作中でうまく示せませんでした……。
分かり難かったらググっちゃってください(´・ω・`)
――S級とは何か。
必要なものは、才能である。
重要なものは、才能に伴う実力である。
不可欠なものは、未来に向けて伸びしろである。
……では、
答えは『否』だ。
とある【壁】を越えなければ、所詮『A級』程度の――、
常人より優れた程度の、最低ラインの才能人である。
――ずば抜けた身体能力。攻守優れたオールラウンダーな
――常識では考えられない超感覚。天変地異、超能力をあやつる
――突き抜ける運動能力。達人級の身のこなし、火力をその
――世界から疎まれる情報技能。世界へ
――誰よりも先を行く俊敏性。怒涛の手数を誇り、特殊技巧によって魅せる
このムラクモ機関が定めた
ムラクモ機関の長である、持ちうる才能を限界まで高めたナツメ総長ですら『A級』。
――上にあげた職業の能力を複数その身に宿していながら……、である。
『A級』と『S級』の絶対的な差。
それは、限界値を超えるための事象を起こせるかどうか、で決まるのだ。
❀✿❀✿❀✿❀
「すごい……。シラハちゃんが、台風の目みたい」
そう呟いた、
――壊滅した自衛隊も、一緒に来たセバスも、血まみれのガトウも、ボロボロのナガレも、濃密な、溢れんばかりの渦巻く闘気を纏った
敵対している、既に手負いの帝竜ウォークライですら、濃密な
「――刀剣を弾け散らせ、お前を切るッ!!!」
轟ッ!!
実際に
最後に、シラハが受け入れられるだけの闘気が吸い込まれた時、彼女の周囲で取り込みきれなかったマナが事象として溢れだし、稲妻や強風を吹き荒らす!
そう、この現象こそ……。
『S級』が『S級』足りえる由縁の現象。
――Exhaust《エグゾースト》。
人間としての限界値を越え、才能の限界を超えた時に起こる……。
――才能の限界を、実力の限界を超える為に
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帝竜ウォークライが、強烈な悪寒を感じた様に全身を震わせると、灼熱の炎を本能的に嵐の様にマナを迸らせるシラハに向かって噴き出していた。
――ドゴォンッ!
一拍したのち、灼熱の火球は今シラハが立っている屋上の通路への入口を爆発させる。
見ていた自衛隊員は、その爆炎の威力を見てシラハが即死したかと思った。
だが、次の瞬間。
爆風をつきぬけ、バチチチッ!! と紫電が空気を裂く音と一条の剣閃を残像として、自身の網膜に焼き付けられる。
ガギンッ!!!
爆風に乗じて飛び出してきたシラハに、わずかに虚を突かれたウォークライであったが、身に刃物を通すまいと筋肉の物凄く発達した片腕を振るい、腕に備わっている分厚い装甲で受け止めていた。そして、腕に刀を押し当てたシラハを、腕に付着したゴミを払うように腕を振るう……。
――刹那。
ウォークライの腕に、雷を迸らせる日本刀を当てていたシラハは、ニヤリとその整った美貌を釣り上げる。それはどこか、雷切の本来の持ち主が良くするような口元を釣り上げる挑発的な笑みだった。
――ジャォォオッ!!!!
凄まじい勢いで、腕との接点から青白い稲妻が吹き荒れる。
ウォークライは叫びを上げ、ガムシャラに雷切の押し当てられた腕を振るった。
振るわれる丸太のような腕にいたシラハは吹き飛ばされず、未だに稲妻を迸らせる雷切を自ら弾かせ、ウォークライの攻撃範囲から距離を取る様に跳ぶ。
ウォークライはその腕が痺れたのか、だらりと垂れ下げた。
――それを、ムラクモの精鋭は見逃さない。
血まみれのガトウが拳を握り、ウォークライの真横から更に体勢を崩さんと、ダンプカーが衝突するような一撃を喰らわせる。
「――クサカベの、仇だァッ!!!」
ゴォンッ!! と凄まじい衝撃音が逆サ都庁に響き渡る。
そんな一撃だが、ウォークライの体はわずかに傾いだだけ。
ドラゴハンマード程度のドラゴンだったら一撃で葬れるほどの威力を秘めていてもその程度。
それを見たムラクモのメンバーはなおの事、攻撃の手を緩めない。
チャンスをうかがっていたナガレとユーリシャは、軍用ナイフを逆手に持ち、ガトウの一撃により態勢を崩したウォークライへと飛び掛かる。
「だいさーびすっ!!」
「僕は、……死なせてしまった彼の重みを持たないといけないんだッ!!」
――ギギギギギンッ!!!
二人の姿が常人には残像の様に霞んで見えるだろう。
ウォークライに死の旋風が纏わりつく。
巨大なウォークライの足元から旋風が火花と共にせり上がってくる。
分厚い装甲に覆われていない部分。
――アキレス腱、膝裏、つるりとした股間、柔らかそうな腹、装甲にまみれた翼の裏、喉、手首、二の腕、鎖骨部分。致命傷にならなくとも、ボロボロになった鱗の内に、肉体にダメージを与える為に二人はナイフを走らせる。
――グォオオオオオオオオッ!!!
ヤスリに掛けられる様に、身を削られるウォークライはたまらないと言った風に、自らの巨体を地面へと叩きつける。ドゴン!! と、巨体のぶつかった地面のコンクリートが跳ね上がり、散弾のように周囲に飛び散っていく!
軍用ナイフを走らせていた二人は、ウォークライが巨体に力を込めた瞬間に危険地帯から離れて、今は地面を滑る様に遮蔽物の陰へと再び隠れた。
「ぐがッ!?」
だが、足元で渾身の力を振ったガトウが散弾の余波を受けて、一瞬怯む。
ウォークライは怯んだガトウを見逃さず、鉤爪の発達した四指の手で、ガッ! とガトウを握りつぶさんと捕まえた。
止めに渾身の力でもがくガトウに向かって、口腔から火焔を噴き出そうとして……!!
「――気を抜きましたな?」
ゴッ! と、いつの間にか股下に飛び込んでいた紳士然としたセバスがサマーソルトキックを炎を溜めていた顎に向かって強烈に放った。
突然の衝撃に怯むウォークライは手を緩ませ、ガトウはその瞬間、無理やり拘束を解き放つ。
――そして、目の前で無様に隙を晒しているウォークライに再び拳を叩きこむ!!
脳に衝撃が行ったのか、ウォークライは今度こそ地面に痙攣する様に崩れ落ちる。
この戦闘始まって以来、絶好の止めを与えるためのチャンスが生まれた。
❀✿❀✿❀✿❀
――再び膨大な闘気がシラハの下で収束される。
「風になる……」
脳裏で思い出すのは、クサカベの舞踏のような剣技。
素早いだけではダメ。
力を籠めるだけではダメ。
もっと、もっと洗練された――奥義を!!
――シッ!!
一息に、崩れ落ちたウォークライとの距離をつめ――、辻斬り、そのまま駆け続ける。
勢いをつけたシラハは再び、ウォークライの方へ反転し、再び、何度も何度もなます切りの如く斬り続けた。
――ギン、ギン、ギッ、ギッ、ギギギギギギギギッ!!!!
途切れ途切れだった斬撃の音が、どんどん、重なり、竜巻のごとく斬撃の渦がウォークライに襲い掛かる!
「
そう叫び、――竜巻く風に乗る様に、逆サ都庁の黒いブラックホールのようなすべてを吸い込む月を背景に、月面宙返りをして……!
「ハァアアアッ!!!!!」
最も固そうであった兜型の装甲を貫き、脳へと雷切を突き立てるッ!!
止めと言わんばかりに、雷切が最後の稲妻を迸らせる!!!
――グゥォオオオオオオオオオォ……ォオ……。
ずずんっ。と完全にウォークライは地に崩れ落ちた。
シラハは、雷切を引き抜き、血糊を払うようにヒュンと振るって呟いた。
「……塵となって、飛んでゆけ」
……そして彼女も、今までエグゾーストして、自分の限界を超えて動き続けた反動を受けたのか、ペタリと膝をつくのだった。
❀✿❀✿❀✿ ❀
「やったのか……?」
兜が罅割れたウォークライと、ペタリと疲れた様に膝をついたシラハを見て、誰かが呟く。
だが、その場にいる全員が油断をしない。
――クサカベは、この倒したと思った瞬間にウォークライにやられたのだ。
そして、倒しきったと思われたウォークライの巨体がピクリと動く。
「しらはちゃん! 早く離れて!!」
ムラクモの精鋭は、シラハの与えた攻撃の致命的なダメージをさらにダメ押しする様にどんどん追撃を加える。ガトウの拳、ナガレとユーリシャの軍用ナイフの嵐、セバスの連続蹴り。
加えるが……。
スゥ――。
と、血を全身からダクダクと流し続けるウォークライが分厚い胸板を膨らませるように、空気を吸い込み始める。それは、ユーリシャ達が攻撃を続ける間もドンドン行われ……、徐々に臨界に達する。
ガトウは叫んだ。
「クソがっ! 咆哮が来やがンぞッ!! 全員隠れやがれェ!!!!!」
セバスが腰の抜けたような状態のシラハを担ぎ、捲れ上がった瓦礫の影に速攻で隠れる。
ムラクモの精鋭全員に、命の危機を感じる悪寒を感じる。
そして――、音が消えた。
否。
全身を衝撃が突き抜けたせいで、何も感じ取れなくなったのだ。
「――? ……ガッ!?」
瓦礫ごと、宙に舞っていた。
そして、地面に叩きつけられ、ボロボロのウォークライ以上にダメージを、そこに居た全員が受けていた。支援に徹していた自衛隊の姿など、もはや瓦礫とまみれてどこにいるかわからないような状態。
形勢が、逆転した。
そう、ムラクモの人間全員が感じた。
もがきながら、立ち上がろうと各々が武器に、震える手を伸ばす。
黒い月の下に、兜が割れ装甲が砕け、それでも帝竜として君臨する赤い巨竜の姿があった。
――スゥ。
効果的だと分かったのか、再び大きくタメを作りながらウォークライが先程よりも高威力を出すために、マナを籠めながら長く吸い込み始める。
全員が訪れるであろう、
「 『――かけ……す、……門』 」
衝撃で聞こえなくなっていた耳が、スローモーションのように感じれる世界の中で、耳に馴染んだ音を拾う。
ウォークライも、ピクリと動きを止め、いるはずがないソレを見た。
「 『……が招きたる……の勢』 」
紅い、埃と血で汚れた長髪。
先ほど、冷たくなったはずの彼。
土気色になって横たわっていたクサカベの姿。
「 『
血で汚れた彼は、だくだくと血を流しながら体を引きずる様に戦場へと帰ってきた。
解けた紅髪で顔は隠れ、表情は見えない。
ただ、彼は今、彼の得物を――後悔しないための得物を引き抜こうとしていた。
――親指の呪印が、その存在を知らしめるように輝き始める。
「 『
それは草壁五宝の内、最強の刀。
使用者の身を喰らい、血を啜る最強にして諸刃の剣。
「 『
その刀――真打・童子切安綱を見たムラクモの全員が、あり得ないほどの怖気に襲われる。
一瞬だけ、本来の脅威であるウォークライの存在を霞ませるほどに、だ。
――~~ッ!!!!
ウォークライが物凄い勢いで、空気を取り込み始める。
本能に、明確な死のヴィジョンが浮かび上がったのだ。
――殺したはずの
クサカベは、だらりと反りのある長い刀身を持つ日本刀をウォークライに向ける。
童子切安綱の見た目は、確かに日本刀のそれだが、つばの周辺に水疱のような不気味な
――その形状にはそこに居る全員が生理的嫌悪感を覚えていた。
いや、本能的危機感というべきか。
クサカベは、刀を召喚しただけでは止まらない。
「 『
解放する。
力を、禁忌とされる絶大な鬼の力を。
――どくん、と手の内の妖刀が蠢く。
「 『
唱え終わった瞬間、童子切の柄から――、ぐちゅりっ!!!!
だらりと伸ばしていたクサカベの童子切を持っていた腕から、針のように鋭い棘が幾多も生じ、肩までぐちゅりぐちゅり、と肉を啜るような音共に貫き始める。
「……ひっ!」
誰かの息を呑むような悲鳴の声がした。
――童子切の柄から、小さく不気味な手が伸び、どんどん絡みついていくのだ。
帝竜・叫喚も、最大まで力を溜めたのか、ぐわっ! と草壁に向けて口を開く!
ドグンッ!! 鮮血に、使用者の血を喰らう妖刀が喜びに震え、脈打った。
――ザッ!!
大きく足を開き、クサカベも負けじと咆哮を上げながら、童子切を振るう!!
「斬り裂け――」
――グォアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!
「
幻視叫喚のタイフーンハウル――。
脇構えから横薙ぎの最強の一閃――。
――その二つがぶつかった時、世界の音が再び死んだ。
戦闘って本当に難しい。
練習あるのみ。