喫茶リコリコで看板娘の奴隷やってます   作:布団は友達

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友人に『アンケートの言葉選べよ』と言われました。
素直な感想が集まると思ってああいう風にしたんですが……世の中ってムズカすぃ。


四話「色々と終わってる」

 

 

 

 

 13番side

 

 

 

『どうした?今日は集中力が無いな』

「ん?まあ、色々あってな」

 

 通話中のクルミが思案声で尋ねてくる。

 ただの遊び相手に心配なんて良いヤツだな。

 今日は対戦ではなく、チェス以外のゲームにて協力プレイで遊んでいる。

 流石はクルミ、動きが洗練されている。

 対する俺の動作から、集中力とやらの欠如を見抜いたクルミさんは、そこに俺の異常を察知したらしい。……ゲームで相手の状態が分かるってどういう頭脳してんスか。

 

「別に。何も無いよ」

『…………』

「こうやって悩めるのも人生の醍醐味だ」

 

 手元のタブレットで情報確認を行う。

 先日、会社に嗾けられた3番を辛くも撃破し、これで倒したナンバーズは三名となる。

 元から俺の鎮圧には、ナンバーズにすら選ばれない下位の少年兵が使用され、それらが無意味と知ると上層部がナンバーズを差し向けるようになった。

 どれもが手強い。

 大体、俺は最初からかなり不利だ。

 何処かに支援されているワケでもないしな。

 武器を調達できない俺は毎回ほぼ素手で応戦しなくてはならないのだ。お陰で強敵相手に肉体のみで立ち向かうという脳筋な戦術でゴリ押しだ。

 

 ナンバーズ三名は、それぞれ単独で俺を襲撃している。

 次からは部隊で来るかもしれない。

 そうなると徒手空拳では敵わないかもしれん。

 

「クルミ。気分を悪くさせたか?」

 

 水を差すような事を言ってしまった。

 折角遊んでくれてるのに申し訳なく思う。

 

 

『そうだな。――ボクだけに集中しろ』

 

 

 そうだな…………ん?

 

「ああ……うん?そう、だな?」

『ボクも最近はこの時間を一等楽しみにしているんだ。やるならやるで、しっかりしろ』

「……そうだな」

 

 何だか男前だな、クルミさん。

 俺が女性だったら惚れてたぜ。

 実際にクルミの性別は不明だが、危うくキュンとするところだった。

 全く、心臓に悪いヤツだぜ。

 

 確かに、ここ最近はクルミと遊ぶ時間が一番楽しいかもしれない。

 ふ、安心しろよ、たきな。

 別にオマエといて楽しくない、なんてワケじゃない。

 ただ、会う度に今回で最後だと銃を向けられないかという不安が心の何処かにあるのだ。その所為でついつい身構えてしまう。

 

「やっぱりクルミは最高だな」

『何でボクがそんなに高評価なんだ』

「今やクルミ無しでは生きていけなくなったんだぜ。なんてことしてくれるんだ、全く」

『…………』

「あ、引かないで下さい」

『驚いただけだ』

 

 ふう、危ねえ。

 気心の知れた友人を失うところだった。

 クルミは至高!

 

 そんな調子が乗ってきた頃でアラームが鳴り、俺が時計を確認すると次の仕事が差し迫る時間帯になっていた。

 

 俺は嘆息し、ゲームの手を止める。

 クルミも予て聞いていたタイムリミットを察してか、早速ログアウトしてしまった。

 継続している通話モードも直に切れるだろう。

 

「今回も楽しかったぜ、クルミ」

『ああ。ボクも楽しめた』

「次は……来週の火曜の二十一時だな!」

『ああ。じゃあ、それまで死ぬなよ』

「え?お、おう」

 

 ぴ、と通話が終了する。

 クルミ、なんて心臓に悪いヤツなんだ。

 俺の日常的には、思わず知られているんじゃないかと疑ってしまうくらいの言葉だった。

 まあ、有り難く受け取ってはおく。

 死にたくはないさ。

 でも、問題が山積みでなぁ……ナンバーズ襲撃に対抗できるようにしておかないと。

 

 

 俺は力を抜いて背もたれに体を預ける。

 ぎしりと軋む音に、隣で小さな悲鳴が上がった。

 あー、そうだった。

 

 襲撃もあるが……直近の悩みはそれだけではない。

 それは、俺の助手席の……。

 

「…………」

「ごめんなさぃ……」

 

 俺の上着を羽織り、こちらを怯えた表情で見る少女だ。

 うーん、マズいよなぁ。

 この子、どうしようか。

 

 

 経緯を説明しよう!する相手いないけど!

 3番を撃退した時にこの子と出会った。

 どうやら3番と俺の回収役として現場に派遣されていた少年兵だったが、俺に運悪く見つかってしまったのだ。

 最初はカーチェイスとなったが無事捕獲、情報を持ち帰らせない為に、この子を拘束した。

 でも、どうしたもんかな。

 この子をそのまま帰す訳にはいかない事は確定だ。

 

 ならば、殺すか。

 

 その選択がどうしても出来ない。

 理由については自覚している。

 ナンバーズ及び下位の少年兵は、教育の所為で敵を討つまで決して退かない性質を抱えていた。故に、今までの俺に害を為そうとする行動から即殺一択だったのだ。

 ところが、この少女にはそれが無い。

 育成されたにしては感情が豊かだ。

 俺に怯え、まず最初に逃亡に走っている。捕まった後も、俺と一緒に自爆するなんて行動にも出ない。

 

 いかにも……あの会社の少年兵らしくない。

 

 害意の無い敵を殺す――不要な殺生は、今の俺にはできない。

 だから、未だに彼女を殺せずにいた。

 でも、帰さないにしたっていつまでも拘束しているのも難しい。

 う、ううん…………。

 

「あのさ」

「ひっ!」

 

 少女が見を縮こまらせる。

 いや、うん、ね?

 こんなに警戒された状態では、何も聞き出せない。

 正直、もう殺処分以外の案は頭に浮かんでいるんだが本人の意思を問いたい。

 

「あー………取り敢えず、飯食いに行かね?」

「………!?」

 

 こうなったら、まずは懐柔だな。

 まずは俺が無害である事を教えつつ、会社に戻るなんて選択肢が浮かばないような……外界の素晴らしさを骨の髄まで叩き込んでやるよ!!!

 

 

 

 

 

 

 一月後、俺の生活は一変した。

 まず生活拠点となる車を新調する事になった。

 以前よりも大きい物になり、荷物を置く場所も寝る場所もある程度は増やせている。

 今まで一人で窮屈だと思った事は無い。

 どちらかというと小ぢんまりした方が落ち着く。

 では、何故今更大きくしたのかって?

 …………単純に、我が社に根無し草の新人が増えたからだ。

 

「助手、これから仕事なんだが」

「はい、社長!」

 

 カーテンで仕切った後部座席の方から声がする。

 次の瞬間には開け放たれ、畏まった表情の助手が現れた。

 仮称――豆子。

 腰まで届く麻色の長髪を襟足で束ねて、ほとんど男装状態の女の子だ。

 可愛いが、まだ十一歳らしい。

 甘味や遊園地など連れ回した結果、もう俺無しでは生活できない!とか変な事を言い出したので、まあ取り敢えず保護している。

 まあ、この子も俺と同じで戸籍無いから行く宛なんて他にない。

 それが狙いではあったが、予想以上の効果だ。

 丁度、人手も欲していたところだし。

 襲撃の際は他所に避難させている……戦わせると、クソ上司の教育が蘇って再び敵対関係に戻りかねないしな。

 

 しかし……他人から見たら俺と一緒にいるとほぼ事案!

 

「次の仕事は何でしょう?」

「実はDAと取引しててな」

「き、危険じゃないですか!?」

 

 豆子が顔面蒼白で体を抱いた。

 うん、でしょうね。

 実際に、俺だっていつ裏切られてこの車を爆破されないかとビクビクしていたりする。この四ヶ月間、たきな相手に警戒心を抜かないでいるのもその証拠だ。

 

「一月に一回、連中が知りたい潜伏テロリストやら事件について調べた情報を提供する事で追手を出させない契約だよ」

「な、なるほど」

「そこで、豆子は席を外して欲しい」

「……?」

「見られたら説明しなくちゃいけないが、会社の同僚だったなんて言ったらDAに連行されて尋問になる。情報交換する間、何処かで昼飯でも食って過ごしていてくれ」

「だ、大丈夫でしょうか」

 

 思案顔で豆子が車内を見回す。

 たしかに、色々と生活が様変わりしてしまった。

 たきなは違和感を覚えて、間違いなく言及してくるだろうが、そこは俺がやるしかない。

 保護した手前、すぐに捨てるなんて無責任な真似をするなら会社を出たのが無意味になる。

 この子も俺の部下だ。

 殺したり、道具のように使い捨てたりはしない。

 

「――ほれ、これで好きな物でも食いにいけ」

「た、大金!」

「安心しろ、給料とは別だから。余ったら小遣いにしとけ」

「社長……!」

 

 豆子が顔を輝かせ、俺に一礼すると車を出た。

 そのまま何処かへと駆け去っていく。

 …………さて、GPSを起動してあの子の位置を特定しておこう。非常用電話を利用した場合、会社との接触があれば即時感知して傍受できる態勢は整えてある。

 すまんな、豆子。

 既に部下とはいえ、こういう気質なんだ。

 仲間なら大事にするが、敵になるなら…………。

 

 

 

 

 

「こんにちは」

 

 こんこん、と窓がノックされる。

 きっかり五分前。

 規則正しいどころか堅すぎるたきなは、必ずこの時間に現れる。出現が読みやすくて有り難いが、却ってこちらも間違えてはならないと身も引き締まる。

 うーん、豆子とは正反対だな。

 アイツは何ていうか、ゆるキャラ。

 守ってあげたくなる妹って感じだし。

 

「いい加減に開けて下さい」

「あ、はい」

 

 物思いに耽っていたら、すっかり放置していたようだ。

 車のロックを外し、たきなを中へ迎え入れる。

 助手席へ滑り込むように乗った彼女が、早速とばかりにこちらに手を差し出した。

 その意味を了解して、俺はUSBを差し出す。

 恒例の如く、金の入った茶封筒………前回よりも厚みがある?

 

「貴方の働きをDAが認めたみたいです」

「おお……嬉しくない!」

「……………」

「……………」

「……………」

「……………あ、そだな。今日も飯行くか」

 

 危ねえ。

 いつも通り、いつも通りに振る舞え。

 決して日常の変化なんて悟らせるな、たきなといえど子供だから好奇心はある。些細な事から豆子の事まで辿り着かれたらアウトだ。

 俺は駐車場を出て、街へと繰り出す。

 車窓に流れる景色は相変わらず……なのに空気が重い。

 あ、アレ?

 なんか、たきなさん?

 いつもなら『無駄遣いしないように』とか、『女遊びには使うな』とか言ってくるのに今日は無言だったな。

 俺……というか、彼女に異変が生じている。

 

 運転する俺の横でたきなは、車内を見回した。

 

「車、変えたんですね」

「ああ、稼げてきたしな」

「いずれ事務所でも持つ気ですか」

「そんな事したら、逃げにくくなるだろ。それに、事務所を構えるほど大きな事業にもならんし、第一従業員なんて雇う気も無いから」

「…………」

 

 お、やっと話し始めたな。

 ……その、あまり見ないでください。

 たきなが後部座席との間を仕切るカーテンに触れた。

 表面を撫でて、感触でも確かめるような仕草だ。

 しかし、カーテンは固定していてスライドできないので、奥側にある豆子の私物などは確認できない筈だ。念入りに消臭もしたし、豆子には車を出る前に片付けを徹底させた。

 バレる心配は――。

 

「…………え?」

 

 不意にたきなが当惑の声を上げる。

 丁度俺の車も信号に捕まって停車した。

 何事かと、たきなを見る。

 カーテンを凝視していた彼女は、ゆっくりと俺の方へと視線を巡らせる。

 

「誰か、いたんですか?」

 

 え゛。

 ばばばばばばばバレてる!?

 い、いや、まだ疑ってるだけの段階だ。

 俺は平成を装って、たきなの方に振り返る。

 

「いなかったけど……何で?」

「だって、だって」

 

 たきなが自分の口元を片手で覆う。

 何だか動揺しているような様子だった。

 たきなにしては珍しいくらい取り乱している。俺が誰かを車に入れた事がそんな驚くに価する事態なのか……?

 

 

「女の、臭い……?」

 

 

 ぴっ。

 し、消臭剤が効いてない?

 前々から生活拠点である車内を清潔に保つ為だとキツいくらいに消臭剤を使用しているので、今さらその気配が強くても疑いの種にはならない筈だ。

 それで臭いって……犬並みの嗅覚でもあるのか!?

 

「あ、昨日たしか知り合いのお姉さんを家まで送ったかな」

「…………」

「それで匂い付いてるのかも」

「何で……ッ」

 

 ――嘘つくんですか。

 か細い声が聞こえた…………気がした。

 うん、聞こえてない聞こえてない。

 

 それ以上、たきなが追及する事は無かった。

 DAと交わした条件の中に、俺のプライベートを詮索しないというのがあるのを律儀に守っているのだろう。

 ……凄く尋問したいとでも言いそうな顔だが。

 まあ、また怒られそうなので頭でも撫でていつものように落ち着いて貰おうかと手を伸ばし――。

 

 

「触らないでください」

 

 

 ぱしり、と手を叩かれた。

 それから、たきなが顔を背けてしまう。

 どうやら、かなりご立腹らしい。……嘘をつかれた事がそんなに嫌だったのか。

 で、でもなぁ……本当の事は言えんし。

 どうしたもんかと悩んでいたら、たきなの矮躯が小さく震えているのに気付いた。たまに聞こえる鼻を啜り、喉をきつそうに鳴らす音も耳に入る。

 …………まさか、泣いてる?

 え、ウソ、そんなに??

 

 俺は慌ててハンカチを取り出して隣に差し出す。

 たきながそれに気づいたようで、ハンカチ――ごと俺の手を握ってそこに顔を埋めた。

 か、片手運転はいけないんですけどぉ……?

 

「……………」

 

 俺は手を引きたいが、今のたきなを放置するわけにもいかない。

 

 仕方なく、俺が昼食場に選んだ店に着くまで……そんな状態だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???side

 

 

 

 とあるファミレスで、私はグループ席に腰掛けた。

 今日は社長から貰ったお金があるのです。

 これで美味しい物を食べて、社長に日頃の感謝を伝える何か贈り物を帰り道で買って行きます。

 

 あ、でも、その前にお話しなくちゃ。

 あとは傍受対策……完了、と!

 

「やあ、元気にしてたかい?」

 

 目の前にスーツ姿の老人が座る。

 私はその声に頷いて返しました。

 

「いや、キミの話ではないよ。――13番だ」

「13番じゃありません!社長です!」

「うん。馴染めてるようで何よりだよ」

 

 柔らかい微笑みだ。

 

「時が来るまで、あの子を観察していてくれ」

「言われずとも。私は社長の助手ですから!」

「ああ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――宜しく頼むよ、2番」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




千束√より破滅的、かも。

ぼざろも漸く書けてきたわ!
近々載せるつもりよ、おっほっほっほっほろろろろろろろろろ(ダムの映像
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