星アキラは自由に生きたいっ 作:Magical forest
さて、このアカデミー賞の助演男優賞なんだけど、最年少候補者がジャスティン・ヘンリーさんで8歳の時にノミネート。
また、助演男優賞の最年少受賞者はティモシー・ハットンさんで20歳の時に受賞。というわけで、今年の2月に14歳になった僕はノミネートはされたものの、僕が受賞したら最年少受賞者になってしまう。
アカデミー賞はアメリカの映画業界で働く約9500人のアカデミー会員の投票で決まる。このため、米国人ではない僕は非常に不利だった。
実際の所、期待とは裏腹に僕が受賞するのは期待薄だった。
ただし、アカデミー賞は、実はノミネートされて選ばれない場合には、残念賞でOscar Swag Bag と呼ばれる高額福袋がもらえるのだ。
これは洗剤やシロップから始まり、上は外国旅行などが当たって非常に楽しみだ。
こういう経緯から、僕は福袋をもらいに気軽にアカデミー賞の会場に行くことにした。
でも、僕が普通の恰好で行くとか言うのが許されるのだろうか? やはり僕をアカデミー賞にノミネートしたと言う事はアカデミー賞の審査員たちも僕にアカデミー賞の傷跡を残してもらいたいと思ってノミネートしたに違いない。
僕にはみんなを楽しませる義務があるのだ!!(注:そんな義務はありません!)
そんな訳で、僕は秋葉原のコスプレショップの店員さんと衣装作家さん、七生姉さんに授賞式の恰好を相談する事にした。(もちろんアリサママには内緒で)
そしてなんと、コスプレショップの店員さんと衣装作家さん、七生姉さんはロサンゼルスに付いてきてくれる事になったのだ。
僕は喜んで、三人の旅費を出した。三人も本場ハリウッドで観光できるということで、すごく喜んで付いて来てくれた。
そして、同時に、これなら満足という出来の衣装やメイクをしてもらう事ができた。
ちなみに、アカデミー賞ではノミネートされた人は、1人につき、最大3名までしか同伴者を連れていけない決まりがある。
アリサママは同伴したい?って聞いたら、「私はいいわ。 それよりも若い子の刺激になるべきだわ。」という回答で、アリサママは仕事も忙しかったので日本に居残り。
夜凪ママも流石に幼い双子をアメリカに連れて行く訳にも行かず同様に日本から僕を応援してくれる事になった。
代わりに、千世子ちゃん、景ちゃん、阿良也の3人が僕と同伴する事になった。
そんなわけで、アカデミー賞の発表当日。 コスプレショップの店員さんと衣装作家さん、七生姉さんに僕達四人の衣装と化粧を整えてもらった。
「これが俺?」
「綺麗。本当にアニメから飛び出して来たみたい。こんな化粧の方法もあるのね。」
「これが私? 信じられません。 カラーコンタクトも綺麗ですっ。」
そして支度が整うと、僕達はリムジンに乗りこんでアカデミー賞が発表されるロサンゼルスのドルピーシアターに向かった。
----------------- ある日本のTVリポーターの視点 -----------------
「ここ、ハリウッドではアカデミー賞の発表を前にレッドカーペットの上を歩くゲスト達を一目撮影しようと、沢山の報道陣が詰めかけています。」
「また一台のリムジンが止まりました。降りて来たのは王賀美陸! 今年アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた王賀美陸です!!」
「堂々とした佇まい、きっちりとタキシードを着こなし、歩く姿はヒーローそのもの! 日本を脱出してハリウッドスターとして認められた王賀美陸です!」
主演男優賞候補の一人、王賀美陸の登場に一斉にフラッシュが炊かれる。
「見てくださいこの沢山のフラッシュを! まさにハリウッドでも注目のスター、世界の王賀美です!! 世界中の報道機関が王賀美陸に今注目しております!」
王賀美陸は天性のカリスマを見せながら堂々とレッドカーペットを歩く。
早朝ながらも日本で番組を切り盛りしているアナウンサーとゲストの芸能リポーターも興奮気味だ。
「王賀美陸はすごい注目度ですね!」
「あまりのカリスマゆえに、日本の芸能界では収まりきらずに、日本を出て世界に打って出た王賀美陸ですが、これで名実ともにハリウッドスターとなりましたね。 主演男優賞の発表が待ちきれません。」
----------------- 王賀美陸の視点 -----------------
俺は一人でリムジンを降りると、レッドカーペットの上を支配しながら歩く。報道陣達も俺の仕草の一個一個に視点が釘付けになっているのがわかった。
そして次のリムジンが入ってきて、中の人達が降りた次の瞬間、先ほどまで煩いぐらいだった喧騒が静まり返る。
そして感じる感情は困惑。周りがし~んと静まり返る中、英語で能天気な声が俺にかけられた。
「あっ、王賀美兄さんだっ!! 久しぶり~♪。 元気だった? 主演男優賞にノミネートされたんでしょ? おめでとう! 一緒に頑張ろうね!!」
それは見た事の無い、金髪碧眼の美少女だった。
そして連れとして、連れている三人もとんでも無い美少女だった。
「お前誰だ!? お前のような知り合いなんて居ないぞ!!」
俺は場の空気とかを完全に忘れてツッこみを入れてしまった。
アキラ声「何言ってんの? 星アキラだよ。 星アキラ。 子供の頃はホテルの部屋で一緒に寝た仲なのに、僕を忘れちゃったの?」