あと、慣れない1人称のせいか、作者の力量のせいで文章も崩壊しています。
――本編にはあんまり関係はありません。
それゆけっ、えめるさん!!
――都庁奪還後、数日後のアメリカ。
「遅い……」
私は腕を組み、苛立ち紛れに思わずつぶやく。
「今の状況で何事も時間通りとはいかないさ。だが、まぁ急ぐとしよう。
とにかく、落ち着きたまえ。エメル」
「閣下……。私は落ち着いています」
落ち着いているとも。
ああ、落ち着いているさ。
日本との通信が可能になったのだ。
この状況で落ち着く以外の選択肢があるか? いや、あるわけがない!!
ぬぅうう。まだ通信は始まらない物か。もうすぐ最初の緊急通信から1時間は立つぞ?
さっさと回線整備して……、いっそのこと私が直々に整備してやろうか??
「(いや、その腕組みしながら指をトントンしたり、一定の距離をそわそわ動き回っているのを落ち着いてるとは言わないだろうに……)」
金髪をオールバックにまとめ、呆れたような表情を送ってくるミュラー大統領などもはや気にならん。いや、少々は気にしているから、こうしてまだ落ち着いているんだろうに。
というか、こっちをチラチラ見る閣下の方が、気が散る。
むしろ、こっちのほうが落ち着けないじゃないか!
「……なにか?」
「いや、なんでも……ない……」
すっ、と汗を流しながら目を反らしたミュラー大統領に頷きながら、閣下のせいで気が散った精神状態を安定させるとしよう。……そうだな、方法は自己紹介形式にでもしようか。
私の名前はエメル。
かつての星、ヒュプノスの民であり、ドラゴンと戦う者。
――だが、まぁそんなことはどうでもいい!!!
(エメル姉さん! 落ち着いてください。私たち姉妹の存在意義が疑われます)
はっ!? どこからともなく妹の電波が……!?
いや、まて、私は落ち着いているんだ!
そうだ、私は落ち着いている。
いや、ちょっとはそわそわしているかもしれない。
ちょっと、そう。
それこそ、ドラゴンが肉食ではなく、実は草食かも知れないくらい些細な問題だ。
(――姉さん!? それはちょっとも些細な問題じゃ……!)
(ええぃ!
日本の主要機関である議会とムラクモ機関へ通信が繋がって、ハントマンを一目見れるんじゃないかと、ちょっと思っているだけだ。
そう、ちょっとだ。全然だ。
この間から、ハントマンに少々妙な悪い気配が纏わりついているような気配とか、なんか起こったんじゃないかとか全然思っていない。というか、ハントマンなら何ともないだろう。むしろ、いつも通り飄々とした然で姿を現し、いつも通り艶々な紅髪を靡かせ、いつもみたいに格好よく決めているはずだ! ……まてっ!?
「……むっ!? もうすこし、私も身だしなみを整えておかねば……!!」
こ、こんな時にアイテルのコンパクトケースがあれば……!!
いや、あれは爆発するから駄目か。
自前ので何とかするか……。
「エメル……。さすがに……」
「何か? ――何か、問題でも?」
「ぬぐっ。身だしなみのチェックは大事だな、うん……」
コンパクトで少々、身だしなみのチェックをしていると閣下がエチケット的な問題で注意をしてきたが、むしろ、ハントマンに――……国際的な場なのに身だしなみが整われていない可能性を注意するべきだろう。うむ。
ところで、何でミュラー大統領は目から汗を流しているのだろうか?
「――大統領! 通信いつでも行けます!!(がんばってください、閣下。応援しています!)」
「――来たか!!(エメルの機嫌が直る!!)」
え、映像。映像はどこだ!? ハントマン!?
えぇい!! まだ映っていないではないか!!
ハッ、クールに為れ!
冷静な私を見せることでハントマンになおの事、出来る義姉だと思わせねば!!
「……では、閣下。始めましょう」
キリッ! 閣下の横に構える。
閣下が、顔の前で手を組んで何故か汗だらけになっているが……熱いのだろうか?
ふむ、後でドリンクでも進呈するとするか……。
――そんなこんなで、日本と衛星通信による緊急会談は始まった。
❀✿❀✿❀✿
ブォン――。
そんな音共に、画面に映像が映り上がる。
スーツを着た男たちが数名、そして、紫色の上品な羽織を着た茶髪を纏めた和服の女。
スーツの男は日本の生き残りの議員と……イヌヅカ総理だったか、紫の羽織を着ている和服の女はムラクモ機関のトップ、ヒカサナツメだろう。
「……ふむ、こうして会談が行うのが、ひどく懐かしく感じるよ」
最初に口火を切ったのは、ミュラー大統領だ。
先ほどまで噴き出していた汗は、ハンカチでスススッと拭いたせいで微塵も見えない。
そこには、一国をドラゴンから守っている威厳のある大統領の姿があった。
「まずは日本が無事であったこと……、実に喜ばしい限りだ――」
思わず、そこはもっと喜べ! ハントマンの事は教えただろうが!! と、突っ込みかける。
あぶない、クールだ。クールに見せるのだ私。
さすれば……むぅ、画面にハントマンの姿が見えない……。
私がしょんぼりしている間に、日本側からの現状の質問や、援軍要請の話が進む。
そうだ、この状態で見えないならこう、――下から覗きこむように……。
つー。
つーー。……あ、ムラクモ機関のトップのヒカサナツメと目があった。
くそ、なんだ? あのいけ好かない女は!
――邪魔だ! お前の後ろにハントマンが居たらどうするんだ!!
何故かビシリッ! と横のミュラー大統領が固まった。
そして、急に通信を終わろうとする。
「……こ、今回の通信はここまで――」
「閣下、お待ちを」
「……エメル。せめて姿勢を」
はっ、妙に斜め下から覗きこむような姿勢になっていた!?
「こ、こほん。さて――」
さて、もういっそのこと単刀直入に聞いてしまうか。
「ムラクモ機関、その組織の総長たるヒカサナツメ殿。質問があるのだが」
『……なにかしら?』
画面のヒカサナツメの顔に胡散臭い笑顔が浮かぶ。
ふ、だが、まぁいい。
――往くぞ!!
「――ハントマンはどこだ。ハントマンを映せ」
「エメル……。命令口調って……お願いだから、冷静に」
えぇい! 閣下はちょっと黙ってて!
『ハントマン? ……ああ、クサカベ隊員の事かしら?』
何故か、ヒカサナツメの顔に影が差す。
何故だろう。物凄く嫌な予感がするぞ?
おい、まて、なんだそのこの場にそぐわない顔芸は!!
そこはこう――。
❀✿❀✿❀✿
(――あらあら、ハントマンならここよ~♪)
ひょいっ。と横に避けるナツメ。
すると、パンパカパーン!! と謎の擬音と共に満面の笑みのクサカベが出現。
(――わぁ! えめるねぇだー!)
そして、映像を飛びこえ飛び込んでくるクサカベ。
(ハントマーン! うふふー♪)
優しく抱き寄せる私。
そして、チャペルのあるあの丘へ……。
❀✿❀✿❀✿
「……フフ」
「え、えめる?」
ハッ! これはいけない。
現実と妄想の区別ぐらいつけよう。
さぁ、今すぐ現実のハントマンを、映像でいいから映せ!
ハリーッ、ハリーッ、ハリィーッ!!!
『クサカベ隊員は、帝竜を討伐したのち――』
うむ、うむ。さすがハントマン。
しかるべき戦果だ。
『――現在、MIA。つまり、行方不明よ』
「――んなッッ、ナニィ!!!?」
う、嘘だ。ハントマン!? え、嘘、嘘嘘嘘!!
は、はんとまーん!?!?
え?? なに!?
きこえなーい! ちょっとお姉さん、難聴になっちゃったみたい!
え、今何て? え?? MIA!?
――行方不明って、どういう事!?
「え、エメル!? す、すまんな、日本の議会よ。また定期的に会議をしよう!
それまで、どちらもドラゴンに負けないように行こうではないか!!」
「えっ!? 閣下、ちょ、ま、あ、切れた……」
ブツンッ! といかにも、放送事故です! という感じで途切れる映像。
こ、これは――。
「と、飛ぶしかない。日本に飛ぶしかない……ウアアアアアアアア!!!」
「え、エメル落ち着け!! なんかすごく光っているぞ!!」
「愛があれば、気合で海だって超えるんだァアアアア!!」
(――エメル姉さん!! キャラ崩壊とかいうレベルじゃなくなってるわ!!
あとハントマンは無事だからーッ!!)
――そんなこんなで、なんとかエメルさんは落ち着きましたとさ。
日本、会議室にて。
「一体……。彼女は……(か、会議が……)」
「あの女……(何かしら、優秀そうなのにどことなく残念だったわ)」
「アレか……。(クサカベの言った『はた迷惑そうな姉』だなァ)」
❀✿❀✿❀✿
アイテルのコンパクトケースネタが分からなかった方は、
『アイテルのよく分かるセブンスドラゴンVol.2』でも見てみてくださいな。
(ちなみに、これ書いてる時のBGMがそれになってました)