星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
いろいろあって、キヌスとの協力関係は進んでいった。
「やつらに協力する暴力団が経営するキャバクラで、やつらと取引をするって情報が入ったんだけど、どうやって侵入したらいいんだろう?」
「暴力団が経営しているキャバクラか。まぁやつらもそれなりに警備しているよね。怪しまれないために、一般客が入場している中での取引だから、一般客として侵入するのが一番だろうね。」
「俺なんかが行って、やつらに怪しまれないだろうか?」
「自分で鏡を見て見たら? キヌスのどこに怪しくない要素があるの?」
「常連客の案内で入るのが一番だろうけど、常連客に知り合いは居ないしなぁ。」
「アキラ、俺がインターポールの捜査官だって、判らなければいいんだ。」
「そのままの姿で行ったら怪しまれるだろうね。それなら女連れが一番じゃないの? 連れの女がキャバクラに興味があって、入ってみたというシチュエーションだね。 女を侍らせて、さらに女を求めて豪遊するインターポールの捜査官とか想像が付かないでしょ。日本の警察とかに誰か一緒に行ってくれる人は居ないの?」
「日本の警察は融通が利かないし、どこに君の父親の手が及んでいるのかわからない。協力を頼むのは難しいよ。大体、日本警察に協力を頼めるのであれば、キミに協力をお願いしていないよ。それに、俺が一人で入っても日本語が判らないから、女性とまともなコミュニケーションができないよ。」
「インターポールの捜査官に子供が協力するとか、世も末だよね。仕方がない。僕が一肌脱ごう。ちょっと待っていて。」
「何をする気だい?」
「ちょっと変装してくるよ。」
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「キヌス、お待たせしました。それじゃキャバクラに行きましょう!」
「えーと、誰? キミ?」
アキラ声「ん? アキラだけど。インターポールの捜査官が判らないなら大丈夫そうだね。この格好の場合には偽名のキアラでよろしく!」
僕は年上の遊んでいるような女性の衣装を身に着けて、年上らしいゆっくり目のしぐさと演技を行った。もちろん見た目もメイクさんのテクニックで20歳過ぎの女性に見えるように改造されている。
身長も160cm前後で、大人の女性として十分通用するレベルだった。
ちなみに、このシーンは元々ヒロイン役の女優さんが演じる予定だったんだけど、スケジュールやセットをそのままに、キアラを代役としての撮影となる。ヒロイン役の女優さんは、今頃病院で血の涙を流しているかもしれない。
僕たちは店の前に立っている黒服の前に行った。
「ポール(キヌスの偽名)、ここに行きたいわ。一度キャバクラに入ってみたかったの。」
「キアラ、君のような可憐な女性が入るところじゃないと思うよ。」
「いやよ。ポールは女一人でここに入らせる気なの? 別に男性同伴なら女の人も入ってもいいんですよね?」
店に立っていた黒服同士、目を見合わせる。
彼らには、店の前で痴話げんかをされる方が面倒だと思ったのだろう。
店は営業中で、キヌスとキアラは共に、良い身なりでお金を持っていそうだった。
「もちろんです。レディ。こちらにお入りください。」
「キアラにはかなわないな。それじゃ楽しもうか!」
僕たちは案内されて店の中に入る。
「ゴージャスなのに、落ち着きがあるとても素晴らしい店内ね。 お店に興味がありますから、見晴らしの良い席に案内してもらえる?」
「畏まりました。」
取引が行われるのは、端の方の目立たない席だろうけど、見晴らしが良い席ならある程度様子が見えるだろう。そもそも映画の撮影なんだから、どうやっても強制的に取引が見やすい席に案内されるのだ。(メタい話)
「いらっしゃいませ! あらあら、可愛い子がいらしたのね。」
「素敵な方ですね! キャバクラに興味がありまして、無理を言ってポールに連れてきてもらったの。こちらはポール。男友達なのよ。」
「まだ付き合っていらっしゃらないの?」
「俺からアプローチをしているんだけど、キアラが首をなかなかふらないんだ。」
「まだまだ恋愛未満の関係を楽しむべきよ。今がすごく楽しいから。」
「そんな事を言っていると、あっという間に年を取ってしまいますよ。素晴らしい殿方はすぐに捕まえるべきですわ。でもあなたならこのキャバクラに入って上を目指せそうですわね。」
「そうなの? 考えてみようかしら?」
「キアラ、やめてくれ・・・。」
「キャバクラで働かなくても、キャバクラに興味がある女性とか、結構多いんですよ。このように女性連れで来るお客さんも多いです。その場合、男性の方よりも女性の方が積極的なんですよ。」
「へーそうなんですね。」
そんな話をしているうちに取引が進んでいき、キヌスの追っている国際指名手配犯が席を立ってトイレに向かった。キヌスも同じく席を立ち、一緒にトイレに入って逮捕しようと大立ち回りを演じる。
任務を果たした僕はその間に隠れる。
そして、見事にキヌスは敵の反撃にあい、敵の手に捕らえられそうになっていた。
ちなみにこの後の映画の脚本は以下
アキラ『なんとかしてキヌスが捕らえられるのを防ぐ(アドリブ)』
元のシナリオはヒロインの女優が大立ち回りを演じて、キヌスを救うのだが、脚本家さんや監督さんは、格闘技等の経験が無い僕がキヌスを救う方法を思いつかなかったらしい。
もう完全に丸投げになっていた。まぁ、一般人の男の子が大立ち回りを演じてキヌスを救う方がおかしいものね。
でもさぁ、バットマンのジョーカーみたいに役が深すぎて脚本家さんが書けないから、ジョーカーを演じている役者さんにお任せするのはわかるけれども、台本を修正する時間とアイデアが無いからって丸投げはやばいと思うんだ。
そんな感じで大立ち回りもひと段落し、眼前ではキヌスが取り押さえられて大ピンチで、僕がなんとか救出しなければいけない場面になっていた。