星アキラは自由に生きたいっ   作:Magical forest

92 / 387
星アキラは舞台挨拶をする

 

さて、いよいよ本日が『ナショナルクリミナル4』の公開初日。

僕はヒロイン役の女優さんと都内の映画館で舞台挨拶をする事になったよ。

 

『ナショナルクリミナル4』は年末・お正月枠の映画として公開で、もちろん日本でも大注目の作品だね。

 

日米同時公開なので、米国では監督さんとキヌスの兄貴が舞台挨拶で登壇して、日本は僕とヒロイン役の女優さんとなっている。

 

ヒロイン役の女優さんは少し委縮していたけれども、もう解決した事だから水に流して楽しくやろうよと言っておいた。 この女優さんの心境も凄く分かるしね。

会話の内容なんかもいろいろ打ち合わせした。

冗談なんかを言って、彼女の緊張を解きほぐすと彼女も明るい表情をしてきて、本来の調子が出て来た。 本来はナショナルクリミナル4でヒロインになるぐらいの逸材。 調子を戻せば彼女とは楽しく話せた。

 

ちなみに、会場にはアリサママの他に千世子ちゃんや景ちゃん、夜凪ママや阿良也なども観に来てくれている。

 

二人で上映前のスクリーンに登壇。

司会者が居て映画のエピソードなどを楽しく話す。

 

「そんな訳で、当初撮影は順調だったのですが、セットから降りる時に私が足を捻って重症になってしまい、アキラ君が急遽代役として回してもらう事になったんです。」

 

「その後は凄かったよ。 もう予定全部がご破算になっちゃったから、僕がヒロインさんの代役に抜擢されたんだけど、台本の修正も間に合わないから台本そのままで全部アドリブ。 映画に出てくる駄菓子屋のシーンなんて、僕が見つけてその場で撮影の交渉したんだから。 本当に旅撮影のバラエティー番組かと思ったよ。」

 

「でもアキラ君、それですごくいい役が回って来たんだから最高じゃないですか。 アキラ君が幸せそうなのを横目に、私はベッドの上で血の涙を流していたんですからね。」

 

会場に笑いが起こる。

 

「まさに僕はシンデレラボーイだね。」

 

「ボーイなんですか? 普段の行いから考えてもシンデレラボーイと言うよりも、珍獣デレラでは?」

 

「そんな怪獣みたいな名前やめてよ!」

 

「キアラちゃんは珍デレラ姫でも行けますよね?」

 

「キアラは赤塚不二夫の漫画に出てくるみたいなギャグキャラじゃないよ!」

 

会場のお客さんに爆笑が巻き起こる。

 

 

「吹き替えなどもお二人が担当したんですよね」

 

「そうなんです。それで私は吹き替えが初めてで、怪我から回復したばかりで、アキラ君に役を取られてキレ気味になっていて、横で仕事が出来るアキラ君のすごさが身に沁みました・・・・本当に・・・。」

 

「そうだよ! 芸歴は僕が8年ぐらい上なんだから、僕を先輩って敬ってよ!」

 

「アキラ先輩♡」

 

「ぐはっ。 素敵なお姉さんに先輩とか敬われるの最高!!」

 

笑いに包まれて、会場の雰囲気がどんどん良くなっていく。

 

「そういえば、生キアラちゃんの声、近くで聞いていて本当に素敵でした。」

 

「こんな声でしょうか?」

 

「そう、その声! 映画の中でも吹き替えで出てきますので、皆さんも楽しみにしていてください!!」

 

「映画の中でわたくしが年上の女性としてキヌスをリードするのですわ! 是非楽しみにしていてくださいね!」

 

「ヒロインは私なのに、キアラちゃんに負けたって病院のベッドの中で絶望していました。」

 

「当然だよ! なぜならキアラは僕の双子の妹。 僕と同じレベルの演技力があるからね! 実は傷口に良く効く塩があるんだ。 今度塗りこんであげるね。」

 

「染みる以外、何のメリットも無いじゃないですか!」

 

「もちろんだよ!」

 

映画を観に来てくれたお客さん達も僕達の会話をすごく楽しんでいるのがわかる。

 

 

「ヒロインさんとの仲はどうなんですか?」

 

「やっぱり自分のミスで役を取られたっていうのがあるから、一時は複雑な気分で、回復後に顔を合わせた時はギクシャクしたかな。」

 

「そうですね。私にとって一世一代の大チャンスだったので・・・理性で判っていても、感情はダメでした。 でもアキラ君の対応と完成した映画を見ると、私では敵わなかったって今では素直に思えます。 おそらく私ではこの映画の面白さは出せなかったと思うので、その意味ではアキラ君に代役をしてもらった事は私にとって最高に幸せでした。」

 

「やっぱり役者としては、自分の役を他人に取られるって言うのはすごく辛い事だよね。 僕もそういう経験をしているから分かるよ。 でも今は仲直りして、僕の持ってきた福岡(東京)銘菓のひよ子ちゃんで餌付けしている最中だよ。」

 

「お菓子ありがとうございました。美味しかったです。」

 

「僕としては、ヒロインさんの周りをNDK(ねぇねぇ今どんな気持ち?)して回りたいんだけどね。やらせてくれない?」

 

「やっぱりアキラ君は鬼畜な珍獣なんですね! 幻滅しました!!」

 

会場の笑いが最高峰だね。

 

 

「ところで逆に僕に何かお願いがあるんだっけ?」

 

「そうです。お願いですから今度、キアラちゃんの恰好で私と写真を撮ってくださいっ!」

 

「いいよ。せっかくだから映画雑誌の表紙とかに載る形で一緒に写ろうか?」

 

おおおおっーーー。と会場にどよめきが起きる。

 

「それじゃ、僕達が出演した『ナショナルクリミナル4』、みんな楽しんで行ってね!」

 

「それでは、皆様お楽しみください!」

 

こうして、舞台挨拶を終え、日本とアメリカで一斉に映画が公開された。

 




原作では千世子ちゃんに記者会見の挨拶を取られてしまった可哀そうなアキラ君。
こちら世界ではアキラ君は羽ばたいて行きます・・・・・・・珍獣として・・・。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。