星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
時は十月末、つまりハロウィンだ!
前世の私は、アメリカでもハロウィンを楽しんでいたが、日本に戻った後もコスプレをして日本独特のハロウィンのお祭りを良く楽しんでいた。
ちなみに、前世の私はVTuberのコスプレを良くしていたが、今はまだ存在しないので今世の僕は何か新しいコスプレを考える必要がある。
今世でも日本でハロウィンが徐々に盛り上がる時代に入りつつあるんだ! 僕も楽しむべきだよ!
日本のハロウィンの特徴はただの悪魔の仮装ではなく、コスプレになること。ハロウィンの仮装と日本人のマニアックさが融合した結果、コスプレチャンポンの謎のお祭りが爆誕することになったんだぞ。
今年は、池袋ハロウィンコスプレフェスの第一回目ということで、僕も参加することにしたよ。
池袋ハロウィンコスプレフェスは、コスプレをしたまま池袋の街を散策できるっていうイベントで、有料だけど街ぐるみで理解があるイベントだね。
公式にコスプレをしたまま街を散策できるので、安全性も高いし。
渋谷ハロウィン? 知らない子ですね。 数年後に軽トラが倒されて大炎上するんだろうな・・・。(遠い目)
それで、今回のモチーフは子供らしく『オズの魔法使い』でまとめる事にしたよ!
そんな訳で僕達の正体が判らないように、仮装して一緒にハロウィンで遊んでくれるイカれたメンバーを紹介するぜ!
ドロシー:千世子ちゃん(百城千世子)
臆病なライオン:景ちゃん(夜凪景)
脳の無いかかし:阿良也(明神阿良也)
心が無いブリキの木こり:僕(星アキラ)
トト(ドロシーの子犬):いちごお姉ちゃん(朝野市子)
オズの魔法使い:七生姉さん(三坂七生)
北の魔女:夜凪ママ(保護者)
東の魔女:蓮姉ちゃん(環蓮)
西の魔女:アリサママ(保護者)
カメラマン:雪ねぇちゃん(柊雪)
・・・・どうしてこうなった!?
最初はちょっと正体が判らない被り物とかで1人で参加するつもりが、千世子ちゃんにバレて千世子ちゃんも一緒に行く?って聞いたら、景ちゃんにバレて、そして芋づる式に・・・。
なんでこんな人数が集まるの!? こんなメンバーで正体がバレちゃうと、すごくヤバいよ!
まさか蓮姉ちゃんやアリサママまでコスプレしてついてくるとは思わなかったよ。
そして別の所で集まって、現地に行き、指定された着替えエリアでコスプレをしてみんなで集まった時に僕は後悔した・・・。
なんていうか、完成度が違った。仮装している中に本物が混じっているような、そんな違和感がする。
ヤバいよ。
「ちゃんと私だって判らないようにしてきたわ。」
・・・千世子ちゃん、千世子ちゃんだって判らないかもしれないけど、可愛すぎるからね。 もう普通の女の子の水準とか遥かに超えちゃっているからね。実物のドロシーも、たぶんこんなに可愛く無いからね?
「あっ、アキラさん、私はどうでしょうか? うっビクッ」
景ちゃん、確かに着ている服は可愛いライオンをモチーフにした服だけど、コスプレなんだから臆病なライオンを演じなくてもいいんだよ? 可愛いすぎてヤバいし、別の意味ですごい存在感だよ?
「二人とも、そんなに可愛いと目立っちゃうわよ、ちゃんと目立たないようにしなきゃね。」
いちごお姉ちゃん、大変残念なお話なんだけど、トトはドロシーの子犬なのは判るんだけどミニスカ、ケモミミ、しっぽ、肉球手袋とか完全に狙っているよね?『けものフレンズ』はまだ先の話だけど普通にフレンズで居てもおかしくないからね? どうしてそんなマニアック路線で攻めて来たのさ。
そもそも、このメンバーで目立ちにくいだけで、君も相当に可愛い事を忘れているよね?
「・・・・・・・・・・・」
阿良也・・・。だからカカシになり切らなくていいんだからね。衣装も気合が入っているし、カカシのパントマイムも不要だよ。
道行く人たちが阿良也が動くたびにビクッってしているじゃないか。衣装だけでもカカシなのに、中身までカカシになり切ったら他の人と空気感が違いすぎるよ。
阿良也なら劇で木の役をやっていても、主役を差し置いてみんなの注目を集められるんじゃないかな。今は全く不要な技術だけど。
「やあやあ、みんないい感じで来たわね。これぞコスプレって感じよね。」
七生姉さん、その気合の入った魔法使いの衣装は何? 他の人達と明らかに完成度が違うよ。 明らかにコスプレガチ勢が参入していて、一人で立っているだけでもカメラを持った人たちが寄ってくる完成度だよね?
あと、みんなに対抗して、演技する必要も無いからね? 明らかにコスプレ上級者だし判っていてやっているよね?
「アリサさんの舞台衣装を手直ししてみたんです。どうでしょうか? 景の衣装も私の手作りなんですよ。」
夜凪ママ・・・。そういえば景ちゃんはこのお母さんの血を引いているんだよね。景ちゃんと仲睦まじく一緒にコスプレ衣装を作って楽しそうだったよね。親子仲良くすごく良い光景だったよ。
北の善き魔女の衣装が優しい夜凪ママとマッチしていて、すごく素敵だよ。・・・素敵すぎるんだよ。 やっぱり水準を大きく超えているんだよ。
景ちゃんの美貌は夜凪ママから継承された事を忘れていたよ。景ちゃんと手を繋いで歩いていてもみんなガン見か、振り返って二度見しているからね? 昔のやつれている時と違って今は美人すぎるよ。
ちなみに今日はルイ君とレイちゃんは近所の保育施設に預けてあります。夜凪ママも用事がある時に良く預けている施設なので安心だね。
「みんな気合が入っていいじゃないか。今日は楽しめそうだね。」
環お姉ちゃん、何? ピチピチ女王様風の悪そうな魔女は? 確かに悪い魔女だよ? でも戦隊ものの悪役として出て来て、そのままTV出演できるぐらい違和感が無い完成度はまずいでしょ?
コスチュームというよりも、全体の雰囲気づくりで悪の魔女として違和感が無さ過ぎなんだよ。
ほら、案の定、仮面ライダーや戦隊もののコスプレをしている人に声をかけられて写真をねだられているよ。まぁ、楽しそうだからいいけど、一緒に写真を撮っている人も環蓮だって気づいていないからいいのかな?
「みんな見分けが付かないし、本物っぽいからこれなら安心ね。」
・・・・アリサママ、保護者だって付いて来たけど、絶対に楽しみにしてたよね。コスプレは本物っぽければいいって訳じゃないんだよ。
もう悪の魔女そのものなのよ。 確かに西の魔女は、オズの物語のラスボスだよ? アリサママだって判らない完成度だよ? でも警察を呼ばれるぐらい邪悪な魔女になり切るってどうなの?
正直な話、僕は一緒に歩きたくないんだけど。 なんていうか、睨むだけで人を殺せるぐらい邪悪な感じがして、アリサママを見た子供が泣いているんだけど・・・。なんで本気を出しちゃったのさ? もう気配や雰囲気が実物を超えているのよ。
こんな西の魔女に挑んだドロシーはすごすぎるよ。こっちもたぶん、本物の方がもっと優しい雰囲気だと思うよ。
ドロシーの千世子ちゃんと西の魔女のアリサママが手をつないで歩いていると、事案としか思えないんだよ。
「思い出の写真やビデオは任せてください!ばっちりと撮影しますよ!」
雪ねぇちゃんも気合を入れている。このメンバーを前に映画製作者を目指す彼女の魂に火が付いたのだろう・・・(遠い目)。
「そういうアキラはなにかがっかりな感じなのね。みんなコスプレをがんばって来たのに、そんなダンボールとアルミ箔で作ったブリキの木こりで恥ずかしくはないの?」
「違うんだよ! コスプレにはある程度のがっかり感が必要なんだよ。 本物に似せたい欲求はあるけれども、本物を超えちゃダメなんだよ!」
「周りの人たちを見てよ! 確かにコスプレをしているけれども、例えば悪人のコスプレをしていても中の人は悪く無さそうでしょ? 好きなキャラクターに仮装して楽しむ感じなんだから、中のキャラまで似せなくていいんだよ!」
「アキラ君もコスプレに興味があるんだと思って一緒に来たけど、中の人がみんな非凡だと本物よりも本物っぽく見えるから不思議ね。これはコスプレの域を超えているわね。」
「そもそもコスプレって、衣装だけが立派で演技が伴わないって意味もあったりするけれども、衣装と演技が伴うとこうなっちゃうのね。 本当に別の意味で浮いているわ。」
「七生姉さん、これまずくない? これで正体がバレちゃったら大騒ぎだよ。」
「大丈夫よ。公園とかの撮影ポイントにでも行かない限り、これだけ極まっちゃったメンバーで街を散策していて声をかけられるほど、勇気がある人は少ないと思うわ。」
「ある意味、ここまで本物志向で周りに浮けるのがすごいわ。 このグループはコスプレをして家族連れのレジャーに来ているって誰も思わないだろうけど、実はそれが正解なんだからすごく笑えるわ。」
僕達は、アリサママを先頭に立たせて池袋の街を散策した。 アリサママが歩くとモーゼのごとく人混みが真っ二つに分かれていくので、すごく歩きやすかった。
左右に人が分かれるので後ろに付いている僕は、パレードか何かに参加しているような気分だった。確かにこれは僕たちに声をかけられない(笑)
なんやかんや言って、コスプレをしての街の散策はすごく面白かった。
普段の街の散策もマスクやメガネなんかで変装して歩くけれども、みんなコスプレをして歩く非日常の風景を見て楽しんでいるようだ。
みんなでふざけ合いながら、街を一回りした。
考えてみれば明らかに未成年+大人の組み合わせ。 メインのゾーンとなる20歳前後の年齢ラインを見事に外しているこのやばい集団に声をかけられる人など居なかった。
そんで散策もすんでみんなで写真でも撮って終わろうと思っていたら、そんな僕たちに声をかけてくる人が居た。
「こんにちは。ニフニフ動画なのですが、こちらでニフニフ生放送のコスプレステージをやっているのですが、皆さんご出演されませんか?」
「えっ、でも僕たちは遊びに来ただけなので、そういうのは・・・。」
「アキラやるわよ。役者なら演技を見せられてなんぼよ。せっかく衣装を着たんだからちゃんと演技するのよ?」
「アリサママ、そんなにやる気にならなくても・・・。大騒ぎになっちゃうじゃん。素直に帰って楽しい思い出で終わろうよ。ねっねっ?」
「アキラ君、やるわよ。」
みんなやる気になっていた。衣装だけを着て演技をしないのは、役者として逆にフラストレーションが溜まる面もあったことに、僕は遅まきながら気が付いた。
役者魂に火が付いてしまったらしい。
そして、アリサママはプロデューサさんの元に行くと、特別ゲストとして10分間の出演時間をもぎ取ってきた。
いや、遊びできているんだから、敏腕社長の手腕を発揮しなくていいんだからね。
司会者「それでは、次のチームです。えーと、特別ゲスト?のチームオズの魔法使いです。それではどうぞ!」
東の魔女「我は東の魔女、今日も東のマンチキンランドの民たちを虐げてあげるわ!」
ドロシー「竜巻で巻きあげられて、きゃぁぁぁぁっぁあ」
東の魔女「ぐぇぇぇっぇっぇ。」
北の魔女「悪い東の魔女をやっつけてくれてありがとう!」
司会者「えっ?えっ? これは一体・・・。」
そこから始まる10分間のオズの魔法使いをモチーフとした即興劇。
事情を知らされていなくてオロオロする司会者をしり目に、プロの演技を見せる謎集団。最後は圧倒的な存在感を誇る西の魔女に水をかけてやっつけて大団円。
「それじゃ、劇を見てくれて、ありがとうございました~。」
みんな( ゚д゚)ぽかーんとする中、即興劇が終わった後、誰一人、名乗りもせずに、みんなで礼をして、僕達はそそくさとその場を逃げ帰ったのであった。
「みんなノリが良すぎるよ。これは絶対にバレちゃったよ。でも面白かった!」
そして案の定、この後。ニフニフ動画や匿名掲示板、SNSなどでお祭りが開催されるのであった。
こうして、僕たちの楽しいハロウィンは終わりを告げた。
なお、このお祭りのおかげか、まだ日本のハロウィンの知名度がまだそう大きくない時代に、ハロウィンと言えばこのメンバーというまでに知名度が上がり、これ以後ハロウィンが来るたびに一緒に劇をやったメンバーには、毎年様々な仕事の依頼が舞い込むことになるのであった。