真打7thD ‐2020-   作:唯のかえる

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第16話

 

 ――堕ちる。

 

 暗闇に落ちていく。

 その過程で、沢山の囁き声が聞こえる。

 

 嘆きの声。

 絶望に揺れる声。

 憤怒を叫ぶ声。

 

 最後に――、自身の掠れた声。

 

 そして、プツンッ……。

 と、壊れたラジオを思わせるノイズを最後に、堕ちる感覚と囁き声も聞こえなくなった。

 

 

 ❀✿❀✿❀✿❀

 

 

 

「……どうなってる?」

 

 どこだろうか? ここはいったい。

 まるで宇宙のようだ。

 クサカベは、空間に浮かび上がる小さな光の数々を見ながら、何ともなしにそう思った。

 ――どうやってここに来たのだろうか?

 

 そんな疑問を抱えながら、ぼぉっと虚空に視線を彷徨わせる。

 頭が揺れて、自身の紅い長髪がハラハラと、顔に流れてくる。

 どうやら、いつも高い場所で結っているはずの髪が解けているようだ。

 

 邪魔だから、早く、結ばないと……。

 そう考えて、髪を纏めるために腕を動かすと、視界に入った瞬間、違和感を感じる。

 その違和感に思わず、視界に入った両手をぐっぐっと握ったり開いたりして……気がついた。

 

「……呪印がない?」

 

 いつもしてる白い手袋が、そこにない。

 いつも白い手袋に隠されていた朱い呪印は、そこにない……。

 まるで、何処かに草壁五宝を置いてきたような感覚。

 

 不思議と取り乱したりしなかった。

 むしろその力を失った掌をみて、腑に落ちた。

 

「俺、死んだのかな?」

 

 思い返せば、雷切の奥義である『五雷(ごらい)神君(しんくん)奉勅(ほうちょく)』から始まる祝詞を唱え、それこそ天に迸る稲妻を呼び起こす『十二散・禁』を帝竜ウォークライに放ったのち、直撃させ、倒しきったと油断したところに、ナガレの旦那が襲われたのを庇った覚えがある。

 やけに、鋭く、残された生命の強さを十二分に発揮した――帝竜ウォークライの一撃。

 それは、まるで強大な暴君を幻視するようなモノだった。

 

「……ナガレの旦那の声が、一番大きく聞こえていたわけだ」

 

 ――俯いて、拳を見つめる。

 ぽろ、ぽろ……。と、悔しさで、苦しくて視界が歪む。

 ぽたりと――、流れ出た涙が、クサカベが立っている空間に一粒落ちた。

 クサカベはボロボロに泣いていた。

 先ほどまで綺麗だった衣服も、死んだことを思い出すと痛々しい傷跡が、血液が浮かび上がる。

 

 ――後悔した。

 

「真打をっ、抜いておくべきだった……!!」

 

 ――後悔する。

 

「おっさんと、旦那にっ、……まだ恩を返してない。返しきれてないのに……!」

 

 ――ひたすら強く願う。

 まだ、死ねない。死にたくないっ!

 こんな、後悔して死ぬような戦いの途中で、死にたくなんかない……!!

 

 ぼたぼた、と生々しい音を立てて帝竜の巨大な爪によって引き裂かれた胸から、おびただしい量の血液がこぼれる。それに伴って、再び――、意識が……、遠のく。

 

「……結局、ダメか。

 おっさんに、だんなっ……。結局、迷惑かけて、ごめん……。

 アイテル姉、えめるねえ……に、お別れくらい、したかった、なぁ」

 

 走馬灯が、見える。やはり、死ぬのか。

 

 その最中。

 いつか――、そう。

 世界の終りが始まった日の、風に乗って聞こえたあの声が聞こえる。

 

 

 ――うたを、うたうよ。 キミが、かえってこれるように。

 

 

 独特な、白く美しいドレスを着た、緑髪を二つに結んだ少女が、いつの間にか目の前に現れて、崩れ落ちるクサカベに手を伸ばしていた。――クサカベは、震える手を、途切れそうな意識を、何とかつなぎ留め、伸ばされた手に、重ねる。

 

 無意識に、掌を重ねていた。

 

 

 ――うん。それじゃあ、うたうよ?

 

 

 星の光すら、消えそうになっていた空間は、恐ろしいほどの光に包まれ――白に染まった。

 

 

 




 遅くなった割に、短くで申し訳ない。
 無論、彼女は、2020さんです。

 
(――戦闘描写飛んでごめんなさい……!!!!1)


 ぼくには、暴君戦が、かききれなかったよ……。
 要練習だなぁ。
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