喫茶リコリコで看板娘の奴隷やってます   作:布団は友達

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幕間
オリ主情報+おまけ


 

 

 

〜登場人物紹介〜

 

 

 

 

 藤宮天

 

 年齢:23歳

 誕生日:9月22日

 血液型:A型

 身長:184cm

 

 通称:リコリスの盾

 

 

 元はとある警備会社の暗部が拾った孤児で、幼い頃から裏の仕事に従事していた。その高い生存力と作戦遂行力は上司からの評価も上々だった。

 リコリスとも幾度か交戦、全て撃退している。

 電波塔事件の一年後、賞金首となった千束を襲撃するも全滅。

 その時に千束に気に入られて、ミカの管理下に置かれる。

 DAにも顔が知れており、フキとは仲が良い。

 実は多くのリコリスから現役引退後は結婚して欲しいと言われているが、子供の儚い夢程度の認識。

 

 店員としては、開店して間もない頃からリコリコで働く最古参メンバー。

 ミカに教わった料理の腕は免許皆伝の域。

 レジ打ちやら経理などは、彼がいてようやくリコリコの命を繋ぎ留めている状態となっている。

 

 戦闘力は高い。

 主に自身の体の頑丈さを頼りにした近接戦闘型。

 銃弾を目視で捉える動体視力と、千束に次ぐ反射神経。体の並外れた頑丈さは、人が足を挫く高さを余裕で飛び降りても無事だったり、防弾チョッキ抜きの腹筋で弾丸を止める程ある。

 手合わせで千束に一回も勝った事はない。

 曰く『漫画の中だけでやってろバーカ!』。

 

 DAからハッキングやその他の技術も教えられた。

 楠木から次の司令官としての将来を密かに嘱望されている。ただ本人はその技術を使って戸籍を偽造しており、いつかリコリコを辞めて一般人として生活、若しくは国外逃亡をと画策中。

 ただ、千束の任期終了までは実行を延期している。

 

 恋愛については積極的。

 ルックスや性格から客にモテるが、リコリコ関連で作ったら長続きはしない(主に外的要因)。自身への好意には鈍いので、告白されるとよくタジタジになる。

 ただ、心のどこかで人と一緒になる事は諦めている。

 マッチングアプリを始めたが、開始三日で千束に露見してやめさせられた。

 

 

 

 

 

 

 

 人間関係

 

 

 千束→私だけの物

  本人もかなり執着している。他人の時間を奪うのが嫌だというポリシーがあるが、彼だけは自由にできるとあって甘えている。

  千束が全て独占できる唯一の相手。

 

 

 たきな→頼れる先輩

  作戦遂行力や、クセの強い店内では店長に次いで最もまともな部類。振る舞われたケーキから、既に大体の信頼を寄せてしまっているチョロイン状態。

  取り敢えず彼に認められるのが第二目標。

 

 

 ミカ→リコリコの右腕

  千束同様に我が子のように扱っている。料理や接客についても教えた昔を懐かしむくらいに色々と上達してしまった事を少し寂しく感じている。

  いずれは一般人として幸せになって欲しい。

 

 

 ミズキ→奥の手のキープ

  頼れる隣人、最悪の未来に備えたキープの認識。ただ口の悪さが難点だと考えており、それが奥の手としている最大の要因。

  千束を任せられる数少ない人物。

 

 

 楠木→将来のDA司令部の人材

  十四才の頃からその才能を高く買っている。仮にもし千束の『任期』が終わる頃まで生き延びていたら、DA本部で働かせる目的で情報操作術などの技術を叩き込んだ。

  いずれミカのような司令官にしたい。

 

 

 フキ→面倒見の良い兄

  千束の被害に遭う仲の一人だが、自分を素直に評価してくれる一人で、身近な異性の人間。その性格からつい頼ってしまい、兄のように慕っている。

  毎年、密かに本部で会える事を楽しみにしている。

 

 

 上司→最高傑作

  作戦成功率百パーセントの逸材。彼を投じて幾つものライバル社や難題との対決を乗り越えてきた。彼を拾った張本人だが、子への愛情的な物は皆無。

  最後は天の前で自害した。

 

 

 

 

 人間関係(逆)

 

 

 千束→ご主人様

  ある意味で恩人であり人生を引っ掻き回した張本人。理不尽な言動には常に呆れと怒りを抱いているが、一方でワガママな妹のように見ている。

  自覚は無いが死んだら一番悲しい相手。

 

 

 

 たきな→クール系バーサーカー

  伸び代はあるが、如何せん急いてしまう部分を危惧している。ただし指導によっては化けると思って人一倍研修には熱を入れている。

  最近は料理を褒めてくれるのでただの可愛い妹。

 

 

 ミカ→恩人

  裏社会で擦り潰れるだけだった自分を救った人。

  切掛は千束とはいえ、この出会いを生涯の思い出としている。彼への恩義と千束の想いが自分を社会に繋ぎ止めている。

  いつか恩返ししてから逃走したい。

 

 

 ミズキ→可哀想だから貰ってあげて

  面倒見の良さから姉のように思っている。十年後に互いに独身なら結婚する密約を交わしているが、ほとんど冗談という名の慰め。

  誰でも良いから貰って、じゃないと安心してリコリコを出れない。

 

 

 楠木→進路操作されてる気がする

  出会った時から警戒している相手。自分に技術を仕込む辺り、将来は優秀な道具として使役しようとしていると思って極力関わりたくない。

  ある意味、DAから離れたい理由。

 

 

 フキ→数少ないファースト

  千束以外に知る数少ないファーストリコリス。任務への直向きな姿勢から、ただのいい子だという印象を抱いている。

  二十歳になってから毎年お年玉をあげている。

 

 

 上司→クソ中のクソ

  自分を拾って育てた親のような人。ただし敬意は欠片も無く、リコリコに来てからは真っ先に情報を売った。

  現在は故人、痕跡はDAに処理された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 おまけ「私だけの奴隷」

 

 

 

 

「ねぇ、テン!見てみて!」

 

 私――千束はリコリコの制服でもある和装に着替えて、テンに披露していた。

 まだ来て間もない彼は、自身に関する書類の処理で追われている。

 

「あー?はいはい、宇宙一マブい」

「見てから言えよ!」

「眩しすぎて見えないわ、スマン」

 

 当初、テンは私に無関心だった。

 何なら、相当に憎んでいたかもしれない。

 私のせいで、以前まで商売敵だったDAに存在を認知された挙げ句、その命を握られているのだ。今思えば、かなり危ない状態だったともいえる。

 先生といえど本部から離れた人間。

 彼の庇護下でも安心はできない。

 

 それでも、彼は優しかった。

 

「えー、見てよっ!」

 

 強引に私はテンの膝の上に乗る。

 体の正面を彼に向けて、両腕を開帳した。

 ちっ、と書類との間に割って入った私に軽く舌打ちをした後――まるで子供でもあやすように片腕で抱きしめて、ぽんぽんと背中を軽く叩かれた。

 

「はいはい、後でな」

「…………」

「ったく、書類多すぎ。え、インク無くなるんですけど……これもしかして受験か?噂の受験か?学校通った事ないからわかんないんだけど」

 

 私を抱きしめたまま書類と格闘する。

 何だか先生とも少し違うその抱擁に、私は呆然としながらも不思議な心地で浸った。

 もしかしたら、これが兄……なのかな。

 

 

 

 

 リコリコに来てから一年が経つ。

 定期的にDA本部へ通い、様々な言語や技術を学ぶ傍らで喫茶店営業に彼は携わっていた。

 この頃からだろうか。

 ライセンス更新の為にDA本部へ行くと、よくリコリス達がテンを「テン兄」とか「お兄ちゃん」って呼んでいた気がする。特にフキは、彼と仲が良かったな。

 

「「「テン兄だ!」」」

「おー、元気だな。悪いが今日も俺はお勉強だから」

「教えてあげよっか?」

「そだな、困ったら頼むわ」

 

 一人ひとりの頭を軽く撫でて、彼は歩いて行く。

 私はその後ろをついて回っていた。

 

「あの、千束さん?」

「何かね」

「ライセンス更新、はよ行けや」

「テンも来てよ」

「俺はライセンス更新どころかライセンス得る為に勉強している途中なんですが??」

 

 呆れた顔で返答され、私はむっとする。

 

 それから数時間して、私は更新の為の体力測定を終えてから再び彼と合流しようと本部を歩き回っていた。

 探し始めて三十分、ようやく彼を見つけたが……多くのリコリスに囲まれながら談笑している彼の姿がそこにあった。

 

「テン兄、本部で働くの?」

「んー、一応は違う支部に預かって貰ってる状態だけど、ライセンス得たら可能性はあるな」

「本当に?じゃあ楽しみ!」

「そうなったら宜しくな、先輩ども」

 

 賑やかな人だかり。

 それを見て、私はどこか寂しく感じた。

 テンは、私が見つけたのに。

 誰よりも、テンを知ってるのは私なのに。

 

「テン!」

 

 私が叫ぶと、テンがこちらへ振り返る。

 すると。

 

「あー、やっぱり無理かも。俺、アイツの部下だから」

 

 そう言って、苦笑した。

 えー、と残念そうなリコリス達に「でもいつか辞めてやる!」とか楽しそうに返していた。

 この時に思ってしまった。

 彼はいつだって私を優先する。

 そっか。

 テンは本当に私だけの物なんだ、と。

 

 人よりも()()()()()()()()()私は、誰かの時間を奪うのが嫌だ。

 だから、何かを独占するのだって駄目だと思っていた。

 でも、テンだけが許してくれる。

 テンは私の物でいてくれるんだ。

 

 

 実際に、テンに私の体について話した時だ。

 それを言ったら。

 

「そうか。じゃあ、それまでが俺がリコリコで働く時間か」

 

 さっぱりとした回答を口にした。

 私が任期を終えるまで、彼は共にいてくれると約束した。

 言質は取ったからね?

 テンは私だけの物、これは決定事項なのだ。

 

 

 

 

 だから、許さなかった。

 町中で、女性と二人で歩くテンを見た瞬間に頭が沸騰しそうになった。

 彼も彼で、私を見て「げっ」なんて気まずそうだし。

 だからデートも妨害したし、彼がトイレで席を外している間にあらぬ事を恋人に吹き込んで幻滅させて、破局にも導いた。

 自分でもワガママが過ぎると思う。

 でも、テンは――落ち込むだけで私を責めなかった。

 

「俺がそこまでの男だったんだろ」

 

 叩かれた頬をさすりながら、とほほと悲しげに笑う。

 この瞬間に、私は思わず笑みをこぼす。

 

「しょーがないねー、テンは」

「あ?」

「私との交流で、いい男になる方法を探すといい。これでも千束さんは女の子の良い代表例だからね」

「何処の世界に男を奴隷扱いする女子が代表になるんだよ。そしたら俺はもう異性交遊諦めるぞ」

 

 テンのジト目に笑顔を返した。

 あなたは、あなただけは私の物。

 

 誰の時間も奪いたくない、そんな私がたった一つだけこぼした甘え。何かを自分だけの物にしたいという独占欲の、矛先。

 テンは、私だけの奴隷だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ「二人目の我が子」

 

 初めて彼が来た時。

 その時は、未だ名前すらなかった。

 

「君の名は?」

「13番です、すみません」

 

 千束の家を襲い、最後まで彼女と格闘した人物。

 その能力値は計り知れない。

 千束に敵いはしなかったが、裏社会にはまだこれ程の逸材が隠れている。

 この子には“才能”がある。

 その証拠に――。

 

「っ、君……それは」

 

 少年の首には、見覚えのある物があった。

 梟をかたどった不思議なチャーム。

 それは、『支援』を受けた選りすぐりの人間しか持たない筈の物である。

 私は、これを知っていた。

 

「これですか。俺を拾った人がくれました」

「拾われたのか」

「上司です、名前は知りません。仕事終わりに定期的に会うくらいの仲です。かなりのクソです」

「……それは隠しておきなさい」

 

 少年は黙って頷いた。

 大人の言うことには素直に従う。

 その速やかな姿勢は、ただ聞き分けの良い子供という言葉が形容しうる範疇を超えて、異質で機械的な物を感じさせる。

 個人としての感情は豊か。

 なのに、命令には忠実。

 人格に組み込まれた機械の性質の不気味さが宿っていた。

 

 この子が私の所に来たのは、運命か。

 恐らく、私が司令官の時代にファーストリコリス一名、セカンドリコリス三名で当たった重要案件でたった一人に全滅させられた事件があった。

 話を聞く内に、それがこの子だと確信を得た。

 

 何処までも存在するのだ。

 この世には、“殺しの才能”が。

 

「君はどうしたい?」

「取り敢えず生きたい。だから、まず俺の飼い主を処理したいです。その後は……DAにこの身を捧げますよ、煮るなり焼くなり好きにして下さい」

 

 私は、その願いを承諾した。

 

 

 

 彼の『飼い主』の抹殺も完了した。

 ソイツは、ある機関が育てた天才の一人であり、またその延長線上で機関に入った男だった。

 天才を見つけ、育む才能。

 それだけ情報を開示すると、ソイツは彼を嘲るように眼前で自ら命を絶った。

 

 私はその情報を、一応楠木に伝達はしていた。

 無論、機関については言及せずに。

 

「怪物は存在するものですね」

「コイツはどうする?」

「野放しにしても危険です。千束なら問題なく処理できるでしょうが、事前に芽を摘むのが我々の責務」

「……なら、一応は私が身柄を預かろう」

 

 それから、私とDAで教育は施した。

 この日から、彼は――『藤宮天』と名付けられた。

 訓練の過程で、その才能を楠木に認められたお陰で幸か不幸か、将来はDAの司令部に務める人員としての未来を望まれている。

 

 

 

 優秀だが、ただの子供にすぎない。

 それは時間を共有する中で痛感させられた。

 

「テン、落ち着いて!」

「痛った!!おい、コイツ本当に俺に懐かないぞ!?」

「リキが嫌うって相当だよ、テンって犬に好かれないよね」

「何で?猫にも嫌われてるから犬はせめてって一縷の望みを懸けたのにぃ……!」

 

 千束には良い影響を与えていた。

 歳の近い友人、または兄ができた気分なのだろう。

 立場としては若干逆転していなくもない瞬間があるが、私には二人が兄妹のように見えていた。

 彼も千束を妹のように感じているのだろう。

 ただ、わからないのは――私は彼にとって何なのか。

 

 リコリコの営業が終わった夜、座敷で寝ている千束に膝枕をしている彼が言った。

 

「店長は俺の恩人ですよ」

「私が?」

「俺には親ってもんがわからないけど、多分こういうのを言うのかもしれません」

「……もっと健全な関係だと思うぞ」

「それでも、です。俺……千束に『その時』が来るまでには店長に恩返しして、ソレで晴れて自分の人生始められる気がしますよ」

 

 無邪気に彼は笑った。

 どうやら、我が子が二人も増えてしまったらしい。

 それを、素直に嬉しいと感じていた。

 だが、同時に罪悪感もある。

 私は所詮、天を利用していた大人たちと何一つ変わらない人間なのだ。罪悪感を持つ資格すら無いのだと言うのに。

 千束といい、この子の事といい。

 私はいつから、こんなにも甘くなってしまったのだろう。

 

 

 そして彼が二十歳になる前だ。

 私は、彼に長い紫檀の箱を渡した。

 

「え、何ですかコレ。爆弾?」

「武器じゃない、開けてみろ」

 

 箱を開けた彼は、その中身を見て固まった。

 それは、彼が来て三年目に私が用意していた着物――藤宮天が成人を迎えた時に必要となる晴れ着だった。

 着物を見た顔が固まったのを見て私は笑ってしまった。

 

「もうすぐ成人だろう?」

「……そっか、俺二十年も生きてたのか」

「戸籍の無いオマエでも出られる式場は押さえた。成人式にそれを着ていきなさい」

「……良いんですか」

「ああ。息子の晴れ舞台だ」

 

 しばらく黙っていた天は、やがて私の方へと向き直ると一度だけ背筋を正し、深々と頭を下げた。

 感謝の言葉はない。

 無言の一礼。

 その時、彼が口を開いたら決壊する熱量がそこにあるのだと察した。

 

 いつしか、この子は私の『息子』になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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