星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
------------夜凪ママ視点------------
演技する事以外に無趣味だった娘(景)に最近、趣味ができた。
「夜凪ママ、ただいま~!」
「ただいま帰ったぞ。」
「明治神宮と原宿は面白かったですか?」
「うむ。明治神宮は、人が自ら森を育てた森じゃからな。百年で、ここまで“気”を整えるとは、すばらしき技よ。あと、クレープも美味かった。アイドル写真もよかったな。景の他に、珍獣神や千世子の写真もあったぞ! 一緒に行った珍獣神にみんなの写真を買ってもらったのじゃ!」
「・・・自分で自分の写真をお金を出して買うという羞恥プレイに僕は耐えられなかったよ・・・。あと、写真の中の僕、すごく写真写りがいいね。まるで2枚目の王子様みたいで、偶像と現実のギャップにガクブルだよ。」
「珍獣神はイケメンではないか!わしの神社にも写真をご神体として飾っておくぞ!」
「やめて~!」
なぜこんな事になっているのか。
事の発端は、阿良也君が劇団の近くに土地を買ってマンションを建てた事だ。
阿良也君は、基本的に星家で居候をしているのだけど、他の劇団員の事や、高齢になった巌裕次郎さんの事、そして劇団の近くに自分の秘密基地がほしいなどの理由で、劇団が活動する拠点の近くに大きなマンションを建てて、マンション収益を得つつ、他の劇団員や自分や巌裕次郎さんのための部屋を作った。
景はこの「秘密基地」という言葉にときめいたらしい。
基本的に景は物欲に乏しくて、お洒落にも最低限のお金しか使わないし、化粧品なども契約しているスポンサー企業からの協賛品ですましている。
あの年齢でアカデミー賞の助演女優賞をもらい、F4と言われる芸能界のトップカーストに君臨しながら、私生活は地味そのもので、星家を出て一人暮らしをした後は、スーパーで半額弁当などを狙って徘徊していた所を、保護者担当として同じ建物に住んでいる雪さんに見つかって、連れ戻されたりしている。
景の自立を促すための一人暮らしだけど、あの夜凪景が半額弁当を狙ってスーパーをうろうろするなんて、外聞が悪すぎる。
雪さんが居て本当に良かったと思いつつ、雪さんと一緒に川の朽木に居たカミキリムシの幼虫を採取して美味だったとか言う話を聞くと、ちょっと心配になる。
質素倹約は美徳だけど、収入に対して相応なお金の使い方という物がある。行き過ぎるのも良くない。
そんな景が、阿良也君のマンションに興味を示したのだ。
景に、どんなマンションがいい?とか相談されたけど、流石にマンションを建てるとか、私も全く経験がない。やっぱり阿良也君と同じように、アキラ君に相談するのが良いという事を言って、アキラ君に丸投げした。
その結果、アキラ君が相談に乗って、豊洲の市場前駅の南側の運河沿いのエリアに、40階建ての高層マンションと共に、龍神神社がオープンすることになった。
あまりの急転直下に、私も疑問でいっぱいだったが、どうも、景はこの話を金沢のひいばあちゃんに相談したらしい。それで、マンションを建てるのであれば、豊洲の近くが嬉しいと言ったらしい。
金沢の網元である夜凪の一族は、漁とともに生きる一族だけど、漁以外にも一族で加工食品や魚の流通なども行っている。取った魚は地元で消費する分もあるけど、かなりの量は東京へ出荷されて、東京での仕事も多い。
それで、築地の近くに一族の人間が仕事で泊まれる物件を持っていたのだけど、魚市場が移転した事でちょっと遠くなってしまったのだ。
昼間なら公共交通機関で楽に行けるけど、電車の始発前から魚市場に入るので、徒歩40分の距離は少し遠かった。マンションを作って貸してくれるなら、豊洲の魚市場近くにあると助かる。のような事を言ったらしい。
それで、アキラ君が業者を入れて調査したところ、予想以上にまとまった土地を入手できることが判明した。
そこで、マンション用の区間を景が購入して、アキラ君は残りの結構な土地を購入。アキラ君は多目的広場のような使い方をするつもりだったらしい。
それで、景がマンションを建てるために、自分の足で豊洲周辺をぶらぶらしていると、築地には波除神社があるけど、豊洲には無いという事を地元の人から教えてもらったようだ。
築地は江戸時代からの埋立地だけど、埋め立て工事に何度も失敗して、海の荒ぶる力を恐れて、海を鎮める霊石を奉ったのが波除神社だ。築地は荒波を防ぐ獅子によって守られている。
対して、豊洲は昭和初期に埋め立てが始まり、戦後に埋め立てが本格化して完成した埋立地だ。その後工場地として汚染された後に、工場が撤退して再開発が行われている。
景は、マンションの建設予定地に立った時に、周囲の雰囲気が少し荒れているというか、嫌な感じを受けたらしい。そこでマンションの話を金沢のひいばあちゃんに相談しに行ったついでに、龍神様にお祈りしたら、龍神様とお話できたらしい。
「龍神様、豊洲でマンションを作ろうと思うのですが、安全でしょうか?」
「うむ。豊洲は新しい土地で古くからの土地神が居ないうえに、東京の入口で、河口としての海との転換点ともなる巨大な龍脈じゃ。おまけに元工業地帯で土地も乱れておる。近所の月島に龍神社はあるが、あれは豊玉姫神で隅田川から皇居に対しての守護だから、元は海だった豊洲への影響は無いしの。築地の波除神社の霊石も、築地周辺の力を押さえつけているだけで、調整はしておらん。 結論から言うと、様々な力がせめぎ合って集まる割には、無防備でその力が良からぬ事をしでかすこともあるだろうて。」
「では豊洲でマンションを建てない方がいいのですか?」
「そうせかすでない。あそこは龍脈として力が強い場所じゃて、それを調脈すれば良いだけじゃ。ここにそう言った調脈に強い龍神がおるじゃろう?」
「もしかして、龍神様の神社を分社して、豊洲に建てればよいのですか?」
「察しが良いな。その通りじゃ。そうすればわしも東京で萌え萌えキュッ・・・。げふんっげふん。」
「何か怪しいですっ!?」
「餅つけ、景よ。つまり豊洲に分社(ry 建てれば万事解決**(確信)じゃ。分社建設キボンヌ。ワイを信じてクレメンスの極み乙。」
「超怪しくなってきましたっ!」
「あーあーテステス。重い、重いお・・・。 回線がナローバンド乙になっとるようじゃ。 景が豊洲に分社をうpすれば、下りもPing値も最強になって優勝じゃ。 wktk(ワクテカ)して待っとるぞ。景ニキ。それじゃ、ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ」
「この龍神様、普段は絶対に天界でニートしてますっ。(確信)」
そんなやり取りがあり、景のマンションの隣接地に龍神神社を立てる事にしたようだ。それにお祭り好きなアキラ君が乗っかって、土地と建物代を提供(お布施)して、阿良也君や千世子ちゃんを巻き込んで、『オラが神社』企画を始めてしまった。
そして、マンションの片隅にひっそりと造立されるはずの龍神神社は、やたらと規模と派手さが増していき、舞殿まで併設されて、超ハイテクな、なんでもありの神社となった。
・AR龍脈可視化参拝
・リズムゲームイリュージョン手水舎
・音声デジタル祝詞
・マッサージと癒し機能付き御霊石
・AR絵馬と液晶絵馬
・周囲の店舗の割引券付き、スマホおみくじ
・電子マネーお賽銭
・AIプロジェクションマッピング境内ライトアップ
・超ハイテク無音ゾーン(反対周期の音を出して音を打ち消して強制無音に)
・境内でしか起動しない限定龍神神社アプリ
・舞殿プロジェクション奉納 (夜のヴァーチャル舞)
・龍神様にまつわるテーマの各種彫刻や現代アートや絵画
・各フィギュアメーカーの神様にまつわるフィギュアを飾ったフィギュア宝物殿
そして、ご神体の龍神様は、各フィギュアメーカーの名だたる造形師(原型師)さん達が渾身の力を込めて、龍神様をフィギュア化して奉納。
まさに現代を象徴するハイテク神社のようだ。
最終的に、こち亀の両さんがプロデュースした神社じゃないの?って感じになってしまった豊洲の龍神神社(分社)。
極めつけは、景が建てたマンションで、完成すると龍神神社の境内から見上げると、地上から天上に龍神が昇るようなデザインとなっている。
お参りもできて、観光にもなって、おまけで龍脈も調脈してくれる。
豊洲市場の横の龍神神社なんて、すごい観光資源だ。
そして、アキラ君が龍神神社前の多目的広場の貸し出しを龍神神社が管理して、そこで各種の催し物を開催して、そこからの収益で龍神神社を管理するスキームを整えて、龍神神社(分社)はついに落成日を迎える事となった。