星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
「ねぇ、千世子ちゃん、この記事どう思う?」
そう言って、僕は週刊誌を千世子ちゃんに渡した。
「景ちゃんが悲劇のヒロインって言うこの記事? 一面では合っているけど、ほとんどの意味では全く合致していないわね。しかも枯れたニュースを今出してきても、すっごく微妙ね。」
「まぁ、父親絡みで昔は不幸だった時期があった事は確かだけど、今更、景ちゃんが悲劇のヒロインって言って、読者の興味を引けるかと言うと、残念ながら本人は悲惨な生活からほど遠い生活を送っているから、この記事内容は読者も無理筋だと感じるよね。」
「でも、アキラちゃんがこんなどうでもいい記事を私に見せると言う事は、何かあるって事?」
「そうだね。現時点では何も無くても、将来的に何かを仕掛ける布石を打っているかもしれない。」
「へー。大黒天だけならまだしも、今のスターズとやり合おうとかすごい勇気ね。」
「その辺は大丈夫だと思う。本人は、たぶん、景ちゃんを引っ張り出したいだけだと思うよ。一応、人は付けてあるし、僕達に不利益な行動をしそうなら、後手に回らないうちに対応できると思う。」
「相変わらず、怖いわね。世が世なら、貴族の当主にでもなって、暗殺部隊でも率いていたんじゃないの?」
「僕よりも先にアリサママが当主のはずだけど、サイコパス領主なんて、領民がかわいそすぎるよ。でも、なろう小説みたいに、貴族にチート転生して、なぜか膨大にある大量の魔力でチート生活とか面白そう。不便な事はとりあえず魔法で解決。土地が豊かになる魔法とか、攻め込んできた兵士をみんな倒す魔法とかで、内政チート、軍事チートしたい放題のウハウハ生活!」
「アリサさんは、一部にサイコなだけで、領民に慕われる、いい領主になると思うんだけど。あと、チート貴族生活は、TASでゲームをやっている感じになるから、言うほど面白く無くて、飽きると思うわよ。」
「確かに。」
そう言って、僕はその辺をぐるぐると歩いたり、立ったりしゃがんだり、壁に向かって走ったりしてみた。
「アキラちゃん、何をしているの?」
「乱数調整。これで、明日、一億円が手に入るはずさ。」
「意味不明ね。それで、そんな生活を続けていて、面白いの?」
「今、試してみたけど、全然面白く無さそうだね。千世子ちゃんの言う通り、すごく飽きそうだ。僕なら、普通の内政じゃなくて、TASさんの休日内政に走って領民が大混乱になりそうだね。」
「結局、この雑誌を書かせた人物は誰なの?」
「芸能プロデューサーの天知心一。正直者の金の亡者と評判の人物だね。まぁ、芸能プロデューサーとしては一流だし、裏でアリサママが何か絡んでいるみたいだから、何かを企んでいるんだろうけどね。」
「ふーん。それで、アキラちゃんは、その企みを阻止するの? それとも放置?」
「そりゃ、放置でしょ! だって面白そうだもの。基本的に向こうが悪意を持っていない限り放置さ。こんなのをいちいち潰して、そこかしこから恨みを買いまくっても、なにも良い事が無いよ。」
「アキラちゃんって、流れに任せるのが好きよね。」
「この世は音楽で出来ているのさ。音楽とは音の流れ。ハーモニーの雫。下手に動いて不協和音を出すよりも、それぞれの人生が奏でるメロディーをそのまま楽しむのが良いのさ。」
「わかるようで、全くわからないセリフね。それっぽい事を言っておけば、とりあえず流せると思ったでしょ? 『高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する。』と同じ匂いを感じたわ」
「バレたかw」
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「千世子ちゃん、今、連絡が入ったよ。スタジオ大黒天で、天知心一が景ちゃんに会いに行くようだよ。」
「それは楽しそうね。演技の練習中だったからちょうどいいわ。早速行きましょう!」
「もちろんだよ。」
「それじゃ行くか。」
僕が千世子ちゃんとスタジオ大黒天に行こうとすると、なぜか阿良也が居た。
「げーっ 阿良也! ここはスターズのスタジオだぞ!どっから湧いてきたんだよ!」
「舞台関係で、アリサさんに呼び出されていた。早速行くぞ!」
「ちょっと阿良也!これから劇団の小物の買い出しじゃないの!」
「七生、アッシー君がここに居るから、ちょっと遠回りするぐらい大丈夫だぞ。」
ちなみに、アッシー君とは、バブルの頃に女の子の足になって送り迎えをしてあげる優しい男子の事である。キープ君とかも言われていて不遇の扱いだけど、草食系男子が一大勢力になりつつある現在では、これぐらい優しい男子の方がウケが良い時代になったね。
「僕をアッシー君にするのは阿良也ぐらいだよ。」
「それならいいわね。それじゃ、行きましょうか。どこに行くかは分からないけど。頼むわよアッシー君。」
「七生姉さんもひどいよ。いつかアッシー君から、アッシーマーにレベルアップしてやる!」
「いいんじゃないか? モビルアーマーにも変形できるから、多用途に運用出来て便利だと思うぞ。Zガンダムほど変態機構じゃないから、運用に難が無さそうだし。」
「そうね。アッシー君にメッシー君も加えたら、とてつもなく便利ね。」
ちなみに、メッシー君とはバブルの頃に女の子にご飯を作ってくれる男子だ。こちらもバブルの頃は不遇の扱いだったけど、現在では間違いなく主流の優しい男子だね。
「千世子ちゃんまで酷いよ! 僕はパーフェクトガンダム並みにパーフェクトで凄い俳優なんだよ!」
「アキラ、パーフェクトガンダムの音を出してみろ。」
「グポン♪」
「アキラちゃん、それ本当にガンダムの音なの? ザクの音に聞こえたけど・・・。」
「千世子ちゃんまで僕の事を疑うの? 僕のハートはすごく傷ついたよ。これはまごう事なき、パーフェクトガンダムだよ!」
「確かに、別世界のパーフェクトガンダムかもな。中身がニセモノとか役者らしくていいじゃないか。」
「ニセモノとか酷いよ! あと何気に阿良也ってガノタだよね。」(ガノタ:ガンオタ:ガンダムオタクの事)
「巌さんが、Zガンダムの舞台をやろうとした時に覚えた。でも、ダンボールで作ったモビルスーツ戦の迫力がゼロでお蔵入りになった。アッシーマーは変形後に舞台上で置かれているだけで、ただの饅頭みたいでシュールだったぞ。巌さんも流石に反省して、今はボボボーボ・ボーボボの舞台をやろうと企んでいる。」
「巌のじっちゃんも天才すぎて僕は理解できないよ。ボボボーボ・ボーボボの舞台なんてできる訳が無いじゃないか。アニメですら人類には早すぎるのに。」
「案外行けるかもしれないぞ。」
こんな会話をしながら、僕達はスタジオ大黒天を目指すのであった。
いよいよ、羅刹女編のスタートです。
悪の芸能プロデュサー、天知心一の野望を珍獣君はうち破れのでしょうか?
(本人は全く打ち破る気は全くありませんが・・・。)
しかし、この世界でボボボーボボーボボの舞台を公演するのは、劇団天球かもしれない。
(しかも巌裕次郎の演出で。)