シン星紀エヴァンゲリオンー神も泣くかもしれない   作:サルオ

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g.ネルフLUNA

 

 スペースコロニー。

 

 または、宇宙植民地と呼ばれる概念の歴史は浅く、その存在が提唱され始めたのは、1929年。ジョン・デズモンド・バナールによって考案された「バナール球」が始まりとされている。

 

 本格的にこの概念が世に広まり始めたのはそれから40年後の1969年。アメリカのプリンストン大学の教授ジェラルド・オニールが、当時の学生たちと共に考案し、1974年にニューヨークタイムズ誌に掲載された事で、広く一般に知られるようになったとされている。

 

 その掲載されたスペースコロニーの一つである「島3号」は、SFに詳しい者であれば耳にした事があるだろう。

 

 「島3号」とは、シリンダー(円筒)型をしたスペースコロニーの形態の一つである。直径6.4km、長さ32kmの円筒を1分50秒かけて一回転させ、その遠心力でもって円筒内に擬似的な重力を発生させる事で、円筒内部での人類の生活を、限りなく地球上と同じ環境に置く事ができるというものだ。某宇宙世紀作品におけるコロニーはこの「島3号」をモデルにしているので、作品をご存知の方々には想像しやすいかと思う。

 

 この「島3号」の発表を基点として、その後、様々な形態のスペースコロニーが発表されていった。有名なところでは「スタンフォード・トーラス」「トポポリス」と呼ばれるドーナツ型をしたものや、「スペース・ナッツⅡ」と呼ばれる円錐形を2つ組み合わせた形のものなどが挙げられる。

 

 さて、様々な形態が提唱されているスペースコロニーであるが、一貫して共通している事項がある。それは『スペースコロニーを設置する場所』である。

 

 「ラグランジュ点」という位置の概念がある。これは簡単にいえば、「地球の重力」「月の重力」「地球を周回する事で発生する遠心力」の3つが釣り合う地点を言い、地球の中心から考えて、地球の周りに5ヶ所あるとされている。その中で最も地球に近く、かつ、わかりやすい位置にあるのが、地球と月の中間にあるL1と呼ばれる地点であった。

 

 このラグランジュ点L1は、かつての地球から32万2000km離れた場所にあり、月面に着陸したアポロ11号であれば約3日と14時間で到達する距離である。質量が半分までに減少した現在の地球と月であれば、その距離は更に縮んでいるといえよう。

 

 

 

 新たなラグランジュ点L1。そこに、ネルフ初の宇宙支部である、ネルフLUNAは存在した。

 

 

 

──────

 

 見渡す限りの星の海。

 

 その海に、ネルフLUNAはゆったりとその身を揺蕩わせる。

 

 ネルフLUNAは、人口20,000人の居住を想定しており、その形態は「スタンフォード・トーラス」型を採用している。直径約1.6kmのドーナツ型。そのドーナツが二つ、地球側と月側に並ぶように建設されており、それぞれのリングはいくつものスポーク(())で結ばれている。このスポークは、人や物資の移動にも使用される設計だ。

 

 このスポークが連結されるハブ(中心軸)は居住区のあるドーナツの内部とは違い、無重力状態に極めて近い。それゆえに、宇宙船のドッキングなどに用いられるのに最適とされている。要は、コロニーにおける宇宙港と言えるだろう。

 

 その港「喜望峰」に向かって、シンジの作り出した『光の回廊』が連結している。ネルフJPNからの避難者たちは、この『回廊』を通り、港に足を下ろしていた。

 

「状況を整理するわよ」

 

 ネルフJPNの職員たちに遅れて、ミサト、加持、ゲンドウも入港する。ひとまず難を逃れた面々が一息つく間もなく、ミサトは職員たちに指示を出した。

 

「各自、「リングEarth」の所定位置にて待機!30分後に通信でミーティングを開始するわよ。急いで!」

 

 ミサトの声に焦りが伺える。その焦りは、この場にいる職員たちにも伝染していった。しかし、本来ならそういった皆の士気を下げるような行動を諌める立場にあるはずのゲンドウや加持も、黙って指示に従い行動を開始する。

 

 なぜなら、みんな見ていたからだ。『光の回廊』の中から、ネルフLUNAに向かって飛来する無数の敵艦隊の姿を。

 

「ここまで準備万端とはな。俺たちは追い込まれたネズミってワケだ」

 

 軽口を口にしながら口角を上げる加持であったが、その顔にも緊張の色が浮かんでいる。

 

 「葛城総司令。そっちは「リングLuna」への連絡口だ。Earthへのエレベーターはこっちだぞ」

 

「ああっ、もう!無重力ってホント嫌!方向感覚狂うしスカートの中も見えるし、最悪だわ!」

 

 ゲンドウの指摘に従い、ミサトが愚痴をこぼしながらもEarthへのエレベーターに向かって方向転換を試みる。

 

 だが、無重力下での遊泳は水泳とは違い、手をかけば進めるというものではない。

 

「・・・あら?あらあらあらあら!?」

 

 ミサトは手足をジタバタと無様に振り回しながら、どんどんとゲンドウ達から離れていく。一度作用した力の向きを変えるには、どこかで一度、固定された物体に掴まらなければならない。

 

「ちょっ、ちょっとリョウジ!なんとかしなさいよ!」

 

「はいはい。今行きますよ、お姫様」

 

 加持は近くに設置してある簡易推進剤の入ったベルトの一つを腰に巻くと、ベルトに備え付けられたスイッチを押した。プシュという小さな音と共に推進剤が噴出され、軽い挙動で加持の体を押し上げる。ジタバタと空中でもがき続けるミサトに近づいた加持はミサトの手を取り、自分の胸に引き寄せた。

 

「ちょっと!?どさくさに紛れて何してんのよ!?」

 

「この方が推進剤の消費が少ないんだよ。大人しくしてろって。別に減るもんじゃないんだ、いいだろ?」

 

「よくないわよ!みんなの目ってもんがあるんだから離して・・・」

 

「早くしたまえ、葛城総司令。エレベーターが君を待っている。30分後のミーティングに間に合わなくなるぞ」

 

 ゲンドウの言葉を聞いたミサトが、渋々といった様子でその腕を加持の背に回す。その頬はほのかに朱に染まっていた。

 

「・・・私が言った集合時間だからね、破るわけにはいかないわ。だから調子乗んないでよね!仕方なくだからね!?」

 

「何を今さら。俺とお前の仲じゃないか」

 

「〜〜〜〜ッ!」

 

 悔しいが、反論している時間も惜しい。加持の太い腕に抱きかかえられ、ミサトは大人しくその身を加持に預けた。

 

 

 

 

 

「ハッキリ言って状況は絶望的ね」

 

 作戦司令室の床に足をつき、仁王立ちでモニターを睨みつける葛城ミサト総司令の言葉を否定する者はいない。

 

 ネルフLUNA。2つのリングのうち、地球側に向けて作られた「リングEarth」の一画に、ネルフLUNAの作戦司令室はあった。

 

 人口重力の影響を受けられるリングの外縁ギリギリ、かつ、常に地球を視界に入れられるようリングの外側に向けられて作られた司令室には、視界を埋め尽くすほどの大きな窓が、緩やかに湾曲したネルフLUNAの外壁にそって設置されている。

 

 人の被曝許容範囲を遥かに超える年間80mSvもの宇宙放射線、さらに、ときおり太陽から発せられる大量のX線と高エネルギー荷電粒子を含んだ太陽風は、人々の命を刈り取る死の風だ。ただのガラス窓では、防ぐことは叶わない。それらは全て、ネルフLUNAの外壁に使われた厚さ2m以上のチタン合金と、ネルフLUNA内に満ちた大気によって防がれている。この司令室の窓は、外壁に多角的に設置されたいくつもの高性能カメラの映像を映し出したモニターであった。

 

 そこに映し出されているのは、星の海に浮かぶ人類の母星、青い地球。ネルフJPNがエヴァンゲリオンと共に取り戻し、今は遠き故郷となった地球が、小さく映し出されていた。

 

 そして、その母星を背にし、ネルフLUNAへと向かってくる夥しいまでの黒い影。

 

「イナゴの大群、ってこんな感じなんですかね?」

 

 オペレーターの日向がヒュウッと口笛をふく。

 

「旧約聖書の出エジプト記においては、モーセが神から授かった第八の災いと記されているな。歴史上類を見ないほどのイナゴの大群は空を覆い尽くし、太陽の光は遮断され、すべての緑のものは食い尽くされたという・・・」

 

 ゲンドウがそれを拾い、注釈を加える。

 

「けれども問題は、アレらはイナゴではなく殺意を持った人間の群れ、という事ですわね・・・」

 

「ええ・・・」

 

 ネルフLUNAにてミサト達と合流したリツコ、それにマヤもモニターを凝視している。特に技術顧問であるマヤの眼差しは、画面の向こうの敵を射殺さんばかりの光を宿している。画面から読み取れるであろう情報を一つも逃してはならないと、マヤは必死に視線を巡らせていた。

 

「画面、もう少し大きくできます?」

 

「青葉くん、お願い」

 

「了解。映像、拡大します」

 

 青葉の応答の後、モニターに映し出されていた影が拡大された。

 

「やはり、シャトル型でしたか・・・・・・」

 

 マヤは映し出された敵艦隊の宇宙船を確認し、呟いた。

 

「かなりの大型。恐らく、地球脱出のために作られた船体をモデルにしたものでしょう。目測ですが船体の長さは約200m弱。横幅は130mほど。あのサイズなら、一機に対して約30〜40mのAE(オルタナティブ・エヴァンゲリオン)が3、4体は収納できると思います」

 

「MAGIも同様の回答を出してます。ほぼ間違いないかと」

 

「それがひぃ、ふぅ、みぃ、・・・・・・数えるのもめんどっちいわね」

 

 報告を聞いたミサトは両腕を組み、人差し指をリズミカルに叩いた。

 

「ところで気になったんだけど、なんでアイツら外に出てんの?」

 

 ミサトの指摘は画面上の、シャトル毎に約2体ずつ取り付いてる、AEに対してのものだ。2体のAEはそれぞれがシャトルの両翼にしがみ付いているようにも見える。

 

 だがAEのその背中。そこに備え付けられた翼のような装備が、決してAEがシャトルにしがみ付いているのではないという確信をネルフLUNAの面々に与えた。

 

「アレゴリックユニット・・・・・・。ちっ、やはり量産してきたか」

 

 ゲンドウがその翼の名を呼び、忌々しく舌打ちをする。

 

 シスの乗る機体、F型零号機アレゴリカにも搭載されている飛行ユニット。N2弾などに使用されているN2パワーテクノロジーの集大成。N2リアクターをパワープラントとし、それが生み出す何百もの重力子によって人工潮汐力場を発生、翼に搭載された人口ダイヤモンドのスリットに並べて相対的な揚力を得る、人の造りし翼。ネルフJPNの技術の結晶。

 

 そして、かつてユーロ軍によって盗まれた技術でもある。

 

 だが、問題もある。

 

「あれって、ATフィールドがないと使えないんじゃないの?」

 

 ミサトの口にした疑問が正しい。

 

 アレゴリックユニットの翼の先端から伸びるブームは、位相差発電エレメント。ATフィールドから外に突き出し、フィールドの中と外の空間位相差から電位を引き出す、エヴァにしかできない動力回生機関だ。これにより、アレゴリックユニットは既存の発電方法にはない半永久的な電力の供給を可能にしているが、AEがいくら代理品(オルタナティブ)といえど、アダム、またはリリスの素体を使われていないAEはATフィールドの発生までは再現し得ない。

 

「空間位相差は何もATフィールドでなければならない訳じゃないわ。N2リアクターの発するリアクターフィールド。その斥力があれば再現自体は十分可能よ」

 

「とは言え、搭載されているN2リアクターから揚力とフィールドの両方を得ようとすれば、その消費量は膨大になります。人の心の壁であるATフィールドならパイロットの意志次第で無限に近い頻度で発生させる事はできますが、リアクターフィールドを利用するならば、地球上ではあまり意味のない翼になりますね」

 

「地球上では、ね・・・・・・」

 

 リツコとマヤの技術者としての意見を噛み砕いたミサトが、リズミカルに腕を叩いていた人差し指を止めた。

 

「無重力である宇宙ならば、その消費も少ないってことか」

 

「重力から解放された人々にとっては、あの翼はその効力を十分に発揮するでしょうね」

 

「ならアイツらが外に出てる理由は、シャトルにしがみつく為じゃなく、シャトルを押すため?」

 

「そう考えていいと思います。地球の重力圏から出るために莫大な推進エネルギーを消費したシャトルの代わりに、宇宙空間での航行はAEに任せる。シャトルの両翼に1体ずつ。シャトルが4体を収納できるのであれば、途中で交代しながらN2リアクターの消費を抑えての長距離の航行が可能でしょうから」

 

「なるほどねぇ、よく考えてるわ。憎たらしいわね」

 

 ミサトの口がギィィッと上がり、凶暴な笑みを作り出した。それは獲物を前にした獣の舌なめずりか。はたまた、天敵を前にした弱者の威嚇という名の悪あがきか。

 

 誰にもその笑みの真意はわからない。だがミサトは、凛とした声でこの場の空気を一掃した。

 

「敵の到達予想時間は!?」

 

「この航行速度からすれば、あと4時間と32分で到達するとMAGIは回答しています!」

 

「了解!ならばミーティングに移るわよ。シンジ君たちは戻ってきた?」

 

「つい先ほど、「喜望峰」に入港したと連絡が」

 

「いいわ。彼らはそのまま休ませて。碇副司令代理!武装確認!」

 

「了解した。が、そもそもネルフLUNAは宇宙空間における戦闘を考慮していない。突発的なデブリ迎撃用の巨大ガンマ線レーザー砲がリングEarth、リングLunaの外縁にそれぞれ12基ずつ。計24基だけだ」

 

「それが我々にある武装の全て、ということでいいのね?」

 

「ああ。だが、リングLuna側のレーザー砲は使用できない。ネルフLUNA本体への誤射を防ぐ為、リングごとの武装は全て本体に向けられないよう設計されている。戦闘に使えるのは12基だけだ」

 

「仮に敵がリングLUNA側に回り込んだ場合は?」

 

「使用可能だ」

 

「ちなみに実弾兵器は無いのよね?」

 

「ああ。反動により発生する推進力がネルフLUNAの軌道を変える可能性がある。設計段階でミサイルを含む実弾兵器の設置案は放棄した」

 

「了解」

 

 ミサトが組んでいた腕を解き、左手を腰に当て、右手で口を隠した。何かを考えているのだろう、と古参のメンバー達は嫌な予感を覚える。きっとそれは、無茶苦茶な作戦に違いないと、付き合いの長い面子は経験で知っていた。

 

「防衛手段確認!」

 

 予想していた無茶苦茶な作戦はミサトの口から飛び出さず、更なる確認の指示が飛ぶ。その指示にすかさずゲンドウが従った。

 

「まず、太陽フレアなどの放射線を防御するために、小隕石をネルフLUNAの周囲に100個弱、浮遊させている。これが物理的な防御手段になるだろう。次に、ネルフLUNA内のN2リアクターを用いたリアクターフィールド発生装置。これはネルフLUNA全体を覆えるフィールドを発生できるが、その間、ネルフ内の電力供給の大半が犠牲になる。長時間の発生は難しいだろう。最後に、中心軸(ハブ)に設置した仮設L型エヴァンゲリオン0・0'。廃棄されていた零号機試作の脊髄の寄せ集めだが、ATフィールドの発生には支障は無い。これに綾波レイ・カトルが乗り込み、ATフィールドを発生させる」

 

「ATフィールドの規模は?」

 

「問題ない。ネルフLUNAの壁面にエヴァの脊髄を埋め込んで繋げてある。発生させれば、この施設の全てを覆い尽くせる」

 

「なら、それがメインの防御手段になりそうね」

 

「ただし問題もある。ATフィールドの発生に伴い、エヴァンゲリオン0・0'はシンクロシステムも起動する。ネルフLUNAが受けたダメージは、そのままカトルに跳ね返る」

 

「・・・・・・・・・参ったわね」

 

 ミサトが口に当てていた右手を上げて、そのまま前髪をかき上げる。その顔は心の底から「参った」と言っているようだ。

 

「こっちの防御手段はどれもクセありで攻撃手段も乏しい。逆に向こうはミサイルでも銃弾でも何でもアリ。加えて、こっちは出来立てほやほやのスペースコロニー。どっか一箇所でも穴が開けば完全にアウト・・・・・・」

 

 ふぅーーーっと、ミサトが長いため息を吐いた。

 

「・・・・・・あんまり子供達に無茶はさせたくないんだけど」

 

 この状況では、頼るしかない。しかし、ミサトの心情が、簡単に頼ってなるものかと意地を張っている。大人には大人にしかない戦い方というものがある。エヴァだけに頼らず、数万に及ぶかもしれない敵を撃退する奇跡のような戦術が・・・・・・。

 

 

 

 

 

「あ」

 

 

 

 

 不意に、ミサトの口をついて出てきた言葉。それと共に、ミサトの顔がだんだんと、再び獣の顔に変貌していく。

 

 古参メンバー全員の抱いた嫌な予感が、

 

「ちょっち、思いついちゃったかもん♪」

 

 当たってしまった瞬間であった。

 

 

 

──────

 

 対ネルフJPN連合軍のシャトル艦隊。

 

 その先頭に、彼はいた。

 

「アルフィー・・・・・・」

 

 地球に置いてきた、自身の恋人の名前を呟く。ネルフUSAの稀代の科学者、AEの産みの親である、アルフィー女史の名を。

 

「帰ったら、すぐに式を挙げような・・・」

 

 ジャパンでは、こういうのを「死亡フラグ」と呼ぶらしい。バカバカしい。愛する者の下へ、無事に帰還する。その決意を口にする事が、なぜ己の死を呼び寄せるという結論に至るのか。むしろこの宣誓は、己の生きる気力をいくらでも引き上げてくれるというのに。

 

 彼はオカルトを嫌っていた。マキシマス大佐のもと、人造人間エヴァンゲリオンなどという眉唾なモノの運用に携わっていた事もあったが、よく分からない生物を基にしたよく分からない兵器に自分の命を預けるなど、彼からしてみれば狂気そのものであった。

 

 信じられるのは、人類が長い歴史と共に培ってきた科学。そしてそれを応用する兵器、戦略。それだけで十分であるというのに。

 

 彼が世界一愛する女性が、それを自分に託してくれた。それだけで、自分は無敵のスーパーマンにでもなれる。いや、実際になれるのだ。彼の載っている機体を持ってすれば。

 

 青黒く塗装されたスペースシャトル。宇宙に溶け込み、敵の目を欺くためのものだが、彼はそれを卑怯だとは思わない。軍人が生き残るために手段を選ばないのは、当然の権利なのだから。

 

「ネルフLUNA・・・・・・」

 

 彼は、操縦桿を強く握った。

 

「アルフィーの与えてくれた、この『メタトロン』が、お前たちの野望を打ち砕く・・・・・・!」

 

 リアム・アンダーソン。

 

 後に米国の英雄と呼ばれる男が、牙を剥いた瞬間であった。

 

 

 

つづく

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