星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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イギリスに拉致られたぼっちちゃんとバスカヴィル家の犬

 

いよいよ、アリシアが公開される日がやってきた。

 

私は、物置小屋で寝ながら、アリシアが公開されるのを待った。そしてカウントダウンが始まる。

 

3,2,1,0

 

ついにMVが始まる。

 

ヴァイオリンの静かな導入と、美しい情景。まるで色彩の海の中を音楽が流れるようだ。

 

千世子ちゃんの天使の美しさときたらもうゲロやばい。 私はその美しさに魅了されて、どんどんと胸がときめく。

 

ドキドキとまるで千世子ちゃんに恋をしているみたいだ。こんな奇跡の映像がこの世に存在するのが信じられない。

 

そして、私のギターパートがやってくる。

 

えっ? 全てを破壊するかのような音。 この音を私が出しているの?

 

自分の演奏のくせに、血が湧き心が締め付けられる。まるで感情のジェットコースターだ。

 

まるで皮膚を切り裂いて血が噴き出すような演奏。こんな演奏が自分で出来たことが信じられない。

 

試しに、ZO-3で弾いてみるけど、ただフレーズと同じメロディーが出ているだけで、まったく同じ音を表現できない。

 

自分がギターを弾いた時の状況を思い出してみる。

 

「・・・・・・・・。」

 

そうだよね。 あれは私のギターが産声を上げた瞬間の音だ。キアラさんは狙って出せても、私には無理な気がする。

 

でも、これを私が弾いたのは間違い無い。

 

爆発的に増えて行く再生回数。数千万単位で増えて行く再生回数なんて今まで見たことが無い。

 

「えへっ、えへへへへへっ。」

 

再生回数とともに、私の中の承認欲求モンスターがどんどん膨張する。

 

すでにエリオットさんとのコラボで80万人を達成していて、エリオットさんのご近所を巻き込むほどに巨大化していた承認欲求モンスターがさらにムクムクと膨張を始める。

 

再生回数の爆発的増加をエネルギーに、承認欲求モンスターはエリオットさんの家がある市街を見下ろすまでに爆発的に巨大化して、ロンドン市街を目指し始めた。

 

「ぎゃおっー。ぎゃおっーっ。」

 

アリシアの動画には、私のギターに驚くコメントや称賛するコメントが溢れる。

 

ああ。私のムクムクと膨れる承認欲求と、その欲求がかなえられる甘美な快感に、脳内麻薬がどばどばと出まくってハイになり始めた。

 

「うふっ、うふふふっ。」

 

「ぎゃおーっ。」

 

「そこの巨大怪獣止まりなさい!」

 

「きゃーーーっ。」

 

「市民の皆様、ロンドン市街に巨大怪獣が接近しております。全員避難してください。」

 

「撃てーーーーっ。」

 

「ぎゃおーーっ。ぎゃおーーーっ。」

 

「なっ。ミサイルが効かない。」

 

「テンプレ乙。」

 

「メーサー殺獣光線車がもうすぐ到着します。」

 

「よし!早くしろ!」

 

「だめですっ。メーサー光線が全く効きません。」

 

「様式美乙。」

 

「秘密兵器研究所が開発したメカぼっちが支援に来るそうです。」

 

「すごい。なんてメカメカしいんだ。これは男のロマン。これは勝ったな。」

 

プチっ。

 

「だめです! 未曽有の承認欲求によって超巨大化したBOCHILLAにプチっっと潰されました!」

 

「無能乙。100点満点のリアクションだ。」

 

「山田隊員、さっきから何をつぶやいているのだ?」

 

「なんでもありませんよ。あんなのほっとけば自滅するのに。」

 

「何を言っているんだ! ビックベンとタワーブリッジは目と鼻の先だぞ!」

 

超絶ハイになった私は、エリオットさんの家の物置部屋の中で超絶フレーズを弾いた直後にその場でスキップしながら弾く。

 

「タッピングのあとにスライド・・・。まさに私のフルコース!」(ハイになって意味不明な状態)

 

「素晴らしいギターテクで踊っていると、途中で足が絡まってよろめくのも私の可愛いポイント。」

 

くるくるくるっ。ガコンッ。

 

すべて全肯定で自分を見失ってギターを演奏しながらダンスしていた私は、足が絡まって物置部屋の出っ張りに頭をぶつけると、あまりの痛さにそのままベッドに倒れこんで、モクモクと口から魂が出始めた。

 

「隊長! BOCHILLAが! BOCHILLAが消えていきます!」

 

「なぜだ!?」」

 

「だから言ったでしょう? ぼっちは気が大きくなっても、観光地なんて破壊できない小心者なんだから、ほっとけば消えるって。」

 

「えへっ。えへへへっ。」

 

この日の私は、そのまま頭をぶつけてベッドで気を失ってなお、気持ちの良い夢を見た。

 

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「ここがあの女のハウスね。」

 

「リョウ、エリオットさんのお家でしょ。」

 

「ひとりちゃんは大丈夫でしょうか?」

 

「心配ない。ぼっちはアリシアで承認欲求が爆発してBOCHILLAが大暴れしたけど、私が華麗に対処しておいた。」

 

「何の話ですか?」

 

「ブイっ!✌」

 

ぼっちちゃんの自滅によって、なんとかBOCHILLAの被害を免れたロンドン。

 

しかし、あのBOCHILLAが最後の一匹とは思えない。アリシアの再生回数の伸びつつける限り、第二第三のBOCHILLAが現れるかもしれない・・・。

 




アリシアを見て、承認欲求モンスターBOCHILLAが暴れまくった回でした。

そして、エリオットさんのお家を訪れる結束バンドの面々。

ぼっちちゃんが結束バンドのみんなとめぐる、愉快なイギリスのロック聖地巡りが始まります。

その前に、次回はアリシアで爆発したぼっちちゃんの海外の反応や、海外のギターフリークの驚愕っぷりをお伝えする予定です。お楽しみに!
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