念使いたち   作:ラザニア

2 / 2
とある科学の超電磁砲編

 

 おや、お客さんか。よく見つけたね、普通なら見つからないようにしてあるのに。それとも迷い込んだのかな。どちらでもいいさ。ここにたどり着いた人は大きな悩みを持っている。君もそうだろ? とりあえずお茶をだそう。コーヒーがいいかい? それともコーラ? ヤシの実サイダーもあるよ。変わり種だといちごおでんなんてのもある。いらない? そう。

 

 それで? なにを悩んでいるんだい。話したくないのならそれでもいいよ、話したくなったらで。ここはなんとなく悩みを打ち明けやすいように作ってあるから、そのうち、お口が勝手に喋りだすさ。

 

 なるほど、妹さんたちがね。この街の深い闇のところで行われてて、しかもそれをやっているのは後ろ暗い組織とかではなく、この街そのものか。それはまた大変なお悩みだ。わかった。微力ながら手助けしよう。ここに君のことをできるだけ詳しく書いて。生年月日や血液型、経歴とかスリーサイズもできたら。エッチだなんてそんな、冗談だよ。半分だけね。それと悩みの種のこともできるだけ詳しく。あんまり関係なさそうなことも書いちゃって。わかってることは全部。そう、箇条書きでもなんでもいい。収まりきらないようなら裏にでも書いちゃって。殴り書きでも大丈夫。とにかくたくさんの情報がいるんだ。うん、いい子だ。それじゃさっそく占ってみよう。今回はそうだな、水晶を使ってみよう。え、毎回違うのかって? そうだよこれは僕のフィーリングが大事なんだ。なんとなく、これがよさそう、というのが重要なんだ。思い込みは大事だよ、特に僕が使う能力にはね。さて、さっそく見えて来た。ふん、なるほど。じゃあこの紙に書いたことを実行してみなさい。関係ないことばかりだろって? 大丈夫、うまくいくさ。僕の占いと、君自身の願いを叶えたいという強い念があればね。じゃあもうお行き、お代はまた来たときにでももらうよ。じゃあ、幸運を祈ってるよ。

 

 おや、またお客さんか。こうも立て続けにくるとは珍しい。て、君か。もう何度目だい? この部屋は見つけやすいわけじゃないし、一つのところにとどまっているわけじゃないんだけどな。それで、その後はどうだい。まだ能力が欲しかったりするかい。もういい? そう、いい友達ができたみたいだね。ああ、そうだ。ここに来たということは、また悩みができた、ということだよね。さぁ、今回のお悩みはなんだい?

 

 やぁ、一昨日ぶりだね。その後、妹さんたちは無事に助けることはできたかい? そうか、それは良かった。僕の能力? バンクにも載ってないって? それはそうだ。これは学園都市の能力開発によって得たものではない上に、理事会なんかには知られないようにしているからね。いや、原石というわけでもない。鍛錬して身につけたものだ。そもそもが、君の持つ超能力とは根本から違うんだ。君たちの力は演算能力が高いほど強いだろ? だけど僕のは違う。生命力の高さと、精神力がモノを言う。念と呼ばれるものだ。ほんとは無闇に人に話していいことじゃないんだけどね。いやぁ、君は大丈夫だと思ったんだ。そういうの無闇矢鱈に話さないだろ? 君のことは結構信頼しているんだぜ。今日で会うのが2度目なのに、なんで信頼しているのか。それは、勘だね。おっと、勘をバカにしちゃいけないよ。前にも言ったけど、念使いにとってフィーリングってのは大事なものだ。なんとなくこれが自分に合っている。なんとなくこれがいい気がする。そういった、"なんとなく"が自分に合った能力を見つける上で大事なんだ。僕のこの能力も、自分のやりたいことと、なんとなくこうしたほうがいい気がするを突き詰めたら自然と身につけたものだ。ほら、君たちのパーソナルリアリティていうのも似たようなものだと思うけどね。そんなことよりも、おめでとう。君の悩みは解決された。でも、それだとおかしいね。ここには悩みを持つ人しか入ることはできないはずだ。また、新しい悩みかな。さぁ、話してみるといい。どうか、僕のこの能力が君の助けになることを願うよ。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。