星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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星アキラは夜凪景の舞を見る

 

駅に着いたら、マイクロバスが用意されていて、僕たちは、景ちゃんのひいおばあちゃんの居る本家へそのまま行くことができた。

 

「よう来たじ。」

 

本家に着くと、ひいおばあちゃんと夜凪家の沢山の親戚の人たちが集まって出迎えてくれた。 日の丸の旗まで持っている人がいる。僕たちの年齢のせいか、若い子達もすごく多かった。

 

「ひいおばあちゃん、帰ってきましたっ!」

 

「去年よりも、さらにがんこ可愛なっとるさね。 これはハリウッドもほっとかんはずや。」

 

「ひいおばあちゃん、帰ったよ~!」

 

「帰った~!」

 

「ルイとレイも背が伸びてぇ、さらに可愛なっとるね。よう来たじー。」

 

「こちらが、私の友達のアキラさんと、千世子ちゃんと、阿良也さんと雪さんですっ。」

 

「みなさん、よう来てくれた。 あんた達のようなスターを迎えれて、とておうれしい。」

 

「ありがとうございます。 ご厚意に甘えてしばらく宿泊させていただきます。」

 

そうして、僕たちは家の中に通された。

 

「すごい歓迎だね。 まるでハリウッドスターを迎えるような歓迎っぷりだよ。まるで人気者になったみたいだ。」

 

「アキラちゃん、そのダサい一般人ムーブギャグはすごくわかりにくいわ。 本当にハリウッドスターで人気者なんだから、正しい歓迎の仕方じゃないの。」

 

「こう言いなおそうか? まるでビートルズが日本に初来日した時のような歓迎っぷりだよと。」

 

「ビートルズが初来日した時は、空港に待機していたファンは、台風でみんな帰っちゃったみたいよ? その後は大混乱だったみたいだけど。 その時に空港に残ったファンぐらいの数なら、リアルな数値ね。」

 

「たぶん、ドリフターズが来るぐらいの歓迎ぶりじゃないの?」

 

「雪ねぇちゃん、いい線突くね。ドリフターズはビートルズの前座を務めるぐらいの人気バンドだからね。それはすごい歓迎っぷりだと思うよ。それに、旅行で来たのに、街でパレードでもされたらドン引きだったから、暖かく歓迎してくれてすごくうれしいよ。」

 

「パレードは自意識過剰すぎると思うわ。スターを演じすぎると常識から乖離するわよ?」

 

「仕事のバランスとプライベートは大切だね。それで、プライベートなのにカメラを構える雪ねぇちゃんは何をしているのかな?」

 

「もちろん撮影よ。 こんないいシチュエーションは、映像作家の血が騒ぐわ。」

 

「雪ちゃんのYoutubeは旅動画も人気だから、こんな立派なお屋敷なら、撮影するのも仕方がないわね。」

 

「結局、好きならストレスも無いよね。」

 

こんな会話をしながら、見事な中庭の見える長い廊下を歩いていく。

 

「大きい家だな。古くて歴史のある匂いがする。 あと魚の匂いも。」

 

「もともと網元の一族らしいし、親戚の方々も漁業に携わる方が多いって言うから、やっぱり魚関係の出入りも多そうだね。」

 

そうして、僕たちは、畳張りの24畳ぐらいの大広間に通されると、そこにすでに食事の用意が整っていて、僕たちは上座に通された。

 

「これが、アメリカからのお土産ですっ。」

 

そう言って、景ちゃんは、ひいおばさんと親戚の方々に、オスカー像のレプリカや、ハリウッドスター達のサイン、僕たちのブロマイドやユーモレスクの記念品、謎のアメリカお菓子(なぜこんな色に着色するんだ)、など沢山のお土産を配った。

 

ついでに僕たちも、東京名菓のひよこや、スターズグッズ、走れケイティグッズ、安原絵麻直筆イラストなどを配った。・・・ハッキリ言おう。この中で一番価値があるのは、ここに居ない絵麻ママの直筆イラストである。 そして、さも東京銘菓だとでかい顔をしているひよこは、元は福岡県のみやげものである。 そうみると、東京のエリート風みやげのどや顔をしているひよこに対して、僕は沸々とライバル心が湧いてくるのであった。

 

・・・やはりこいつにせずに、伝統の人形焼きにするべきだったか・・・。

 

「アキラさん、どうしたのですか?」

 

「景ちゃん、新幹線開通の頃から東京に居座る福岡みやげは、東京みやげとして認めてよいと思うかい?」

 

「また変なことを考えていたのですねっ。」

 

「僕は珍獣として、ひよこが永遠のライバルだと思うんだ。 見てよこのどや顔を。 福岡と東京以外にも、絶対に日本全国を制覇しようという顔だよ。」

 

「日本中に売っちゃったら、東京銘菓じゃなくて、ただのお菓子になっちゃうじゃないですか。」

 

「そうやって油断させているのさ。 僕も負けずに、珍獣まんじゅうを作るべきだね。」

 

「食料品は賞味期限があるから、グッズとして難しいって、アキラちゃん自身が前に言っていたじゃないの。」

 

「くっ、やはり僕はひよこに膝を屈してしまうのかっ! 僕はっ、僕はひよこに勝てないの!?」

 

「景の友達は本当におもしいじー。さすがは世界的なスターや。」

 

「スター関係無さそう・・・。そして、その超くだらない迫真の演技、見事にカメラに収めさせてもらいました。」

 

そんな感じでほのぼの?と食事会が始まり、みんなで記念撮影などをしてから金沢観光を楽しんで、景ちゃんの親戚の人たちとも仲良くなった。 この辺の交流は、映像作家の血がたぎる雪ねぇちゃんが、がんがん撮影していた。

 

そして、大みそかの日。 おそばと金沢屈指の新鮮な海鮮料理に舌鼓を打ち、おそばを食して0時を過ぎた頃に、後ろの神社で舞を踊ることになったみたいだ。

 

僕たちは、景ちゃんが神秘的に舞う姿を是非見たかった。雪ねぇちゃんも舞を納めるべく、本気でスタンバイをしている。

 

景ちゃんが舞を踊るとなると、周囲の家から沢山の人が神社にやってきた。

 

「うーむ。やっぱり、景ちゃんみたいな女優が舞うと集客力がすごいな。」

 

「それだけでねえよ。去年の景ちゃんの舞でぇ、数十年ぶりに夜凪が生まれてぇ今年は豊漁やったんだ。 この地区のみんなが信仰する龍神様が喜ぶおめでたい舞をみんな見たいじー。」

 

仲良くなった、親戚の漁師さんが人が集まってくる理由を教えてくれる。

 

「なるほど。そんな縁起物ならみんな見たいよね。」

 

「景ちゃんなら、海にゲロを吐けあ、龍神様を降臨させる事もできるかもしれん。」

 

「こんな所に夜凪家のケロケロのルーツが・・・。 景ちゃんとケロケロは切っても切り離せないみたいだね。」

 

「すげぇルーツだな。このぐらい格式高いとゲロっても奉られそう。」

 

「阿良也は相変わらず他人事だよね。 景ちゃんが舞に入り込みすぎて、舞っている最中に大変なことにならない事を祈ろう。 しかし、寒いな~。 すごく吹雪いていて、このままじゃ、凍っちゃうよ。」

 

「日本海やとこんな寒波も時化も当たり前やぞ。 やさかい、この中で、凪を作り出せる舞を踊るだけで伝説になるがやぞ。」

 

「なるほど。あっ、景ちゃんが出てきた。」

 

僕は景ちゃんを見てぎょっとした。 完全に舞人の役に入り込んでいる。 ほぼ別人格と言って差しさわり無い。 まさに神秘的な存在に代わっていた。

 

景ちゃんが舞を踊り始める。 指先一本から、髪の流れに至るまで、自然で超常的な力が宿っている気がする。 舞の音楽と風雪が打ち付けているはずなのに、そんなのは聞こえずに、ただ、景ちゃんの持つ鈴の音と、彼女の足音だけが周囲に響いている。

 

周囲を見渡すと、観客たちは、彼女だけを見つめて呆然としている。 唯一、千世子ちゃんだけは、無表情でニヤリとした表情をしていた。 これはこれで怖い。

 

彼女の舞う鈴の音が耳のすぐ近くでリンリンと鳴っているような幻覚を覚える。 同時にこの世とあの世の間みたいな、現実との境界線が薄くなったような感触を覚えた。

 

彼女の舞の動きに合わせて風向きが変わる。 幻想的や神秘的と言った言葉は、この時のためにあるのだろう。

 

会場に来ていた全員が彼女の舞に魅入られていて、彼女の舞は永遠に続くような幻覚を覚えた。

 

でも、そんな舞も終わりが来る。 最後に彼女が持つ鈴を大きく振り上げた瞬間に、甲高い大きな音とともに雷が落ちた。

 

みんな、雷とともに現実に引き戻されると、舞台上で景ちゃんが倒れていた。

 

僕達が慌てて駆け寄ると、景ちゃんは自分で体を起こした。 安堵して景ちゃんの目を見ると、僕達は固まった。 今の彼女は景ちゃんでは無いのがすぐに分かったからだ。

 

「この地に降りるのは、実に70年ぶりかな。 この時代に私を降ろせるぐらい感受性が高い舞手がいるとは・・・。」

 

「「「「えええええっ!」」」」

 

~ 次回へ続く ~

 





大晦日に、まさかのオカルト展開。 景ちゃんに乗り移っているのは一体何者なのか!?(ネタばれ済み)
次回、ゴーストスィーパー千世子 珍獣大作戦!! お楽しみに!(嘘です)

本年もこちらの小説を読んでいただいて、ありがとうございました。 来年もよろしくお願いいたします!

それでは、良いお年を!
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