クソニブ師匠ポジ切り札系オリ主 作:yakitori食べたいね
模擬戦が終わった後、フキと合流してその場を離れた。
ユキもボーッとしていたままで、どこか遠くを見ているようだった。
「…あの…大丈夫か?」
「…んーん、大丈夫」
「そうか…」
フキは今お手洗いに行っていて、此処にはいない。
俺らは地図に書かれていた噴水にやってきた。
そこは広場のようになっていて、二人で何も言わずに噴水の側へ座った。
特に会話をするわけでもなく、ただその場で黙って待っていた。
いきなりどうしたのだろうか。
やはりユキの調子があまり良くないのだろうか。
男相手だと言いづらい事かもしれない。
後でフキにそれとなく伝えておこう。
そう思考を巡らせた。
ふとガラス張りの天井へ顔を上げた。
そこにも、いつものように死の線は浮かんでいた。
つまらない。
そう感じてしまう。
あれらも、俺が指をなぞるだけで全て崩れ去るのだとそう考えると儚い、というよりは諦観が頭に浮かんでしまう。
横に座るユキを見た。
彼女もこちらをじっと見ていた。
目が合う。
お互い、身動きもせずに顔を見続けていた。
どういう状況かがわからない。
これは、目を逸らしたら負け…という事だろうか。
お互い全く喋らないから理解が進まない。
俺は、勇気を出して話しかけることを決意した。
「どうしt「おーう!今戻ったぞー、ってあれ?なんか喋ってたか?すまん」
…正直少し頭にきた。
俺が勇気を振り絞って話しかけたというのにこいつは……!!!
「いでっ、、いででっ、何すんだシキ!」
頬を膨らませて腹を突いて不満を伝えた。
「すまんって!どしたん?何かあったのか?」
そういうフキの目には、純粋に疑問だけが浮かんでいて、少し悩んでいたのが馬鹿らしくなった。
「プッ…あははははは!」
「おーい!何笑ってんだー?!」
「よし、逃げるぜ!」
「あっこのやろー!」
俺は笑って逃げ出した。
───────────────────
地獄の底から響くような声が聴こえてくる。
──コロセ
脳髄が溶けるほどの熱さが己を襲う。
──コロセ
溌剌な少女の顔が、体が、線に沿ってズレていく。
──コロセ
穏やかな、美しい娘が一つの点から崩れて散る。
──コロセ
彼女らは俺に手を伸ばして────
それぞれ17もの肉片へと、姿を変えた。
それが、彼女らの"死"の姿だった。
──コロセ
…五月蝿い。
──コロセ
…煩い!!
──コロセ
地獄の底から響くような声は、臓腑の内から淡々と流れてきていた。
聞き覚えのあるこの声は───
確信する。
嗚呼、これは──────俺だ。
この叫びは、俺の心の底からの言葉だ。
俺の願望なのだ。
笑顔の裏に隠された薄汚い思考。
気味が悪い。こんな塵屑ならばさっさと死んで消えればいい。
そう思うのは本当なのに───
──俺は、死にたく、無い。
脳裏をよぎるのは今でも鮮明に思い出せる"死"の光景。
鼻に抜ける生臭い血の香り、燃えるように熱い腹。
溢れる臓腑に回らない思考。
いやだ、いやだ。
誰か、助けて…
『シキ』
後ろから、女の声が聞こえる。
『それが貴方よ』
嗤う声が聴こえた。
振り向いてもそこに人はおらず
『──でも大丈夫』
その声は、頭の奥まで響いて入ってきて、俺の大事な部分を侵食されるようだった。
記憶の断片から呪いの如く言葉を放つ女を止めることはできなくて───
『私があなたを守るから』
頭の奥には、言葉を失うほど美しい女が棲んでいた。
『愛してるわ、シキ』
それは、鮮烈な死の記憶と引き換えに無くした記憶。
いつか見た夢の光景。
愛を囁く彼女は、美しく、それでいて───
狂気に満ちていた。
それが俺は──
───────────────────
……嫌な夢を見た気がする。
朝、目が覚めて俺しかいない二段ベッドから降りた。
俺は、特例的な形で二人部屋を一人で使用することになった。
常識的に考えて一つ屋根の下で男女がいるのは結構やばい。
そう考えると配慮してくれた人には感謝しか浮かばない。
鏡を見る。
「泣いてるのか…?」
自分自身にそう問いかける。
そう言えば「お前は誰だ」と鏡に話しかけていると人は発狂すると聞いたことがある。
それと似たようなものだろうか。
多分、思考回路が緩んでいたのだろう。
突然鏡に話しかけた。
そろそろ、やばいのかもしれない。
ストレス過多だな。
仕事…は暫く無いか。
はぁ…と溜息をついてしまう。
「お前…大丈夫か?」
は?
突然人に話しかけられて、思考が止まってしまった。
ギギギと油の差していない機械のような動き方でドアの方へと顔を向けると、そこにはフキが壁に背を預けながら立っていた。
「……何処から、見てた?」
「最初から」
「そっか…」
俺は逃げ出した。
が、ドアに張り込まれているのに逃げるもクソもなかった。
昨日の今日で、彼女と随分仲が良くなったと自覚する。
多分…というか確実に1日でこんなに距離を縮めたのは彼女が初めてだろう。
「ってかお前着替えろや、パンツ一丁で女の前はやばいやつだぞ」
あ。
俺は寝る時は基本ほぼ全裸なのだ。
専用の制服へと、袖を通す。
俺のは職員用の灰色の制服だ。
が、事務仕事ではなく基本は訓練らしい。
今日もフキ達と一緒にするのだろうか。
「ん?いや、今日は…」
「フキー!まだー?」
「おーう!ちょっと待ってろ!…って事であたしはペアと一緒に訓練するし、ユキも別の奴らと一緒だな」
あ、そっかそういや昨日伝えられてたわ。
パーティとかペアらしいもんね基本。
俺にはいないけど。
どっちも。
っていうか…
「お前らペアじゃないのかよ…」
「ああ、伝えてなかったな。悪い」
「いやまぁ良いけどさ…」
そう駄弁っていると、フキが横から飛びつかれてた。
何事!?
そう思ったと同時に赤い服が目に入る。
俺たちの灰色の服とは違う専用の制服だ。
この間の模擬戦でも来ている人がいた。
「フキおっそい!遅刻しちゃうよ!」
「あっぶねぇな、怪我するところだっただろうが!」
「リコリスがそんな事でいちいち怪我してたら困りますぅ〜」
そう皮肉げに言う少女はフキと言い争いをしていた。
「で、君誰?男の子?」
「こっちのセリフだ。何で喧嘩してんだよ」
「喧嘩じゃないよ。遊んでるだけだよ」
「それはそれで問題じゃね?」
「確かに」
「何でお前ら仲良くなってんだよ…」
「って言うか良いの?」
「「何が?」」
「いや、遅刻するんじゃないの?ほら」
そう言って俺は時計へ指を指した。
「あ」
「あ、じゃないよ!急ぐよ!」
走り出していく彼女らを手を振って見送った。
さて、着替え…続けるか。
俺はしっかり全てのボタンを絞め、鞄の準備をした。
…ああ、忘れてた。
机の小物置きにおいてあったペンダントを手に取った。
金の梟をかたどったペンダントは、どこか神秘的な要素を醸し出していた。それを制服の下に掛ける。
よし、完璧だな。
そう思って外へ出た。
ユキが目の前に立っていた。
…?
一度ドアを閉じた。
見間違いだと信じてもう一度扉を開く。
ユキがドアの前に立っていた。
「…何故、ここに?」
「…言いたいことがあって」
「な、何?」
何かしてしまったのだろうか。
やはり昨日黙っていたことには理由が…!?
やばい、セクハラとか言われたら世間体的にやばい…!
入局初日からセクハラ通告されるやばいやつという第一印象が残ってしまう…!
しかもここは女子の園…
そんなことになればリンチに会うのは必然…
昨日の日ではないくらいの人数に襲われることになる。
ドキドキしながら彼女の言いたいことを聞く。
「あの…」
「うん」
「ごめんなさい!」
「うん、…え?なんて?」
「昨日無視しちゃってごめん!」
え?そんなことか。
てっきり嫌われたものかと。
話しかけられなくなるのはよくあることだし。
「ああそんなことか、全然良いよ」
そう返すと彼女は満面の笑みで答えた。
「じゃあ私達、友達のままでいられる?」
「もちろんさ、大歓迎…どころか友達が他にいないからいなくなられると困るんだよね」
彼女はポカンとしたように口を開くと、笑顔に戻っていた。
「良かったぁ……」
そんなに喜ぶことだろうか。
もしかするとユキも友人が少なかったのかもしれない。
そう思うと俺も心が少し軽くなる。
『呼び出しです。巫浄色、巫浄色、今すぐ司令室に向かってください。繰り返します、巫浄色、管制室に向かってください』
放送がかかったようだ。
呼び出しか。
「じゃあなんか呼ばれたから俺いくね」
「うん!またね」
「ああ…また、ね」
少し急ぎ目に俺は司令室に向かった。
地図は昨日で暗記したから場所はわかる。
1分もたたずに到着した。
しっかりノックして入る。
「失礼します、巫浄です」
「入れ」
「はっ」
赤髪の少し歳食った印象の女性がこちらを眺めている。
「先日の模擬戦、見させてもらったよ。素晴らしかった。まさかファーストリコリスがあんなにも簡単に負けるとは」
「恐縮です」
「さて、本題に入ろうか。来てもらって早速だが、君には暗殺任務を行なってもらう。…ああ、勿論小難しい話じゃない。テロリスト共を皆殺しにすれば良いだけだ」
そう言って司令は紙の束の資料を渡してきた。
少なく見積もっても渡された資料は100ページ以上はあった。
「そいつらは全部同じ組織に所属する傭兵共でな、紛争地区で活動していたのがどうしてか日本に武装して入国してきた」
「それは…」
「ああ、正直言ってかなりの大問題だ。奴らわざわざ独自のジェット機も持っているようでな、正規の交通手段を通さず密入国してきたわけだ」
「自分はこれらの処理をすれば良いのでしょうか」
「流石に話が早いな。最後のページにそいつらの根城が記されてある。好きに使え」
「ありがたくいただきます。それで、いつから行動を開始すれば宜しいでしょうか」
「今日だ」
「…そうですか、承知いたしました」
「必要なものがあれば支給する。スマホに開発部の連絡先が入っているはずだからそこから伝えておけ。期日は今日から20日までだ」
「承知しました。では、失礼します」
「ああ、武運を祈る」
ドアを閉めて、俺は一息ついた。
正気か?新人にこの大仕事を任せるとは。
ただ…ありがたい。
俺の心でも読んでいるのだろうか。
彼女は俺の一番喜ぶ行動をとってきた。
心の中で、俺はかなり舞い上がっていた。
単純明快、一人残さず皆殺し。
シンプルな殲滅戦。
こういう仕事が俺は一番好きだ。
余計な頭を使わない。
早速俺は開発に連絡を入れることにした。
注文は…そうだな、ナイフより少し長い程度の短刀と、走り易い壊れないブーツ程度か。
一応注文しておいた。
子供ながらにテンションが上がっている。
正直言ってかなり楽しみだ。
千束がいつDAを離れたのかとかが一切わからんから追加情報あったら修正します。