星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
しばらくすると熊鍋の準備も整い、村の集会場で食事となった。
村長さんのねぎらいの挨拶の後に、いよいよ熊鍋を食べる事になる。
阿良也と一緒に居た猟師さんと奥さんはまだ入院中なので本日は欠席だね。
熊鍋の味は非常に美味だった。
生の熊肉は想像以上に脂肪がある。 そこでまずは丁寧に下茹でされた熊肉で灰汁を取りながら出汁を取り、そこにあく抜きしておいたゴボウやニンジン、こんにゃく、大根などの根菜類を追加する。
そして根菜類が煮えあがってきたら、味噌と共に白菜、しめじ、ナラタケ、長ネギ、シイタケなどを入れて、最後に薄切りにした熊肉を入れていただく。
プロの猟師さんが取ってきた熊肉は血抜きも万全で、それでもちょっと獣臭い部分もあるけれども、それがアクセントとなってすごく野性味が溢れる味に仕上がっていた。
味噌による味付けも秀逸で、熊の獣臭さを上手く美味に仕立て上げており、ご飯が進んだ。
他にも近所の牧場で取れた生ラムによる本場のジンギスカンなども振舞われており、僕たちは北海道の地場の食材達を堪能した。
アリサママは、村の人たちにお酌してまわっていた。この辺は年の功だろう。
アリサママは北海道を舞台にした映画やドラマにも数多く出演しており、とりわけ地元の人達に大人気だった。
普段は見れない有名人を間近で見れて、北海道の人たちもテンションも上がっていた。
ちなみに、僕がヴァイオリンを伴奏に歌で「北海盆唄」を歌うと地元の人たちは大好評だったよ。
「阿良也がヒグマに襲われた時は大騒ぎだったけど、結果的に地元の人とも仲良くなれて、すごく実りの多い旅になったね。」
「そうね。 アキラちゃんもカミキリムシの幼虫がどれだけ美味しいか判ってもらえたし、とても良かったわ。」
「幼虫さん、美味しかったですね。」
「げっ、お前達って俺がヒグマに襲われている間にそんな事をしていたの!?」
「うん。これがすごく美味しかったんだ。 今度阿良也にも作ってあげるよ。」
「い、いやっ、俺はいいっ!」
「んっ? 阿良也、もしかして虫を食べるのが苦手なの?」
「そっ、そんな事は無いぞ! 俺がそんなのを嫌がる訳が無いじゃないか!」
「それなら明日の朝食はカミキリムシの幼虫にしようか! 朝起きてみんなで幼虫を取りに行くんだ。」
「いいわね。それ。」
「やっ、やめろ! やめるんだ! カミキリムシの幼虫が可愛そうじゃないか!」
「いや、ノリノリでヒグマを狩ってた人にそんな事を言われても・・・。やっぱり苦手なんじゃないの?」
「そんな事ないぞっ!」
「僕も虫を食べるのが苦手だったんだけど、カミキリムシの幼虫は別格だったよ。 虫って美味しいって初めて思ったから。」
「あのグロテスクな物が美味しいなんて、逆にいやだ!!」
「正体を現したね。 やっぱり虫を食べるのが嫌いなんだ。 これはちゃんとカミキリムシの幼虫を食べてもらわないとダメだね。」
「そうね。阿良也君にも虫食のすばらしさを知ってもらわないと。」
「お前達やめろ~! やめるんだ~っ。」
翌日の朝食でカミキリムシの幼虫がメニューに出されて、阿良也は真っ白になるのであった。
なお、アリサママもなぜか阿良也と一緒に誤爆ダメージを受けていた模様であった。