魔法先生ネギま~とある妹の転生物語~   作:竜華零

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私の処女作になります、拙い内容ですがよろしくお願い致します。


プロローグ:「卒業式」

Side アリア

 

 

「メルディアナ魔法学校卒業生代表! ネギ・スプリングフィールド!」

「はいっ!」

 

 

薄暗いホールの中を、私の兄であるネギ・スプリングフィールドがゆっくりと進んでいきます。

ネギ兄様は幾分か緊張しているものの、しっかりとした足取りで壇上に上がりました。

10年近い時間を共に過ごしていたせいか、それほど仲が良かったわけでもないのに、胸に来るものがあります。

 

 

・・・ああ、これは申し遅れました。

私は、アリア・スプリングフィールドと申します。

「いないはずの」双子の妹です。

 

 

ここまででお気づきの方もいるかと思いますが、私はいわゆる「転生者」・・・それも、「ネギま」の世界に転生するという、テンプレなタイプの転生者です。

まぁ、前世がどうとか言うつもりはありませんが・・・。

 

 

どうして死んで、そしてなぜこの世界に転生させられたのかは、あまり思い出せません。

気がついた時にはもう、赤ん坊でしたから。

幸い、ここが「ネギま」の世界だと気づくのに時間はかかりませんでした。

だって、兄の名前が「ネギ・スプリングフィールド」ですし、ネカネ姉様やアーニャさんもいましたし・・・。

 

 

まぁ、転生してしまったものは仕方ない、と考えるようにはしていたのですが・・・。

しかし自分のこれからのことを思うと・・・。

そんな自分の第二の人生のことを思うと、あまりの波乱万丈ぶりに、思わず涙が出てしまいます。

 

 

卒業生の中、一人涙を流す私の姿をどう思ったのか。

 

 

『見てみろ、アリア君が泣いているぞ・・・』

『涙を流す貴女も美しい・・・』

『アリア先輩・・・』

 

 

周囲の教師、同期、後輩たちが何やら話しているようです。

まぁ、端的に言って私の成績は上の下くらい。兄と比べると見劣りしてしまいます。

専攻が治癒、補助、結界、魔法具系というのも、地味さに拍車をかけているようですし。

 

 

いや、私だってせっかく「ネギま」の世界に転生したんですから、バンバン魔法使いたかったですよ!

で仕方ないじゃないですか、私魔法使えないんですよ!

 

 

まさか魔力は父譲りの強大さながら、攻撃魔法が一切使えないとは思えませんでした・・・。

その事実に気付いた時はショックでしたが、理由はすぐにわかりました。

どうやら私の眼が魔眼で、それが魔力を絶えず吸収していて、攻撃魔法用に呼び出した精霊をも吸収しているようで・・・自分で魔法を使うのはかなり難しいのだとか・・・。

 

 

はい、もう気付いた方もいるでしょう・・・そう!私は『あの』魔眼を持って生まれたのです!

 

 

殲滅眼(イーノ・ドゥーエ)』。

 

 

伝○伝かよ!!

 

その時私は幼いながらに突っ込みをいれましたよ・・・思えば今生最初の突っ込みでしたね。

せっかく魔法のある世界に生まれたのに、魔法が使えないとか・・・そう絶望しかけた私でしたが、捨てる神あれば、拾う神あり! 私にはもう一つの魔眼と、ある能力があるのです!

 

 

一つは、『複写眼(アルファ・スティグマ)』・・・こちらも伝○伝ですね、わかります。

これは『殲滅眼』と使い分けが可能。

でも魔法は使えないので、あくまで解析、解除、解呪などでしか使えないのです。

私が治癒、補助のコースに進んだのもこのため、『複写眼』使えば大抵の呪いや魔法は解けますから。

この分野では私は兄であるネギ・スプリングフィールドにも負けません。

 

 

そしてもう一つ、むしろこちらが重要ですね。

『魔法具作成』の能力があるのです。

しかも、なんと・・・前世で読んだ漫画や小説に出てきたアイテムや武器を作成できるほどの能力が!

ブリーチの斬魄刀やFATEの宝具まで作れた時には、驚きました・・・。

しかも魔法が使えずとも、直接魔力を注げば使用できるという便利さ。

これだ! と思いましたね。

 

 

いや、だってこれが無いと生き残れないですから。

別に原作に介入したいわけじゃないですが、達成したい目的があるので。

そんなことを考えている間にも、周囲から「アリア」という単語がひっきりなしに聞こえてきます。

 

 

『うぅぅ・・・あ、アリア先輩・・・』

『おやめなさい、年下のアリアさんがしっかりしているのに・・・』

『ご立派です、アリア・・・お姉さま』

 

 

何かおかしな表現もありましたが・・・まぁ、充実した学園生活、でしたね。

中には魔法の使えない私を見下す人も、いないわけではありませんでしたが。

良い、友達に恵まれたと思います。

あ、今度は別の意味で涙がでてきました・・・。

 

 

・・・あ、涙を拭いてる間にネギ兄様のお話が終わりましたね・・・。

聞いていませんでしたが、まぁいいでしょう。

興味薄いですし。

 

 

壇上から戻ってくるネギ兄様と目が合いますが、すぐにそらされました。

 

 

・・・ネギ兄様はどうも私のことを避けているようなんですよね。

特に、悪魔襲撃事件があってからは、一緒に食事どころか、会話すらしていません。

というより、私を含めた周囲との関係を拒んでいるようにも思えますね。

我が兄ながら、先行きが心配になる振る舞いです。

 

 

 

 

 

卒業式が終わり、さぁ退場、という段になって、ハプニングが起こりました。

在校生たちが、出口を塞いでしまったのです。

よほど別れたくない先輩でもいるのでしょうか。

私も前世でやった覚えがありますね・・・。

 

 

「アリア先輩、行かないでください!」

「うぅぅ~、アリアさぁぁ~んいかないでぇぇぇ~!」

「先輩がいなかったら、俺らどうすればいいんですか!」

「もっとアリアさんと学園生活をエンジョイしたいんです~~!」

「お姉さまぁぁぁ~~~~~っ!!」

 

 

 

・・・私ですか!?

よく見ると、20人程のグループが出口を塞いでいて、その全員に見覚えがありました。

 

 

あの人たちは、もう。

 

私は苦笑したくなる気持ちを抑えて、他の卒業生をかき分け、前に出ました。

私が出てきた瞬間、あれほど騒がしかったホールが、静まり返りました。

ネギ兄様が何やらあわてていますが、構うことはないでしょう。

 

 

「・・・まったく、あなたたちは・・・本当に良いお友達ですね」

 

 

苦笑しながら言葉を紡ぐ私に、何人かの生徒が「アリアさん・・・」と泣きそうな声で呟きます。

きっと、私も泣きそうです。

 

 

「魔法が上手くいかないと授業中になだれ込む、課題ができないと研究中になだれ込む、友達と仲直りできないと食事中になだれ込む、挙句の果てには入浴中や就寝中まで騒ぎ立てて・・・本当、心の休まる時がありませんでしたよ。まったく」

 

 

そう言うと、何人かが照れくさそうに笑った。

きっと、私も笑っているだろう。

 

 

「本当にもう、うんざりです。あなたたちの相手をするのは、もう本当に疲れますからね。あなたたちの馬鹿騒ぎに巻き込まれて、何度叱られたことか・・・」

 

 

先生方が、「何をいまさら・・・」といった、呆れているような顔をしていた。

きっと私も、呆れている。

 

 

「でも・・・そんなあなたたちが、大好きでした」

 

 

視界が、歪みます。頬が濡れて熱いのは、きっと気のせい。

 

 

「あなたたちがいたから・・・楽しかった。あなたたちがいたから・・・退屈しなかった。あなたたちがいたから・・・私は、頑張ることが、できました」

 

 

ちゃんと、言えているか、自信がありません。

ちゃんと、伝わっているか、わかりません。

 

 

「そして、あなたたちがいるから・・・安心して、卒業できます。あなたたちなら、私がいなくとも・・・きっと、大丈夫です」

 

 

目を閉じれば思い出すのは、楽しかったことばかり。

私をあれだけ楽しませてくれたのです・・・うん、きっと、大丈夫。

 

 

「だから今は、お別れです」

 

 

そう言って、できるだけの笑顔を見せる。

私の後ろでも、何人か泣いていますね・・・もらい泣きという奴でしょうか。

・・・ネギ兄様だけは、困っていますが。

相も変わらず空気の読めない人ですねぇ。

 

 

私は懐から、ある魔法具を取り出します。

桃色のカード、その名もさ○らカード。はい、元ネタは某カードキャプターです。

カードに込められた名前は、『灯(グロウ)』。

効果は、幻想的な光を見せること。

 

 

「魔法具、『灯(グロウ)』」

 

 

私がそう呟くと同時に、カードに込めた魔力が解き放たれます。

そこからあふれ出るのは、赤、青、白、黄色――色とりどりの魔力球。

それは薄暗いホールの中を駆け巡る。それはまるで、銀河の流れ星。

先生も、生徒も、来賓の方々も、思わずそれに見惚れたような表情を見せてくれます。

そんな人たちに、私は心からの笑顔と、感謝の言葉を捧げます。

 

 

「ありがとう―――」

 

 

 

 

 

卒業式が終わり、ネカネ姉様とアーニャさんが私のところへ来ました。

 

 

「アリア、卒業おめでとう!」

「おめでとう!」

「ありがとうございます、姉様。アーニャさんもおめでとうございます」

 

 

祝福の言葉と共に私を抱きしめてくれるネカネ姉様。

なんだか恥ずかしいのですが、でも嬉しくもあります。このぬくもり、大好きです。

ネカネ姉様には本当にお世話になって、感謝してもしきれません。

それにしても・・・。

姉様から身体を離して、私は首をかしげながら。

 

 

「姉様、アーニャさん、ネギ兄様は?」

 

 

私がそう言うと、2人は若干顔を哀しげに歪めました。

私は、そうですか、と呟くと、それ以上は何も言いませんでした。

それをどう思ったのか、アーニャさんが慌てたように。

 

 

「あんたの修行地はどこだった? 私はロンドンで占い師よ」

 

 

と言ってきました。

アーニャさんに言われて、私は初めて修行地のことを思い出しました。うっかりです。

慌てて内容を確認してみると、そこには・・・。

 

 

「日本の学校で教師をすること」

 

 

と書かれていました。まぁ、ある程度予想はしていましたが。

2人に聞いた話では、どうやらネギ兄様も、原作通りなようで・・・。

会いたい人もいることですし、ありがたい限りです。

 

 

「・・・ネカネ姉様」

 

 

私は姉様を見上げると、真剣な目で彼女に頼みごとをしました。

 

 

「私が戻るまで、スタン爺様とアーニャさんのご両親、村の人たちと、シンシア姉様のお墓を、お願いします」

「アリア・・・」

「次に戻ってくる時までには、必ず、治せるようになっていますから・・・お願いします」

 

 

大事なことなので、2回頼みました。

そう、悪魔襲撃事件で石化した人達は、どういうわけか、私の『魔法具作成』でも治せなかった。

原因と、解決策のアテはあります。

そのためにも、魔帆良に行く必要があります。

・・・多少の危険も、許容しましょう。

死にたくはありませんけど。

 

 

その後校長室に抗議しに行ったネカネ姉様が倒れたり、ネギ兄様とアーニャさんが青春したりといろいろありましたが・・・いよいよ原作に介入、もとい、第二の人生における正念場です。

 

 

 

 

「待っていてください、みんな。そして・・・シンシア姉様」

 

 

アリアは、結構、がんばります。

 

 




小説というのはもっと簡単に書けるものだと思っていましたが、とても難しいものなんですね。

これからももっと精進して、楽しんでいただけるよう努力したいと思います。

拙い腕前ではありますが、よろしくお願いいたします!

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