クソニブ師匠ポジ切り札系オリ主   作:yakitori食べたいね

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Falling snow flowers will leave hope for spring

 

 

 

 

 

あの日から、数年の月日が経った。

 

千束はDAから離れ、元訓練教官と共に支部で働いているらしい。

 

俺は、今もDAに所属していた。

以前所属していた養成機関からの連絡は、未だに一度も来ていない。

 

 

フキとは、あまり喋らなくなった。

というより、俺が他人と話すことをやめた。

 

あいつはこの数年間で訓練を重ねてファーストリコリスになった。

千束や模擬戦の時の赤服のリコリスと同じ位置だ。

 

俺は、未だにリコリス隊員という立ち位置ではない。

どちらかといえば、楠木司令直下の部下だが、リコリス達よりも立場が上というわけでもない。

 

ようは司令の道具ってことだ。

司令のお気に入りの玩具、そんな印象を新人…というか俺が此処に来た時にいなかった人物は思っているのだろう。

 

どうでもいい。

 

あの日から2年間、俺はフキを鍛えていた。

それもこれも、頼まれたから。

任務の合間に面倒を見るだけで、大した労力でも無かった。

 

ただ、このことが原因で俺はあいつと喋らなくなった。

 

鍛え始めてから一年と半年程が過ぎた頃、あの日から俺とあいつの間に亀裂が生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

「フキ、お前には千束みたいな動体視力も、観察力も、体力も、身体能力もない」

 

「…わかってるよ」

 

「なら何故さっきの模擬戦で突っ走った。アレと同じことがお前に出来るとは思えない」

 

ふぅ、一息ついてこいつは言った。

 

「それどころか、経験も、判断力も足りないだろう」

 

「わかってんだよそんなこと!!」

 

フキは、感情的になって俺に言葉を返す。

 

「だからお前は早さを磨け。殺される前に殺せ。制圧しろ。加減を考える余裕なんてお前には無い。何度も言っていることだろう」

 

「……」

 

「速さじゃなくて"早さ"だ。そこを勘違いするだけで、お前は死ぬ」

 

「脅してんのか?」

 

そうふざけたようにあいつに向けていったが、気にも止めず話を続けた。

 

「足が速くなくても、先に行動すれば殺せる。相手に何をさせる間も無く」

 

「千束のアレは例えるなら最速の後出しジャンケンだ。同じ土俵に立った上で圧倒的な力で捩じ伏せる」

 

 

───お前にそれができるか?

 

 

そうやって選択を強いてくるシキの顔は、何の感情も有していなかった。

事実だけを述べていると暗に伝えるかのように。

 

そう言ってくるお前にあたしは腹が立つが、言い返せない自分はもっと許せない。

 

 

あたしは、ユキが死んでからずっと立ち止まったままだ。

成長も何もしていない。

たった一年で、大量の任務を遂行した。

あたしよりも実力だって圧倒的に上だ。

 

「電波塔の英雄の方が強いに決まっている」

 

そう後輩は言うけれど、私はそうは思わない。

コイツは、千束を殺すとなったら躊躇なく殺すことができるだろうと、私はわかっていた。

 

これが"天才"との差。

千束もコイツと同類だった。

 

 

 

 

シキと初めて出会ってからの数日は、本当に楽しかった。

 

先輩達に勝って、一緒に飯を食べて、訓練する。

みんなと過ごすその瞬間が、何よりの幸せだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…わかったよ。"死神"サマ?」

 

皮肉気にそう言った後、一瞬の空白が訪れた。

あいつは何も返さない。

否定も、拒否も無かった。

 

「ああ…そうか」

 

そう奴が漏らした後、殺意のような"何か"があたしを襲った。

彼の地雷を踏んだことの代償は想像以上に重かった。

 

 

「あ゛っ…!カハッッ…」

 

 

呼吸もできないほどの強烈な圧力。

頭では動けと命令しても、腰が抜けて動くことしかできない。

蛇に睨まれた蛙とは、なるほどこのような状態を指しているのか。

 

意外にも、あたしの思考は澄んでいた。

怒りも、悲しみもない。

 

ただただ、手足の末端から痺れて、感覚がなくなっていく感覚を、粛々と受け入れていた。

 

 

何度も仲間が死んだ。

あたしは死ななかった、死ねなかった。

 

きっと本来は、あたしがあの時死ぬべきだった。

ユキでも千束でもない。

あたしが犠牲になればよかったのに。

 

でも、これでユキの元へ向かえる。

やっと、やっとだ。

 

眼が閉じていく、体ももう動かない。

 

思考…も、澱ん、で…

 

 

 

 

 

 

 

『あんたは生きて、フキ』

 

 

 

 

 

あぁ───

思い出した。

あの時、言われた言葉は、伝言だけじゃなくて────

 

 

これは、呪いだ。

どれだけ辛くても、あたしは生きないといけない。

生き続けなければいけない。

 

それが、ユキに報いることが出来る唯一のことだから。

 

そうやって死にたくないという願望を他人のせいにする。

自分のせいじゃないと決めつけないとあたしは生きていけない。

 

 

弱い自分が嫌いだった。

 

でも、仲間が望んでくれるなら、私は───

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

 

最近俺は、施設の中でストーキング被害に遭っている。

 

そいつは、いくら俺が邪険に扱っても無視して弟子にしろと懇願してくる。

こいつは本店に来て1ヶ月も経っていないはずなのに、フキの部隊に入れられている。

 

16でセカンドは、かなり優秀な方なのだろう。

実際、DAのリコリスの大半がサードだ。

 

フキや千束と比べれば流石に劣るが、素晴らしい研鑽だと、俺は思う。

 

「お願いします、弟子にしてください」

 

「断る」

 

「お願いします」

 

「断る」

 

「おねg「断る」

 

わざわざ話の途中で遮っても、諦めずに懇願してくる。

 

「そも、お前はアレの部隊に入っているのだから本人に学べばいいだろう」

 

「フキさんが、あなたに学ぶのが一番だと」

 

「だからどうした。井ノ上たきな。お前は確かに優秀かもしれんが、俺の時間を削っていい理由にはならない」

 

「ですが…!司令の懐刀と名高い貴方に学びたいんです!」

 

「俺にメリットがない。帰れ」

 

本当にそうだ。

だいたい俺に何を学びたいというのか。

 

「嫌です」

 

「帰れ」

 

「断ります」

 

「帰r「嫌です」

 

コイツ…!真似しやがった!

 

腹が立ったので、俺は無視して仕事に行った。

 

任務を終わらせた後、部屋に戻って休息を取った。

流石に早朝の4時にはあいつは現れ無かった。

 

特に司令に呼び出しをもらったわけではなかったので、俺はそのまま部屋で寝た。

 

 

昼頃、目が覚めて身支度を終わらせた。

朝昼兼用で、食堂に向かおうとドアを開けると、目の前にあいつが居座っていた。

 

「……井ノ上たきな、何故お前が此処にいる」

「弟子にしてください」

 

有無を言わさせないその態度と構図に、俺は既視感があった。

 

 

「だいたいお前、仕事はどうした」

「今日は休みです」

 

食い気味で奴は答えた。

 

 

「…はぁ…根負けだ。で、何が目的だ」

「ですから弟子に…」

「"何を"俺から知りたいって聞いてるんだ」

 

「…!!!」

「ふん…アレ以来だ。面倒を見るのは」

 

「アレ…とはフキさんのことでしょうか」

「それ以外に誰がいる」

 

「フキさんも、貴方に鍛えられたと言っていました」

「…そうか、他に何か言っていたか?」

 

「『遅くなったけどごめん』とだけ伝えろと」

 

「そうか」

 

そうか。

少し、しんみりとしてしまった。

俺らしくもない。

 

本当に、本っ当に。

 

 

「───遅っそいんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…?何か?」

「何でもない。で、弟子になってお前は何がしたいんだ。優秀だと噂は聞いている」

 

「…!そうですか…」

「ああ、リコリスとしては単独行動が激しくて使い物にならんとも聞いたがな」

「はい…」

 

顔を俯けてコイツは落ち込んでいる。

自分でわかっているのなら改善しようとは思わないのだろうか。

 

 

「まぁ一応最終的に結果を出すことができているらしいがそれもこれも仲間のリカバーのおかげだな。足向けて寝れないぞお前」

 

「はい、フキさんにはいつもお世話になっています」

「…そうか。まあとりあえず仲間は大切にするといい」

 

 

やっぱ何となく腹が立ったので少し脅してやろう。

 

 

 

「じゃないと、死にたくなる程後悔するぞ」

 

「そう…ですか。ですがリコリスである以上死の危険は常につきまとっていて、仲良くなることに意味はないのでは」

 

「そこら辺は好きにすると良い。ただの先達からのアドバイスだ」

 

俺は立ち上がって廊下を歩く。

 

「どこいくんですか」

「飯だ。お前も食え」

 

「もう済ませてきました」

「…自分のことはきっちりしてんのな」

 

「はい、自己管理は大事だとよく教わりました」

「そうかよ…」

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

 

彼は、初対面から素っ気ない人だった。

フキさんに言われていた通りの人格だったとも言える。

 

何度も何度も弟子にしてくれと頼んでもすげなく断られるだけだった。

 

「フキさん、どうすれば良いんでしょうか」

「あ?何の話だ?」

「シキさんへの弟子入りの件です。一向に聞き入れてくれません」

「お前まだ頼んでんのか!?」

 

まじかよ、と言っているその姿を疑問に思った。

 

「まだ…とはどういうことですか?」

 

「いや、何人も同じことしに行ってたけど大体1日2日で諦めるぞ。ふむ、そうかそうか」

 

彼女はニヒルな笑みを浮かべて続ける。

 

「秘訣を教えてやるよ」

 

そういう顔は、私には悪魔のように見えた。

 

伝えられた内容は簡単。

ただ部屋の前で待ってれば良い。

相手がドアを開けた後、まともに話しかけてくる前に話しかけてはいけなくて、あっちから話を始めるのを待つだけ。

 

本当に、それだけで一発で許可された。

 

ただ、修行は想像を絶する過酷さだった。

 

 

ある時は、暴力で直接体に叩きつけられた。

 

「遅い、出だしが遅い。最悪、足は遅くても良いと何度言ったらわかる」

「ゴッ…カハッッ…」

「狼狽えるな、動け、とにかく動け。死ぬぞ」

 

鳩尾にちょうど蹴りを入れられて呼吸もままならない。

 

「う…あああああああ!!」

 

叫んで気合いを入れる。空元気だったとしてもそれだけで抗う力は湧いてくる。

 

「元気だけは一丁前だな。なら後5回」

「はぐっ…」

 

師匠は動作すら察知させずに私に近づきデコピンをしてきた。

が、痛すぎる。

気合だけではどうにもならないことがあると、よく理解した。

 

 

 

 

またある時は、意識を失っているといつの間にか知らない場所にいた。

 

「あの…ここはどこでしょうか」

「やっと起きたか、移動中だ」

「何処へ向かうんですか」

 

「仕事だ。着いてこい」

「は?」

「死ぬなよ」

 

ドンッ

 

瞬間、私は落ちた。

上を見ると、とても綺麗な青い空が広がっていた。

ああ綺麗だな、なんて的外れな感想が生まれる。

 

「わぁあああああああ!!!!」

「五月蝿い」

 

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!少しでも勢いを和らげないと…!

そう思っていたら師匠にいきなり抱かれた。

横抱き…所謂お姫様抱っこの格好だ。

 

「ししし師匠!?」

「お前マジでうるさい…」

「すいません…」

 

パラシュートが開く。

よく見ると師匠はバックパックを背負っていた。

良かった、一応命の保証はあったらしい。

地上300メートルも無いくらいになって師匠から説明があった。

 

「あの海沿いのコンテナの中に麻薬の取り引きをしている奴らがいる。絨毯爆撃が一番楽だが、住宅街も近い。突入して皆殺しだ」

 

「そんな大事な任務に私を突き合わせて良いんですか…?」

 

「教えを守れば死ぬことはない。行くぞ」

「え?」

 

いきなりパラシュートとリュックをつなぐ紐を師匠は断ち切った。

当然、そんなことをすれば普通に落下する。

その時ばかりは、本当に死ぬかと思った。

 

 

 

 

 

思い出せば酷いことしかなかった。

ただ、師匠との思い出はどれも濃いものだった。

 

 

それも、今日で終わり。

 

私は、DAを離れることになってしまった。

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「…そういえばたきなのそれってもしかしてシキの?」

 

千束さんにそう聞かれた。

私は、彼に師事されていることを伝えた。

 

「はい、シキさんは私の師匠です。それ…とは因みに何のことでしょうか」

「ん?ああ、走る時に跳ねるあれ。中々あんなことする人他にいないでしょ」

「そうですね、直接現場で見せてもらって教えてもらいました」

「まぁじぃ?アイツ訓練教官みたいな事やってんの?似合わねー!」

 

そう言ってケタケタ笑っていた。

 

「いえ、私が頼み込んで修行をつけてもらっているだけです」

 

「あーなるほど、フキ経由か」

 

「はい、紹介してもらいました」

 

フーンと言って彼女は返した。

 

「師事を受けたのはは短い期間でしたが、かなり濃く、有意義に出来たと思います」

 

「因みに内容は…?」

 

「とりあえず彼に意識を失うまで弾の避け方と暗殺の手順を教えてもらってから目が覚めるとテロリストの制圧に向かう現場だったっていうのがテンプレートでした」

 

「何やってんのアイツ!?」

 

千束さんがいきなり電話をかけだした。

 

『…もしもし』

「もしもしィ!?うちのたきなちゃんに何してくれとんじゃボケ!」

『千束か、お前から電話をかけるとは珍しい。切って良いか?』

 

懐かしい声が聞こえる。

師匠の声だ。

 

「良い訳ねぇだろうがてめー!!」

『大体珍しく電話をかけてきたと思ったら何の話だ。俺は今飯を食っている。邪魔するなら切るぞ』

「そういう所さんが嫌いなんだよ!たきなに一言ないわけ!?」

『一言…?何だ、お前らしくもない。そもそもそこにあいつがいるのか』

「いますよぉ!此処リコリコですからぁ!」

『そんなことは知っている。お前はなにが言いたいんだ』

「あぁもうコイツと喋るとイライラすりゅぅ!!たきな!変わって!」

「えっちょっ、待っ」

 

スマホを投げ渡されて、慌てて受け取る。

 

「…もしもし、たきなです。師匠、お元気ですか…?」

 

恐る恐る話しかける。

彼は怒っていないだろうか。

私が此処に左遷になった時に、挨拶もなしに本店を出て行くことになってしまった。

 

『ああ、俺になにも言わずDAを出て行った師匠不孝の馬鹿弟子か』

 

開口一番に皮肉を言われてしまった。

 

「ちょっとシキ!」

「良いんです。…師匠、私は間違っていたんでしょうか」

 

『何をだ。お前が売人を殺したことか、それとも俺に挨拶を欠いたことか』

 

「売人の…方です」

 

『どうでもいい、興味がない。切って良いか』

 

「シキ!」

 

『…はぁ。お前を無視すると後が面倒だ』

 

そう前置いてから話を続ける。

 

『別にお前は口封じでそこに送られただけだ。確かにリコリスとしては間違った行動だったかもしれんが、1人も欠けずに任務を終えたのだろう?なら問題は無い』

 

そうだ、この人は───

 

『大体千束、お前がいるから俺も止めなかっただけだ。誰ともしれぬ地方に左遷だったら事前に止めるに決まっているだろう』

 

 

 

『東京一のリコリスの下で学ぶ機会?そんなもの俺の下で働けば良いだけの話だろうに』

 

「言葉足りなすぎるんだよお前は…」

『何か?』

「いいえー?なにもー?」

 

 

『ふん…勝負は3対2で俺の勝ち越しということを忘れるなよ…?今回はその義理で話を聞いてやっただけだ』

 

「はいはいわかってますよーって、切るねー」

『おいちょっと待』

 

ツー、ツーと電話を切った音が聞こえる。

 

「良いんですか、切っちゃって。何か話したそうにしてましたけど」

「いーのいーの、アイツの扱いはこんなもんで。たきなも気にすることないよ、アイツ多分心配で仕方なかったと思うから」

「は?、え?どういうことですか」

 

「だってわざわざ調べないといちリコリスの左遷先なんてわかるわけないじゃん。あいつが楠木さんのお気に入りでも中々教えてもらえなかったと思うよ」

 

いや、お気に入りだからか。

そう千束さんは漏らした。

それってどういう……

 

 

 

「千束ー!たきなちゃーん!そろそろ戻ってきてー!」

「はーい!今行くー!ほら、たきな行こ?」

「っはい!」

 

 

 

歩み出す足取りは、心なしか、普段よりも軽く感じた。

 

 

 

 

「っていうかシキにDAに戻りたいって伝えたらよかったんじゃ…」

「携帯貸してください」

「電話しても着拒されてた」

「あ゛あ゛ぁあ゛ぁ゛!!」

 

 

 

 

 

 




司令に呼び出し云々のところは一応考えてるよ。
ヒントは琥珀、もはや答えだね!
オリ主の口調が違うのは仕様です(脳死)
ってか一度懐に入るとクソデカ感情向けるオリ主が厄介者すぎる…
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