星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
------------- 星キアラ視点 -------------
バンドの音合わせが始まった。まずは軽い音合わせなのだが、ぼっちちゃんの緊張は最高潮に達しているため、がたがたと震えて周囲の光を取り込むブラックホールと化して、顔の造形が崩れていますわ。
「ぼっちちゃん、えらく緊張していますのね。大丈夫ですの?」
「だだだだっだ大丈夫ですっ。ガタガタガタ。陰キャですいません。ニートがこんな所でギターを弾こうとしてすいません。」
「駄目そうですわね。しかも、ぼっちちゃんは高校にちゃんと通っていますから、ニートではないですわよ。」
「駄目だ。ぼっちは緊張で自分すら見失ってニート化している。」
「ろっ、ろくに働かなくてすんませんっ。」
「ひとりさん、その言葉は刺さる人が沢山居ますよ。」
「キアラちゃん、さすがにこれは収録どころじゃないのではないの?」
「大丈夫ですわ。この事態を見越して秘策がありますの。」
「秘策?」
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「はぁ~落ち着く。」
ぼっちちゃんは、カメの着ぐるみを着て、頭と手足を引っ込めて、甲羅の中に引きこもっていた。
「きっ、キアラちゃん、こいつは一体・・・。」
「これは、星アキラもふもふ珍獣着ぐるみ四聖獣シリーズの第三弾、玄武着ぐるみですわよ。手足を引っ込めれば、いつでもどこでもプライベートな空間を確保できると、陰キャ界隈をざわつかせた、おそるべき多機能着ぐるみですわ!みんなこの着ぐるみが欲しいですわよね?」
わたくしは、ばばーんとオーバーリアクションを見せて、玄武着ぐるみをアピールした。これでみんな玄武着ぐるみに羨望のまなざしを浴びせて、みんな欲しがるに違いない。
「いや・・・。そんなにいらないかな?」
「流石にこれは無いです。」
「ぎゃははははっ。甲羅状態になって、観客に飛び込みてぇ!!」
「わっ私はすごく欲しいです。これ持って帰っていいですか?」
「ぼっち以外に需要は無い。」
あっれ~?ぼっちちゃん以外はイマイチな反応ですわね。酔っ払ったきくりさんも着ぐるみの使い方を間違えていますし。
「でも、ぼっちちゃんだけこんな状態じゃ、さすがにまずいのではないですか?」
虹夏さんが質問してきましたわ。
「大丈夫ですわ。だって・・・、」
「キアラ、お待たせ~。」
パルファンが入ってきましたわ。
「パルファンちゃん、その恰好は何!?」
「何って素敵でしょ?」
「星アキラもふもふ珍獣着ぐるみ四聖獣シリーズの第二弾、朱雀着ぐるみですわ。朱雀と言えばフェニックス、フェニックスと言えば不死鳥! 特に理由はないけど、パルファンに似合いそうですわ!」
「えへへっ、それほどでも。」
「パルファンちゃん、それでいいの!?」
「もう理由が適当すぎる。」
なぜか志摩さんが呆れていますわ。
「きゃ~っ。なにこの子! かわいすぎる!!」
パルファンは、カメの子になったぼっちちゃんを見つけて、気に入ったのか、台車に載せて搬出しようとしている。
んっ?搬出!?
「ちょっとパルファン!何をやっているのですの!?」
「えっ?この子かわいいからフランスまで持ち帰ろうかと思ったの!」
「・・・・私はカメ、私はカメ、私はカメ・・・。」
「ちょっと、ぼっちちゃんはペットじゃないのだから、持って帰っちゃ駄目でしょ!ちゃんとその辺に置いておきなさい!」
「ちぇっ、は~い。」
「私はペット以下のミジンコですんません・・・。」
「ひとりちゃん、この状況で意外に余裕あるわね。」
「まったく、誰の影響でこんなに自由奔放になったのかしら・・・。んっ?どうしたのですの?なんでみんな私をみているのですか?」
「別に・・・。」
「キアラちゃん、何でもないわよ。」
「犯人。」
「まぁ、いいですわ。星アキラもふもふ珍獣着ぐるみ四聖獣シリーズの第一弾、白虎着ぐるみを着てっと、わたくしもこれでバンドの練習が始められそうですわね。」
わたくしも、白虎の着ぐるみを着て、練習の準備を始めます。
「いや、これで練習はいくらなんでも・・・。」
「これはさすがに、お呼びした海外の方々も怒るのでは・・・。」
「こんな着ぐるみ、まずいですよ。」
「大丈夫ですわ。だって・・・。」
「オマタセシマシタ。」
そういって、エリオット・クラフトンさんが入ってきましたわ。
「エリオットさん!その恰好!!」
「星アキラもふもふ珍獣着ぐるみの四聖獣シリーズの第四弾、青龍着ぐるみですわ! ファーストギターとセカンドギターは一心同体。ギターの着ぐるみペアルックをお願いしたら快諾してくれましたわ。」
「ドラゴン、モフモフデス!」
「コンニチハ!」
「うわっ、他の人たちもみんな着ぐるみを着ている。」
「あゆみ、ママはうさぎちゃんですよ!」
「お母さん、そんな恰好で、はしゃがないで!」
なぜかあゆみちゃんがチェロ奏者のお母さんである、有島つばささんを見て、涙目になっていますね。
それから、わたくちたちはこの世界最高のメンバーで、練習を開始しましたの。
「雪お姉様、世界最高のバンドメンバーの雄姿をドキュメンタリーとしてちゃんと収めてくださいね?」
「これは世界最高のバンドというよりは・・・・。」
「ゲテモノバンド。」
「ゲテモノだよね・・・。」
「まごう事なきゲテモノバンドね。作曲と演奏をお願いする人を間違えたかもしれないわ・・・。とりあえずロックね。」
「千世子ちゃん、ヤバい人達を全部ロック認定しないで!!」
「明らかにやべぇねぇ・・・。酔っ払った私でもわかる。これはヤバイ!」
「世界最高のメンバーのはずなのに、地獄絵図・・・。」
「さあ、最高のメンバーで最高のロックを世界に届けますわよ!! みんないっきますよ~!」
「歪みねぇな!」
「超スピード!?」
「仕方ないね。」
「茂美怖いでしょう。」
なんか、変な空耳が聞こえますわね。大丈夫でしょうか?
これから超一流の演奏家達による空前絶後の超絶ロックな演奏が始まります。
ぼっちちゃんは大丈夫でしょうか!?