

「フッフッフッ。 そんな事よりも、これを見てどう思うかね?」

 

スクリーン一杯に、眉毛と彫がやたらと深い着ぐるみを強引に着せられる景ちゃんが映し出される。

 

「雪さん!助けてください! トイレに行ったらミスターXに捕まってしまいました! このままじゃ、闇のゴルフ組織の着ぐるみを着せられて、マスコットになってゴルフ場でイベント活動をしちゃいますっ!」(さらに評価をあげた天才女優による迫真の演技)

 

「フッフッフッ。 この着ぐるみは、闇のゴルフ組織のマスコットキャラクターである、『ゴルフ・サーティーン』だ。 驚いたかね? 雪君。 このままでは、夜凪景がゴルフ・サーティーンになって、闇のゴルフ組織のイメージアップに貢献してしまうぞ?」

 

「もうどこから突っこんだらいいの!? いい加減、元ネタの人に怒られるわよ!!」

 

「このゴルフサーティーンは、あの難所で知られる、ゴルフ()のホールを13打で上がったという伝説のマスコットキャラクターなのだ。 元ネタには全く心当たりが無いぞ。」

 

「ちなみに、そのホールはパーはいくつなの?」

 

「パーは4打だ。 フッフッフッフ。」

 

「全然だめじゃない。」

 

「さらに、このゴルフ・サーティーンの後ろに立つと、殴る蹴るの暴力を受けるので、決して後ろに立ってはいけないぞ。 ミスターXとの約束だ。」

 

「自分の所の着ぐるみマスコットがバイオレンスとか、イメージアップどころか、完全にイメージダウンじゃないの! 闇のゴルフ組織は、まともに広報活動をする気はないの?」

 

「フッフッフッ。 このままでは、闇のゴルフ大会で、ゴルフ・サーティーンが子供たちに風船を配ってしまうかもな。」

 

「そんなっ! 風船を配るなんて、そんなひどい事を!」

 

千世子ちゃんが、悲鳴を上げるような声でミスターXに抗議する。 いや、ここで演技力を使わなくてもいいから・・・。

 

「フッフッフッフ。 さらにチョコバナナまで作って、ゴルフ場に来た、ナウなヤングにバカウケかもな。」

 

「ちょっ、チョコバナナですって! そんなうらやま・・・。ゲフンゲフン、けしからんですわ! そんなの絶対に許しませんわ。」

 

キアラちゃんは、チョコバナナで何を想像しているのかしら?(ゲス顔)

 

「フッフッフッ。 しかも、焼き鳥とビールすら配って、年配の人の心まで鷲掴みかもしれないな。」

 

「焼き鳥とビールだって!? そんな犯罪的で、悪魔的な組み合わせを配られたら・・・・、く~キンキンに冷えていやがるっ!」

 

「阿良也君、突然カイジになるのは、やめてくれる? あと、そのビール、どこから持ってきたの? 一応、阿良也君も仕事中のはずなんだけど。 そもそも、阿良也君はカイジの役が似合いすぎるからやめて。 あなた、役者を廃業したら、絶対にカイジになるじゃないの?」

 

「夜凪景がこんな目にあっているのに、見殺しにするのかね? 雪君?」

 

「わかったわ。 またミスターXに着いていけばいいんでしょ?」

 

「覚悟が決まっている監督は好きだぞ。雪君。」

 

「いけませんわ! 雪お姉様、ミスターXに着いて行ったら、バナナを剥く仕事やチョコをかける仕事をさせられるかもしれませんわ!」

 

「あなたはいい加減にチョコバナナから離れなさい!」

 

こうして、私はまたミスターXに連れられて、どこかに行くことになったのであった。

 

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