真打7thD ‐2020-   作:唯のかえる

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1章 逆サ都庁ノ暴君
第11話


 

 ――ドラゴン強襲より3週間ほど経った。

 

 ……はっきり言おう。

 日本は天空より現れたドラゴンたちの強襲により敗北しかけている。

 かろうじて『しかけている』で済んでいるのは、やはりムラクモ機関の存在が大きい。

 必至でドラゴンの猛攻を耐えつつ、非常時のためにムラクモ機関が所有をしていたシェルターの存在があったからにならない。

 現状は最悪だ。本来、要人のみを確保するためのこの施設も、人類未曾有の危機である所為で、一般人を収容する始末。

 

 加速度的に、食料や資源が減っていく。

 このまま、現状の維持を続ければ諸共に滅ぶのは、目に見ても明らかであった。

 

「――ぶっちゃけ日本の領土98%占領されてるってんなら、言いたくはないけど敗北でしょう?」

 

 だが、希望はある。

 それはムラクモ機関の精鋭と――。

 

 

「人類はまだ立ち上がれる。

 私としても、こんなところで敗北するつもりなんてないのよ」

 

 

 崩壊の始まったあの日から眠り続けるS級候補生の存在だ。

 

 

 

 ❀✿❀✿❀✿❀

 

 

 

「――っ。頭が……」

 

 清潔そうな部屋の白い簡易ベッドの上に寝ていた長い黒髪の少女が、呻きながら目を覚ます。

 体中が鈍痛に蝕まれているのか、しばらく体を起こそうともがいていたが、諦めて体の力を抜き、仰向けに白い天井を見つめる。

 

「私は――」

 

 何故、こんな場所で寝ているのか。私はいったい何をしていたか? 

 記憶の混濁があるのか、暫く黒髪少女は頭を押さえながら、状況を思い出していく。

 

「ッ!!」

 

 そして、脳裏に赤い巨竜の目の前で刀を落とし、死ぬ直前だったという記憶を探り当てる。

 記憶の中でこちらに飛んでくる炎を幻視してしまい、先程まで鈍痛にさいなまされていた体は強制的に回避行動をとる。

 結果――。

 

 べちんっ!! ……ばたん。

 

「~~ッ! か、顔が」 

 

 ベットから転げ落ち、バランス悪く顔面から床に落ちた。

 いたた……と零しながら、涙目で彼女は起き上がる。

 そして――、病室中から視線が自分に集中していることに気がついた。

 

「し、失礼します!!」

 

 ガバッ! と再びベッドにもぐり込んで羞恥に呻くのであった。

 

「……起きたのだな」

 

「うぅ……! こんなのあんまりだよぉ……」

 

「おい、返事位したらどうだ?」

 

 最初自分に声をかけられていると言う事に気がつかず、そのまま布団の中でぐすんっ、と黒髪少女。布団つむりになっていた彼女に声がかかった。

 へっ? と間抜けな声を出して、布団からひょこっと顔だけ出して声の主を確認する。

 

「貴方は……よかった。無事だったんですね」

 

 涙目になりながら、顔を上げた先にはジト目でこちらを見つめる金髪のゴスロリ少女がいた。

 ゴスロリ少女は、試験時と同じようにウサギ人形を抱きしめながら語り出す。

 

「……おまえで起きるのは最後だ。ついて来い」

 

 偉そうな口調で端的に彼女は告げると、ベッドから離れるように動きだした。

 最後に目を覚ました黒髪少女――シラハは慌てて布団から飛び出し、ゴスロリ少女の後ろを追従するのであった。

 

 

 

 ❀✿❀✿❀✿❀

 

 

 

 彼女たちは、目がちかちかするような白い廊下を歩く。

 その廊下には、沢山の疲弊した人たちが身を寄せるようにして座り込んだり、寝そべったりしていた。

 

「……あの、この人たちは」

 

「……この後、説明される。お前がどんな選択をするかは自由」

 

 ゴスロリ少女は、ちらりとシラハを見てめんどくさそうにそう言った。

 そして――。

 

 ビィイイッ!! とけたたましいアラームが鳴り響く。

 

 座り込んでいた人たちは、尚更身を縮めて恐怖を紛らわすように抱きしめあう。

 白い廊下の奥から、――これまた疲弊していそうな自衛隊員たちが駆け出してくる。

 

「なにが、起きているんですか……?」

 

 あまりの現場の様子に、呆然とするシラハ。

 彼女は、現在の状況を知らないのであまりの展開に頭がついて行っていないようだ。

 

「お前、目が覚めたのか……!」

 

 自衛隊員たちが駆け出してきた方向から、試験時の教官――ガトウが現れた。

 シラハは、驚いた表情のガトウに首をかしげる。なぜ驚いたのかが分からないのだ。

 

「……俺は、今の警報の原因を取り除いてくる。お前らは――」

 

「いま案内している。ガトウ……さんは行って来い」

 

「そうか。行ってくる」

 

「……気をつけてな」

 

 ゴスロリ少女が、ガトウに向かって告げる。

 その様子は教官と候補生との上下関係はなく、少々事務的な内容ではあったが信頼感が籠っていた。首をかしげているシラハを見て……、ゴスロリ少女は納得した様に頷く。

 

「お前が起きるまでの間に、三週間経っている。詳しくは後だ、……説明が面倒だしな」

 

「1カ月近く……ですか?」

 

 そんなに立っていたのかと、思わずシラハは目を丸くする。

 通りで、起きてから今の今まで体のだるさが継続しているのかと、ようやく思い至った。

 

 

 しばらく白い廊下を歩き続けると、廊下の終わりが見える。

 そこは、両開きの扉があり、怯えていた避難民の姿も見えない。

 おそらく、特別な部屋なのであろう。

 

 その部屋に向かっていくと、扉が開き、見覚えのある女性――ナツメ総長が現れた。

 ナツメは廊下を自身に向かって歩いてきている二人組を見つけると、すこし驚いた風に目を開き……フッ、と優しく微笑んだ。

 

「……ようやく起きたのね」

 

「うむ。説明はほぼしてない。……ではな」

 

 端的にそう告げると、ジト目のゴスロリ少女はトコトコッと足早に来た道を戻って行く。彼女は足早に立ち去るその背中で、死ぬほどめんどくさいと語っているようだった。

 

 その様子に笑顔をビキッ! と、固まらせたナツメは頭が痛そうにこめかみを押さえる。

 

「……クサカベの影響かしら。クサカベの影響ね。クサカベの影響に違いないわ……!」

 

 そして、そこに居ない不真面目な紅髪の男に対して、呪詛を吐くのだった。

 

「あ、あの……」

 

 ブツブツと呟くナツメに恐怖を感じつつもシラハは、声をかける。

 オロオロとしそうだったが、いつまでもこうしている訳にもいくまい。

 

「……そうね。説明されてないのね? それじゃ、会議室に入って……説明をします」

 

 ハァ。とため息を吐いたナツメは笑顔を無理矢理はりつけ、出て来た扉――会議室を開く。

 そこで、シラハはこの世界の現状の説明を受ける。

 

「――世界は今、ドラゴンによって滅亡寸前よ」

 

 そして、現実を受け入れる。

 

 

 

 ❀✿❀✿❀✿❀

 

 

 

 都庁で気絶したS級才能を持つ人類の希望はようやく目を覚ます。

 後に、伝説のムラクモ13班と呼ばれる彼女たちの物語はここから始まるのであった。

 

 





 頭痛で頭がくらくらする。
 毎日更新が早速間に合わなくなってしまった……。
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