星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

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星アキラは疑似家族を形成する

数日後の夕食時に帰ってきた僕は驚く事となった。

 

「阿良也と千世子ちゃん、何で僕の家に居るの?」

 

「阿良也君と私は、この家で家族としてしばらく暮らすことにしたからよろしくね。」

 

「俺も同じく。アキラのお兄さんになるのでよろしく。」

 

「ちょっとアリサママ! どういう事なの!?」

 

「千世子が役を作りたいって言うから、阿良也君を誘ってしばらく暮らしてもらう事にしたのよ。」

 

「千世子ちゃん、それでいいの!?」

 

「私は一人っ子だったし、今まで大家族での生活経験も無いので、そもそもちゃんとした役作りができていない事に気が付いたの。だからアリサさんにお願いしてしばらく一緒に暮らす事にしたのよ。」

 

「これなら舞台の練習の時間も取れるし、役作りもできるし理想的な環境だわ。」

 

「私も子供が沢山増えたみたいで、すごく嬉しいですよ。」

 

夜凪ママが言った。

 

「みんなで家族になるのすごく楽しみですっ」

 

景ちゃんも同意した。

 

あれ?おかしいのは僕だけなのかな? みんな役作りでこんな風に一つ屋根の下、家族で暮らすのは当たり前なのかな?

 

「・・・・いや、阿良也と僕が千世子ちゃんや景ちゃんと一緒に暮らすとか大スキャンダルじゃないか!!」

 

「別に? そもそもあなたと景ちゃんが一緒に暮らしている時点で今更でしょう。」

 

「それに千世子の寝る場所は夜凪さんの所の離れになる予定よ。マセガキの貴方が心配する事態にはならないわよ? そもそもあなた千世子を襲うつもりなの?」

 

「うっ、そんな事ある訳ないじゃん!」

 

「精通も終えていない純情チェリーボーイが千世子を襲う勇気なんてないものねぇ。」

 

アリサママはニタ~と笑った。

 

「あっ、アリサママ!? どうして僕のトップシークレット情報を? 思春期の僕が非行に走るぐらいのショックを受けたんだけど!」

 

「トップシークレットも何も、放送であんなに大っぴらに言ってたら分かるに決まっているじゃない。ちなみに、本当に千世子や景ちゃんに手を出したら事務所の屋上から簀巻きにして吊るすので忘れない事ね。 阿良也君も同じよ!」

 

「はーい。わかりました。」

 

「ぐはっ。僕の純情が!!」 僕は口から魂が抜けだして、真っ白になった。

 

「それじゃおいしいご飯にしましょう。」

 

「相変わらずアリサママが仕切っているけれども、ご飯を作ってくれているのは夜凪ママなんだからね。」

 

そんな訳で、僕達は疑似家族として一緒にご飯を食べ、TVや団らんの時間を過ごし、舞台の練習をした。

 

しばらくそんな家族生活をしていると、みんなで若草物語の配役の演技をしたまま日常生活を送るようになった。

 

・・・こいつらどこまで役者バカなんだ・・・。

 

食事の時なんて、決まってジョーとエイミーのバトルが始まる。

 

「ジョーそれ取って。」景ちゃんが千世子ちゃんに要求した。

 

「エイミー自分で取れるでしょ? 自分で取らなかったら体を動かさなくなって、ブクブク太るわよ。」

 

「ジョーの馬鹿! レディーになんて口を利くのよ! そんなこと言うなら、今度お風呂に入った時に、ジョーの大切にしているシャンプーを使い切ってやるんだから!」

 

「まぁ何て事を言うのかしら!この子は!」

 

「二人とも静かにしなさい。お母さまがご不在の状態でもリトル・ウィメンとして、相応しい態度を取らないとだめよ!」

 

「あっ、あのっ二人とも、ケンカは良くないと思うの! みんなで美味しく食べましょう?」

 

「「ベスは黙っていて!」」

 

僕は特に千世子ちゃんがジョーの演技をしたまま日常を過ごす事に、僕は驚きを覚えた。

 

「千世子ちゃんが、日常的にジョーの演技をして過ごすとは思わなかったよ。どう言う心境の変化なの?」

 

「私も今まではそう思わなかったわ。 私はこれまで他の人を客観的に観察して、他の人の目を通して演技をしていたわ。だから自分の演技とメソッド演技は相容れないものだと思っていたわ。でも違ったのよ。」

 

「確かに私は、阿良也君や景ちゃんみたいにメソッド演技を極める事は出来ないわ。 でも自分の演技にメソッド演技的な物の考え方や技術を生かすことはできる。そしてそれを生かして、客観視してフィードバックすることで、自分の演技として落とし込めれば良いのだわ。」

 

「私はメソッド演技をする役者にはなれないけれども、だからと言ってメソッド演技の手法を否定する必要は無かったの。 役になり切る経験は私の演技に伸びしろを与えてくれる事に気が付いたの。」

 

「多分、アリサさんが前のままだったら、絶対にこんな事できなかったし、これを教えてくれたのはアキラちゃんだよ。だからアキラちゃんにはすごく感謝しているの。」

 

「うーん。 感謝してくれるのはいいんだけど、僕は千世子ちゃんと言う眠れる獅子を起こしちゃった気がするんだよね・・・。」

 

「アキラちゃん、覚悟しておくことね。 私達の若草物語は最高の舞台になるわ。 アキラちゃんもそう思うでしょ?」

 

「うん。そう思うよ。」

 

 

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