シン星紀エヴァンゲリオンー神も泣くかもしれない   作:サルオ

11 / 52

幕間です!

本編からかなり先の時代の話です!

だいたい2000年後、くらい?

よろしくお願いします!



幕間 猫耳

 

 遠い未来の話

 

 ある酒場のマスターの話

 

──────

 

 いらっしゃい。

 

 ん?なんだ、お前。見ねえ顔だな。

 

 まぁ、いい。

 

 とりあえず、そんなとこに突っ立ってないで、こっち来て座んな。他の客の邪魔だ。

 

 あん?他に誰もいないだろって?うっせぇな。ここは酒場だ。客が来るのは夜からなんだよ。

 

 まあ、昼は昼で仕事がないわけじゃねぇ。お前みたいな物好きが来ることもあるしな。

 

 んで、なんにする?

 

 おいおい。酒場に来て何も頼まねぇってのはマナー違反だろうがよ。

 

 ・・・あぁ?紅茶?そんなお貴族様が飲みそうなモンが、ここにあると思ってんのか?

 

 ・・・・・・ちっ、飲めねーんじゃあ仕方ねぇ。ほらよ。ミルクでいいか?生憎とストロベリーサンデーなんてふざけたモンもないからな。間違っても頼むんじゃねぇぞ?

 

 あぁ。昔、それを注文してきたヤツがいたんだよ。今でも時々顔を出すがな。

 

 ・・・で?何のようだ?エンジェルハンターの斡旋か?正規のハンターは紹介できねぇが、その分、安くしとくぜ?

 

 あん?『天使狩り』について聞きてぇ、だと?

 

 はぁ〜あ。あんたもそのクチか・・・。時々いるんだよ、あんたみたいな奴がな。

 

 「知らないのか?」だって?勿論知ってるさ。アイツに仕事を教えたのは、俺だ。今でも時々顔出すぜ。さっきのストロベリーサンデーの話、あったろ?それ頼んだのが他でもねぇ、『天使狩り』だよ。

 

 連絡先ぃ?んなもん、ねーよ。あいつはいつもフラッとやって来るんだ。んで、だいたい1番高ぇ報酬の依頼だけ掻っ攫っていきやがる。困ったもんだよ。

 

 ・・・・・・あんた、本当に何にも知らねえんだな。あいつは、この界隈じゃあ厄介モンだ。何が厄介ってあのヤロー、依頼は全部達成しちまう。ハンターが何人も返り討ちに遭ってる天使ですら、あいつはすぐに片付けちまう。しかも余計な仕事までついでに片付けてくるんだから、手に負えねぜ。「依頼に無いヤツもついでに片付けといた。だから上乗せで報酬寄越せ」って来るんだぜ?やってらんねぇよ。こっちは商売上がったり、だ。おかげで何回タダ飯食わせてやったことか。

 

 ・・・ったく、ウチはレストランじゃねぇんだ。酒飲まねぇ癖に、注文ばかりはうるさくてな。

 

 ん?あぁ、そうだよ。あんたと一緒だ。あいつも酒が飲めねぇ。まだ15、6くらいのガキだよ。

 

 ・・・くく。驚いてるみてぇだな。まぁ無理もないと思うぜ。そんなガキが、生意気にもこの店で飯食って帰ってくんだからな。

 

 ああ、そうさ。他のハンターもこの店にはよく来るよ。ウチはエンジェルハンターの斡旋もやってるからな。ただ、あいつの事はみぃんな嫌ってるぜ。あいつ以上に腕の立つヤツは見たことがねぇんでな。やっかみもあるんだろうよ。

 

 何回か、な?おこぼれに預かろうとして、あいつに付いてこうとした奴がいるんだよ。全員叩きのめされて床に転がったがな。「足手まといはいらない」「オレ一人で十分」とかなんとか言ってな。あれは笑えたぜ。

 

 どんな奴かって?

 

 ・・・そうだな。最初に来たときは10歳かどうかってガキだった。

 

 薄汚ぇガキでよ。おまけにひでぇ臭いだった。ボロを纏ってたんだが、顔だけは小綺麗でな。最初はカラダ売りに来たのかって思ったもんだ。

 

 なに顔しかめてんだ?別に珍しい事じゃねぇだろ。カネが欲しいガキはカラダを売る。当たり前だろ?

 

 まぁ、いいや。それでな、開口一番、あいつはこう言ったんだ。「仕事を寄越せ」ってな。俺は言ったのさ。「カラダ売りてぇんなら、その道まっすぐ行って角曲がりな。男娼なら雇ってくれるところがあるぜ」ってな。

 

 店の中、大爆笑だったぜ。そしたらよ、そいつ、ボロからいきなり何かを床にぶちまけやがった。今思えば、臭いの元はソレだったんだな。

 

 天使の死骸だったぜ。赤ん坊タイプの。それも3体分。何かで切り刻まれたような、そんな感じだった。

 

 俺はな?「コイツ、もしかしたら使えるかもしれねぇ」と思ったもんさ。だが、他のハンターはそうじゃなかった。酒も入ってたからな。「何処で拾ったんだボウズ!」とか「威勢がいいな、ガキぃ!」とか喚いてたよ。

 

 そのうち、1人のハンターがそいつに近づいて言ったのさ。「テメェみたいなガキは家に帰ってママのオッパイでもしゃぶってろ!猫耳ヤロー!」ってな。

 

 ん・・・?ああ、言ってなかったか。あいつな、いつもなんか変なのを2つ、頭に着けてんだよ。赤い三角形の・・・、なんだ?ヘッドホンかなんかなのかねぇ?未だによく知らねえが。まあ、それがな?確かに赤い猫耳っぽく見えるんだよ。男の癖に猫耳って。なぁ?笑えるだろ?店の中はまた爆笑の嵐よ。

 

 だがな。

 

 次の瞬間、猫耳っつった奴が叩きのめされてた。言い忘れてたが、ソイツは当時、ウチの店でもかなりの実力者でな。あんなガキに負けるハズがねぇんだよ。

 

 ところが、だ。続けてあのガキが言ったのさ。「今、猫耳っつった奴、全員出てこい」ってな。

 

 酒が入ったハンターなんて碌なもんじゃねぇ。しかも薄汚ぇガキに煽られたんだ。みぃんなキレちまってな。ガキに殺到したぜ。

 

 だが、結果はご想像の通り。全員返り討ちに遭っちまった。10かそこらのガキに、だぜ?

 

 そのうち、客の1人が銃を抜きやがった。俺は「やるんなら外でやれ!店を汚すんじゃねえ!」って怒鳴ったんだがよ、聞きやしねぇ。その客はなんの躊躇もなく引き金を引きやがった。死体の掃除は面倒なんだ。やってくれたな!って俺は思ったぜ。

 

 だがな、銃弾はあのガキに届かなかった。

 

 なぜって?俺は見たんだよ。あのガキの右袖から、赤い帯みてぇなもんが伸びたのを!それが銃弾と、客の持ってた銃を両断したんだ!ついでに銃を握ってた指もな!すぐにわかったぜ。これで天使を切り裂いたんだってな!

 

 「あんたら、バカか?」

 

 あの時のガキが言い放ったセリフだ。誰もが言い返せなかったがな。

 

 それから、さ。あいつがちょくちょくウチの店に来るようになったのは。認めざるを得ねぇよ。あれだけの腕前を見せつけられちゃあな。

 

 まあ、その後も問題ばっか起こすんで、こっちとしては勘弁してくれって感じだが、溜まってた仕事は片付くし、文句も言えねぇ。そういう意味でも「厄介モン」てことさ。

 

 ・・・ん?『天使狩り』ってあだ名のことか?なんでそんな名前で呼ばれてるかって?

 

 それがよ、あいつ、本当に天使しか狩らねぇんだわ。エンジェルハンターっても、それ以外の仕事が無いわけじゃねぇ。それこそ殺し、とかな。ウチは裏の店だからよ。そういうのも斡旋してんだ。

 

 だが、あいつはどんなに報酬を山積みされようと、天使関連の仕事しかやらねぇのさ。むしろ天使の仕事が少ねぇ時は、どんなに安い報酬だろうと飛びつきやがる。ワケわかんねぇよな?だから付いたあだ名が『天使狩り』。まぁ、あいつ以上に天使を狩れるやつなんて俺ぁ知らねえし、ピッタリだとは思うがな。

 

 お?もういいのかい?

 

 まぁ、なんだ?ちょくちょく来てくれりゃ、あいつとも鉢合わせするかもしれんぜ?

 

 おっと・・・・・・。おいおい、いいのかよ?こんな貰って。たかがミルクだぜ?まあ俺としては助かるがな。あんたみたいな太っ腹の客ならいつでも歓迎だ。これからもよろしくな!

 

 ん?・・・・・・ああ、あいつの名前か。

 

 

 

 『アベル』。

 

 

 

 あいつは、そう名乗ってるぜ。

 

 そいじゃあな。

 

 

──────

 

つづく

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。