星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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夜凪景はスピーチする

 

会場が暗くなり、司会にスポットライトが照らされてアカデミー賞の授賞式が始まった。

 

まずは助演女優賞の発表だ。 ノミネートされた4人の映画や経歴が読み上げられる。 もちろん、その中に景ちゃんが入っているね。 そしてスクリーンに映し出される四人の女優達。 ・・・一人ウマ娘がいるw

 

ドラムロールに合わせてスポットライトが回り、そして景ちゃんにスポットライトが集まる。

 

「助演女優賞は、夜凪景、『ユーモレスク』が受賞しました!!」

 

沢山の拍手の中、景ちゃんが驚きの表情を浮かべる。

 

そう。助演男優賞を最年少で受賞した僕に続いての、最年少での助演女優賞の受賞だ。

 

景ちゃんは、何かまるで幻にでも見る感じで、ぼ~としている。 大丈夫だろうか?

 

そして、ぼ~としている景ちゃんを、夜凪ママとルイ君とレイちゃんが舞台に連れて行く。

 

僕たちは、もしも景ちゃんが助演女優賞を受賞した場合には、夜凪ママとルイ君、レイちゃんと舞台に上がるように事前に打ち合わせていた。 しかし、まさか、景ちゃんが家族に連れられて舞台に上がる事になるとは思わなかった。

 

家族に連れられて、景ちゃんが前のステージに上がっていく。 まだ景ちゃんは夢でも見ているようにぼ~としている。 やばい。 まともにスピーチできるのだろうか? 僕は心配になってきた。

 

「Kei Yonagi! おめでとうございます! 助演女優賞の受賞です。」

 

「私が助演女優賞? 本当ですか!?」

 

「はい。そうですよ。 あなたが受賞しました!」

 

「景、ほらっ。 ウィッグとしっぽを外して行くわよ。」

 

夜凪ママに耳とウィッグとしっぽを外された景ちゃんは、ドレス姿で舞台に立つ。 馬みみとしっぽを外しちゃえば、景ちゃんはただの美少女である。 ちなみに、夜凪ママとルイ君とレイちゃんはウマ娘のまま景ちゃんに連れられて、一緒にステージに立った。

 

「Kei Yonagiおめでとうございます! ユーモレスクでの熱演、そして走れケイティでの声優としてのすばらしい働きも評価されての受賞になります!」

 

「私が助演女優賞・・・。」

 

景ちゃんが舞台の上で呆然としている。 この後のスピーチは大丈夫だろうか? そもそも何を喋るんだろう?

 

「うーむ。 そういえば役を演じていない景ちゃんはその辺に居るただの女子高生だからね。 スピーチの内容とか大丈夫なのかな?」

 

「大丈夫よ。 あの子は舞台が大きくなればなるほど輝くわ。」

 

そういって、夢見ごこちで明らかにふわふわした景ちゃんのスピーチが始まる。

 

「私が星アキラさんに出会ったのは、人生がどん底の時でした。」

 

・・・景ちゃん? 何を言い出すんだ?

 

「元父親だった人が蒸発して、お母さん一人で、私と生まれたばかりの双子の三人を支えなければならず、お母さんは働き詰めで過労死寸前となり、ついに病院へ入院する事になりました。」

 

「子供ながらに、お母さんの元に死神が近づいているのがわかって、日に日に、目の前が真っ暗になっていきました。 私達家族の破滅はすぐそこまで近づいていました。 あの頃は、お母さんが死んでしまうのではないかと思って、毎日泣いていました。」

 

「そしてお母さんはついに病院に入院する事になってしまいました。 病院で病状がわずかに回復したお母さんを連れて廊下を歩いている時に、かすかに上の階からピアノの音が聞こえて来たんです。 病院の中を散歩していた私達は、そのピアノの音に導かれてある病室の前にまで行きました。その病室の中では、まだ10歳だったアキラさんが見事なピアノを弾いていたのです。」

 

「アキラさんは、病室の前に居た私達を部屋に招くと、私のリクエストした曲を演奏してくれて、沢山のお菓子や缶詰などをいっぱいくれました。 私は弟妹優先で、甘い物なんてしばらく食べれていなかったので、すごく美味しかった。 あの時の桃の缶詰の甘いシロップと果肉の味は忘れられません。」

 

「そこでアキラさんと出会い、アキラさんに家政婦の仕事を紹介してもらった事で、私達家族は救われました。 そしてアリサさんに役者としての心構えと技術を教えてもらって、千世子ちゃんや阿良也さんと競い合って、墨字さんに見いだされて、雪さんの映画に出演させてもらって、そして沢山の人に支えてもらって私はここに居ます。」

 

「アキラさん、アリサさん、私達家族を救ってくれてありがとう。 私と一緒に仕事をしてくれたみんな、私を育ててくれてありがとう。 弟と妹たち、そして友達のみんな、私に幸せを教えてくれてありがとう。 そして最後にお母さん! 生きてくれてありがとう!! 私は、お母さんの子供で良かった! お母さん! 私を産んでくれてありがとう!! 私は、私はっ、世界一の幸せ者です!!」

 

そうして、景ちゃんは頭を下げると、夜凪ママと弟妹の所に行き、家族全員で、涙でボロボロになりながら抱き合った。

 

いきなりの感動のスピーチに、会場はスタンディングオベーションと最大の拍手で彼女の助演女優賞の受賞と彼女達家族を祝福した。もらい泣きをしている人も沢山居る。

 

彼女たち家族が席に戻るまで会場の拍手は鳴り止むことは無かった。

 

飾らない素のままの彼女のスピーチは、心に残る感動のスピーチとして、アカデミー賞のスピーチとしてだけでなく、名スピーチの一つとして、スピーチ教材や授業などで広く取り上げられて、長く歴史に残る事となった。

 

同時に、このスピーチは彼女の精神的な成長を強く印象付けて、アカデミー賞の助演女優賞を受賞するにふさわしい女優として、夜凪景の名前が広く世界に知れ渡るのであった。

 




いつも、こちらの小説を読んでいただいてありがとうございます。
ついに、夜凪景ちゃんがアカデミー賞の助演女優賞を受賞しました。

こちらの小説の夜凪景ちゃんは、数あるアクタージュの二次小説の中でも、トップレベルに幸せな夜凪景ちゃんであると自負しています。

彼女の受賞を受けてこれからどうなっていくのか。 そして、景ちゃんがいきなりの名スピーチを行ったことで、多大なプレッシャーがのしかかる事になってしまった雪姉ちゃんはどうなってしまうのか!?
今後とも続きをお楽みください!
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