星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

363 / 387
イギリスに拉致られたぼっちちゃんの緋色の研究

 

------------- 後藤ひとり視点-------------

 

アリシアのファーストギターを無事にやり切った私は、エリオット・クラフトンさんにとても懐いて、気が付いたらイギリスに居た・・・。

 

なんだか知らないけど、エリオット・クラフトンさんにうんうん言って、着いて行ったら、お母さんが空港に私のパスポートを持ってきて、そのままジャージ一つで飛行機に乗って、飛行機の中で見ず知らずの人達が周りに居るのに緊張してガタガタと昇天していたら、気が付いたらロンドンのヒースロー空港に到着していた。

 

飛行機と一緒に魂が天まで昇るかと思った。この飛行機は高度が上がって私の魂を天国に連れて行くと思って、私の口から魂がフワフワと飛び出ていた。

 

入国審査も、英語なんてわからなくて、ハイスクールすちゅーでんと!!って言ったり、エリオットさん! エリオットさん!とか日本語で言っても全く通じず、入国審査官が私のギターを指さすので、

 

私は、軽くミュートしてリズムを切りながら、E → D → C → D → Em(アルペジオ)のリフを弾いて、「ちがうんですほんとにちがうんです〜〜〜!!」と身の潔白をがんばってアピールした。

 

そして、スタッカートを利かせながら、G→ A7sus4→ Dのリフで「わ、わたしは!ただギターが好きなだけで!!!」とがんばって、土下座したら、なんか入国できた。

 

入国審査官が私をどう見たのかは良く分からなけど、私は無実なのは分かってくれたらしい。

 

そして、入国審査を出るとエリオットさんのチャーターしたタクシーに乗せられて、郊外のお家へ。

 

エリオットさんが呼び鈴を押すと、中から優しそうな老婦人が出て来た。直感的にわかった。この人ならわかってくれると。

 

私はこの老婦人に抱き着いて、滝のような涙を流した。

 

「あなた!! こんないたいけな子を連れ込んでどういう事なの!?」

 

エリオットさんの奥さんである、エリザ・クラフトンさんは、夫のエリオットさんが女子高生を拉致してきたと思ったらしくて、エリオットさんの胸倉をつかんで、ガクガクして一瞬で修羅場になったけど、誤解?も解けて夕食をごちそうしてくれた。

 

「さあ、さあ、食べて食べて。」

 

『ありがとうございます~。(涙)』

 

私は頭の上に天使のわっかを出現させて、祈りのポーズを取り、感謝を精一杯身振り手振りで答える。

 

食事の後に、豆シバ犬なって、しっぽを振りながらエリザさんに撫でられていると、エリオットさんが家の中を案内してくれた。私はそこで最高の相棒に出会う事になる。

 

エリオットさんのギターコレクションを紹介されていると、奥にピンクの小さいギターを見つけた。

 

フェルナンデス(FERNANDES) ZO-3(象さん)。日本のギターメーカーであるフェルナンデスの製品で、その見た目のユニークさと、手の中におさまる安心感。なによりも象さんのようなプリティな形と、9V電池一つで、ギターに内蔵されたスピーカーで、エレキギターなのに、どこでも音を出せる。

 

私は、乾電池を入れてくれたエリオットさんからギターを受け取ると、さっそく弾いてみた。

 

『イェーイ!! 何これ!? 可愛い! キュートで最高!!』

 

感動した私は、Gのパワーコードからの → D → Bm → C(コード進行)→ 最後に、12フレットのハーモニクス + スライドでキラッと締める。

 

ジャーン! ジャッ ジャッ ジャッ ジャーン!  ポンッ!(ハーモニクス)ピュィ~~ン!(スライド)

 

ピンクのZO-3がとてつもなく気に入った事に気が付いたエリオットさんは、このギターを喜んで私にくれた。

 

『うれしい! ありがとうございます!!』

 

ジャカジャカキュー♪と私は頭を下げながら、エリオットさんに感謝のリフを弾く。

 

その後、エリオットさんに泊る部屋に案内してもらったのだけど、ここで問題が起きた。部屋が広くて全く落ち着かないのだ。

 

与えられた部屋は、天井が高くて、大きな窓がついていて、床にはふかふかの絨毯。まさに西洋の豪華なお部屋。しかし豪華すぎて全く落ち着かない。

 

豪華で、静かで、・・・・やたらと広い。

 

私は、そっとZO-3を抱えると、ポロン・・・・と小さな音を鳴らした。 12フレットのハーモニクスが、空間に吸い込まれていく。

 

続けて、スライドダウン。

 

音が壁を探すように、音が低く、静かに、床へと降りて行く。

 

エリオットさんがドアの前で立ち止まった。

 

「・・・部屋が広すぎるのか?」

 

私は、Dのコードを曖昧に鳴らして、小さくうなずくように、Dsus4で肯定した。

 

エリオットさんは、笑って言った。

 

「じゃあ、物置小屋に行こうか? そこから落ち着くかもしれない。」

 

私は、ゆっくりとうなずくと、ZO-3を持ちながら、アメーバー状になって、エリオットさんに着いて行った。

 

私が案内されたのは、二階の角にある物置部屋だった。

 

とても落ち着く。

 

C → Am → Dm7 → G7からの解放アルペジオでこの部屋が気にいった事を表現した。

 

ジャカ・・ ジャーン・・・・ ポロロン・・ ジャ・ジャッ・・・ シャン・・・(開放弦の澄んだ音色)

 

『ちょっとほこりっぽいけど、狭くて静かなこの部屋が好き。おちつくね・・ここ・・・・。』

 

そんな雰囲気である。 エリオットさんも察してくれて、ここに簡易式の折り畳みベッドや、キャンプ用のシュラフ、ノートパソコンが置けるミニ机や、マーシャルのギター用コンボアンプを設置してくれて、あっという間に住居や配信環境が整った。

 

怒涛の1日の後に、ようやく一人になった私は、おもむろに物置部屋で演奏を始めた。

 

「陰キャの私が人ごみに紛れて~。 息ひそめたまま飛行機に乗って降り立った街~。 誰もわたしを知らない国~♪」(ジャララ~ン)

 

「笑顔の国の言葉は全部 英語ってやつで~♪ 与えられた部屋はホテルみたいで 広くて怖くて~。 新しく運ばれてきたダンボールみたいだった~♪」(ジャカジャカ~ン。)

 

「でもね、見つけたんだ~。ちっちゃい物置部屋で、スーツケースがギリでベッドがギシギシ~♬」(ポローン)

 

「でも、音がいい~。呼吸がしやすい~。この狭さ この静けさわたしだけの秘密基地~。♪」(キュイ~ン)

 

「今日からここに住む~。でも?なんでこんな事になっているんだ~あぁぁぁ~あああっ。」(ギャラララララ~ン↑)

 

「本当になんでなんだよぉぉぉぉぉぉぉっ~~~~~っ!!!」(爆発)

 

一人になった私はふと冷静になって、意味不明な状況に叫んでいた。

 

 

 




ちょっと長い夏休み期間をいただきましたが、連載を再開させていただきます。

イギリスへと拉致されてしまったぼっちちゃん。コミュ障で陰キャなのに、さらに言葉まで通じないとなると、蒸発して干上がるだけかと思われていたのですが、意外にたくましく生きていますね。

英語で言葉が通じないとみんなコミュ障という、同じスタートラインに立てば、コミュ障のプロ?であるぼっちちゃんも意外に行けるのかもしれませんw

次回は、物置部屋からZO-3でバズるギターヒーローと、そしてついにアリシアが公開されて、ぼっちちゃんの承認欲求モンスターが暴れ狂うお話を考えています。

お楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。