――アンツィオ高校――
ザッ!
「・・・・・・ついに・・・」
安斎「ついにやって来たぎゃー!アンツィオ高校!」バーン
安斎「おっと、つい訛りが・・・やりなおしやり直し」イソイソ
安斎「ついにやって来たぞ!アンツィオ高校!」バーン
安斎「フッフッフ、とうとう私も今日から高校生だ!『戦車道チームを立て直してほしい』だなんてスカウトが来た時は驚いたが、この私に目を付けるとはイイ学校に違いない!」
安斎「私が来たからにはこのアンツィオの戦車道を日本一・・・いや、世界一のチームにしてみせる!」グッ
キーンコーンカーンコーン・・・
安斎「アッ!マズイ!入学初日から遅刻なんて格好がつかないぞ!急げいそげ~!」ピュー
―――・・・・・・
安斎「フー、なんとか入学式に間に合ってよかったよかった。クラスの皆とも仲良くなれそうだぞ!」エガッタエガッタ
安斎「さて、いよいよ放課後!これから私の高校戦車道が始まるんだ!」
ザッ・・・
安斎「ここが戦車倉庫か・・・思ったよりもボロっちいな・・・それに新入生で見学に来たのは私だけみたいだ」
安斎「とにかく、まずは行動だ!お邪魔しまーす!」ガララ・・・
CV33<・・・
セモヴェンテ<・・・
安斎「閑散としてるナア・・・なんだかワビシー感じだ」
安斎「入学式はあんなに大賑わいだったのに意外と静かだ。きっと作戦会議中なのかな!」
安斎「ム!倉庫の奥に人影が!挨拶に行かねばー!」タタター
ペチャクチャ「それ誰が作ったの?」モグモグ
パクパク「私わたしー」グビグビ
ガツガツ「ちゃんと下準備したんでしょうね」ペチャクチャ
安斎「こんちわー!」
3年生A「・・・あら、新入生の子?こんな所に来るなんて道に迷ったか食べ物が欲しくてきたのかしら?」
安斎「はじめまして!今日からアンツィオ高校に入学したピカピカの一年生!安斎千代美です!戦車道をやるために来ました!」ビシッ
3年生A「戦車道を?・・・物好きもいたものね。わざわざウチで戦車道なんて、なにか弱みでも握られてるのかしら?」
安斎「フッフッフ、何を隠そうスカウトされて来たんですよ!ス・カ・ウ・ト!戦車道を立て直してくれって見込まれてきました!」フフーン
3年生A「そう・・・それは・・・なんというか・・・苦労するわね」
安斎「はい!他のセンパイ方にも挨拶してきますね!で、みなさんいつごろ集合するんですか?」
3年生A「全員揃ってるわ」
安斎「へ?」
3年生A「この倉庫にいる子達、これで全部。ウチの戦車道履修者」
安斎「・・・」チラ
3年生B「このカルボナーラ美味しいな!何入れたの?」モグモグ
3年生C「隠し味は隠してるから隠し味なのよ」フフーン
3年生D「アクアパッツァでけたよー」ホッカホカ
安斎「・・・エート、ひーふーみー・・・」
安斎「すくねェ!」
3年生A「私が隊長の、3年の椎名よ。ジーナって呼んでね。他に3年生が3人、2年生が1人。1年があなた1人ってことね」
安斎「た、たったこれだけ!?」
ジーナ「ここではあなたの地元より、戦車道がもうちょっと複雑なの。宴会だったらいつでもできるけど」
安斎「ううっ・・・立て直してくれと言うくらいだから少しは覚悟していたが・・・でも大丈夫!履修者を増やせばいいんだ!戦車さえあれば人は集まる!」
ジーナ「ウチの保有車輌はここにあるのが全部よ」
安斎「ほぁ!?こんだけ!?CV33とセモヴェンテだけスか!?」
ジーナ「マトモな火力は自走砲のセモヴェンテだけね」
安斎「・・・だ、騙されたァーッ!」
2年生「ジーナさーん、セモヴェンテの修理終わったよー」ガラガラ・・・ フー
ジーナ「御苦労様。さ、こっちに来てみんなでご飯にしましょ」
\ワーイ!/
ジーナ「あなたも食べるでしょ?新入りちゃん」
安斎「食っとる場合ですかァー!こんな絶望的チームでやっていける訳がない!お先真っ暗だよ~!」ヒーン
2年生「まあまあ、美味しいものを食べたらなんとかなるわよ。さ、座って座って。ウチのパスタは美味しいわよー」
安斎「パスタなんかいらないですよ!入る学校間違えたァ~!どうすればいいんだよォ~!」オロロ~ン!
安斎「このパスタ美味いすね」モフモフ
2年生「でしょ~。私は整備をやってる二年生のフィオ!やっと後輩ができてうれしい!」
安斎「自分はピッカピカの一年生、安斎千代美です!」
フィオ「アンザイチヨミ・・・あだ名はアンチョビね」
安斎「あ、あんちょび!?なんですかそのニオイがきつそうな名前!イヤですよ!」
フィオ「アンツィオの生徒はあだ名で呼ぶのが通なの。私のフィオってのもあだ名だし」
ジーナ「アンチョビちゃん、ウチの戦車道を立て直すためにスカウトされたんですって」
3年生B「へー、じゃあ未来の統帥(ドゥーチェ)か。頑張りなよ!」ポン
安斎「どぅーちぇ?」
3年生C「アンツィオを率いる偉大な指揮官のことよ。皆に尊敬されるすっごく立派な隊長のことなの。ジーナはやる気ないからあなたが頑張ってね」
3年生D「そうそう。もう私達の代じゃマトモに戦車道なんてできないからね」
安斎「・・・?」
ジーナ「私達が引退した後はあなたが統帥として頑張るのよ、アンチョビちゃん」
安斎「だからアンチョビってのはやめてくださいよ!」
\ハハハハハ・・・/
――・・・
安斎「アンツィオ高校に入学して一週間」
安斎「戦車道の訓練はまだ一度もない」
安斎「センパイ達は戦車倉庫で毎日料理を作っては試食をするばっかり。2年のフィオさんは整備をしてくれるけど、練習も何もやらない」
安斎「隊長のジーナさんがレコードをかけて、皆で料理をつついて、歌を歌って・・・この倉庫の片隅でこじんまりと騒ぐ毎日」
安斎「食べて歌って騒ぐことしかしてない!」ナンテコッタ!
安斎「こ、これは思った以上に深刻だぞ・・・こんなに戦車道に無関心だなんて・・・私は本当に立て直せるんだろうか・・・」ゴクリ
フィオ「このカマンベールフライ美味しいですね~」ングング
3年生B「ワインに合うツマミってことでお母ちゃんに教えてもらったんだ~」
3年生C「じゃーん、私はミートスパゲティを作りました~」ホカホカ
安斎「センパイ方!」ガタ
フィオ「わ」
安斎「毎日毎日食べて飲んで歌って踊って・・・このままじゃダメです!私達は戦車道チームなんだから、しっかり戦車道をやらなきゃ!」
フィオ「まあまあそうカッカしないで。アンチョビちゃんもどう?ミートスパおいしいわよ~」
安斎「そのアンチョビってゆーのやめてくださいってば!スパゲティなんか食べてるヒマは――」
安斎「美味しいッスね!」モフモフ
3年生C「フフ、後でレシピ教えてあげるから、自分でも作ってみるといいわ」
安斎「――って違ぁう!」バァン!
安斎「みなさん戦車にも乗らず怠けてばかりじゃないですか!私はアンツィオの戦車道を立て直すために来たんです!みなさんにはしっかりしてもらわないと!」
ジーナ「アンチョビちゃん、実はね・・・私達は戦車に乗れないの」
安斎「ふぇ!?」
ジーナ「私達も昔は戦車道に熱心だったの。でもね・・・校内でちょっとした騒ぎを起こしたりしてね・・・戦車に乗るのを禁止されてるの」
安斎「さ、騒ぎって・・・ど、どんなことをしたんですか・・・」ゴクリ
3年生B「ホラ、ノリと勢いってやつ?ちょっとハメを外しすぎたというか・・・な」アハハ
3年生C「勢い余って無茶な運転して、校舎を壊しちゃったり、ちょっとしたボヤ騒ぎ起こしたり・・・ね」アハハ
安斎「・・・めっちゃんこおそぎゃー(とても恐ろしい)」
3年生D「ここで戦車を動かしていいのはアンチョビちゃんだけよ」
ジーナ「3年は卒業まで戦車禁止。フィオも来年まで禁止だから、実質戦車道チームはあなた一人ね」
フィオ「そういうわけだから、苦労するだろうけど頑張ってね!期待してるよ、未来の統帥!」ポンポン
安斎「・・・転校しよ」