――・・・
アンチョビ「エート、燃料補給してー、弾薬の在庫補充しといてー、それからー」エート
ペパロニ「あっ!ドゥーチェなにしてんスかー?つまみ食いはナシッスよー!」
カルパッチョ「なにを書いてるんです?」
アンチョビ「これはな、『やることリスト』だ。大事なことをこうやって書いておくと忘れないだろ?」
ペパロニ「はぇ~、さっすが姐さんやることが違うッスね~」カンシン
カルパッチョ「・・・整備品や食材の買い出しメモ、次のテストの範囲までメモってますね」
ペパロニ「あれ?・・・この『全国大会で勝つ!』ってのはなんスか?」
アンチョビ「あっ、それは・・・まあ、目標というかなんというか・・・」ゴニョゴニョ
カルパッチョ「フフ・・・これは『やることリスト』とはちょっと意味が違ってきますね」
アンチョビ「い、いいだろべつに!やらなきゃならん大事なことに変わりないんだし!」
ペパロニ「んじゃアタシもリストに追加しよ~っと!」カキカキ
アンチョビ「アッ、勝手に・・・ん?・・・『めちゃくちゃおいしいパスタをつくる!』・・・ってなんだこれは!」
ペパロニ「やらなきゃならん大事なことッス!」ニカー
カルパッチョ「じゃあ私も追加しよー」カキカキ
アンチョビ「『みんなで楽しく戦車道をする』・・・お前ら、リストの趣旨を勘違いしてるんじゃないか?」
ペパロニ「まだまだ書くことあるッスよー!」カキカキ
――『つよくなる!』 『みんなで笑ってすごす!』
カルパッチョ「これも追加でー」カキカキ
――『全員ケガなく元気に毎日過ごす』
アンチョビ「・・・ず、ずるいぞ!私も付け足す!」カキカキ
カルパッチョ「『P-40を買う』、『最高の戦車道チームを作る』・・・ドゥーチェらしいですね」
ペパロニ「この『戦車道履修生を増やす』ってヤツなら任せてくださいッ!新入生が入るころにはサイキョーに美味いパスタ作れるようになりまスから!いっぱい呼び込みますよー!」
アンチョビ「うむ!その意気込みだ!よーし、ペパロニ、カルパッチョ、このリストに書いた項目は必ずやり遂げるぞ!私達なら出来る!いや、すべきだ!みんなでがんばるぞー!」
カルパッチョ&ペパロニ『おおー!!!』
〜〜〜
アンチョビ「――で、ペパロニが一気に走りだしたんだ!だがカルパッチョは冷静に照準を定めて・・・」
杏「ふふっ」
アンチョビ「ん?なんだ?まだオチまでいってないぞ」
杏「いや~、チョビ子楽しそうだな~って思ってさ」
アンチョビ「チョビ子と呼ぶな!」
杏「先輩が引退して一人でさみしーって言ってたけど、後輩が来てからは毎日楽しそうだよね~」
アンチョビ「まあな!杏も毎日楽しめよ!」フンス
杏「・・・」
アンチョビ「・・・?・・・あ、あれ?なにか悩みごとか?」
杏「んや・・・風の噂で聞いたんだ。ウチの学園艦・・・」
アンチョビ「・・・?」
杏「・・・やっぱなんでもない」
アンチョビ「な、なんだそりゃ!気になるじゃないか!」
杏「それよりこのフォカッチャおいしいね。食べやすくていいなー」
アンチョビ「おっ!そうだろそうだろー!作り方も簡単で手軽に食べれるからな!教えてやろっか?」
杏「んー、いい。あたしは食べる専門だから」
アンチョビ「えーっ」
杏「チョビ丸が一生ご飯作ってくれたら助かるんだけどな〜」
アンチョビ「なっ!お、お前それは・・・毎朝お味噌汁作ってくれと同じ意味だぞ!そういうことを軽々しく言うもんじゃない!」
杏「チョビ助の料理なら毎日食べたいよ」
アンチョビ「だっ、だからそういうことをジョーダンで言うなーっ!」
杏「あははは、チョビ吉ったら顔真っ赤ー」
アンチョビ「杏ーっ!きさまーっ!」
杏「あはははほ」
〜〜〜
お腹<ペコグゥ~・・・
アンチョビ「・・・お、お腹すいた・・・」ヘロヘロ
アンチョビ「ここ最近出費が続いて食費も削ったからな~・・・あと三日なんとか乗り切ればバイト代が入るんだが・・・」グゥ~
アンチョビ「空腹を紛らわしたいが、カルパッチョもペパロニも社会科見学でいないし・・・一人はやっぱり寂しいな・・・」
アンチョビ「・・・」チラ
貯金箱<・・・
アンチョビ「P-40貯金・・・」ソッ・・・
アンチョビ「っ・・・だめだだめだ!これはセンパイ方から受け継いだ大事な資金だ!その前のセンパイ方も、そのまた前のセンパイ方も頑張って貯めてきたお金だ!」ブンブン
アンチョビ「露店で稼げるようになったから、もうすぐ目標金額まで到達できるかもしれないんだ!このお金を使うわけにはいかん!ここは我慢のしどころだで!千代美!」グッ
スマホ<LINE!
アンチョビ「あ・・・誰からだろ」スッ
杏<チョビ子ー
杏<寄港してるし今日どっか食べにいこー
すまん!申し出はうれしいがちょっと
金銭的問題があってだな・・・>
杏<おごるからさー
40秒で支度する>
〜〜〜
アンチョビ「えーっと、やることリストここまで完了・・・っと。うぶるる・・・しゃみぃ~」ブルル
カルパッチョ「冬ですからねー。戦車整備も冷たくておっくうになりますよね」
ペパロニ「できたぁーーー!」バーン
アンチョビ「どぅわ!?な、なんだペパロニ!」
ペパロニ「オリジナルの新パスタがとうとう完成したんスよー!ズバリ!名づけて鉄板ナポリタン!」ジャーン
カルパッチョ「わぁ・・・美味しそう」ヨダレズビッ
ペパロニ「さあごりょうにん!お一つ食べてみてくんさい!」
アンチョビ「うむ、私の舌は肥えてるぞ。では実食!」パク
アンチョビ「!・・・ボーノ!」パァー
ペパロニ「っしゃオラァー!」グッ
カルパッチョ「おいしい!これなら売り上げもさらに伸びるし、新入生もたくさん呼び込めそう!」
アンチョビ「でかしたぞペパロニ!やることリストの項目クリアだな!リストに完了のチェックをいれとこう」スッ
【めちゃくちゃおいしいパスタをつくる!】✓
ペパロニ「へっへっへー!明日からこの鉄板ナポリタンでガンガン稼ぐぞー!」
カルパッチョ「たくさん売れて『P-40を買う』の項目もクリアできるかもね」
アンチョビ「フッフッフ!順調じゅんちょぉー!我がアンツィオの覇道は渋滞知らずでスイスイ進行中だな!」
〜〜〜
アンチョビ「すまん!待ったか?」
杏「んや。50分くらい待っただけだよ」
アンチョビ「どぉえええ!?ほんとか!?スマン!ほんとスマン!」
杏「嘘だよ」
アンチョビ「なっ!統帥をおちょくるなコラ!」
杏「あはは」
アンチョビ「まったく・・・で、話ってなんだ?」
杏「んー・・・まあ大したことじゃないんだけどさ、あたし、戦車道やるよ」
アンチョビ「どぉえええ!?ほ、ほんとか!?」
杏「・・・」
アンチョビ「あっ!これ嘘だな!」
杏「いや、ほんとだよ」
アンチョビ「ほ、ホントか!?ホントにホントか?・・・でもなんで?・・・あ!ふっふーんわかったぞ!私の話を聞いててあんまりにも楽しそうだったんだな!」
杏「いや、違うよ」
アンチョビ「そこは嘘でもホントって言え!」
杏「あはは」
アンチョビ「・・・で、戦車道を始める理由はなんだ?必要に迫られでもしないかぎりやんないって言ってたじゃないか」
杏「んー・・・必要に迫られたからかな」
アンチョビ「・・・もしかしてあんまり追求しないほうがいいか?」
杏「そこはチョビ子に任せるよ」
アンチョビ「そうか・・・チョビ子ってゆーな」
杏「まあマイナスに捉えないでよ。むしろ戦車道やることで希望が出てくるんだからさ。これから準備したり履修生集めたりで大変なんだよね~」
アンチョビ「おお!その気持ちわかるぞー!私もがんばってるから杏もがんばれ!な!」
杏「うん。ありがとね」
アンチョビ「それにしても私達って妙な関係だよな~。偶然出会って友達になって、学園艦が近くに来たらこうやって落ち合って、今度は戦車道のライバルになるんだもんなー」
杏「そうだねー。試合で戦うことになるかもね」
アンチョビ「その時は容赦しないぞ!そっちにどんな事情があれ、手加減なんかしないからな!」
杏「こっちだって負ける気ないからね~。覚悟しろよーチョビ子ー」フッフッフ
アンチョビ「受けて立つ!あっ!チョビ子って呼ぶな!」
〜〜〜
アンチョビ「――と、必要なものはこんな感じだな。このメモの通りに戦車を手入れしておかないとすぐ故障しちゃうから気をつけるんだぞ」
桃「感謝する」
柚子「わざわざ大洗に出向いてまで教えてくれるなんて・・・本当にありがとう。会長ももうすぐ来るはずだから。待たせてごめんね」
アンチョビ「かまわないさ!私も杏には助けられたからな」
桃「会長に?」
アンチョビ「センパイ方がいなくなって一人ぼっちだった頃、杏と会うのは大事な楽しみの一つだったんだ」
桃「・・・」
アンチョビ「クラスに友達はいるけど戦車道仲間はいなかったからとても寂しかったんだ。だから杏と話をしたり、試し撃ちしたり・・・一緒にいてくれて楽しかったんだ」
アンチョビ「あ、この事は杏には内緒だぞ。またからかわれるのがオチだからな」
柚子「ふふふっ、千代美ちゃんも素直じゃないんだから」
アンチョビ「私のことを呼ぶならアンチョビと呼べ!」
桃「だが、もし戦うことになれば互いに情けは無用だ。私達はどうしても勝たねばならんのだからな、安斎」
アンチョビ「アンチョビだ!ア・ン・チョ・ビ!私だって負けるわけにはいかない。手を抜くのはかえって失礼だからな」
桃「うむ」
杏「おまたせ~。チョビ子から色々教えてもらった~?」ポテポテ
柚子「はい。参加になる情報を色々」
桃「後は自動車部に戦車整備を勉強するように言っておかないと。春には履修者を集め始めねば・・・やることは山積みです」
杏「ありがとねチョビ子」
アンチョビ「気にするなアンチョビだ!杏、これで一つ貸しだからな!」
杏「うん。お返しに寂しかったらいつでも話くらい聞いてあげるよ。一人で寂しかった頃のチョビ子の支えだった私がね」
アンチョビ「アレ!?聞いてたの!?」ハズカシッ!
――・・・
ラジカセ<♪~♪~・・・♪~
アンチョビ「♪~・・・♪」
カルパッチョ「あれ?ドゥーチェ、なんの音楽ですかそれ」
アンチョビ「ああ、これは『さくらんぼの実る頃』って曲でな、よくセンパイが歌ってくれてたんだ。いい曲だからテープに録音してたまに聞いてるんだよ」
ペパロニ「なんかムツカシー感じの歌ッスね~」
アンチョビ「フランスのシャンソンだ。儚い恋と失恋の歌だが、当時の政治的な意味合いも付加されて――」
ペパロニ「よくわかんねーけどいい曲なんスね」
カルパッチョ「さくらんぼの実る頃・・・春は私達にとっても大事な時期ですね。新入生をどれだけ戦車道に誘えるか、がんばらないといけませんから」
アンチョビ「ウム!さらに言うならサクランボは品種によって夏にも実る!夏は戦車道全国大会!一世一代の大舞台だ!」
カルパッチョ「アンツィオにとって『さくらんぼの実る頃』は大切な時期ということですね」
ペパロニ「フーン、でもアタシはもっとゴーゴーしてる歌のが好きだなー。アタシのオススメはコレ!『EARTH WIND&FIRE』ッス!」ガチャ
アンチョビ「あっコラ!勝手にカセットを変え――」
ラジカセ<♪ッ!♪ッ!♪ッ!♪♪ッ!
アンチョビ「!・・・お、おお・・・なんかカッコイイなこの曲」
ペパロニ「そーっしょそーっしょ!?ホラホラ姐さん!アンツィオらしく踊ってハシャぎましょう!」♪~
カルパッチョ「でももうそろそろ午後の授業が・・・」
ペパロニ「聞こえなーい!もう誰にも止められなーい!いくぜぇー!」♪~
アンチョビ「よーし!ドゥーチェも負けてれんないぞー!」♪~
カルパッチョ「・・・」ウズウズ・・・
カルパッチョ「・・・っ~!・・・私だって負けてませんよー!」♪~