星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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批判記事を書いた週刊誌記者の話1

大学を卒業して、夢の記者になってはや5年。

 

華やかな芸能界に憧れて週刊誌の記者になったが、現実は厳しく、人付き合いもうまくない俺はなかなか記事を当てることもできずに、記者としてくすぶっていた。

 

芸能界はコネと実績が重視される社会で、どちらも持たない俺は次第に、ゴシップやスキャンダル関係の記者として、芸能人に嫌われるような記事を書くようになっていく。

 

今の芸能界のトップは誰かと言われれば、元天才女優で今はスターズの社長、星アリサをおいて他にはないだろう。

 

しかし、星アリサのゴシップ記事を書いたところで読者に目新しい興味を引かないだろうし、盛り上がることも無い。

 

そこで目を付けたのが、その子供の星アキラであった。

 

星アリサが父親不詳の子供を妊娠した時にはそれはもう、芸能界は大騒ぎだったらしい。

 

母親に役者の英才教育を受けた星アキラは、4歳の頃から子役として活動し、母親譲りの容姿も相まって人気もあり、将来を嘱望されている。

 

星アキラを調べてみても、非常に素直な性格で人当たりも良く、現場でも可愛がられているらしく、嫌な噂などは聞けなかった。

 

ただ、取材をしているうちに、星アリサは百城千世子を可愛がっており、実は星アキラよりも百城千世子を優先している事が解ってきた。

 

同時に、星アキラというのはどんな役も問題なくこなすけれども、無難すぎて存在感が薄いみたいな感想も聞いた。

 

だがこんなのは記事にならないし、大した興味を引く事も無いだろう。

 

そこで俺は面白おかしくアレンジし、優等生の星アキラは実は傍若無人な人物で実は演技の才能は無いが、母親のごり押しで芸能活動で不当に配役をもらい続けているという記事にした。

 

星アキラのせいで役を降ろされた子役を担当するマネージャや、彼の傍若無人な態度に飽き飽きしているプロデューサーなどの話を捏造し、星アキラに才能が無い事をさも真実のように書いた記事を作成していく。

 

真実などどうでもいい。大衆というのは、分かりやすい悪や不公平に興味を示すのだ。

 

毎週なんらかの記事を乗せることをノルマとされている週刊誌の記者としては、もう真実なんて書く必要は無く、真実は自分で作るものだとさえ思っていた。

 

実際の所、ノルマから逃げるための、こんな嘘ばっかりのゴシップ記事は話題にすらならないと俺自身も考えていたのだが、星アリサに守られた10歳の未成年を堂々と批判した所がウケたのか、SNSやネットの掲示版でバズり始める。

 

ネット上では星アキラを公然と批判するコメントで溢れていく。

 

有形無形の悪意が星アキラへと集まっていた。それを見て俺は、ざまぁ見ろ。恵まれた生活を送っているからそうなるんだと。正義の記者のつもりで、ネット上の祭りを楽しんでいた。

 

純粋に自分の記事がバズっていたのが嬉しかった。

 




はい。騒動の元凶の週刊誌記者さんでした。

次回もこの週刊誌記者さんのお話になります。自分の記事で星アキラが自殺しちゃってどうなっちゃうんでしょうね?(ゲス顔)
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